蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

Jack Andraka 15歳の少年がすい臓ガンの画期的方法を開発。(mak)

2015-03-20 | 健康、医療

 信じられないようなことですが、2年前の当時で1997年生まれのアメリカのメリーランドに住む15歳の高校生が、すい臓癌の初期段階で,すい臓がんを簡単に発見する方法を見つけたという記事を、ネットニュース(The Huffington Post 11/17/2013)が報じていたのを、恥ずかしながら、知ったのは二日前のことでした。

 発症がわかった後、5年以内に死亡してしまう確率が70~80%(かつては90%以上)に上るすい臓がんの治療には、とにかく「早期発見」に尽きる。そして、すい液から検出できる数千種類のタンパク質の1種類の特異な変化で、「すい臓がんを発見できる」研究を行い、その成果を2013年のTEDでスピーチして、研究者だけではなく、全米全土に大きな衝撃を与えたのが、15歳のジャック・アンドレイカ君(Jack Andraka)だ。

 このスピーチは、2013年10月NHK-Eテレ(教育テレビ)の「スーパープレゼンテーション」で取り上げられ、日本国内でも一気に注目を集めた。そのスピーチはユーチューブ等にも投稿されたため、世界的な注目を集めた。 小さな検査紙で、費用はたったの3セント(従来法では800ドル)、5分のテスト(従来法では数ヶ月)、しかも精度は今までの400倍。こんな驚きの検査方法が、なんと16歳の誕生日を迎える前に作り出しました。

 Andraka君が開発した方法は、インテルが設立したGorden E. Moore Award他多数の賞を受賞。またTEDにもスピーカーとして選ばれ、世界的な注目を浴びている。

 現在、特許申請中で、FAD(米国のFood Drug Administration 医薬管理機関)でも認可審査中です。
 医療業界もやはりビジネスであるから金儲けが目的でありますから、社会が求める必要なものであっても、必ずしも儲かるとは限りません。家族や親しい人をなくしたことが研究のきっかけで、若い想像力を持った頭脳だからこそ、このような医療業界が儲からないので開発しそうもない画期的な方法を生み出したのでしょう。
 不治の病と言われる病気を簡便に治す方法が次々と見つけ出される契機になってくれればと思います。

世界の膵癌患者を救うまでには数年かかるかも知れませんが、実用化が期待されているところでしょう。

 TEDで講演した時の動画(日本語訳付き)に、開発の経緯が詳しく述べられている。

日本語訳:

みなさんはこんなことを経験したことがありますか? とにかく辛くて混乱するような事に遭遇し 起こったことをできる限り調べて なんとしても理解するしかないという気持ちになった経験はありますか?

13歳のとき家族で親しくしてた 叔父さんのような人が すい臓がんで亡くなりました 本当に身近な人がこの疾患に襲われ もっと知らなければと感じたので ネットに繋いで答えを探しました

インターネットを使ってすい臓がんの 色んな統計を見つけました その統計は衝撃的なものでした すい臓がんの85%が手遅れな段階でしか 発見されず 患者はたった2%以下の生存率しかないというのです なぜ すい臓がんを見つけるのがこんなにヘタなのか? 理由?現在の現代医学が 使っている技術は 60年前のものを使い続けているからです うちの父さんよりも年上です

(笑)

それだけでなくてかなり高価です 判定毎に800ドルかかって その上 検査はなはだしく不正確で すい臓がんの30%以上を見落としてしまいます 担当医が検査の指示を出すには バカバカしくなる程 患者を がんと疑う必要があります これを知って もっと良い方法があるはずだという確信がありました そして すい臓がんを効果的に検出するために センサーが満たすべきと考える 科学的な基準を決めました センサーは安く 速く 簡単で 高感度で判定度が高く 低侵襲でなければなりません

実は がん検査が 60年間も新しくならなかったのには理由がありました それは すい臓がんを検出しようとするときには 体内を流れる血液を調べて 既に山のようにある豊富なタンパク質の中から ごく少量に存在する ある特定のタンパク質に発生する 微妙な量の違いを探します ほとんど不可能なことです

でも ティーンの楽観的な想いはそんなことに屈しません (拍手) ティーンの「親友」のGoogle とWikipedia を開けて 調べ始めました 宿題をするときはこの2つを使えば何でも分かります こんな記事を見つけました すい臓がんになると検出される8,000種のタンパク質を 納めたデータベースがあるという記事でした そして 新しいミッションができましたタンパク質データを全て調べて この中のどれかがすい臓がんを見つける バイオマーカーとなるか調べることにしました 自分自身にとってよりシンプルにする為に 科学的な基準を作ることにしましたこんな基準です 何よりも第一にそのタンパク質の血中レベルが ごく初期の段階から全てのすい臓がんの患者で高くなり がんである場合のみ変化が見られるものでなければいけません

僕は超膨大な作業をどんどん淡々と進めて行き 4,000種を確認したところで 正気を失う寸前でしたが ついに タンパク質を見つけました やっと突き止めたこのタンパク質は メソテリンと呼ばれています どこにでもある ありふれたタンパク質です すい臓 卵巣 肺のがん でない場合はです がんになっている場合は大幅に増加して発現します これが重要な鍵となるのは 疾患のごく初期に見つかることで 患者に100%に近い生存率がある そんな時期です

検出に使える信頼性の高いタンパク質を見つけたので 次は どうタンパク質を検出しつまりはすい臓がんを 見つけるのかということに焦点を移しました 画期的な突破口は予期しない所でやってきます 恐らく最も不釣り合いな所です 高校の生物の授業中 イノベーションが最高に抑制されている所

