りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ミカエルとピエローラの勇気” ―全3場― 完結編

2011年10月10日 12時34分38秒 | 脚本

  

  
         “勇気の石”より、ピエローラとミカエル。




  ミカエル「あの時の・・・気持ち・・・」

         ミカエル、佇み歌う。

         “勇気の石なんか
         まやかしの石だ
         こんな石なくても
         強ければそれでいい
         誤魔化しの勇気だ
         負けなければそれでいい
         こんな石なくても
         誤魔化しはいらない”

  ミカエル「勇気の石なんか・・・いるもんか・・・」

         音楽変わる。
         下手より、ヒョウガ登場。

  ヒョウガ「よぉ。」
  ミカエル「(振り返ってヒョウガを見る。)」
  ヒョウガ「何、落ち込んでんだ?」
  ミカエル「・・・落ち込んでなんか・・・!!」
  ヒョウガ「まぁ、いいや。それよりサーカスって奴は、本当に楽しい
        とこだぜ、全く。毎日、誰かの歓声や声援、笑い声に包
        まれて・・・。オイラが何で、兄貴に付いて回ってるか知っ
        てるか?」
  ミカエル「・・・知らない・・・」
  ヒョウガ「兄貴は、吊り橋から落っこちて、瀕死の重傷を負ってた
        オイラを見つけて、必死で看病してここまで元気にして
        くれたんだ。」
  ミカエル「それはおまえが、僕達のことを食べようとして襲ってきた
        からじゃないか!!悪いのはおまえだ!!自業自得だ
        よ!!」
  ヒョウガ「そう!オイラが悪かったんだ。だけど兄貴は、悪いことを
        したオイラのことを、許して受け入れてくれたんだ・・・。
        だからオイラも、兄貴の為に何か出来ることがないかと
        考えたんだ。なぁ、ミカエル・・・勇気があっても、優しさが
        なけりゃ、それはただの強がりだ。」
  ミカエル「強がり・・・」
  ヒョウガ「おまえも、もうちょっと大きくなったら分かるさ。(ミカエル
        の頭に、手を置く。)」
  ミカエル「な・・・子ども扱いするなよ!!」
  ヒョウガ「じゃあな。(笑いながら、下手へ去る。)」
  ミカエル「もう僕は子どもじゃないんだ!!」

         ヒョウガの笑い声。
         ミカエル歌う。

         “勇気があればいいと思ってた・・・
         強くなりたいと・・・ただ思ってた”

         ミカエル佇み、場面変わる。

    ――――― 第 3 場 ―――――

         上手方に一本の木。
         その木に風船を引っ掛け、女の子が泣いている。
         ミカエル、チラッとその方を見るが、知らん顔して
         通り過ぎようとする。

  女の子「あーん・・・あーん・・・!!風船が飛んじゃった・・・!!
       あーん・・・」
  
  ヒョウガの声(エコー)「勇気があっても、優しさがなけりゃ、ただ
                 の強がりだ・・・」

  ミカエル「煩い!!」
  女の子「(その声にビクッとする。一層大きな声で泣く。)あーん!
       !あーん!!お兄ちゃんが怒った!!あーん・・・!!」
  ミカエル「あ・・・ごめん!!君のことを怒鳴ったんじゃないんだ!
        !」
  女の子「あーん!!あーん!!」
  ミカエル「何だよ・・・謝ってるだろ!?・・・分かったよ・・・取って
        来るよ・・・取って来りゃいいんだろ!?待ってな!!
        (木に登り始める。)よいしょっと・・・何だい・・・こんな
        木登りくらい・・・簡単だ・・・。よいしょ・・・よっ・・・たっか
        いなぁ・・・前までの僕は、高い所に登るなんて、考え
        もしなかったんだよなぁ・・・」
  女の子「あーん!!あーん!!」
  ミカエル「あっ、そうだ!!風船だ!!待って!!今、取るから
        ・・・あれ・・・手が届かない・・・もうちょい・・・よっ・・・あっ
        ・・・あっ!!わぁーっ!!(落ちる。)いってぇ・・・」
  女の子「・・・大丈夫?お兄ちゃん・・・」
  ミカエル「うん・・・。ほら、取って・・・」

