りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ジーク”

2011年10月03日 17時19分58秒 | 日記


   
   来年度公演作品が、毎年に比べ多いこともあり、
   いつもは目の前に公演が迫ってきて、初めて腰を
   上げ、アタフタと取りかかる人形制作を、時間の
   ある時を見計らってそろそろ始めようか・・・と、
   思います(^^♪

   そこで、このページでは、お人形が出来上がるまで
   ・・・など、息抜き的に色んなことを、ご紹介していき
   たいな・・・と考えていますので、皆さんも、気軽に
   読み、見流して下さい(^^)v

   それでは・・・
   今回は、来年春公演の1作品の中の登場人物から、
   “ジーク”君を作っていきたいと思います(^^)
   彼は、主人公クリフ君と、最後に厚い友情で結ばれる、
   とっても重要な役どころの一人で、正義感溢れる、
   行動的な男の子なので、そんな活発な感じを出し、
   またカッコいい系の主人公とは対照的になるように出来
   れば・・・と考えています^^;(主人公がカッコいい系・・・
   と言っても、こちらもまだ今から制作していくので、カッコ
   いい子に作れるかどうかは・・・お楽しみに・・・(^_^;)



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     『ジ―ク君誕生まで・・・』


   
 
   どんなお人形を作るにも、これだけは必ず必要・・・
   といった、準備物です(^^)v
   ジ―ク君の髪の色は、少し変わった色ですが、
   “野性味”のある感じを出したく、敢えてこんな色
   を使用することにいたしました(^^)

   ・・・え?
   はい・・・この色の毛糸・・・沢山あったので・・・^^;
   彼には、パパママがいるので、3人同じ色の毛糸
   が欲しかったのも、この色になった理由の一つ
   であります・・・(~_~;)・・・沢山あったので・・・。

   貧乏劇団故、経費節約だとお考え下さい(>_<)


                 ⇓


   

   つづいては、ロールになっているフエルトを、
   以前はもう少し小さかったのですが、今ではこの
   サイズで統一している、18cm角にカットして
   いきます(^^)v

   前は、毎回作るサイズが違ったので、今のように
   違う作品でお人形の使い回しをすることが、絶対に
   できなかったのです^^;だって、大小あると、明ら
   かに一緒に作ったのではない・・・と、バレバレに
   なるでしょう・・・?ハハハァ・・・(-_-;)


                 ⇓

   
   

   これは、見ての通り、髪の毛と顔の土台部分
   の組み立て前です(^^)
   
   いつもは“顔だけ”“手だけ”“足だけ”のように、
   部分部分を先に全部作ってしまってから、体を
   作る時に合体させるのですが、今回は“ジーク”
   君onlyで参ります(^^)v

   この部分部分を作って合体させるまで、その辺
   に出来た部品は転がしてあるのですが、手足は
   さておき・・・“顔だけ”の部分は・・・と~っても
   怖いのです~・・・(>_<)

   何故・・・ですか?ボンドを入れて、割り箸を挿し、
   それが乾くまで、生首状態で立てたまま、
   ほっとかなければいけないのです(-_-;)
   10体分以上ののっぺらぼうの顔だけが、所狭しと
   立ててある様子・・・ご想像下さい・・・^^;

   でも・・・
   その部分が、本体の支えになる、一番大切な部分
   で、そこが不安定な状態のままだと、練習本番と、
   ハードな使用に耐えれなくなり、一番肝心なところ
   でエライことになっちゃうのです(>_<)  


         
                 ⇓


   

   とりあえず・・・バラバラだった部品を、合体させ
   てみました(^^)v
   ここに、大量の綿を詰め込み、頭部が完成です。
   大量の綿・・・なので、結構重い頭部分になります^^;



                 ⇓             


   
   

   これが、先にお話ししました“生首”状態と言う奴
   であります^^;
   これが部屋中に所狭しと十何個、並べられている
   様子は・・・やっぱり少し異様です~(>_<)
   このまま乾くまで、1日2日、ほったらかしになります。 

   最初の頃は、洗濯バサミではなく、まち針を使用して、
   乾くまで押さえていたのですが、まち針にもボンドが
   付いてしまって、それ以降使い物にならなくなる為、
   使い回しのきくもの・・・として、洗濯バサミが登場致し
   ました(^^)v

