人工機械獣群 11

初期のキメラBLOXは、前回紹介したデモンズヘッドで全て紹介し終えました。今度は、キメラBLOXの四体合体に入ります。


その名を“キメラドラゴン”、マトリクスドラゴン同様にドラゴンモチーフですが、今回は四脚型。デモンズヘッドのデカ頭は
合体用にデカいと述べましたが、合体状態でもちょっとデカ過ぎてバランスが悪いです。胴体がこれだけボリュームある
ので、背中の翼に説得力もクソも。これ飛べないでしょ絶対に！


バックビュー。
合体BLOXは得てしてどれもそうですが、パーツがゴチャゴチャしていて一見何がどうなってるのか分かり難いです。


ご尊顔拝見…デモンズヘッドそのままなので面白味は無いです。

ここで今回のキメラドラゴンに付いて少しご説明。
ゾイドBLOXは2002年にスタートしましたが、その後の2004年に“ゾイドフューザーズ”なるタイトルのアニメがスタートし、それに合わせて旧製品が再販されました…っつーかフューザーズの製品は9割が再販品なんですけどね。ただでさえ売れにくいのに、さらにフューザーズ製品ではそれまで単品販売だったものが、セット販売に変更されていました。キメラドラゴンは、2004年以前は単品販売とセット販売の二種類が有ったのですが、2004年度ではセット販売のみになりました。ゾイドBLOXは単品だと価格は680円、一個ずつ買うには手頃な価格ですが、セット販売だと2800円になります。しかしゾイドBLOXのセット販売版は、専用箱の小ささが災いし消費者に割高感を与えてしまったらしく、フューザーズ製品の中でも特に敬遠された模様。私の購入したものは、後に半額で投げ売りされたものを購入しました。


ではマトリクスドラゴンと比較…今回はセット版なのでカラーリングが統一されているのが嬉しいです。セット版も悪くない…割高感以外は。
単品での価格を考えれば、むしろ順当な値段なんですけどねぇ。どっちの言い分も分かるんですけど。


デラックスクラスTFと比較してみると…四脚式なのであまり参考にはなりませんな。


それでは、今度は各機体のパーツ使用率について。最初はフライシザースですが…あれ、残ってるの尻尾だけだ。
ここまで来たら、残りの尻尾も使ってほしかったですが、まぁこれだけ頑張ればいいか。


次にシェルカーン…こちらの余剰パーツは頭部と足首のみ。
シェルカーンはパーツ形状が地味なので、クセも少なく使いやすかったのでしょう。


三番目はディプロガンズ（上画像に下画像左端のパーツが有りませんが、有るものと思って見て下さい）…こっちは
随分と余ってますね。っつーか、使ってるのって、前足とBLOX二つと背鰭腹鰭とレールキャノンだけだよ!?
シェルカーンと違い、各パーツのクセが強すぎて使いにくかったのでしょうきっと。


最後にデモンズヘッド…こちらも惜しい!残ったの背鰭だけ！でもドラゴンモチーフなのに、背鰭が余るってのも勿体ない
話です。どっかに使えそうなのに。


デモンズヘッドのデカ頭の弱点は、重すぎてBLOXで保持するのは厳しい点です。が、キメラドラゴンの場合は上顎に
有る二つのジョイントで接続するので、保持力が倍になりしっかりと保持出来ます。ただしデモンズヘッド単品時と違い、
上顎は完全に固定となります。尚、画像ではジョイントが見える様に外装パーツを外してあります。


可動はかなり厳しいです。各パーツが重く保持力が弱いゾイドBLOXの弱点はそのまま、一応四脚式ゾイドではあります
が、本体の重さに四肢が支えきれず、例え前足などを動かしてもすぐ自重で腹這いになってしまいます（画像は何とか保
持してます）。まぁ、本体の可動箇所と言っても顎と肩と股関節と足首、そして尻尾と翼くらいで、実際まともに動くのは顎
と尻尾と翼程度です。動かない、ホンットーに動かない。マトリクスドラゴンよりも動かない。完全に置物です。ゾイドBLOX
の謳うフル可動、これ詐欺以外の何物でも無いですよマジで。いくら動いたって、保持出来なきゃ意味無いの！


本体の構造を見てみると、BLOXが複雑に連結されているのが分かります。そして胸部と腹部を見ると、シェルカーンの
甲羅とディプロガンズの腹部パーツが付いています。キメラドラゴンの体を支えているモノ、それは四肢では無く実質この
2パーツです。つまり、四足なのに体重を支えきれないって事か!?


