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オランダvsイタリア 【EURO2008】

2008年06月10日 | EURO2008
■ ユーロ2008 グループC 第1戦

 オランダ(3-0)イタリア
    ・前半26分 ファンニステルローイ(オランダ)
    ・前半31分 スナイデル     (オランダ)
    ・後半34分 ファンブロンクホルスト(オランダ)


この試合の詳細は、ブログランキングにてサポーターの方のエントリーをご覧下さい。

■ 興味深い両チームのシステム

ドイツW杯王者イタリアが、オランダに3-0と歴史的敗北を喫しました。
試合展開に関しては、録画した方も多いと思いますし、見た方もいると思うので割愛します。この試合に関して、気になった点についてずらっと列挙しつつ進めていきます。

◆ 伝統の3トップ(両翼)を捨てたオランダ
オランダは、伝統的にウィングを配置した3トップが特徴ですが、ファンバステン監督はその固定概念を打破するかの如く[4-2-3-1]のフォーメーション。そして、以前のようにウィングが両サイドにワイドに開いて起点となってのクロスやドリブルでの縦への突破という形が少なくなった。ただ、[4-3-3]も今回の[4-2-3-1]もサイドに関しては、運用の仕方次第では似た部分もあるので、必ずしも両翼を捨てたとは言い切れないのですけどね。

◆ 新しいオランダの攻撃スタイル
オランダは、[4-2-3-1]の「3」の部分に「スナイデル、ファンデルファールト、カイト」を起用。
特に、スナイデルとファンデルファールトは攻撃の軸となっていた。また1トップのニステルローイもコンディションは良さそうに思えた。多分、大会が進むにつれてさらにコンディションは上がってくると思われる。そして、リバプールでも同様のフォーメーションに慣れているカイトは、リバプールの時と同じ感覚でプレーし、安定した頑張り屋さんプレーでチームに貢献。(負傷により出れなかったロッベンが入ったら外れるのかな?)ただ、カイトみたいな水を運ぶ選手ってのは必要だとは思う(多少、贔屓目)

さらにカイトの動きについて少しだけ。
リバプールの時と違うのが、それほど右サイドのエリアを縦に大きく守る必要がなく、時折中盤の央に絞ってプレーもしていたりと完全に中盤の選手になっていた。攻守のバランスを考慮していた為、攻撃面での参加は印象が薄かったかもしれないけど、オランダの2点目と3点目のアシストには貢献したし、代表でも頑張っている姿は喜ばしいことだ。

◆ 影の立役者
この試合、オランダは守備的MFのインゲラールとデヨンクがチームへの貢献度が大きかった。
試合全体の印象としては、オランダは、昔のような強靭かつ安定したCBという感じなかった。しかし、結果的イタリア相手に失点ゼロに抑えたのは、この2人(インゲラールとデヨンク)がDFラインの前で中盤のフィルターとしていたからだった。この2人の守備的MFがこの試合の影の立役者だった。


◆ イタリアの布陣に多少疑問
ドナドーニ体制になって初めてイタリアを見たが、3トップ気味のフォーメーション(4-3-2-1に近い)とACミラン・トリオ(ガトゥーゾ、ピルロ、アンブロジーニ)を起用する中盤の構成は、正直理解に苦しんだ。
トーニの1トップ気味に、どっちつかずの右サイドのカモラネージと左のディナターレ。
多分、第1戦ということもあり、経験値でミラントリオを起用したのだと思われる。つまり、最低でも引き分けの勝ち点1を得るべく攻守の安定を求めていたのかもしれない。しかし、それが逆に、攻撃的に行くのか守備的に行くのか、どっちつかずの感じになったように感じた。むしろ、純粋に2トップの形にしておけばもう少し機能と思う。(イタリアのシステムをこれ以上語ると長くので割愛)

■ オフサイドの誤審が試合の流れを決めたが・・・

◆ オランダの先制点
リプレーを見る限り、完全にファン・ニステルローイはオフサイドです。
ただ、あのセカンドボールを強烈なシュートと一連のイタリアDF陣がラインをちょっと上げる動きなどは、線審からすればなかなか厳しい判断。半歩しか下がらなかったニステルローイだが、線審にはオンサイドに見えたのかもしれない。
(※ 下記、■ 追記 ■ 参照)

◆ オランダの2点目のカウンターは、秀逸
イタリアのCKをクリアしてからのファンデルファールトが左サイドを走るファンブロンクホルストへ展開。(この時にカイトも走っていた)そのまま、ファンブロンクホルストがドリブルで持ち込み、逆サイドへ大きく展開。カイトがヘディングで折り返してスナイデルがボレーシュート。ある意味オランダらしい美しいパスの軌跡を描いたゴールだった。但し、ピッチの上に描くパスの線ではなく、スタジアム(3次元)に描いた線という感じ。そして、ヘディングでの折り返しはカイトの「走り」によって生まれ、それを決めたスナイデルのボレーシュートも素晴らしかった。こういうゴールがチームに力を与えるし、この試合の位置付けを考えれば大きな大きな2点目だったと思う。


