りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ライアン” ―全8場― 完結編

2012年08月28日 14時32分01秒 | 未発表脚本

 
  マイク「当たり前って・・・」

  ライアン「おじいさん達の時代でもあるでしょ?国際結婚って!」

  マイク「おまえ、国際結婚って言うのは・・・」

  ライアン「いいじゃない!そんなこと!そのお陰で、僕は“再生の力”

       を持って生まれて来れたんだし。」

  マイク「再生の力・・・。その力で家の下敷きになって瀕死の重傷を

      負ったジェシカを助けてくれたんだな・・・。」

  ライアン「僕、そろそろ自分の世界へ帰んなきゃ・・・。」

  マイク「え・・・?もう・・・?」

  ライアン「僕の仕事は終わったから・・・。」

  マイク「まだいいじゃないか!もっと未来の俺のことを・・・」

  ライアン「また会えるよ、その内・・・。じゃあね!ひいひいおじいさん

       !!(笑う。)」

 

          ライアン、上手へ走り去る。

 

  マイク「あ!!待てよ!!それに俺はまだそんな年じゃないぞ!!

      そうだな・・・タイムマシンで簡単に未来や過去へ行き来できる

      時代なんだ・・・。宇宙人がいた所で、何の不思議のないんだ

      ろうな・・・。ひいひいじいさんって・・・150歳まで生きるのか、

      俺・・・。(笑う。)生意気な奴だな。“玄孫”・・・か・・・。何年後に

      会えるんだろう・・・。頑張んなきゃな、俺・・・。働くぞーっ!!」

 

          暗転。

 

    ――――― 第 8 場 ―――――

 

          舞台明るくなる。と、未来の風景。(2場と同じ。)

          下手より、マイクが乗った車椅子を押しながら、

          老ジェシカゆっくり登場。

 

  ジェシカ「あなた、ハリケーンも無事にそれて行ったようで、よかった

       ですわね。」

  マイク「ああ、そうじゃな、ジェシカ。」

  ジェシカ「ハリケーンと言えば昔・・・何だか不思議な出来事があった

       ような気がしますの・・・。遠い昔のことで、よく思い出せない

       んですけれど・・・」

  マイク「(笑う。)ハリケーンなど、そう珍しくもないじゃろう。」

  ジェシカ「まぁ、そうですわね。」

 

          そこへ上手より、ライアンの母、ライアンを

          捜すように登場。

 

  ライアンの母「ライアーン!!ライアーン!!あ、おじいさん、おばあ

          さん!ライアンを見なかったですか!?」

  マイク「いいや、見とらんよ。」

  ライアンの母「もう、全くあの子は一体何処へ行ったのかしら、本当

          に!!一旦家を飛び出せば、丸で鉄砲弾のようなん

          だから!!こんな時、再生の力なんて、何の役にも立

          ちゃしないわ!!」 

  マイク「まぁそう言わなくても、再生の力も満更でもないと思うがの・・・

      」

  ライアンの母「おじいさんったら・・・。それにしても、ハリケーンが逸

          れてくれて、本当によかったですね。」

  マイク「そうじゃなぁ・・・」

  ライアンの母「おじいさん、ライアンを見かけたら、私が捜してたと伝

          えて下さいます?」

  マイク「ああ、分かったよ・・・。」

  

          ライアンの母、下手へ去る。

          一時置いて、上手より慌てた様子のライアン、

          走り登場。

 

  ライアン「おじいさん!!あ・・・(マイクを認め駆け寄る。)おじいさん

       !!・・・(ジェシカを認め。)・・・誰・・・?」

  ジェシカ「誰?まあ、この子ったら面白い冗談ばっかり・・・。(笑う。)」

  マイク「ジェシカじゃないか、ライアン。忘れたのか?」

  ライアン「ひいひいおばあさん・・・?」

  ジェシカ「どうしたの?ライアン。本当に大丈夫?そんな驚いた顔をし

       て・・・。」

  ライアン「だって・・・」

  ジェシカ「だって?」

  ライアン「今までどこに・・・」

  ジェシカ「今までどこにって・・・ずっと、あなたと一緒に暮らしているで

       しょ・・・?」

  ライアン「・・・本当・・・に・・・?」

  ジェシカ「可笑しな子ね。(笑う。)それよりお母さんが、あなたのこと

       を捜し回っていたわよ。」

  ライアン「ママが・・・?」

  ジェシカ「余りお母さんに心配かけちゃ駄目よ。」

  ライアン「おばあさん・・・」

  ジェシカ「さぁ、あなた、少し冷えてきましたわ。そろそろ部屋へ入り

       ましょうね。」

  マイク「ああ・・・。」

 

          ジェシカ、マイクの乗った車椅子を押し、

          下手方へ行こうとする。

 

  マイク「ライアン・・・」

  ライアン「・・・何・・・?」

  マイク「最後の約束を果たしてくれて、ありがとう・・・。」

  ライアン「おじいさん・・・」

  ジェシカ「約束って何ですの?」

  マイク「ライアンとわし・・・2人だけの秘密じゃよ・・・。」

  ジェシカ「まぁ・・・いいですわね、男同士で・・・。」

 

