今回ご紹介するのは、共和国ゾイドBLOX“バスターイーグル”。ゾイドBLOXは低価格でスタートしたのですが、この
バスターイーグルはやや高額の価格約2000円で発売されました。これまでが約700円でしたからずいぶんと強気
なお値段ですが、このバスターイーグルは従来のBLOXよりかなり大きいので、それに見合う値段設定となっており
ます。その名の通り鷲型ですが、各パーツが大きくかなりまとまった形状になっていてかっこいいです。そして背中
の大型火器、これの迫力が素晴らしいですね。分かり難いですが、コクピットブロックは背中に有ります。
ご尊顔拝見…こちらもシャープな造形の男前。考えてみれば、嘴の尖った鳥形BLOXってバスターイーグルが初ですね。
バスターイーグルは発売時は単品、後にセット版が発売されました。今回レビューするのは単品版です。
このバスターイーグル、ちょっとした悲劇が有るので書かせてください。
2004年度に展開された“ゾイドフューザーズ”、これは製品の9割が既発売品の再販+セット販売と、聞くからに売れなさそうなラインナップでした。バスターイーグルもその中に含まれたのですが、バスターイーグルとセットになったのは大型ゾイド“バーサークフューラー(価格約3000円)”でした。ゾイドフューザーズは通常ゾイドとゾイドBLOXの合体をテーマにしていたもので、本来そんなギミックは想定されていないゾイドに合体用パーツを追加し、無理矢理ゾイドBLOXと合体させていました。
ちなみに、バーサークフューラーとバスターイーグルの合体形態は“バスターフューラー”、バーサークフューラーの背中にバスターイーグルが乗ってるだけにしか見えない、実に無理矢理な合体でした(実際は追加パーツで接続されてます)。まぁ、バーサークフューラーはゾイドBLOX以前に発売されたゾイドなので、設計上融通が利かなかったのでしょう。実際に店頭でも、子供に「乗っかってるだけじゃん!」と敬遠されてたのを目撃しました。でもね、バンダイの戦隊ロボだって乗っかってるだけで合体と言い張ってるもの結構ありますよ?
以前マトリクスドラゴンのレビューでも触れましたが、BLOX単体は中にゴムキャップが詰まっているので、複数使うと見た目より重くなるんです。しかもバスターイーグルはゾイドBLOXの中でもかなりの大型、使用BLOXもマトリクスドラゴン並みに多いです。つまり、ゾイドBLOXにしちゃ結構重いんですね。そんな奴がバーサークフューラーの背中に乗ったらどうなるか?バーサークフューラーは電動歩行型ゾイドですが、バスターイーグルが重すぎてまともに歩けなくなります。聞く所によると、最悪バーサークフューラー内部のギアが逝くそうですよ(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
ここいらで、バスターイーグルの悲劇をちょっと纏めてみましょう。
1.バーサークフューラーもバスターイーグルも再販品、つまりもう持っている人はたくさんいる
2.最大のセールスポイントの筈の“合体”が無理矢理過ぎる
3.バーサークフューラーの電動歩行ギミックを殺してしまう
4.約3000円のバーサークフューラーと約2000円のバスターイーグル、セット販売だから価格は当然約5000円
とまぁ…これだけ売れない要素が有っては当然売れず、店頭でも恐ろしいまでの在庫の山を築いていました。しかも、アニメ本編でもパイロットが別の機体“凱龍輝”に乗り換えた事で、完全に止めを刺されてしまいました。あとはもう酷い有様で、放送終了後でも在庫の山はちっとも捌けず、私の知りうる限りでは一個1000円で盛大に投げ売りされてました。ゾイドフューザーズ、既発売品の再販って点では初代TFと似てますが、それの様には行かなかったのですね。バスターイーグル単品はゾイドBLOXにしちゃ素晴らしい出来なのに、下手に組まされたことでお互いに足を引っ張り合う散々な目に…。
で、バスターイーグルのレビューに戻ります。上記の通りバスターイーグルはゾイドBLOXの中でも大型なので、レオブレ
イズ等と比較するとこれだけの体格差が有ります。
TFと比較してみると、ヴォイジャークラスくらいの大きさが有りますね。これで価格が約2000円なんだからな…。ま、塗装
もしてないし工場での組み立て工程も無いし、塗装済み完成品のTFと一概に比較なんか出来ないか。でもゾイドっての
