夢への道筋

青臭いけど、人が夢の実現のために発揮できる力って無限。夢を実現するための方法論について徒然なるままに。

【書評】マキアヴェッリ「君主論」

2007-12-03 02:05:41 | 書評
本を読んだ中から、特に面白いと思った本を紹介しようと思います。

今回は、古典の君主論





いかなる組織でも、組織のリーダーは常に「統治術」を求められる。

「統治」とは何か?
本書は、その疑問に対する非常に素晴らしい解を持っている。
繰り返し読めば読むほど深い。

今日は、君主に求められる条件として、この一説を紹介する。

敵によっておびやかされないこと、味方を獲得すること、力あるいは詐術によって勝利すること、民衆に愛されるとともに恐れられるようにすること、兵士に慕われるとともに畏怖すること、自らを攻撃できるかあるいは攻撃するに違いない者を絶滅すること、新しい制度によって旧制度を改めること、峻厳であるとともに親切であること、度量が大きく気前が良いこと、忠実でない軍隊を解体すること、新しい軍隊を組織すること、王や君主との友好関係を維持し、彼らが進んでこちらのために尽くすとともに攻撃の際には手心を加えるようにすること、これらは新しく君主になった者には必要不可欠と考えられるが、これらの事柄に関して公(ヴァレンティーノ公:チェーザレ・ボルジアのこと)の行動ほど生々しい模範を提供してくれるものはない。

チェーザレ・ボルジアについては、こちらの作品を読むとより親近感が沸いてくると思います。









君主論は、現在、また読み直しているところです。

論理思考

2006-03-25 19:14:05 | 書評
その場の状況や感情に左右されず、しっかりと論理的な思考が出来る能力って、仕事が出来る人に共通の特性だと思います。

論理的思考が出来なかったり、弱い人とって、勉強でも仕事でも損をするんじゃないかいと思います。

ただ、そういう人って、これから論理的思考を身につければまだまだ成長の余力が残されているので、チャンスに溢れているというのも事実。

論理的思考を身につける上でのいい訓練方法が書いてある本があったので、オススメします。



この本は超有名な作品で、ここに記載されいてる成功哲学は僕も勉強になることが多いので、マンガや受験生向けのものだと軽く見ずに読んでみるといいと思います。

この11巻には、論理思考トレーニングで面白いことが書いてあります。

1)朝に新聞の社説を読み、社説で組み立ててある論理を頭に入れる
2)夜にその要約を書く。文章は一文二義(二つの意味を持たせる。一文一義でもなく一文三義でもなく)で書く。慣れてきたら英語で書く。

読む力と書く力がつくとのことです。


次は、この本。



論理エンジンについて書かれた本で非常に勉強になります。

この本の中に要約のストックについて書かれています。

話は簡単で、
1)ノートを用意します。
2)ノートを開き、左側のページに要約を、右側のページに自分がそれを読んで思ったことや感じたことを書きます。

何の要約かというと、読んだ本、新聞雑誌の記事、テレビ番組、なんでもいいとのことです。
このストックをたくさん作っていく過程で論理的思考が身につくとの事です。
本書の本題の「論理エンジン」を理解した上で、これをやった方がいいと思います。




僕は二つの本を組み合わせて、新聞の社説で毎日要約のストックを作っています。
かつ、新聞の社説は朝、音読をすることにしています。
その方が眠っている脳がすぐに活性化するので。

時勢にも詳しくなるし、論理思考の訓練にもなるし、一石二鳥です。
プレゼンやスピーチをするのが楽になってきたような気がします。

新聞でも社説の質って結構差があるので、調子がいい日と悪い日があるんだなーとか分かるようになってきました。

いつもは日経新聞の社説だけですが、今日は休日なので、読売、朝日、産経でもやってみました。

1つのネタに対して各紙主張が違うので、これだけいろんな見方があるのかーと思って、びっくりしました。共通項は真実なんだろうなあーと思いました。

たとえば、志賀原発運転差し止めの問題では、原子力安全委員会が「耐震設計審査指針」を今の時代にあわせたものにする、というのが各紙共通の認識でした。
地裁の判断については、賛否両論でした。