          マイクとジェシカ、下手へ去る。

          アイアン、呆然と2人が去るのを、見詰めている。

 

  ライアン「僕・・・過去へ行って、約束を果たして来たんだ・・・。本当に

       ・・・。ジェシカおばあさんが・・・生きてる・・・。微かに僕の心

       の中に残る、大切な人達との思い出が・・・。」

 

          音楽流れ、ライアン歌う。

 

          “遠い彼方の遠い空・・・

          たった少しの未知への旅

          そこで出会った初めての懐かしさ

          大切だと思う心と

          大切に出来る思い出の幸せ・・・

          誰もが持つ心の片隅にある

          優しい温もり・・・”

 

          瞳を輝かせ、遠くを見遣るライアン。

 

 

 

 

           ――――― 幕 ―――――








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“ライアン” ―全8場― 3

2012年08月26日 19時40分34秒 | 未発表脚本

   警官1、ブローチを受け取り、隣にいた

          警官2へ手渡す。と、警官2、そのブローチ

          を見て警官1に向かって頷く。

 

  警官1「矢張りそうか・・・」

  ジェシカ「一体何ですの?」

  警官1「あなたを昨夜の宝石店強盗の容疑者として、署へ連行します

      。」

  ジェシカ「え?」

  ライアン「連行!?」

  ジェシカ「ま・・・待って下さい!!如何して私が・・」

  警官2「このブローチは、宝石店で昨夜盗まれたものと同じ・・・。」

  ジェシカ「まさか・・・」

  警官1「ここ数カ月、同一犯と思われる強盗事件の犯人の足取りを

      追っていたところ、その盗まれたものが一部・・・毎回少量で

      はあるのですが、同じ所へ流れていることが分かったのです

      。」

  ジェシカ「・・・同じ所・・・?」

  警官1「そう、ここあなたの所へね!!」

  ジェシカ「・・・嘘・・・」

  警官1「警察までご同行願います。」

  ジェシカ「待って下さい!!」

 

          警官2人、ジェシカの腕を掴み、下手方へ

          無理矢理連れて行こうとする。

 

  ライアン「お巡りさん!!ばあちゃんは犯人なんかじゃない!!」

  ジェシカ「(一瞬、怪訝な表情でライアンを見るが、何か少し感ずいた

       ように。)ライアン!!ジャックのことをお願い!!私が戻る

       までその子を・・・!!」

  ライアン「え・・・え・・・!?僕・・・!!でも・・・!!」

  ジェシカ「ジャック・・・!!ジャックーッ!!」

 

          ジェシカ、警官に引っ張られるように、下手へ

          去る。

 

  ライアン「ばあちゃーん!!」

  ジャック「うぇーん・・・!!(泣く。)」

  ライアン「あ・・・え・・・!?よしよし・・・(あやす。)おい、泣くなよ・・・!!

       嘘だろ・・・!!ばあちゃーん!!早く帰って来てくれよーっ!!

       よしよし・・・高い高ーい!!(泣いていたジャック、笑い出す。)

       高い高-い!!ばあちゃーん!!」

 

          ライアンの叫び声残して、紗幕閉まる。

 

     ――――― 第 4 場 ――――― 

 

          紗幕前。音楽流れ、下手より泥棒達登場。歌う。

 

          “俺たちゃ泥棒

          この町のお宝全て

          頂戴するぜ

          俺たちゃ泥棒

          目を付けた金品財宝

          必ず手に入れてやる”

 

  男1「今度は町の大富豪に目を付けてあるんだ!」

  男2「へえ・・・」

  マイク「・・・俺・・・」

  男1「ん?」

  マイク「そろそろ、この泥棒稼業も潮時なんじゃないか・・・?」

  男1「何言ってんだ!!」

  男2「マイクは、この間のヘマで、少しばかし怖気付いてんのさ。」

  マイク「俺は・・・」

  男1「マイク!今度はドジ踏むなよ!この間みたいに警官に見つかっ

     て、怪我を・・・あ?おまえ、そう言や、怪我如何したんだよ・・・。

     腕を撃たれたんだよな?確か・・・」

  マイク「え・・・あ・・・ああ・・・それが・・・か・・・勘違いしてたんだ!!」

  男3「勘違い・・・?」

  マイク「腕を撃たれたと思って、大騒ぎしたけど、掠っただけだったん

      だ。」

  男2「掠っただけ・・・?」

  男3「なあんだ、そうだったのか。」

  マイク「ああ、悪い・・・!大騒ぎして・・・。」

  男1「ふうん・・・。まあいいや、今度はあんな大騒ぎするなよ。」

  マイク「あ・・・ああ。」

 

          マイク残して泥棒達、上手へ去る。

     ――――― 第 5 場 ――――― 

 

          紗幕開く。と、前場の風景。(マイク、ジェシカの

          家の前。)

          マイク、佇む。一瞬大風が吹き抜ける。(“ビューン”)

 

  マイク「何だか風が強くなってきたな・・・」

 

