■ ユーロ2008 グループD 第3戦 |
ロシア(2-0)スウェーデン ・前半24分 パブリチェンコ(ロシア) ・後半 5分 アルシャービン(ロシア) |
■ 心理的ヒディンク・マジック |
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決勝トーナメント進出最後の1枠をかけ「ロシアvsスウェーデン」が行われました。
結果は、2-0とロシアが勝利してベスト8進出を決めました。スウェーデンとしては終始試合のリズムをロシアに握られたまま良い所がなかったという印象です。
逆にロシア、ヒディンク・マジックが印象的だったなと・・・
ロシアは第1戦スペインに4-1と大敗。しかし、第2戦ギリシアに1-0と勝利。そして、ベスト8がかかった大一番できちんと結果を出した。ヒディンク・マジックの戦術的な部分に関しては、ピッチ上の事象を見れば分かると思うのですが、もう一つ監督として大事な心理的な部分に関しては我々一般人には分かり兼ねます。つまりチーム・マネージメントのことです。
例えば、選手のメンタル面やチーム(組織)として結束力など、合宿所やロッカールームの部分は見ることが出来ません。
また、戦術面はあくまでも相手と自分達との都合でしかなく、それ以前に相手がどこであれ大前提としてチームの結束力という部分がなければ、どんな素晴らしい選手や戦術があったとしてもチームとして機能しません。そして、このチームマネージメント(心理的ヒディンク・マジック)ってのが、実は本来のヒディンク・マジックの肝なんじゃないかと見ながら漠然と考えていた次第です。そして、それがこの試合でも成功したと・・・
◆ ロシアもボール狩り
で、このヒディンクの心理的マジックが効果的だった部分として、チーム全体のハードワーク(走り)の多さが目立ちました。
チーム全体の動きは組織的かつフレキシブルで、相当ポテンシャルを感じさせる内容だった。そのハードワークの象徴だったのがプレッシング。大きなポイントは2つ。
1.DFラインへのプレス
2.2トップへのくさびのパスを入れさせない
ギリシア戦は見ていないのでなんとも言えないが、スペイン戦と同じくDFラインのプレスが第一プレスとしてある。
しかし、そのプレスの度合いで微妙な差異があった。スペイン戦は、CBの長い展開力がないことと中盤(シャビなど)を経由していくことを考慮して両SBとCBへのプレスの掛け具合が多少異なった。CBへのプレスを多少緩くする分、中盤へのプレスを厳しくしていた。
ところが、スウェーデンはDFラインに対して満遍なくプレスを厳しく仕掛けつつ(それでもSBへは厳しい)、2トップへの縦へのくさびのパスに対するプレスの強度も高めた(勿論、中盤にもプレスは掛ける)。
この辺は、スペインとスウェーデンの攻撃の組み立てパターンの違いによるものだと思われる。
スペインは基本的に中盤経由で組み立てる。スウェーデンは縦のくさびのパスを入れてから組み立てる。この辺のわずかな違いを感じた。
そして、何よりもチーム全体として良く走る。個人的な勝手なイメージだけど、ロシアのサッカーはこういうハードワークをあまりしない印象があった。もしかしたら、この辺の意識をヒディンクが手がけたのかもしれない。元々個々のスキル自体は高いのでね。同じ旧東欧・ロシア圏のクロアチアと、この辺のプレッシング「ボール狩り」でのハードワークをこなす組織は似ている部分がある。
◆ サイド攻撃
ロシアは、[4-1-3-2]みたいなフォーメーション。ただ、ボランチのキャプテン、セマク[11番]とパフリチェンコ[19番]は固定的。
アルシャービン[10番]とセムショフ[20番]が上下左右に中盤のバランスを取る形。だから[4-2-3-1]的になったり[4-1-4-1]的になったりとこの辺がフレキシブルな特徴。で、両サイドは、完全に縦のユニットとして連動性を持っている。意図的かもしれないけど、右のユニット、ズリアノフ[17]とアニュコフ[22]を多く使っていた。で、実際に1点目はこの右サイドを起点にしてゴールが生まれたと・・・
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サイドが効果的であれば、おのずと中央も効果的になる(逆もしかり)この辺のチーム戦術のバランス感覚ってのが、オランダ人監督らしいし、それを上手く生かす為のヒディンク・マジックも素晴らしかった。そして、何よりもそれを具現化出来る選手達のポテンシャルに驚いた。
■ サイドを使ったロシアの上手さ |
◆ ロシアのサイド破り
実は、一度この試合の記事を半分以上書き上げたのが消えてしまったのです(涙)いつもならメモ帳に書いてUPするんですけど、編集画面に直にずらずら~と書いていて、一回保存しようと思ったら「時間経過し過ぎたから、ログインしてね~」みたいな、余計なおせっかいセキュリティのせいで、ずっこ~んと消えたと・・・だから、モチベーション上がらないので手短に終わらせます。
ロシアの1点目ですが、あれは素晴らしかった。個人的には好きな形。
サイド破りの基本みたいな形でしたね。スウェーデンのSBが上がった裏のスペースに走りこんで央へクロス。
2列目から入って来た選手が一度クッションとなりパブリチェンコへ・・・あとは決めるだけ。
問題はスウェーデンの守備。CBがカバーに行ったSBのスペースをロシアの選手(不明)走りこまれた。
CBが引きずり出されたので、DFラインに(便宜上)ボランチのスベンソン辺りが入るなり、それこそ2列目から走りこんだアニュコフ(右SB)に誰か着いていかなければならないシーンだったが、全体的にスウェーデンはこの辺のカバーリングの対応が遅かった。いわゆるハードワークの部分が不足していた。
