■ ドイツの勝利で感じたこと |
Football is a simple game; 22 men chase a ball for 90 minutes and at the end, the Germans win.
ゲーリー・リネカーの有名な言葉です。直訳すれば・・・
「フットボールとはシンプルなゲームである。90分間、22人の男が1つのボールを追いかける。 そして、最後に勝つのはドイツである」
30代中頃の人であれば、ぎりぎりこの言葉を実感出来るでしょうし、さらに上の世代の人であれば、より一層実感だと思います。そして、この試合を観ながら、この言葉を思い出してしまいました。
◆ 希望的予想を許さない、ドイツ
ドイツは、グループリーグの戦いでは2勝1敗と2位通過。
しかし、それ以上に同じグループBを首位通過したクロアチアとの戦いで、チーム状態の悪さを露呈した感があった。
一方、ポルトガルは、第2戦を終了した時点でグループA首位通過を決め、第3戦メンバーを大幅に入れ替えて主力のコンディションを調整してきた。今大会注目度ナンバー1はクリスティアーノ・ロナウドであることは間違いない。攻撃の起点となり試合に大きな影響を与える選手である。当然の如く、どのチームも彼に対するマークは厳しかった。しかし、デコなど他にも豊富なタレントを抱えているポルトガルは決してロナウドだけのワンマンチームではない。結果だけ見れば、ルイコスタ、フィーゴらを擁した“黄金世代”より良い結果を出しているとも言える。
多分、ポルトガルの勝利を予想していた人は多かったと思います。その中には多くの希望的予想(希望的観測)もあったとも思います。
そして、希望的予想が含まれるということは、そのチームに何かしらの魅力や好意のような気持ちがあるからなのです。
事実、(どういう層の予想なのかは分からないが・・・)Yahoo! スバリ予想「ポルトガルvs.ドイツの結果は?」を見れば、6割以上の人がポルトガルの勝ちあがりを予想していた。
ちなみに、大会前・試合前の予想なんてのは2通りしかない。
・純粋に両チームの力関係(チーム状態など含む)を考え客観的に予想するケース
・上記内容に希望的予想も加味して主観的に予想するケース
さらに客観的と言っても個々の予想なので主観が入る。(主観を排除するには、何かしらの一定の基準による数字データのみで出すしかない。)あるいは、某監督のように占いか・・・(笑)
つまり、ポルトガルへ対する期待の内容は、それぞれでしょうけど、ポルトガルはドイツに勝つ事を期待されていたのでした。
■ 真の強豪国とは・・・ |
◆ ドイツ、イタリアという鬼門
この試合立ち上がりから両チームの激しい攻防が目についた。
特に、ドイツの気持ちの入ったプレーには目を見張るものがあったし、縦へと素早い攻撃とサイドをこれまでより多く使っているような気がした。クロアチア戦以外ドイツの試合は見ていないが、クロアチア戦に比べると球際でのプレーが激しさを増し、試合開始時からエンジン全開で、とにかく先制点を奪うという強い意識がチームから感じられたし、レーブ監督がこの試合ベンチに座ることを許されなかった(第3戦の退場処分による)が、レーブ監督不在を感じさせないチーム状態だった。
ベスト8の組み合わせの中でこの「ポルトガルvsドイツ」、「スペインvsイタリア」は、ポルトガルとスペインにとってトーナメントを勝ち上がる為に最大の鬼門だと思っていた。
W杯やユーロでのドイツ、イタリアの優勝回数などは、ポルトガルとスペインを大きく上回る。80年代~90年代初頭のドイツは強豪国であった。さらに遡れば“皇帝”と呼ばれたベッケンバウワーの時代からその強さは続いていた。そして、イタリアもドイツと同じくらい強豪国である。さらに両国の強さを示す一つの数字として、過去の成績を見ればはっきりしている。
・W杯優勝 ドイツ3回、イタリア4回
・ユーロ優勝 ドイツ3回、イタリア1回
前半22分、シュバインシュタイガーのゴールでドイツが先制すると、「もしかしたら、このまま終わるかも」という予感がした。最終的な結果は、3-2とさらに両チーム共に得点が入ったのだが、この日のドイツを見る限り、ポルトガルに負けるという感じがしなかった。
ピッチ上の選手達の心情は分からない。しかし、戦術的な部分、選手達のプレーとは別の部分でドイツの強さ、怖さを漠然と感じていた。
ドイツが先制点を決めてから4分後、前半26分クローゼがゴールを決めて2-0とポルトガルを突き放した。