          そこへ家の中からライアン、慌てた様子で登場。

 

  ライアン「じいちゃん!!」

  マイク「え・・・おまえ・・・何で、俺ン家に・・・?」

  ライアン「馬鹿野郎!!じいちゃん、今まで何やってんだよ!!」

  マイク「誰がおまえのじいちゃんなんだ、馬鹿!」

  ライアン「ばあちゃんが、警察に連れて行かれたんだ!!」

  マイク「え・・・?ばあちゃん・・・?」

  ライアン「じいちゃんの奥さんのジェシカだよ!!」

  マイク「おまえの話し、よく分かんねぇよ。それより人ン家でおまえは

      何やってんだよ!ジェシカは?」

  ライアン「あーっ!!もう!!だから!!ハリケーンの向かう先に、

       兄ちゃんの奥さんのジェシカが、警察に泥棒の容疑を掛け

       られて、連れて行かれたんだよ!!」

  マイク「泥棒の容疑って・・・」

  ライアン「兄ちゃんが昨夜、宝石店から盗んだブローチを付けてたか

       ら、犯人扱いされて連れて行かれたんだ!!」

  マイク「まさか・・・」

  ライアン「本当だよ!!ハリケーンが今にも町の中心へ向かおうとし

       ている時に、何でそんな危ない場所に、ばあちゃん連れて行

       かせるんだ!!」

  マイク「そんなこと言ったって・・・」

  ライアン「早く、ばあちゃん助けに行くぞ!!」

  マイク「あ・・・ああ・・・!!そうだ、ジャック・・・」

  ライアン「大丈夫!!ひいじいちゃんなら、隣のおばさんに頼んだよ

       !!」

  マイク「え?ひいじいちゃんって・・・おまえ誰なんだよーっ!!」

 

          ライアン、マイクの手を取り、下手へ走り去る。

          紗幕閉まる。

 

     ――――― 第 6 場 ――――― A

 

          紗幕前。

          ハリケーンの大風が吹き荒れ、人々が逃げ惑う。

 

  人々「キャーッ!!」

     「わあーっ!!」

     「早く逃げろーっ!!」

     「ハリケーンが家屋を巻き上げながら、町の中心部へ向かって

     行くぞーっ!!」

     「わあーっ!!助けてーっ!!」

 

          (“ゴオーッ!!”)

          暫くの喧騒の後、静寂が辺りを包む。

 

     ――――― 第 6 場 ――――― B

 

          紗幕開く。と、嵐の過ぎ去った後の町の様子。

          その時、ジェシカの名前を呼ぶ声が聞こえる。

          

  声「ジェシカー!!」

  声「ばあちゃーん!!」

 

          そこへ、下手よりマイクとライアン、慌てて走り

          登場。回りを見回し、ジェシカを捜すように。

 

  マイク「ジェシカー!!」

  ライアン「ばあちゃーん!!」

  マイク「ジェシカー!!何処なんだーっ!!ジェシカーッ!!」

  ライアン「ばあちゃーん!!ばあちゃーん!!」

  マイク「・・・おい・・・おまえ、その“ばあちゃん”って何なんだよ、さっき

      から・・・。」

  ライアン「いいじゃない、そんなこと如何だって。」

  マイク「いいじゃないって・・・」

  ライアン「あ!!あそこを見て!!(後方、倒壊した家屋の方を指差

       して。)」

  マイク「え?」

  ライアン「ばあちゃん!!」

  マイク「ジェシカ!!」

 

          2人、その方へ駆け寄り、マイク家屋の後ろから

          ジェシカを抱き抱え、ゆっくり前へ。下へ下ろす。

 

  マイク「ジェシカ!!ジェシカ・・・!!」

  ライアン「ばあちゃん・・・間に合わなかったんだ・・・」

  マイク「ジェシカ・・・(ジェシカに伏せ、泣く。何かに気付いたように。)

      ・・・ジェシカ・・・?ジェシカ!!まだ生きてる・・・!!」

  ライアン「え・・・?」

  マイク「まだ息をしているぞ!!直ぐに病院へ連れて・・・」

  ライアン「待って!!」

  マイク「え?」

  ライアン「待って、じいちゃん!!ばあちゃんを僕に見せて!!」

  マイク「おまえ何言って・・・」

  ライアン「忘れたの!?僕、じいちゃんの怪我を治してあげたでしょ

       !!」

  マイク「あ・・・ああ・・・!!そうか・・・」

  ライアン「(ジェシカを見て。)・・・大丈夫だ!!まだ死んでない!!