標語

2006-03-25 03:09:46 | 書評
3月は日本は忙しいですね。久々に更新しました。

今日はこの本について。



一昔前に母校のラグビー部が強い時代が続くなあと思っていたら、気付いたら早稲田ラグビーはすごい強い時代に変わっていました。

選手の貢献も非常に高いとは思うのですが、早稲田を強い時代に導いたのは、間違いなく、熱きラガーマンであり、強力な指揮官である清宮さんという人物を得たからだろう。


この本を読んでその軌跡を感じることができました。
いくつか勉強になった点があったのですが、その中でも今日は「標語」について。


会社やスポーツチームなどの組織って標語をもっていますよね。
うまく活用できている組織もあれば、形骸化している組織もあればいろいろですね。

早稲田大学のラグビー部は、「Ultimate Crush」
非常に的を得ていて、うまく結果にも結びついていて、これは成功事例だと思います。また、そのコトバができるストーリーにも感動が隠されていて、心を動かされました。

僕は会社ではまだ用意できていないのですが、一昨年から毎年誕生日のタイミングで標語を考えています。

30歳を目前にした29歳のときの標語は、「一日一日を大切に」
20代最後の一年に後悔を残したくなくて、この言葉を毎日心に刻むことにしました。

30歳の標語は、「謙虚」
30歳になって、20代の経験を経て、ちょっと自信過剰気味になってきた自分、環境に慣れてきてしまった自分、分かったつもりになってしまった自分を戒め、まだまだ貪欲に成長するためにこの言葉を選びました。

31歳の今年は、「限界突破」
自分の中で勝手に作ってしまっている限界を「一個でも多く突破してやるぜ!」って気持ちで決めました。
この一年でどれだけの限界を突破できるか、日々奮闘しています。


標語って、自分に対する誓いだと思います。
誓いなしで漠然と一日一日を過ごすよりは、あった方が人生が充実すると思います。

早稲田大学も、「Ultimate Crush」という誓いをしたから、ここまで来たんだと思います。

勝利の哲学

2006-02-15 01:21:20 | 書評
僕はチームで勝利を目指すことが人生で最も生きがいを感じる行動の1つです。
チームで勝利を目指すうえで、必要な哲学が記してある本は古今東西いろいろあると思うのですが、僕が一番好きな本はこの本。





僕が最も熱くなった漫画の一つは、スラムダンク。
なぜ熱くなったか。語りだすと長いのだけれども、その理由をこの本はうまく説明してくれている。

僕が会社で大事にしているのは、第13章「本物のチームワークとは?」

キーワードは3つ。

1)信じ合うこと
2)自己犠牲
3)与えること


ちなみに題材は28巻。
山王戦で、三井は限界を超えた疲労の中、桜木のリバウンド、赤木のスクリーンアウトにより、3ポイントをバンバン決める。
それは、三井が意識朦朧とする中、桜木・赤木などチームメートを心の底から信じて、自分の出来るベストを尽くしているから。

信じることの出来るチームメートとプレーが出来るから自分の限界を超えたプレーをし、卓越したパフォーマンスを発揮する。

Excellentなチームにのみ許される光景です。

会社でもスポーツチームでも、頑張ってて良かったと思える瞬間は、こうした光景に当事者として参加できるからなのかなって思います。

一人一人がチームに貢献するだけの力量がなければ参加する権利はないんだけど、参加する権利が得られれば一人だけの努力では得られない成果を得られるのが、チームプレーなんでしょうね。

10年後の日本

2006-01-04 00:38:46 | 書評
『日本の論点』の要約版みたいな感じなのかもしれませんが、時局をコンパクトに上手にまとめてあるので、買ってみました。