◆ 決定力を欠いたイタリア
後半に入ると、イタリアがほとんどの時間ボールを支配しオランダゴールに迫るものの最後のゴールが決まらず。
その中、多少、オランダのDF陣の軽さは気になったし、オランダが攻め込ませていたのかどうかは分からないが運動量が落ちてきている感はあった。つまり、オランダは守備がそれほど完璧じゃないという感は否めず・・・(この辺はフランス戦の注目点かな)

イタリアは、後半になり、ディナターレ→デルピエーロを投入してからよくなったし、その前のマテラッツィ→グロッソで左サイドからの攻撃が良くなった(ちょっとカイトのマーク甘かったなぁ)。さらには、カモラネージ→カッサーノと交代して投入するもののそれでもゴールが挙げられず。オランダのFWファン・ニステルローイと比較しても決して見劣りしないルカ・トニだが、チームの攻撃の形(スタイル)として両者を機能的にプレーさせていたかを考えれば、大きな差があった。

もちろん、オランダにとってはラッキーな、イタリアにとってはアンラッキーな1点目(誤審)が、その後の試合の流れを変えたのは間違いない。仮に、イタリアが先制していたらオランダが逆転出来たか?と問われれば、「う~ん・・・」と唸ってしまう。しかし、こういう試合展開を抜きにして考えても両チームの「チームとしての状態」には差があったと思う。イタリアはどこか連動性・一貫性を欠いていたし、オランダはイタリアの十八番のカウンターから得点をするという皮肉な結果も、1点目の誤審だけが全てを狂わせたとは言い切れない。むしろ、この両チームの今大会での行方を知る為にも、次の第2戦は要チェックだと思う。

◆ 駄目押しの3点目
後半34分 ついに駄目押しとなる3点目をオランダが決め、イタリアはジ・エンド。
イタリアのFKからのカウンターで(途中投入の)ファンペルシーかな?からパスを受けたカイトが一度シュートをブッフォンに弾かれる・・・う~ん決めとけ。しかし、弾かれたボールをカイトがクロス。それをファンブロンクホルストがヘディングでゴールを決めた。

■ オランダ、優勝候補となるか?!

◆ チームの一体感、次第
毎度、オランダはお家騒動でチームが崩壊するけど、大会前セードルフが辞退したけど良かったのかもしれない。この試合、ジオことファンブロンクホルストの活躍も光っていた。(今回のメンバーの中ではすでにベテランの域に入ってる?)今回のオランダのように全体的に若いチームの中にそれほどくせのない?ベテラン(大人)が入っている状態が良いのかもしれない。特に、ゴールを決めた後、チームの一体感ってのが象徴的だった。

しかし、個人的には、まだオランダが崩壊(自滅)するかもしれないという不安は拭いされないし、どっか力負けするかもしれないという気もある。例えば、前述の守備面で多少の不安は感じるし、もっと苦しい試合が訪れるかもしれない。その時にこのチームがどれだけ集中してチーム一丸となり耐えられるかなど、第1戦を見る限りでは、優勝候補本命に挙げれない。

まず次のフランス戦がグループリーグの鬼門であることには、間違いない。フランスは、ルーマニアにスコアレスドローだったので、単純に第2戦は勝利を目指してくるはずである。オランダは、その試合の結果・内容次第ではさらに評価を上げるだろうし、チームも結束し勢いに乗ると思う。ただ、勝ち進めばそれだけ周囲からのプレッシャーも試合中のプレッシャーも大きくなると思う。その時にオランダがどれだけ耐えきれるか、そして攻守共に集中して激しいプレーが出来るかなど、多くの逆境を乗り越えなければ、優勝は出来ない。(まぁオランダに限らないけど)

それと、根拠はないがベンチにいるファンバステンを見ていてなんとくドイツW杯の時のドイツ監督クリンスマン的な強運というかチームが勝ち上がる運みたいなのが舞い降りてくるような予感もしている。そして、もし本命ならば、必ずどっかのタイミングでチームにとって大きな転機となる瞬間が訪れるはずである。
デルピエーロ投入もイタリアゴールならず
◆ イタリアは自信を取り戻せれるか?
そして最後に、敗れたイタリアは、次のルーマニア戦には勝たなければならない。
そもそも今日のようなチーム状態では第3戦まで持たないんじゃないか?とすら思う。もし、ルーマニア戦に勝てば、(フランスとオランダの結果もあるが)第3戦の「イタリアvsフランス」はドイツW杯の決勝以上の生々しい激戦になる可能性がある。見ている側としては、そんなエキサイティングな試合は楽しみでもあるだが・・・。

ちなみに、大会前にイタリアサッカー協会はドナドーニと2010年まで契約延長をしたらしいけど、実は、このユーロの結果次第では、契約解除の項目も含まれているとか・・・(それ以前に監督自ら辞職するだろうけど)

やっとユーロらしい面白い試合を堪能した。今夜は、スペインが登場。頑張れトーレス!!