   持ち手は見ての通り、“割り箸”です^^;お人形の
   一番“命”の部分であります。100本100円くらいの
   割り箸が命なんて・・・(^_^;)
   その部分を握って、色んな表情を動きだけで表現
   します(^^)
   


                  ⇓



   

   今回、ジ―ク君は、村のやんちゃくれな少年・・・と、
   言った役どころから、ブルー系の上着に、Gパン、
   ベストを重ねようかな・・・と考えています(^^)v
   多分、主人公がフリフリ系のお衣装になる・・・と、
   予想される為、その対比として、ごく普通の少年を
   意識して、仕上げていこうと思っています(^^)



                  ⇓

   

   

   頭のボンドが乾く間に、手足を作っていきます(^^)v
   ジ―ク君は、青を基調としているので、靴も青色で、
   作っていきたいと思います(^^)


   

   上の手足に、綿を入れた状態です(^^)v
   結構パンパンに入っている為、顔同様、とっても
   重い手足になります^^;

   お人形によっては、ドレスなどで足が見えない場合、
   態と付けないのですが、足の付いてないお人形は、
   足の付いているお人形に比べて、格段に軽く、扱い
   やすいのです(^^)v・・・が、出番の多い、主な
   登場人物達は、殆ど足付きで、長い出番を一番
   重いお人形で耐えながら公演しているのです^^;

   一番最近では、やっぱりエリィちゃん・・・
   重かったですね~(>_<)



                  ⇓


   

   乾いた頭に、胴体の元となる布をひっ付けた所
   です(^^)v
   前面は、そのお人形の基調となる色を付けますが、
   後ろはあんまり振り向くことがないので、基本的
   には真っ黒の布で作ります。が、今回のジ―ク君
   は、最後に背中を見せるシーンがある予定なので、
   バックも前面と同じ、ブルーの布で、作っていこう
   と思っています(^^)・・・布節約の為、飽くまで
   ブルー一色ですけど・・・(^_^;)

   この状態の時は、前後ろの区別があまりない為、
   たまに間違えることがあったのですが、間違えると
   面倒なので、今は顔の部分の後ろっ側に“×”が、
   書いてあります(~_~;)仕上がった時には、髪も
   ボンドでひっ付ける為、×は見えないのです(^^)v


          

                  ⇓


  

  体部分の前後をひっ付けるのですが、その時に
  お洋服のベストの部分も、挟み込んで一緒に
  縫い付けてしまいます(^^)v
  普通のお人形ではないので、お人形の本体を
  作って、着せ替え人形的にお洋服を着せる訳では
  なく、しかも演技中に脱げると駄目なので、「こんな
  場所が・・・?」と言うようなところが、縫い止めて
  あったりするのです^^;
  飽くまで、「遠目に見てそれらしい」をモットーに、
  仕上げていきます(^^)v

  

                  ⇓


  

  肩部分を縫い止めました(^^)v           
  前部分の下半分が、黒布になっているのは、ズボン
  をひっ付けた時に、足の間に見える部分が、目立た
  ないようにです(^.^)



                  ⇓


  

  ズボンをまち針で止めました(^^)vそこに、手足
  を置いてみたのが“下”の写真です^^;

  

  段々“子ども”っぽくなってきました(^^)v



                  ⇓



  

  ズボンの真ん中を縫い止めてから、足を付けて
  いきます(^^)vあまり分かりませんが、足の止め方
  は無茶苦茶、雑い縫い方です^^;
  全て手縫いの為、見えない個所に関しては手抜き
  ・・・は、聞こえが良くないですね(^_^;)
  時間短縮させてもらっています^^;
  
  

                  ⇓



  

  ズボン横を縫ってから、上着の方に手を挟み、止めて
  いきます(^.^)

 

                  ⇓



  
 
  手が付きました~(^^)v
  思いの外・・・半袖でしたね(^_^;)