       (ジェシカの体に触れ、暫く祈るように。)」

 

          その時、ジェシカ、ゆっくり目覚める。

 

  マイク「ジェシカ・・・」

  ジェシカ「マイク・・・?」

  マイク「ジェシカーッ!!(抱き締める。)」

 

          マイクとジェシカを微笑んで見詰めるライアン。

          暗転。

 

     ――――― 第 7 場 ―――――

 

          (紗幕前。)

          上手スポットにライアン、下手スポットにマイク

          浮かび上がる。

 

  マイク「おまえのお陰なんだろ・・・?ジェシカの命を救ってくれた・・・。」

  ライアン「僕はその為にここに来たんだ、だから・・・」

  マイク「その為・・・?」

  ライアン「うん。僕は未来のあなたの玄孫・・・。あなたは未来の僕の

       ひいひいお祖父さんにあたる人だよ・・・。」

  マイク「まさか・・・って驚いても、現実にあんな魔法使いみたいなこと

      を目の前で見せられちゃ・・・信じるなって言われても、信じるしか

      ないよな・・・。そうか・・・未来の俺の・・・。え・・・?でもどうやっ

      てここに・・・?」

  ライアン「100年以上先の未来には、タイムマシンだってあるんだ。」

  マイク「へえ・・・」

  ライアン「人間の寿命も、この世界とは比べ物にならないくらい長い

       んだ。だから僕の家には、150歳の元気なひいひいお祖父さ

       ん・・・あなたがいるんだよ。」

  マイク「150歳の・・・俺が?そうか・・・。長生きなんだな、俺・・・(笑う。

      )ジェシカは・・?」

  ライアン「お祖母さんのことは・・・僕は知らない・・・。」

  マイク「・・・知らない・・・?」

  ライアン「僕が生まれるずっと以前にもう・・・」

  マイク「ジェシカが・・・」

  ライアン「このハリケーンで本当は・・・おばあさんは亡くなる筈だった

       んだ・・・。」

  マイク「え・・・じゃあ・・・」

  ライアン「うん。だから僕はおじいさんに頼まれて、おばあさんを助け

       る為に未来から来たんだよ。」

 

          音楽流れ、ライアン歌う。

 

          “僕はあなたの命を受け

          遥か彼方からやって来た・・・

          大切な人 助ける為に

          まだ見たことのないその人が

          僕にとっても大切な

          未来につながる人だから・・・”

  

          マイク歌う。

 

          “何て言うこと・・・

          そんなことが

          未来には当たり前に起こるのか

          俺には全く考え及ばない

          ただ普通に生きてるだけで

          未来はどんどん変わって行くのか・・・”

 

  ライアン「うん!!」

  マイク「未来では、魔法まで使えるみたいだな・・・」

  ライアン「え?」

  マイク「おまえは・・・俺の傷を治し、そしてジェシカの命まで救ってく

      れた・・・。あんなことは、普通の人間じゃ、出来ないぞ。」

  ライアン「そうだね。」

  マイク「じゃあ・・・」

  ライアン「だって、僕のママは宇宙人だから。」

  マイク「う・・・宇宙人!?」

  ライアン「何、そんなに驚いてるの?そんなの、僕らの時代では当た

       り前だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

      ――――― “ライアン”完結編へつづく ―――――

 

 

 

 

 

 

 

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“ねこの村は大騒ぎ” ―全6場― 2

2012年08月26日 19時25分26秒 | 未発表脚本



  老ネコ「(思い出し笑いするように。)・・・さぁて、あの後この村に
      着くまで腹が減って死にそうだのなんだの・・・喚き散らし
      ておったのぉ・・・。この森に着いて、ここに住み着くように
      なってからの一番ネコは、相変わらず口は悪いが、初め
      て会った時にわしに見せた、敵対した目つきは段々と穏
      やかになっていったんじゃ。今じゃすっかり仲間達にも溶
      け込み、たまに喧嘩はするが、仲良くやっておるようじゃ
      ・・・。そうそう、今度シュワッチに付いて、この村へやって
      来たノラ・・・。昔の一番ネコの友達だったそうなんじゃが
      ・・・どうも、一番ネコはその昔の友達に、あまり会いたくな
      かったようで、村の中でも態と、顔を合わせずに済むよう
      にして過ごして見えるのは、わしの思い過ごしじゃろうか
      のぉ・・・」

         舞台フェード・インする。
         老ネコ(フェード・インするのと同時に。)
         首を傾げながら、上手方へゆっくり去る。

    ――――― 第 4 場 ―――――

         下手より、花模様の縁取りのある手鏡を
         覗きながら、ミータ登場。続いてネコ吉、
         食いしん坊、シュワッチ登場。
         最後にノラ登場し、一寸離れて横を向いて
         座り込む。耳だけは、皆の話しを聞いてい
         る風に。

  ネコ吉「ミータ、鏡見ながら歩いていると危ないよ。いくらシュワ
      ッチのお土産の、珍しい都会の鏡だからって・・・。」
  ミータ「(鏡を見たまま。)だってこの鏡・・・とっても綺麗に映るん
      ですもの。」
  食いしん坊「へぇ・・・その鏡って、美人に映る鏡なのかい?」
  ミータ「失礼ね!!もとがいいから綺麗に映るのよ!!それに
      見て!!この縁取りの可愛いお花・・・。」
  シュワッチ「だろ?この鏡を見た時、直ぐにミータのことを思い出
         したんだ!」
  食いしん坊「僕のお土産を見た時にも、直ぐに僕を思い出してく
         れた?」
  シュワッチ「ああ!!君のお土産が一番重かったんだぜ!」
  ネコ吉「そうだろうね。なんせあんなステーキ肉の塊・・・。」
  食いしん坊「(味を思い出して、舌なめずりするように。)・・・美
         味しかったなぁ・・・」
  ネコ吉「まさか、全部食べちゃったんじゃないだろうね・・・?」
  食いしん坊「うん!!食べちゃった!!」
  ミータ「えーっ!?」
  食いしん坊「どうして?」
  シュワッチ「(呆然と。)全く・・・あの量は、僕らの一週間分の食
         料だぜ?」
  ミータ「あら、私なら2週間分よ!このスタイルを維持する為に
      はね。」
  ネコ吉「僕が預かって、管理しとくべきだったね。」
  ノラ「幸せな話しだなぁ・・・。」     
  
