ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

ジェネシス来日公演の思い出 '78 & '87

2014年12月15日 | プログレ
 さて、このTHE MOOK「ジェネシス」の最終ページに78年初来日時のチケットが掲載されており「もう38年も前のことです…」との記載が。当時私もそのライブに行ったので、ここでその思い出を述べてみよう。

 私は東京の大学に通う学生だった。当時プログレッシブ・ロックの全盛期は過ぎていたと思う。従ってジェネシスの来日がアナウンスされチケットの発売日が決まってからもそれほど騒ぎにはならないだろうと考えていた。発売の前日に一緒にライブに行きたい高校の同級生達と都心にいる友人宅に泊めてもらい、翌日チケットを買いに出かけた。当時はプレイガイド等での購入が主流だった。最初に渋谷のプレイガイドに行ったら何とそこでは全て完売。驚いた。店員に聞くと早朝からかなり並んだとのこと。完全に予想外の展開だった。そして、私は顔面蒼白になっていたと思う。しかし、それで諦めてはならないと、すぐに新宿の京王デパートに出向いた。以前そこで買ったことがあり、あまり混み合わない印象だったからだ。我々が到着すると人の気配はなかったが、聞くとここも長蛇の列だったとのこと。しかし何と初日新宿厚生年金会館大ホール2階席の一部のチケットが残っていたではないか!それも人数分がちょうど確保できたのだ。本当は全公演に行きたかったのだが自分の対応の甘さでそれは叶わなかった。しかし1回だけでも彼らの演奏を目の当たりにすることができたのだから本当に幸運だったのだ。(S席3800円。)

 ハケット先生が脱退して「そして3人が残った」ジェネシスとしての来日で、この時新ツアー・ギタリストのダリル・ストゥマーの演奏を初めて聞いたのだが、彼の高度なテクニックのギタープレイには舌を巻いた。それまでの叙情性豊かな演奏に揺らぎのないテクニカルなフレーズが絡まり、これはこれでありだなと感心したものだ。ELEVENTH EARL OF MAR の迫力あるそしてドラマチックなオープニングからアンコールのI KNOW WHAT I LIKEまであっという間の2時間だった。RIPPLESの時、中間のギターソロでフィルがステージ上に腰掛けてマイクのペダルベースを両手で弾いていたし、また彼のMCは全て日本語で、初日はまだ要領がつかめないのか「?」な所もあったが、フィルの人柄が感じられて楽しかった。演劇的要素もあり、また狭いながら天井から注ぐ照明の効果も充分感じられる素晴らしいライブだった。一説によると日本公演でのホール演奏が気に入り、その後のデューク・ツアーでは好んで小さめのホールでライブを行ったとか。

 さて、2度目に行ったのは10年後、1987年3月の日本武道館、「インヴィジブル・タッチ・ツアー」であった。この時は就職して北海道に戻っていたが在京の友人がチケットの手配をしてくれて行くことができた。当初は1日だけの予定だったが、急遽別日にバックステージの席が販売されることになり2回行くことになった。(こちらはS席5000円。)

 そのステージ裏の席から見る光景が興味深かった。前方から見えない所でスタッフが細かく動き回り、楽器かエフェクターのスイッチを押す姿が見られたり、またツアー・ドラマーのチェスター・トンプソンが、フィルがドラムをたたく場面で後ろに降りてきて一休みするところなどを見ることができた。武道館の広さで存分にバリライトを用いたステージは効果抜群で、これまた印象に残る素晴らしいライブだった。

 この当時はフィルのソロシンガーとしての人気も相当出ていたので、ジェネシスを知らず、「フィル・コリンズとそのお友達バンド」を見に来たという人もいて、ある意味彼らの人気ぶりを実感した。だから間違いなくこの時期の(フィルがフロントマンとしての)ジェネシスは全盛期だったと思う。そのタイミングで行くことができたのだから、この時も本当に幸運だった。そして、それから26年後の昨年ハケット先生のライブに行くことのできた私なので、あとはピーター・ゲイブリエルに会うことができたら完璧だと思う。これからの人生でそんな幸運に巡り会うことができるのだろうか…。
(2枚目の写真は両公演のツアーパンフ)