(笑)(拍手)

カーボンナノチューブのこの記事を こっそり持ち込んでました炭素で出来た長くて細い管です 原子1個分の厚さです みなさんの髪の毛の直径の50,000分の1です 極めて小さいものですが 非常に素晴らしい特性があります 材料科学のスーパーヒーローみたいなものです 生物の授業中に僕がこっそりとこの記事を 机の下で読んでいた一方で きちんと聞くべき授業で 扱っていたのは 抗体という 別の 素晴らしい分子についてでした 抗体がすごいのはたった一つの タンパク質にだけ反応することです でもナノチューブほどには興味を引かれませんでした まぁだから ただ授業を受けていたのですが 突然ひらめきました この読んでいたカーボンナノチューブと 授業で考えているべき抗体を 組み合わせられるかもしれないと気付きました 本質的には 大量の抗体をナノチューブの網構造に 編み込んで 特定のタンパク質にだけ 網構造が反応するようにした上で ナノチューブの特性を利用して存在するタンパク質の量に応じて 電気特性が変化するように できそうだと気が付きました

ただし 問題がありました ナノチューブの網構造は極端にもろいのです 網構造はとても壊れやすいので維持する支えが必要でした この為 紙を使うことにしました 紙から がんの検査紙を作るのは チョコクッキーを作るくらい簡単にできます 大好物ですが まず用意した水にナノチューブを加え 抗体も加えてかき混ぜます そこに紙を持ってきて浸し 乾かしたら これだけでがんが検査できます

(拍手)

そこで 急に気が付きました 僕の素晴らしい研究計画にちょっとした影を落とすようなものです がんの研究をするには家のキッチンでは できないということです 母にも不便かもしれません そこで その代わりに研究所で研究しようと決めました そして 材料一覧予算 研究予定表 研究手順を書き上げました そして それをジョンス・ホプキンス大学と 国立衛生研究所の 200人の教授にメールしました 基本的に すい臓がん関係の研究者全員です こんな了解のメールが送られてくるのを待ってました 「きみは天才だ! これでみんなが救われる!」

そして― (笑)

でも 現実は甘くなくて 1ヵ月ほどの間に 送った200件のメールに199件の却下メールが届きました ある教授は 研究手順の全てを細かく確認して ― 一体どこにそんな時間があったのかと思いますが ― 手順の1つ1つ全てこんな酷いものは無いという風に 指摘してきたのです 僕の研究構想を自分で思っていたほどには 教授たちが高く評価していないのは明らかでした

でも 希望の兆しがありましたある教授から 「私のところで キミのこと手助けできるかもしれないよ」 とのメールが届いたのでそっちへ向かいました

(笑)

子供に だめと言うな!というのに従うようでした

それから 3ヵ月後 この人が絶対会える日をやっと取りつけて 彼の研究室へ行きました 僕は もの凄くウキウキしてイスに座り 口火を切って話し始めると 5秒もしないうちに別の博士を呼びます こんな狭い研究室に博士が何人も集まってきて 僕を質問攻めにしました 最後には すし詰めの満員電車かのようでした 20人の博士と僕と教授が この小さな研究室に詰め込まれ みんなで質問を次から次へと投げかけて 研究手順に穴を開けようとします こんなことってありますか?どうとでもなれです

(笑)

しかし この尋問にさらされながらも 全ての質問に答えました かなりの数に勘で答えましたが正答でした そうこうして ついに研究場所を手に入れました

でも その後すぐに気づくことになりました 一時は輝かしい手順と思えた手順には おびただしい数の間違いがありました 7ヵ月以上の時間をかけて 1つ1つ丁寧に全ての間違いを直していきました

どうなったかって?1つの小さな検査紙で 費用は3セントで5分でテストできるようになりました この方法なら168倍速く 26,000分の1以下の費用で 400倍の感度で検査できます 現在の標準的な検査方法と比べた場合です

(拍手)

でも 最高なのはこの検査紙が 100%に近い正確さで検出できることと 患者が100%に近い生存率がある ごく初期のがんを検出することができるところです ということは今後2から5年以内には この検査紙がすい臓がんの生存率を 悲惨な5.5%から100%近くに 引き上げる可能性があり 卵巣や肺のがんでも同じように生存率を上げるでしょう

でも これで終わりではありません 抗体の種類を変えることで 違うタンパク質を検出する様にすれば 違う疾患を検出できます 潜在的に 世界中のどんな疾患でも検出出来るでしょう 心臓疾患に始まり マラリヤ HIV AIDSまで また 他の種類のがんだったり何にでも使えます

いつの日かこうなればと願います 以前は助からなかった1人の叔父さんが助かり 母親が助かり兄弟が姉妹が助かり 愛すべき家族の一員が助かるよう願います すい臓 卵巣 肺のがんの疾患のことを考えて悩まされ 心配することがなくなるようにそしてどんな疾患にも 苦しまなくても良くなるようにと願います インターネットを使えば何だって可能です 理論を人に伝え共有しても良くて 価値あるアイデアと評価されるのに 複数の学位を持った教授である必要はありません 中立的な場所で 見た目や年齢やジェンダーが何であれ 影響はなく アイデアだけが重視されます 僕の場合にはインターネットに対して 全く新しい見方をしたのが全てでした ネットはもっと別の使い方ができて 皆さんのふざけた顔の写真をアップロードする以上に 使い方によっては 世界を変えていけるかもしれないと気付きました

もし すい臓が何かさえも 知らなかった15才の子が 新しいすい臓がんの検査法を発見できたとしたら 皆さんなら何ができるか想像してください

ありがとうございました

(拍手)

 
 
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