どう頑張っても、この程度動かして保持するのがやっとです。あー…可動に触れれば触れるほどキメラドラゴンが嫌に
なってくる…。でも開発者も分かっていたらしく、後に様々な対策が導入されます。まぁその内に。


それでは、今度は武器の解説に入ります。頭部の下に有る巨大な鋏、これフライシザースの武器“エクスシザース”です。
エクスシザース＝フライシザースの頭が、逆さになってくっ付いてるんです。もちろん、大顎の開閉ギミックは健在です。


前足はシェルカーンの“ハンマーナックル”、でもドラゴンの前足がゴリラの手なのもちょっと場違いですか…ねぇ？
まぁそれこそがキメラの醍醐味？


右肩を見てみると、肩付け根に“電磁キャノン”に外側に“ミサイルランチャー”が二門。どちらもシェルカーンの武器ですね。
ミサイルランチャーはシェルカーンの背中に装備されていましたが、こちらは縦に二つ並んで付けられています。


左肩には、同じく電磁キャノンとディプロガンズの“レールキャノン”が。なるほど、レールキャノンは一つしかないから、
バランスを取る為にミサイルランチャーを片方に集中させたのか。


そして翼には、フライシザースの“エクスクロー”と機銃が。
しかし、キメラドラゴンのこの体躯を考えると、機銃くらいしか使い道無さそうですけど。


後ろ足はデモンズヘッドの“マグネイズクロー”…の筈なんですが、ネット検索してみた所どーもキメラドラゴンのスペック
に、この武器が記載されてないんですよ。合体するとこれが使えなくなる、そんな設定だと面白いんですけど。


尻尾はデモンズヘッドの“マグネイズテイル”そのまんま。ま、こちらはブンブン振り回すだけですから、どんな状況でも
使えるんでしょうきっと。


牙の“マグネイズファング”ももちろん健在…っつーかこのデカ頭でこれが使えなきゃ困る。今回は上顎が固定になるの
で、変な方向に動かないから返って表情付けやすいかも。


デモンズヘッド最大の武器“マグネイズスピア”、もちろんキメラドラゴンでも使用可能です。目線が隠れやすいけど、これは中々かっこいいぞ！


少し遠景撮影…合体して漸くマグネイズスピアのバランスが取れた感じです。こうして見ると、マグネイズスピアなどの大型武器が目立ち、
デザイン的にはマトリクスドラゴンよりキメラドラゴンの方が強そうですね。


では、ここからは簡単なチェンジマイズを。まずデモンズヘッドの外装パーツを外し、なんちゃってティラノヘッドにして
みました。外装パーツが無くなり少し頭が小さくなりましたが、なんかバランスが良くなったような…？


続いてフライシザースヘッド…キメラ的な魅力が有ってこれは又良し。ハッタリが利いてて良いですね。


続いてシェルカーンヘッド、デモンズヘッド以外で唯一の爬虫類ヘッドですが…駄目だ、こっちは小さすぎる。
これじゃお話にならない。


最後にディプロガンズヘッド…背中パーツも相まって、ディプロガンズを中心にパーツが集まった様に見えますね。
これはディプロカウルスヘッドを使用したので…？


今度はそれを外し、テッポウウオヘッドで試してみましょう。
うーん…なんだろうこの中途半端さは。悪くは無いんだけど良くも無い、なんか言葉に表しにくい…。


総評としては、キメラドラゴン自体はデモンズヘッドのデカ頭を活用する手段第一歩として開発されたものですが、そのテーマを上手く消化出来たか？と考えると疑問符
が残ります。でもキメラBLOXって使用BLOXそのものが少ないから、これ以上大きな体を作るのは無理でしょう。だから、こちらでもデモンズヘッドのデカ頭が足を引っ張
ってます。デモンズヘッドのレビューでも書きましたが、“組み替えて頭を小さく出来る！”みたいな工夫が無い、もしくは出来なかった、それがデモンズヘッドひいてはキ
メラドラゴンの命運を分けてしまったのだと思います。BLOXの組み換えプレイバリューは高いです、でも出来る事は限られる。なんか“入口の大きなトンネルに入って、進
むにつれてどんどん狭くなる”みたいな感覚でしょうか？パーツ使用率だけは評価したいんですけど、基礎が駄目過ぎる。そんな悲しい実験作キメラドラゴンでした。