10年後の日本

読んでみて感じたことは、今の時代は、コンドラチェフの長期波動のように50年~60年の循環の変わり目にあるんだなあということを痛感しました。

明治維新から第二次世界大戦までの5,60年は「近代化」による脱亜入欧を目指した日本が、第二次世界大戦の敗北により敗戦後の日本の5,60年は軽武装を前提とした「高度経済成長」を確立しました。そして、その時代がバブルの崩壊とその事後処理をしてる最中に終焉した事実を社会全体として共有したんじゃないかと思います。

ここからの10年は、次の5,60年の基本的な方向性をバシバシ決めるときなんでしょうかね。あるべき論は終わったと思うので、バシっと決めて、行動する。そして、それで損をする人、得をする人ひっくるめて、ビジョンを共有しなきゃいけないときでしょうね。


明治維新や敗戦ほどに分かりやすい時代の変革のイベントはないのかもしれないけれども、いろんな歴史的な転換点が今僕たちの目の前では結構起きてるんじゃないかと想います。


そのいくつかの論点がコンパクトに本書ではまとまってると思います。



個人的に思うのは、長期の利益のために、目先の損をいかに我慢できるのか?もしくは、我慢させるのか?というのが大事だと思いました。

明治維新の時、そして、第二次世界大戦が終わった時には、今の欲望を我慢してでも未来作りのためのリソースをしっかり捻出していたと思います。未来に希望があったから、もしくは、未来への希望を共有できていたから、我慢できたんでしょうね。貧しかったので、我慢するしかなかったっていう現実もあったんでしょうけど。

しかし、昨今は、将来を見据えれば危機感を持たざるをえないヤバい!と思えるような現実はたくさんあるものの、今は別にヤバくないので、未来のために我慢をするモチベーションが社会全体として高まっていないような気がします。


これからの5~60年の日本の創業者たちは今の10代後半から30代前半の人たちだと思うので、それをしっかり自覚して、ちゃんといろいろ考えて行動しなきゃいけませんね。


アジア戦略

2006-01-03 13:58:40 | 書評
この本も5年前に買って、実家に眠っていた本です。
当時、うちの会社の理念になっている「アジア」について歴史的かつ大局的な理解を深めたくて買った覚えがあります。



アジアって言葉が指し示す対象が何なのか、誰が何のために使い始めた言葉なのか、実は十分に理解できていないことに気付きました。

本書は、地理的に歴史的に捉える1つの参考になりました。

シンガポールを中核としたラッフルズのアジア制覇の戦略構想から始まり、第二次世界大戦後にアメリカのプレゼンスが圧倒的となる流れの中で、どういう力学で何が起きたのかを大局的に書いてあります。こうしたアジアの流れに興味を持ち、理解するきっかけになりそうです。

ポルトガル・スペイン・オランダというイギリス以前の欧州列強による前近代的植民地支配、ラッフルズをはじめとするイギリスによる近代的かつ合理的な自由貿易&文明開化による海の帝国形成、大日本帝国による大陸進出・南進戦略とその崩壊、アメリカそして東西冷戦によるアジア戦略、そして、戦後の日本のアジアで果たした役割、これからの役割が書かれています。

商業主義的「海の帝国」、農本主義的「陸の帝国」という二つの力学があるというのは面白かったです。

まあしかし、相当に古くからアジアビジネスというのは中国という大市場を中心においた戦略で組み立てられてきたんだなあということを改めて感じました。

僕自身のアジア戦略にもいくつか参考になりました。

ネットバブル

2006-01-01 23:17:02 | 書評
正月で実家に帰ったときに見つけた本。

ネットバブル真っ只中の2000年10月に出版された本で、僕が購入したのもちょうどその時期。

当時は途中までで読みかけだったので、5年ぶりぐらいに続きを帰りの電車で読んでみました。

新書なのであまり深いところまでは書ききれていないのですが、懐かしい感じがしました。S田さん叩きが中心になっちゃっているのが、本の品格を多少下げちゃっている感がしました。