ロシアの攻撃は、右サイドを中心とした形が多く、特に右SBのアニュコフの上がりが効果的だったし、FWのパブリチェンコがサイドに流れて起点となり、サイドで数的優位を作ったりと、サイドを起点とした攻撃が特徴的。また、2点目は、それこそ今大会多い印象のカウンターからの一撃。この時の動きも非常に素晴らしかった。
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この試合を見ながら、これもまた漠然とオシムが目指していただろう、サイドの起点と第2第3の動き出しとかヒディンク・ロシアのサッカーも同類項って感じがした。ベスト8で戦うオランダ戦はこの辺のサイドの攻防が注目点かと・・・戦術的にはかなり面白い試合になりそうな予感。ただ、両方とも相手長所の消し合いになったらどうなるかだけど・・・また、ある意味「ロシアvsオランダ」は、ロシア代表が2010年も見据えた時の一つの試金石になりそうかな。
これでベスト8が揃いました。
残念ながらというか、何故かトルコの試合だけ一つも見ていないのです。ただ、各チームともに個性のはっきりした面白いベスト8が揃ったかなと・・・その中、不安要素を多く抱えているであろうイタリアとドイツ。わりと守備組織の安定性が売りのチームが駄目で、攻撃性が売りのチームが残っているってのは、今大会の一つの特徴かなと。
最後まで読んで下さって、ありがとうございます。
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あの滅茶苦茶強かったレアルソシエダを思い出しました。コバチェビッチ、カルピン、デ・ペドロ。
いつも感心させられながら拝見しております。
いきなりの質問で恐縮ですが、
管理人さんは、オランダ対ロシアはどのようになると予想されます?個人的に今のオランダの快進撃は、強さというよりツキや展開に恵まれてる感があり、結構良い勝負になると踏んでるんですが・・・。
(以前のコメントに同様の事を書かれている方がいらっしゃいましたね)
ただ、私の周りではオランダ楽勝の意見多数です。
余談ですが、十数年来スペインを応援→挫折を繰り返している私として、毎度の事ながら今回こそ・・・の想いは強いです(笑)
中に人数掛けてゴール前を塞ぐようなまねをするより、外で人数を掛けて選択肢を作って中で点取りやが動いた方が効率的ですよね。
オシムもそうでしたが、東欧のチームはもともとこういう動きが叩き込まれています。
でも西欧の列強と対すると守備に人手をかけて労力を消費するのでカウンター頼みになることが多かったのです。
結局「走れ!走れ!」なのですが、ヒディンクが恐れず攻められるようメンタル面でのアプローチをしてくれていることが大きいとおもいます。
攻撃スタイルはヒディンクによるのでなくロシア本来の者であり、最後のところでアルシャービンというエクストラキッカーが入ったことでチームが完成しました。
ずっとこのオールチームプレーのスタイルを見てもらいたかったので嬉しいです。
言葉で言っても最後は個の力だろというのが日本のサッカー観でしたので。
体力的に厳しいので優勝は無理でしょう。でもオランダにもこのサッカーをしてくれれば満足です。
西欧の個人技主体のサッカーが好きで、W杯で日本を倒したヒディンクが監督でW杯で日本に負けたロシアを心情的見下しておられる方が多いのは分かっていましたが、こういうサッカーもあるのです。
二点目は非常に美しいカウンターだったんじゃないかな、と。オランダもそうですが、自分はカウンターの質に一番、技術の高低が見られると思ってるので、そういう意味できちんと見たかったな、と思います。
8強について。イタリアは勝ったけれども、やっぱりCBの質がいつものイタリアらしくない。中盤の質で支えて欲しい。まあ、ドナドーニはやっても、ペロッタ・デロッシ・アンブロジーニな感じで行く気もします。アクィラーニをもっと見たいんですが。
オランダについては、ファンバステンは典型的な「馬鹿と天才は紙一重」の人ですから、注目はしてます。
トルコは応援してますが、アウレリオがいないのは、きついてす。今年のフェネルはアレックスのチームではなく、本質的には彼のチームだったりしますが、そのくらい彼はいい動きをしますよね。
こんばんは。
さすが東欧・ロシア系に造詣が深いので参考になります。
個人的には、組織も個も両方も重要だと思います。
ただ、個の能力を組織で埋めるという方法論の裏側にある、個の能力をアップすることの重要性をおざなりにする風潮が嫌だったりします。また逆のケースも同様。
ロシアvsオランダは、単純に殴り合いの試合になったら面白そうな感じしますね。攻撃力のぶつかり合い。その中での、組織と個の融合であったり、駆け引きなど・・・
策士は、何かしでかすのかもちょっと楽しみだったり(笑)
こんばんは。
1点目は、スウェーデンがボール取れそうになってルーズボールが跳ね返って行った感じですね。そこから次のゴール前までへの展開へと持っていかれた。ただ、スウェーデンのミス?とかは重要ではなく、ロシアの攻撃のロジックが非常に興味深かったなと思いましたね。
ファンバステンへの印象は、多少、私も似た感じを持っているのが、前ドイツ代表監督クリンスマンにちょっと似た感じあるかな?って思っています。でも、イケイケのフットボールをやらせたら強いでしょうし、選手起用の部分など意外と戦術面でも考えているように思えたりしますね。