は、未塗装でもそれなりに見栄えがするから良いですよね。
外装パーツは太腿で、ここのパーツが外せて内部フレーム剥き出しに出来ます。ゾイドBLOXではお馴染みのギミックで
すが、バスターイーグルの場合は成形色が茶色なので、単純にパーツの色分け程度にしかなってないのが難点。やはり
フレームはグレーとか、そんな金属的な色じゃないと。
バスターイーグルの構造はこんな感じで、首にコアBLOX二つ、あとはBLOXを組み合わせた胴体に翼、足、背中パーツ、
胸部パーツ、尾羽を接続する形になっています。構造的には他とあまり変わりませんが…?詳しくは後述。
翼は2パーツ構成になっていて、ナイトワイズやフライシザースと違い翼を可動させられるのが嬉しいです。
あと、付属品の各種も有りますね。
足はご覧の通り、大型ゾイドBLOXだけにこれまで不満だった“膝関節”、こちらはしっかり可動します。
うーむ、ゾイドBLOXで膝可動はそんなに高いハードルなんでしょうか。それと、太腿が2パーツ構成、脛が3パーツ構成に
なっているのがポイント。
では、先ほど触れた胴体について詳しく。
首はコアBLOXを二つ連結していますが、胴体はバスターイーグルより導入された“8連BLOX”を使用しています。
画像左が従来のBLOXを8個連結した物、画像右が8連BLOXです。大きな違いは8連BLOXは最初からこの形で構成され
たBLOX、つまり一つ一つ分解出来ない構造になっています。融通は利きませんが、左側の8個を連結したBLOXに比べ
ると段違いに保持力が高いです。そりゃそうです、最初から繋がっていて分解出来ないんですから。BLOXの持つ欠陥は
“保持力の弱さ”、これに対する開発陣の出した一つの答えなのです。
本来は接着されていて分解出来ないんですが、敢えてやってみました。画像下のガワを見てみると、全て繋がっている
のが分かります。これに、上側の4連のガワでゴムキャップを挟み込み接着します。最初から繋がっているので、BLOX
の辺も8個繋げた物より減っているので、多少は軽くなってます。ただ、それでもやや重いですけどね。
で、この8連BLOXを素体に、更に左右に2個BLOXを追加、そしてその下に外装パーツを付けてバスターイーグルの胴体
は構成されています。本当は胸部パーツも有るんですが、見難くなるのでこの画像では敢えて付けていません。
そしてもう一つ、バスターイーグルの翼と足は画像中央に有るグレーのパーツ、これで取り付けられています。BLOXは
保持力不足と書きましたが、これはそれを解消する為にラチェット機構の備わった関節パーツなのです。縦方向にのみ
回転しますが、一定の角度ごとにカチッカチッと動くので、保持力が格段に上がりました。これでもう、勝手に手足が垂
れ下がる事は有りません。
これもまた開発陣の提示した答えですが、これに関しては中途半端。何故なら、関節パーツにある凸部分を差し込むの
がBLOX、またはパーツに埋め込まれたゴムキャップなので、そちらの方が重さを支えきれず抜けたり勝手に動きやすい
です。解消はされてませんが、まぁ無いよりはマシ。あとジョイント形状の都合で、最低でもBLOX2個またはゴムキャップ
が2個並んでいる所にしか使えません。
それでは可動に付いて。“それではみなさん!あれをご覧ください!”みたいなポーズですが、これは可動箇所をアピー
ルする為のポーズです。嘴開閉、首左右回転、首前後傾けか、翼の付け根がラチェット機構で360度回転、股関節も同様
に回転、膝、足首が可動します。膝関節が本体の重量に負けてヘタリ易いですが、まぁ鳥型なので直立姿勢はあまり様
になりませんから。鳥の本領発揮は飛行ポーズでしょう。
ここでもう一度、翼を見てみましょう。
ラチェット関節パーツの受け用にゴムキャップが2つ埋め込まれていますが、その隣に凸ジョイントが2つ並んでます。
ラチェット関節パーツごと翼を引き抜き、上記の凸ジョイントを本体BLOXに接続する事で、ご覧の様に翼を広げる事が
出来ます。これはナイトワイズにも見られたギミックですね。しかし、例えウソでもフル可動を謳っているゾイドBLOX、差
し替えでポーズ変更は正直どうなのよ?でもまぁ、動かないよりはマシか。
この状態で、さらに足を延ばして首を垂直に差し替えれば鳥形メカの本領発揮である飛行ポーズに。