社長失格でうまく表現されてたベンチャー企業と金融機関との関係(とても資金調達が難しかった)がたった数年でこうまで変わるもんかねぇという時代の流れの恐ろしさを読みながら感じました。



ついでにこの本を読むと、話がもう少し詳しく見えてくると思います。

当時、当事者としての自分から見ていても、S関連やH関連のマネーが本当に日本中のベンチャーを駆け巡っているなーって感じでみてました。

まあ、しかし、2005年でITベンチャーも本当に新しいステージに入ったなあーって感慨深く思うところと、全然変わってないところ両面ありますね。



これらの本で書いてあるような外部環境の理解も非常に大事だと思うのですが、それ以上に「自分が起業や会社経営を通じて、何を社会に提供したいのか?」という信念、戦略、そして、実現に向けた行動が重要だと思いました。

それがはっきりしていれば、またバブルや不況みたいな大変化が起きてもブレることはなく、やるべきことをやるだけなんじゃないかな。



自分の意志がない限りは、外部環境をうまく活かしたり・かわしたりできないからね。



「何を社会に提供したいのか?」年初にあたり、あらためて自分の心で繰り返してみた元旦でした。

企画書入門の決定版 -企画力の教科書-

2005-12-10 21:22:10 | 書評
本書の作者は、僕が今まで見た中で一番感動的に上手な企画書を書く神様でした。

そんな作者が企画の本を出版したという噂を聞いて、もう2年近く前になりますが、すぐに買いました。



2年前僕はこの本を読んで、ぐぐっと企画の仕事のハードルが低くなりました。

今日読見直してみましたが、いやー、これはいい!

実務のプロが書いたから、本当に役に立つことが満載です。

未経験者にはちょっと難しい本かもしれませんが、企画書を書く難しさや奥深さを知っている人にはめちゃめちゃ刺激になると思います。

全然企画書うまくかけない人たちに読んで欲しいです。


『伝説を作り出す』 -僕が六本木に会社をつくるまで-

2005-12-10 10:24:35 | 書評
今日は早起きして、朝飯前にこの本を読んだ。



アツい、そして、さわやか

この人、たいした人物だなあって、すがすがしい気分になりました。

思ったこと1:ロールモデル

僕は20代、誰かのロールモデルにはなったのかもしれないけど、僕にとってのロールモデルは正直あまり考えずに目の前の課題に体当たりしてきました。


一方、作者は、三木谷さんというカリスマ創業者、そして、吉田さんというカリスマ経営者という二人の大物を中心に非常によくロールモデルを研究して、仕事を進めたところが、自身の成長にとても役に立ったんじゃないかなーと思います。

三木谷さんを評して、「シンプルになるまで考え、確実にインプリする、気合と根性の人」

KISS(Keep it simple,stupid)やジョブスのstay hungry, stay foolishという言葉が本の最後のほうにありましたが、それが出来れば結構ほぼ勝負勝ってるような気がする。大事な成功コンセプトですね。

経営者になった吉田さんの仕事を評して、「吉田さんが役員になってから、彼の担当部署は30個ぐらいの部署になり、(中略)」、「そんな数のミーティングに出ていては個別の事情など理解できず、(中略)」、「どうしてそういう意思決定をしたのか、という部分だけに判断をフォーカスをあわせているようだった。」、「こうすることで、個別の事情を理解するまでもなく、その選択肢が正しいのかということだけをチェックし、莫大な意思決定をスムーズに行っていたのだと思う」、「社員である僕の仕事は、『意思決定という製品を作る工場の運営』なのだと理解した。」

しっかり尊敬する人たちの仕事のやり方をここまで表現できるのはたいしたもの。
そして、「すごい人と働きたいのか、追いつきたいのか」

働くだけじゃつまんない。追いつきたいに決まってるよね!