そして、ふとリネカーの言葉が頭をよぎった。
◆ 越えられなかった壁
前半ポルトガルが同点か最低でも1点返さなければ、確実にドイツが勝ちあがると確信に近い予感へと変わった。
すると前半40分、ポルトガルが1点返した。C・ロナウドのシュートが跳ね返ったのをヌーノ・ゴメスが決めた。
立ち上がりのエンジン全開の状態から徐々にペースダウンしてきたドイツはやや守備的な陣形になっていたし、どこかで「慎重に・・・」という精神状態も生まれたかもしれないと感じた。そして、このポルトガルが1点返したことは大きな分岐点だと思った。
後半は「とにかく同点にして、延長戦・PK戦、なんでもいいから勝ち抜ければいいだ!」。そうすればポルトガル代表の歴史が変わるかは分からないが、少なくとも大きな一歩になったであろうことは間違いない。
ところが、後半に入るとドイツは、一度下がり気味だった陣形が再び上がった。その後、同点に追い付こうとするポルトガルとその攻撃を凌ぎながら、もう1点奪おうとするドイツの戦いが繰り広げられた。そして、後半26分、バラックが3点目を決め、ポルトガルの気持ちを大きくなぎ倒した。(ポルトガルは、2、3失点目をセットプレーでやられた。チェコ戦の記事の最後に、クロスボールに対するゴール前での対応の悪さを書いていたが、結果的にその通りになった)
この瞬間、ピッチ上のパワーバランスがドイツへと大きく傾いた。
得点という数字上の問題と同じくらい心理的な部分も含めて、ドイツの伝統や勝負強さというものを痛感した瞬間でもあった。
ポルトガルのスコラーリ監督は、3失点目を喫した後、残っていた交代枠2つを使い、最後まで戦う意識をピッチに反映させようとした。そしてなんとか1点を返すものの、終わってみれば、それがポルトガルの精一杯の反撃だった。
ロスタイム4分という長めの時間だったもののポルトガルが自分達の力でドイツに追い付けそうな予感はほとんどしなかった。ここでドイツが自爆的ミスを犯し、パワーバランスが再び崩れることがあればポルトガルにチャンスがあっただろう・・・。
しかし、リネカーの言葉通り、最後に勝利したのはドイツだった。
■ 勝利の重み |
◆ 強者のイメージ
W杯、ユーロ、チャンピオンズリーグなどどんな大会でも同様だが、よほど時代を震撼させるような内容や一般的な試合では起こり得ない内容、つまり多くの人々に強烈な印象を残せない限り、準優勝国は歴史と共に忘れ去られる。さらに、ベスト8やベスト16の試合であれば、僅かな記憶にも残らない場合が多い。
今の時代インターネットを使えば過去の大会の記録はすぐに引っ張り出すことが出来るし、昨今の技術の進歩により過去の試合をすぐに見返すことだって出来る。そうすれば、遥か昔の記憶も思い出すことが出来る。「忘却の彼方」なんて言葉自体が忘却の彼方へと消え去るのではないかとすら思う。
しかし、時代が移り変わってもドイツやイタリアが積み重ねてきた勝利とその歴史は、対戦するチームの選手達・サポーター、そして、その試合を見る者に強者のイメージを抱かせる。これは理屈ではなく、人々の心象によるものである。(胸の星の数がそれを物語っているのかもしれない)
スペイン、イングランド、オランダなどは、欧州のみならず世界において強国と呼ばれている。しかし、最終的な結果ではドイツやイタリアには劣る。そして、いざという時に強者のイメージに乏しい。
例えば、今大会素晴らしいパフォーマンスを見せているオランダ代表に対してどこか不安にも似た懐疑的な感情を抱いている人はいると思う。一方で、苦しみながらもベスト8に残ったイタリアが、このまま勝ち上がっていくのではないかという怖さを感じる人もいると思う。
勿論、ドイツもイタリアも酷い内容で無残に敗れ去った大会はあった。それでも、ドイツやイタリア、さらにアルゼンチン、ブラジルなどは、それ以上の勝者のイメージを相手に与える。そして、この試合に勝ったドイツは、この強者のイメージをさらに積み重ねた。そう、勝利を積み重ねることが強者のイメージを作るのである。そして、それは弱者には大きくなものとして立ちはだかる。
最後に・・・最近よく思うのだが、「勝つことによって得られるものは大きく。そして、勝ち続けることでしか得られないものがある。」
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読んでいて納得できる!
また書いてほしい!
ありがとう!
今夜はドイツが優勝する!