下から見てみると、綺麗に纏まっててこちらは文句無し。
ただ翼が、ものの見事に穴だらけですな…こんなんで飛べるわけが無いよ。とお思いですか?詳しくは後述。
それでは、今度は各部パーツを見てみましょう。
上記の通り翼が肉抜き穴だらけですが、これは共和国飛行ゾイドの特徴“マグネッサーウイング”。磁場を発生させて浮
力を得る設定で、その磁場発生に穴が必要だとかなんとか。これは1980年代の初代ゾイドから使われていたものですが、
実際はトミーが生産コストを下げる為に肉抜き穴を空けただけでしょう。それでも、こんな風に設定でカバーしていたのが
初代ゾイドの偉い所。
嘴が開閉するのは上記の通り、でもこの嘴に関しては特に武器設定が無いんです。折角の猛禽類なのに勿体無い…
ナイトワイズと違ってちゃんと開閉するのに。
そのマグネッサーウイングには、“爆撃用ボム”、“AZミサイル”、“空対空ミサイル”の3つが装備されています。AZミサイ
ルってもしかして“アンチゾイドミサイル”、つまり対ゾイド用ミサイルって事でしょうか?我が家には取説しか現存していま
せんが、その取説にはどれがどれとは記載されてないです。箱には書いてあったかもしれませんが、もう現存して無いし。
“バスタークロー”、ストライクレーザークローでもマグネイズクローでも無いんですね。バスターイーグルのクローだから
バスタークロー?いやまさか、そんな単純でも無いでしょ…違うよね?でも、やっぱりこの成形色はいただけないなぁ。
猛禽類で大型機だから、ナイトワイズで出来なかった“クローで掴みかかりたい”所ですが、ご覧の通り一体成型ですか
ら無理です。勿体無い…。さっき設定の使い方で褒めたばっかりなのに…。
バスターイーグル最大の武器、それがこの“バスターキャノン”。本体よりも長い砲身ですが、中身はカラッポなので見た
目よりかなり軽いです。こんなものを飛行中に発射したら、間違いなく反動で吹っ飛びそうですが…それをなんとかするの
がマグネッサーウイングなんでしょうか?何せ大きいので、ゴジュラス等の大型ゾイドの武装にも使えます。ゴジュラス用
大型火器“ゴジュラスキャノン”、これはゴジュラス以外のゾイドにも装備可能なカスタマイズパーツでしたが、早々に単品
販売が終了してしまい入手しにくくなりました。でも、このバスターキャノンはゴジュラスキャノンの代替え品として充分に役
に立つので、当時とても重宝されていました。
砲身は分割出来るようになってまして、先端を外せばご覧の通りショートバレルにも。これはこれで、破壊力有りそうで
かっこいいです。人型ロボットが手に持っても様になりそうな感じ。
バスターキャノンを外すとこんな感じに…
貧相になるかと思ったら、翼のおかげで体裁は保ててます。それなりにかっこいいですそれなりに。
総評としては、開発陣による武装神姫並みに速い対応で、これまでのゾイドBLOXに比べれば遊びやすくなりました。が、それでもまだまだBLOXの問題点は多い。
まだ完全には遠いですが、8連BLOXやラチェット関節のアイディアは加点要素。バスターイーグル本体も、大型機だけに格段にプロポーションが良くなっているし、
本体の大型化に伴い大型武装がデフォで装備されているのもいいですね。単純にかっこいいです。が、あくまで“ゾイドBLOXにしては”であり、まだまだ煮詰める
要素はある。今後はまた別の対処法を導入していくのですが、それはまた別の話。単品版でもセット版でもいいから、デザインや武器が気に入った人なら買いです。
しかしバスターフューラーは残念ですね...今だに売れ残っている店が近所にあります(笑)
バスターイーグルはゾイドBLOXの中ではとても優秀でした。
ただ、最終的にバスターイーグルを超える大型機が、最後
まで登場しなかったのが悔やまれます。
そちらではまだ残ってるんですか、バスターフューラー。
セットにしてお互いの長所を殺し合った挙句、むやみに箱が
デカいので売れ残ってると余計に目立つのがなんとも…。
それと、本日バスターイーグルのレビューをアップした時に
今日の日付になって無かったので、一度消して再アップしました。
それに伴い、該当記事にして頂いたコメントも消えてしまった
ので、上のちょむさんの記事は私が再アップしたものです。
申し訳ありませんでした。