こういうふうにカリスマな人たちとこんなに近い距離でこんな気持ちで働けるっていうのが、ベンチャーで働く醍醐味だよなーって思いました。

僕は、人にそんな気持ちで働いてもらえてるのだろうか?
まだまだ努力が足りないなぁ。

思ったこと2:楽天のしくみ

楽天は、「たとえば、営業で言えば、できるだけ最小単位に因数分解をするというやり方」。1ヶ月100件が受注目標なら20営業日で一日に5件受注というように、目標がしっかり一日一日・一時間一時間の仕事に落とし込まれている様を言ったのかなと思うんだけど、会社の仕組みとしてそれが出来てるって当たり前だけどとても大事だなって思いました。

うちの会社もそれがちゃんと出来てるか、この週末でいろいろ見直そう。

思ったこと3:なぜ、さわやか?

すごいこの本、全体としてさわやかなトーンだけど、なんでだろう?って考えました。

泥臭い話があまり書かれてないのもあるのかもしれないけど、一番は、「この人、インターネットのことが本当に好きなんじゃない!?」っていう印象でした。

わかんないけど、greeのサイトを見ても、なんかプュアな発想で、いいなーと思いました。もっと会社が大きくなってくると変わっちゃうのかもしれないけど、創業のときの想いは継承して欲しいです。


これだけの人材に「働きたいっ!」って思わせる楽天もすごいし、楽天に入ってこれだけのことを経験して考えたこの作者もすごいですね。

時代の追い風もあるのかもしれないけど。

最後にこの本で一番響いた言葉、
「伝説を作り出す」

greeのようなCGMは、サイト運営者も大事だけど、ユーザがしっかりコンテンツを提供してくれるかどうかが非常に大事だと思います。ユーザーがしっかりサイトを使うこと、そして、ユーザー一人一人が欲しいサービスをしっかり提供者に訴えることで、伝説作りに参加できる。
CGMはその構造が面白いよなって思いました。

僕自身も仕事を真剣にやっている限り、自分の仕事の成果は伝説にしたい!

楽しく仕事できてる人は僕に限らず、そう思えてるんじゃないかなって思います。

みんなにもそんな気持ちで仕事をして欲しいなって思いました。


『生産要素』 -アメリカの高校生が学ぶ経済学-

2005-12-10 01:15:31 | 書評


アメリカでは高校生に経済学教えるの?

って超びっくりして思わず買ってしまいました。

読んでびっくり!

生産要素に、
1)土地
2)資本
3)労働力
4)起業家


って、おいっ!、「起業家」ってあったけ?

大学時代に経済学は勉強したけど、思い出せない。
あったようななかったような。

いずれにしろ、さすが、アメリカ。。。


これじゃ、日本は、中学受験に経済学入れないと駄目なんじゃない?

『感情 < 夢』 -渋谷ではたらく社長の成功ノート-

2005-12-10 00:48:14 | 書評
引き続き、藤田社長ネタ。



一度立ち読みで最初から最後まで速読をして、非常にいい本だなあという印象を持ちました。

その後、最近、尊敬する某上場会社会長が社員にこの本を配布したと聞き、購入して改めてじっくり読んでみました。

こういう本を出版する藤田社長も営業に配布した某会長も戦略的で素敵です。

今の僕の心に一番響いた言葉は。。。
「キレたらすべて水の泡になる。経営者として一番大切なもの、それは忍耐だ」

このセリフは、例の「渋谷ではたらく社長の告白」の本でも載っていたのですが、チャートにあった「夢と感情を天秤にかけて、感情が重くなることはない」という言葉は名言だなと思いました。

「感情<夢」
頑張るゼーイ!