  ピエローラの声がダブる「・・・取って来たよ・・・勇気の石・・・」

  ミカエル「ピエローラ・・・」
  女の子「(風船を受け取る。)ありがとう、お兄ちゃん!!」

         女の子、嬉しそうに下手へ走り去る。
         音楽流れる。
  
  ミカエル「・・・ピエローラ・・・分かったよ、僕・・・。ピエローラの言っ
        た言葉の意味が・・・。“勇気”と言う言葉に置き換えて、   
        僕はいけない子だったね。筆箱くらいであんなに怒って、
        トムにも謝らないと・・・。ヒョウガとも、友達になれるかな
        ・・・。」

         ミカエル歌う。

         “勇気の石
         誰の心の中にも持っている
         不思議な輝き・・・”

         上手よりロン、ミック登場。

  ロン「(ミカエルを認めて。)ミカエル・・・」
  ミカエル「ロン!!ミック!!遊ぼう!!」
  ミック「また・・・バスケットボール・・・?」
  ミカエル「いやなのか?」
  ロン「いや・・・いやじゃないけど・・・」
  ミック「俺達・・・ミカエルみたいに上手くないし・・・」
  ミカエル「あ・・・分かってるよ・・・そんなこと!!だから・・・教えて
        やるよ!!」
  ロン「え・・・?」
  ミック「今、何て・・・?」
  ミカエル「おまえら、ゴールにボールを入れるの下手糞だから、教
        えてやるって言ってるんだよ!!」
  ロン「嘘だろ・・・?」
  ミカエル「何だよ!いつまでも下手糞でいいのか!?」
  ミック「だって、ミカエルが教えてくれるなんて・・・」
  ロン「あの意地悪な・・・」
  ミック「しっ!!」
  ミカエル「・・・今まで・・・ごめん・・・。僕は偉そうだったよ・・・。ちょ
        っとくらいバスケットボールが得意だからって・・・」
  ロン「ミカエル・・・」
  ミカエル「偉そうにすることが、格好いいんじゃないんだって分かっ
        たんだ・・・。」
  ロン、ミック「(首を傾げる。)」
  ミカエル「だから早く、コートに行こうぜ!!」
  ロン「う・・・うん!!」
  ミック「やったー!!」

         ロン、ミック下手へ走り去る。
         入れ代って上手より、ピエローラ登場。

  ピエローラ「ミカエル・・・」
  ミカエル「(ピエローラを認め。)ピエローラ!!僕はまた、ピエロ
        ーラに教えられたね・・・。」
  ピエローラ「ミカエルのことは、僕が一番良く知っているよ。君は
         本当の勇気と優しさを持っている子だってね。間違っ
         た心に、いつか必ず気付くと分かっていたよ。」
  ミカエル「ピエローラ・・・」

         ピエローラ歌う。

         “勇気の石
         君の心の中に輝いてる
         素敵なきらめき”

         ミカエル歌う。

         “勇気の石
         この心の中に輝きだした
         優しい強さが・・・”

  ピエローラ「僕はまた次の町へ行くけれど・・・今度、君に会う時を
         楽しみにしているよ・・・。(上手方へ。)」
  ヒョウガ「(上手方からチラッと覗いて。)あばよ!(去る。)」
  ミカエル「ありがとう、ピエローラ・・・ヒョウガ・・・!!また、会いに
        来てねー!!(手を振る。)」








             ――――― 幕 ―――――








  
   
               「お・し・ま・い(^^)v」








 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    
    さて、次回からの掲載作品は、現時点での公開可能作品
    としての最後になります(^^♪
    “クリスマスの贈り物”の次に書いたお話しで、最近の作品
    に比べると、比較的小さい子向きに書いたものなのですが、
    読み直してみて、バブ~ちゃん作品の少ない“リトルパイン”
    には、まだまだ用途がありそうなので、手持ち作品の一本
    として、作り直そうかな・・・と、現在考えています(^^)v
    
    題名が不明な・・・^^;“ククくん”作品、お楽しみ下さい♥


 

                                  どら。






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