         皆、一斉にノラの方を見る。

  シュワッチ「ノラ・・・」
  ノラ「(立ち上がって。)おまえ達の話しは金持ちの言うことさ・・・
    。それに都会じゃ今でこそ食べ物も一杯あって、悠々と暮ら
    してる奴らが大勢いるかも知れない・・・。だけど、俺らが餓鬼
    の頃には、毎日毎日食べる物がなくって、いっつも腹空かし
    てたんだ!!おまえらのお友達の一番ネコにも聞いてみな
    よ!あいつも俺と一緒だったんだから!ふん!!」

         皆、顔を見合わせる。

  ミータ「行きましょう、皆!!何方かすっごーくご機嫌が悪そうだ
      から!」

         ミータ、上手へスタスタと去る。続いて
         ノラの方を気にしながら、ネコ吉、食いしん坊
         去る。

  シュワッチ「どうしたんだい?ノラ・・・。村に来てからの君・・・な
         んだか何時もカリカリしてないかい?」
  ノラ「・・・そんなことあるもんか・・・。おまえの思い過ごしさ・・・。」
  シュワッチ「そうかい?」
  ノラ「ほら、早く行かねぇと、またミータが角生やすぜ!(笑う。)」
  シュワッチ「じゃあノラも一緒に行こうよ!!」
  ノラ「うん・・・俺はいいや!もう少しここで休みたいからさ!」
  シュワッチ「ノラ・・・」
  ノラ「(シュワッチの背中を押して。)ほら、そんな顔してないで早
    く行けよ!!気が向いたら行くからさ!!」
  シュワッチ「うん・・・分かったよ・・・」

         シュワッチ、ノラを気にしながら上手へ去る。

  ノラ「(シュワッチが去るのを見計らって。)・・・あいつはいい奴さ
    ・・・。あいつだけは皆が見るような目で俺のことを見なかっ
    た・・・。友達になってくれたんだ、本当の・・・。生まれて初め
    ての友達に・・・。ここへ来るのだって、あいつが行けば独り
    ぼっちになる俺を、あいつは優しく誘ってくれた・・・。だけど
    ・・・!!何なんだ・・・何で今こんなにイライラするんだ!!
    ムシャクシャして暴れだしたくなる!!」

         ノラ、歌う。     ※

         “どうしてこんなに心が不安定・・・
         あいつを見てたら無性に何故か
         昔の自分に引き戻されるんだ
         今までなんともなかった筈なのにさ

         どうしてこんなに心が不安定・・・
         笑って聞けたつまらない話し
         だけど今の俺には聞きたくない話し
         どうしてこんなに分からない思いばかり”

         ノラ、心の変化に戸惑いながら踊る。

         “どうしてこんなに心が不安定・・・
         あいつを見てたら無性に何故か
         昔の自分に引き戻されるんだ
         今までなんともなかった筈なのにさ”

         ノラ、舞台中央、膝を抱かえて座り込み、
         遠くを見遣る。
         その時、レンジャー戦士の被り物を被った
         ボウネコ、戦うポーズなどを取り嬉しそうに
         下手より登場。
         ノラに気付かずに、架空の相手と戦って
         いるように。ノラ、ボウネコに気付き見ている。
         が、段々その様子に楽しそうに声を上げて
         笑う。

  ノラ「なんだ、その変な被り物!(立ち上がる。)」
  ボウネコ「(ノラを認めて。)あ、ノラ!!見て見て!!格好良い
        だろ?シュワッチのお土産なんだ!!“これで君もレ
        ンジャー戦士になれる!!”(ポーズを取る。)」
  ノラ「ばぁか!そんなもの被ったって、レンジャー戦士になんか
     なれるもんか!」
  ボウネコ「そんなことないよ!!これを被ると、本当に強くなった
        気がするんだから!!」
  ノラ「・・・気がするだけだろ?そりゃあ、ただの思い過ごし・・・っ
    てんだ!(笑う。)」
  ボウネコ「違うよ・・・!!ほら、ノラも被ってみなよ!!貸してあ
        げるから!!(被り物を脱いで、ノラの方へ差し出す。
        )」
  ノラ「馬鹿、いらねぇよ!!」
  ボウネコ「そんなこと言わないでさ!!ほら!!(無理矢理ノラ
        の手に持たせる。)」