最後まで読んで下さって、ありがとうございます。
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■ 追記 ■
非常に分かり易いサイトを見つけました。下記のJFAの「競技規則」や「審判員のための追加的指示およびガイドライン」(pdfファイル)を読んでも分かり難いのですが、「日本サッカー審判協会」HPに詳しく解説(Q&A方式)で書いてありました。
(UEFA公式の発表はあったのかな?)多分、下記の例として今回のオランダの1点目はオフサイドにならなかったようですね。

Q 守備側競技者が、相手競技者をオフサイドポジションにするため、自陣のゴールエリアを越えて出た場合ですが、主審はプレーを続けさせ、とありますが、オフサイドラインはどこになるのでしょうか?ゴールラインなのでしょうか?

それともその守備側競技者はフィールドから出ているわけですから、その選手はいないものとして、フィールドの中にいる守備側の後ろから2人目の選手になるのでしょうか?

また意図的でなく、プレーの延長で守備側選手がゴールラインから出てしまった場合は?

※ 「審判員のための追加的指示およびガイドライン」内の第11条の文言について(コージ注)
A 基本的には,このような行為によって,オフサイドをとるようなことがないようにすることが大切です。したがって,直ちにオフサイドラインを動かさず,守備側競技者の意図をよく見ることが大切です。

もし,守備側競技者の意図が相手競技者をオフサイドポジションにするためであった場合は,オフサイドラインはこの競技者も含めて後方から二人目の守備側競技者になります。そして,ボールが次にアウトオブプレーになった時に外に出た守備側競技者を警告します。

プレーの延長で守備側選手がゴールラインから出てしまった場合も,オフサイドラインはこの競技者も含めて後方から二人目の守備側競技者になります。

また万が一,外に出た競技者が負傷やその他の理由で戻らない場合,主審と副審が了解の上,インプレー中であってもオフサイドラインを変更することになります。この場合,外に出た競技者に対する警告の必要はありません。

引用元:日本サッカー審判協会 - Q&A 「競技規則の解釈について」 第11条 オフサイド


■ 参考リンク サッカー競技規則

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7 コメント

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Unknown (チャン)
2008-06-10 21:38:17
パヌッチが倒れているのがピッチ外ですが、主審が許可して一時退場させたものじゃないんで、オフサイドラインはブッフォンだったんじゃないでしょうか。

イタリアの中盤はあんまり良くなかったですね。ウイングの2人も。
アクィラーニやペッロッタを使っておいたほうが動かせたかもという気はします。
コメントのお返事 (コージ)
2008-06-10 22:32:38
チャンさん

こんばんは。
オフサイドの件、調べて追記しました。
私もイタリアの中盤は、もっと動きがあった方が良かったと思いました。
Unknown (コロン)
2008-06-11 12:48:01
中盤・サイドバックがこの並びだとピルロを抑えられた場合、カウンター以外の攻め手できついです。「ピルロに仕事をさせるな」がミランにしろイタリア代表にしろ、はじめの一手なわけですから当然といえば当然です。おっしゃるように、先取点を取られたのは痛かったと思います。基本、守備的な布陣ですからね。

その後の攻めとしては、自分はカモラネジは結構良かったと思うので最後まで置くとして、デルピエロinの前に中盤にチャンさんが挙げられている選手(特にアクィラーニ)やデ・ロッシを置くと良かったように思います。ただ、やはりCBが途中で交代すると、そのチームはかなりの確率で追加点を取られたり、逆転されてしまう。

まあ、良く言えば、オランダ相手に一敗しただけなんで、これから連勝すれば、行けるでしょう。希望的観測ですが。
コメントのお返事 (コージ)
2008-06-11 18:49:30
コロンさん

こんばんは。
私も割愛したのですが、イタリアの中盤の構成に関してはは同意です。デロッシ、アクイラーニとか入れたら面白そうだったのに・・・
多少、ドナドーニの中で迷いがあったかもしれません。次は、ふっきれて変わってくるかな??
Unknown (シャンク)
2008-06-11 19:41:00
奇しくもミラン黄金期を支えた主力同士の監督対決になりましたね。ファンバステンにはちょっと問題のある言動があるようでしたので監督として”?”だったのですが、イタリア相手にこの結果はやはり伝統を壊してまでも勝ちに徹する現実主義者としての一面を見せつけられました。
「素晴らしいゴールで一点取るより、平凡なゴールで三点欲しい」  ファンバステン
コメントのお返事 (コージ)
2008-06-11 20:06:03
シャンクさん

こんばんは。
言われてみれば・・・そうですね。
ファンバステンもミランのOBなんで、将来的には、ミラン監督就任なきにしもあらずなんでしょうけど。
Unknown (yohan)
2008-06-13 22:06:21
ファンバステンは、サッキなどすごい監督に出会っていますよねぇ。

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