ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

E・クィーン角川文庫版新訳「エジプト十字架の秘密」とあかね書房「少年少女世界推理文学全集」

2013年10月01日 | ミステリー小説
 角川文庫版新訳のエラリー・クィーン、「エジプト十字架の秘密」が刊行された。この国名シリーズの新訳、こちら角川文庫版は何と昨年10月以降約3ヶ月毎に刊行されている。ほぼ1年で5冊が登場。かなり速いペースではないだろうか。越前敏弥氏と作品毎にパートナーが変わっているが二人がかりで翻訳にあたっているのもそれと関係しているのだろうか。そういえば、作者エラリー・クィーンも実は従兄弟二人によるペンネームで、作品も彼らの合作であった。

 ここまで再読してみるとこれら(ローマからギリシャまで)は本当にロジックで論じられた作品であると実感する。文庫で最初に読んだのが中学生の頃だったから当時はそれほど感じなかったかもしれない。その意味で今とても面白く読める。複雑な密室や怪奇趣味は一つもないが、いわゆる本格ものの醍醐味を味わっている。

 ところで、角川版は飯城勇三氏の解説が毎回面白い。今回はあかね書房の「少年少女世界推理文学全集」における「エジプト十字架の秘密」についても触れている。それによるとこのジュニア向けにリライトされた同書によりクィーンを初めて知った作家がけっこういるというのだ。新井素子氏や有栖川有栖氏などの著名人が上げられている。そして作家ではないが私もその一人である。何とも彼らに親近感を持ってしまう。このブログで紹介するのは3回目となるのだが、自分が中学生くらいに買った同書写真を再度掲載する。そして、横尾忠則氏が挿絵を描いているということにはこの解説を読むまで気がつかなかった。よく見ると確かに小さく名前が載っている。監修者として川端康成の名前もあるので、当時としては大変ハイセンスな全集だったと言える。そういえば先日某オークションにこの全20巻が一括で出品され、何と12万円台で落札された。一冊あたり約6000円である。根強いファンがいるのだなぁと思う。子どもの頃リアルタイムに書店で買ったのは3冊のみであった私自身も機会があれば集めようと思い、たまにオークションに参加するのだが低価格ではなかなか落とせない。現在はようやく半分の10冊である。

 さて、角川文庫版国名シリーズは一息ついた後、今後後半が刊行されるようだ。創元推理文庫版新訳も追随すると思われる。かつて創元版では本来国名シリーズではない「間の扉」という作品が「ニッポン樫鳥の謎」として出版されているが今回の扱いはどうなるのだろうか。それも含めて後半の作品群の再読を楽しみにしていようと思う。


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。