         ノラ、その被り物を見詰める。 

  ボウネコ「それを被ると、本当に正義の味方になったような気に
        なるんだ!悪い奴をやっつけなくちゃって!!」
  ノラ「・・・正義の味方になんか・・・」
  ボウネコ「え?」
  ノラ「なれねぇよ!!(被り物を、ボウネコの方へ投げ付けて、
    上手へ走り去る。)」
  ボウネコ「ノラ!!(悲しそうな面持ちで被り物を拾い、上手方を
        見詰める。涙声で。)・・・ノラ・・・」

         音楽でフェード・アウト。

    ――――― 第 5 場 ―――――

         フェード・インする。と、舞台の縁に老ネコと
         一番ネコ、腰を下ろしている。
         老ネコと一番ネコ、語り合うように歌う。

     老ネコ“初めて出会ってもう一年
          あの時矢鱈といきがった
          悪戯子ネコはどこへやら”

     一番ネコ“初めて出会ってまだ一年
           白髭元気な爺さんに
           まんまと引っ張りこの村へ”

     老ネコ“連れて来てからやれ一年”

     一番ネコ“連れて来られてやれ一年”

         一番ネコ、立ち上がる。

  老ネコ「何か気になることがあるようじゃのぉ・・・(立ち上がる。)
      」
  一番ネコ「・・・(首を振る。)」
  老ネコ「ノラのことじゃな・・・?」
  一番ネコ「(驚いたように、老ネコの顔を見る。)」
  老ネコ「ノラは一年前のおまえさんみたいじゃのぉ・・・。(微笑む
      。)」
  
     一番ネコ“あいつと離れてもう一年・・・
           昔の自分が恥ずかしい
           そんな思いが蘇る”

     老ネコ“昔と今は変えられる
          たとえばどちらが間違いで
          あっても認める気持ちがある
          誰でも変われるこの森で”

     2人“だから変わるさあいつだって・・・”

         フェード・アウト。







   ――――― “ねこの村は大騒ぎ”3へつづく ―――――









    ※ 珍しく、この歌には決まった曲が付いているみたいで、
      曲名が明記されていました(^.^)
      きっと、気に入った曲があって、その曲に合わせて
      出来た場面なんでしょうね(^^♪

      その為に、“筈なのに・・・”と終わればいいところを
      “筈なのにさ”なんて、字数を合わせたような歌詞に
      なっています^^;




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    8月19日(日)

    いつも覗きに来て下さる皆さん、こんにちは(^_^)
    まだまだ毎日暑いですね~^_^;

    ところで・・・
    今晩遅くから、1泊だけですが“広島”へ遊びに行って
    来ます♪
    「とても大好きな場所です。」と、ことあるごとに誰彼構わず
    言い触らしている、私にとって母なるその場所で、少し心の
    入れ替えをして来たいと思っています(^^)

    毎日来て頂いている皆さんには、黙って無更新には出来
    ないので、お伝えして一日お休みさせて頂こうと思いました
    
    明後日は、多分遅くなるかも知れませんが、またお目に
    かかれるかと思っていますので、今しばらくのお休み、
    お許し下さい(__)   

    それでは行って参ります(^_^)v


                                どら。


    
    8月21日(火)・・・あ・・・今、22日(水)に変わってしまい
    ました~・・・(ーー;)

    もう少し早く帰って来る予定でしたが、渋滞に何度か
    巻き込まれてしまい、色んなパーキングに立ち寄りつつ
    帰ったこともあって、日付が変わってしまいました(>_<)

    昨日のうちに更新できると、お話ししていたのに、
    嘘吐きになってしまってごめんなさいm(__)m
    何よりも先ず、皆さんにご挨拶を・・・と思い、荷物そっち
    のけで、只今パソコンに向かっている次第です(-_-;)
    
    今日はこれにて失礼致しますが、また明日からいつも
    通りに、ヨロシクお願い致します(~_~;)
              

       (おまけフォト^^;)

       

      皆さん、よく見慣れた写真だと思いますが・・・
      青い空と、なんとも言えない悲しい建物の
      コントラストが、とても美しいな・・・と・・・('_')


      
                           どら。



 





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“ジェフ・カート” ―全8場― 完結編

2012年08月26日 17時37分21秒 | 未発表脚本



    ――――― 第 8 場 ―――――

         フェード・インする。(カーテン開く。)と、
         中央、一つのベンチ。
         鈴の音が段々と遠くから聞こえてくる。
         “ジングルベル”の曲が静かに流れる。
         そこへ上手より一組のカップルが、
         幸せそうに寄り添いながら、ジェフの
         前を通り過ぎる。

  ジェフ「・・・今日は・・・クリスマスか・・・」

         ジェフ、ベンチへ腰を下ろし何か思う
         ように。
         一時置いて、下手よりコートに身を包
         んだローズゆっくり登場、ジェフの側へ。