社長失格

2005-11-23 12:07:08 | 書評
「この本、読んどけばよかった。。。」と思う本が僕のこれまでの人生でたびたびあった。その一冊が「社長失格」。そして、そう思ったのは今から約5年前のときだった。




この本を買ったのは、99年のはじめだった。

僕が最初の起業をした大学4年だった96年や次の会社を起業した97年あたりは、ハイパーネットは超初期のネットビジネスでは最も有名なベンチャー企業の1つだったような気がする。周囲にもたくさんのユーザーがいた。

 サークルの先輩の結婚式の二次会が終わったあとに某電話会社に勤めている先輩から、「あの会社、回線の支払いが止まってて、そろそろ駄目みたいだね。」といううわさを聞いたのが、僕が今の会社を起業した半年後だった。

 そのころ、僕たちの会社も一回目の資金難に陥りそうだったときだったので、「ハイパーネットのように超有名になっても、すぐ会社が駄目になるんだなー、うちの会社は大丈夫かなー?」っていう超ドキドキした気持ちになった覚えがある。

そして、99年、今度はこの本でハイパーネットに出会った。当時の日本では元経営者が自身の失敗経験をおおっぴらに本で出版するのは前例がなく非常に衝撃的な出来事だったような記憶がある。

ものめずらしくて出版されてすぐに本を買ったが、当時はネットバブルがはじまるちょっと前のときで本を読む時間や力が全く残っていないほど、かなりの時間を仕事に、そして、ちょっとの時間を遊びにどちらも超全力投球していた。本は僕の会社の机に眠っていたままだった。それが、24歳のときだった。

その2年後の2001年2月、今度は僕たちがハイパーネットの転落に近い状況に陥った。そして、事態の先行きが見えた2001年4月、「社長失格」を今度は本腰を入れて読んだ。読んでる最中、何度か涙が出た記憶がある。本に書いてあることと、僕が体験したことは相似していた。
 ただ、板倉さんより、僕たちのほうがちょっと地味だった。だから、会社は倒産せずに済んで、自己破産する人が身内から出る事態も免れたのかもしれない。

「ネットバブルに突入する前に事前にこの本を読んでおけば、ちょっとは違った結果になっていたのかなー?無理だったかなー?」そんなことを考えた記憶もある。
起業家はここまで同じミスをするもんかね。。。この本を読んで率直にそう思った。こんなミスは二度はしてはいかん。そう強く想った。

板倉さんのように銀行からの間接金融の資金がじゃぶじゃぶ入っていたことと、僕らのようにベンチャーキャピタルのみから直接金融でじゃぶじゃぶ入ってくるのとでは財務的な状況は違うし、インターネットの普及率も97年当時と99年当時ではかなり違う。それでも、経験したことの本質はあまり違わない。


ビジネスの常識を理解していなかった。
普通のことを普通にできなかった。
周囲の協力のありがたみを軽く見ていた。
経営者なのに経営をできていなかった。
etc.
あー、あげるときりがない。

それから5年、僕たちが起業した会社はなんとか成長を続けている。
あのころよりは会社も僕自身も格段に成長したのではないかと思う。
僕らとは比較にならないぐらい大成長した会社は山ほどあるが。

なんでこんなことを書いたかというと、昨日、家で本棚の整理をしていたら、ひさびさにこの本と出会った。そして、軽くパラパラめくっていたら、昨日今日で熱中して読んでしまった。

パンドラの箱が開いたかのように、いろんな記憶が蘇った。

僕は、人との出会いや、人と語っているときや、テレビや映画を見ているとき、音楽をきいたとき、絵を鑑賞したとき、本を読んだときに鍵が開いて、パンドラの箱が開くときがある。

過去の自身の反省もあれば、未来に対するビジョンのときもあるけれども、パンドラの箱が開くときは、いろんなものが、溢れ出て来る。
そして、閉じないでいるとパワーを使い切っちゃうので、箱を閉じる。そして、鍵をまたしめる。
閉じるときは、だいたい体を動かして体を疲弊させる。
走ったり、泳いだり、波に乗ったり。。。
今日は10キロぐらい走ってきた。
もう少しで鍵を締めれそう。

社長失格を三十路を過ぎて読んでみた感想は、いろいろ思うところがあったのですが、まあだいたい、社長失格での課題は30を過ぎて経営者経験9年目に突入するころまでには、だいたいクリアーしたのかなって思いました。

しかし、目の前には新たなたくさんの課題が。。。
明日から、また頑張ろう。