  ローズ「・・・ジェフ・・・」
  ジェフ「やぁ・・・(立ち上がる。)どうだい・・・?少しは元気になっ
      たかい?」
  ローズ「(ゆっくり首を振る。)・・・淋しいわ・・・とても・・・」
  ジェフ「同じだよ・・・。」
  ローズ「・・・いなくなると・・・今まで以上にあの子の存在が、どん
      どん大きく膨らんで・・・破裂しそうになるの・・・。」
  ジェフ「だけど何時までもローズが悲しんでいると、ジョーイも心
      配すると思うな・・・。あいつは心から君を大切に思ってい
      たから・・・。」
  ローズ「分かってる・・・でも・・・」

         ジェフ、ローズの手を取って、ポケットから
         出した小さな袋包みを握らせる。

  ローズ「・・・何・・・?」
  ジェフ「クリスマスプレゼント・・・」
  ローズ「開けていい・・・?」
  ジェフ「ああ・・・」
  ローズ「(中を覗く。途端に嬉しそうに、中から小さな小瓶を取り
      出す。)金平糖ね・・・!(瓶を見る。)」
  ジェフ「雪のプレゼントはできないけど・・・。(微笑んでローズの
      嬉しそうな様子を見る。)」
  ローズ「ありがとう、ジェフ・・・。」
  ジェフ「ジョーイの願いでもあったんだ・・・。ホワイトクリスマスは
      ・・・」
  ローズ「ええ・・・」

         その時、チラチラと白いものが舞い落ちてくる。
         ローズ、逸早く気付いて見上げる。

  ローズ「・・・ゆき・・・?(手を出す。)」
  ジェフ「え?(見上げる。)」

         音楽、段々大きく流れ、雪が降ってくる。

  ジェフ「雪だ・・・」
  ローズ「(嬉しそうに。)雪だわ!!ホワイトクリスマスね!!」
  ジェフ「ジョーイの・・・プレゼントだ・・・。」
  ローズ「(見上げたまま涙を堪えるように。)ジョーイ・・・」
  ジェフ「やったな、ジョーイの奴・・・。最高のプレゼントを君に贈
      ったんだ・・・!」
  ローズ「(空に向かって。)・・・メリークリスマス!!ジョーイ!!
      (叫ぶ。)」
  ジェフ「メリークリスマス!!」

         2人、嬉しそうに微笑み合い、寄り添う。

  ジョーイの声「兄ちゃん・・・姉ちゃん・・・幸せになれよ・・・」

         音楽豪華に盛り上がって、雪のチラチラ舞う中







           ――――― 幕 ――――― 










   本来は、オリジナル物しか書かないのですが、ずっと以前
  一度だけ、原作のある童話(?)の脚本をお願いされたことが
  あります^^;その時は、どうして書けばいいかよく分からず、
  図書館でその本を借りて、読むところから入ったのですが、
  多分、出来上がった作品は、原作とは全く違ったものになって
  いたかも知れません^_^;
  皆さんも、何の童話かはあまり深く考えずにお読み下さい^^;

  それでは次回、私作品で最初で最後の脚色物・・・とでもいい
  ましょうか・・・“ゲルダ”ご紹介致します(^_^)v
  お楽しみに♪




                                 どら。






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“ライアン” ―全8場― 2

2012年08月26日 09時16分43秒 | 未発表脚本

  

          その時、マイクの声がどこからか聞こえる。

 

  マイクの声「ジェシカーッ!!」

 

          そこへ、上手よりマイク走り登場。

 

  マイク「ジェシカ!!」

  ジェシカ「マイク・・・どこへ行ってたの、今まで・・・。昨日も帰って来

       なかったし・・・。」

  マイク「ほら、ジェシカ!君にプレゼントだ!(ポケットから取り出し

      たブローチを差し出す。)」

  ジェシカ「(ブローチを受け取って。)まあ・・・綺麗。」

  マイク「貸して!(ジェシカからブローチを取り、ジェシカの胸に付け

      る。)君に絶対似合うと思ってたんだ!」

  ジェシカ「ありがとう・・・。でも、どうしたの?こんな高そうなブローチ

       。」

  マイク「君はそんなことを気にしなくていいんだ!」

  ジェシカ「だって・・・」

 

          何時の間にか、上手より数人の男達登場。

 

  男1「マイクー!そろそろ行くぞ!」

  マイク「あ・・・ああ!」

 

          マイク、男達について、下手方へ行こうと

          する。

 

  ジェシカ「マイク!!」

  

          マイク、立ち止まり、チラッと振り返りジェシカ

          を見るが、男達について下手へ去る。

 

  ジェシカ「マイクー!!」

 

     ――――― 第 3 場 ――――― B

 

          下手方を見詰め、佇むジェシカ。紗幕開く。

          と、町外れのマイクとジェシカの家の前。

          (ジェシカ、溜め息を吐き、家の中へ入る。)

          そこへ下手より、回りを見回しながらライアン

          登場。音楽流れ、ライアン歌う。

 

          “とても遠くてとても近い

          なんだか不思議な感覚だ・・・

          見たことがある見たことがない・・・

          そんな奇妙なデジャヴが

          僕を包み込む・・・

          だけど怖くはない

          だって妙に懐かしく

          温かい温もりを

          感じるから・・・”

 

  ライアン「確か未来の僕ン家は、ここら辺だと・・・(家を認め。)あ・・・

       あった!!あれだ!!(家に駆け寄り、珍しそうに見る。)

       へえ・・・僕ン家って、昔はこんな古めかしい家だったんだ・・・

       って、当たり前か・・・。(笑う。)誰かいるのかなぁ・・・」

 

          ライアン、窓から家の中を覗いていると、

          扉が開いてジェシカ、赤ん坊を抱いて登場。

          ライアン、慌てて家の陰に身を隠す。

 

  ジェシカ「ジャック・・・、パパは一体何処へ行ったのかしらね・・・。さっ

       きラジオのニュースで言ってたわ、とても大きなハリケーン

       が、本土の町の中心部へ向かってやってくるんですって・・・。

       そんな危険な時にあの人は何処へ行ったのかしら・・・。毎日

       毎日・・・フラッと出て行ったかと思えば、突然帰って来て・・・

       あなたの顔も見ずに、また今日も行ってしまったわね・・・。(

       人の気配を感じて。)誰!?」

 

          ライアン、ゆっくり登場。

 

  ライアン「・・・こんにちは・・・」

  ジェシカ「・・・あなた・・・誰・・・?私の家で、何をしているの?」

  ライアン「僕・・・ライアン・・・。あの・・・別に怪しい者じゃないんだ!!

       ちょっと、おば・・・さんに用があって・・・」

  ジェシカ「私に用事・・・?何かしら・・・」

  ライアン「えっと・・・あの・・・(口籠る。)」

  ジェシカ「(笑う。)可笑しな子ね・・・。でも、何故だかあなたのことを、

       怪しい子だなんてちっとも思わないわ・・・。変ね・・・。」

  ライアン「ごめんなさい・・・。」

  ジェシカ「その目の色かしら・・・。私と同じ青い色が・・・怪しい所か、

       懐かしい感じさえする・・・。」

  ライアン「(呟くように。)おばあさん・・・」

  ジェシカ「あなた、何処から来たの・・・?」

  ライアン「え・・・えっと・・・すごく遠い所から・・・」

  ジェシカ「そう。そんな遠くから一人でここへ?お父さんやお母さんが

       心配するわよ。」

  ライアン「(笑う。)心配なんてしないよ!ママなんて、いっつもこんな

       風に怖い顔して、僕のことを怒ってばかりいるんだから。」

  ジェシカ「そんなことないわ。大切な人がいなくなれば、心配しない人

       なんていないわよ。私もマイクのことがとても心配・・・。」

  ライアン「おば・・・さん・・・(ジェシカが抱いている赤ん坊を見て。)

       その子・・・」

  ジェシカ「ジャックと言うのよ。」

  ライアン「可愛い・・・?」

  ジェシカ「当たり前じゃない、変なこと聞くのね。自分の子どもが可愛

       くない親なんていないわよ。だからあなたも早く帰って、お母

       さん達を安心させてあげなくちゃ。」

  ライアン「その子・・・僕に少し抱かせてもらってもいい・・・?」

  ジェシカ「ええ、勿論よ。(ジャックをライアンの胸へ抱かせる。)」

  ライアン「・・・へえ・・・案外重いね・・・。(独り言のように。)これが、

       いつもおっかない顔して怒ってばかりいる、ひいじいちゃん

       か・・・」

  ジェシカ「いいわねぇ、ジャック。お兄ちゃんに抱っこしてもらって・・・。」

 

          ジャック、嬉しそうに笑う。

 

  ジェシカ「あらあら・・・珍しいわ、この子が知らない人に抱かれて、笑う

       なんて。」

  ライアン「・・・そうなんだ・・・」

  ジェシカ「屹度その瞳の色ね。私と同じ・・・。」

 

          下手より、いつの間にか2人組の警官登場。

          ジェシカの側へ。

 

  警官1「奥さん・・・」

  ジェシカ「え?(振り返って警官を認める。)まぁ、お巡りさん・・・。」

  警官1「ご主人はご在宅でしょうか・・・?」

  ジェシカ「いいえ・・・。」

  警官1「そうですか・・・。では昨夜は・・・?」

  ジェシカ「いいえ、いませんでした・・・。主人は先程、ブラッと戻って

       また直ぐに出て行ってしまいました・・・。あの・・・主人が何

       か・・・?」

  警官2「昨夜、町の宝石店から、全ての宝石が何者かによって、

      盗み出されたのです・・・。」

  ジェシカ「・・・宝石が・・・。それが何か・・・?主人と関係があるので

       しょうか・・・。」

  警官1「奥さんの胸元で輝いているブローチ・・・素敵ですね。」

  ジェシカ「(胸元を見る。)・・・ええ・・・主人が先程プレゼントだと言っ

       て私に・・・」

  警官1「ほう・・・。大切なものだと承知でお願いするのですが、その

      ブローチ・・・少しお借りしてもよろしいかな・・・?」

  ジェシカ「え・・・?ええ・・・(ブローチを外して、警官に手渡す。)」

 

 

 

 

 

        ――――― “ライアン”3へつづく ―――――












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