  これで、本体はとりあえず完成です♥(これは、両肩
  の部分をピンでふすまに張り付けて、立たせています^^;
  右上に、何て言うんでしょう・・・ふすまの取っ手の部分
  が、チラッと見えているので、何となく大きさを想像して
  頂けるのではないでしょうか(^^♪
  さぁ、それではいよいよ“散髪”です(^^)



                  ⇓



  

  散髪が終わって、スッキリした“ジ―ク”くんです(^^)

  ここから、髪をボンドで張り付け、乾くまでしばらく
  ほって置きます^^;
  乾けば、一番大切な工程の“顔付け”です(^^)v
  この表情で、お人形の性格的なことが決まるので、
  どの子の顔も、とっても気を使いながら作っていきます。

  


                  ⇓



  

  ジ―ク君、完成です♥
  
  今回のジ―ク君は、男の子らしいやんちゃ坊主感を
  出したかったので、最近のお人形では珍しいのですが、
  “眉毛”を付けています(^^♪ “珍しい”・・・?はい、
  最近作るお人形は、あまり“眉毛”は付けないのです^^;

  あ・・・、完成と言いましたが、完成は本体だけで、
  最後に手に針金差しの工程が残っていました(^_^;)
  手に穴を開け、そこに針金を差して、ボンドを流し込んで
  固めてしまいます(^^)v
  このジ―ク君は、ベストを着ているので、肩の針金は
  必要ないかな・・・と思うのですが、肩の部分が薄っぺらい
  布だけのお人形には、肩の中部分にも、針金が通して
  あります(^^)

  初めの頃は、お人形の手に穴を開けるのが、何だか
  痛そうで、「可哀相・・・」と思っていましたが、今では容赦なく
  “ブスッ”と・・・^^;慣れとは恐ろしい・・・(-_-;)  


  






 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪




    次は、このジ―ク君と一緒に登場する、“カエル”・・・
    を、作ろうかな・・・と考えていますが、私のことなので、
    途中で、主人公の“クリフ”君・・・作り始めるかも知れま
    せん^^;
       



                                どら。







      http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

    http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
       http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227






“勇気の石”より―ロボティとルナ― 2

2011年10月03日 15時04分06秒 | 脚本

  
  
  


   ――――― 第 3 場 ――――― (ロボティとルナの場面。)

         一人のロボット(ロボティ)下手より登場。
         佇み歌う。

         “僕は心のない
         人が作ったもの
         だから彼女の気持ち分からなかったけど・・・
         僕は心のない
         人が作ったロボット
         彼女を怒らせた・・・でも
         いつも一緒にいたいんだ・・・”

         ロボティ上手方、舞台の縁に腰を下ろす。
         そこへ下手よりミカエル、ピエローラ登場。

  ミカエル「疲れたなぁ・・・。僕、もう足がクタクタだよ・・・。」
  ピエローラ「頑張れ、ミカエル!!もう少しで頂上だ!!(ロボティ
         に気付く。)あ・・・、こんにちは、ロボット君。」

         ロボティ、2人に気付く。

  ピエローラ「この山の頂上に行くには、この道を登って行けばいい
         のかな?」
  ロボティ「(頷く。)」
  ピエローラ「ありがとう。」
  ミカエル「疲れた!!(座り込む。)」
  ピエローラ「ミカエル・・・」
  ミカエル「僕、もう歩けないよ・・・。疲れたんだ。」
  ピエローラ「仕様がないなぁ・・・」
  ロボティ「・・・疲れた・・・?それはどう言うことですか・・・?」
  ピエローラ「疲れたって言うのは、体力がなくなって、くたびれた
         ってことだよ。ミカエルはここまでずっと山を登って来
         て、足が疲労してるんだ。」
  ロボティ「・・・人間は、色んな気持ちを持ってるんですね・・・。僕
        には理解するのは難しい・・・。」
  ピエローラ「ほら、君が今言った“難しい”も、気持ちの一つじゃな
         いか。気持ちなんてものは、理解しようと思ってするも
         のじゃなくて、自然と分かるものなんだよ。」
  ロボティ「でも・・・僕は理解できなくて、ルナを怒らせたんです。」
  ピエローラ「ルナって・・・?」
  ロボティ「僕はルナの家で、お手伝いロボットとして働いていたん
        です。ルナの言いたいことが分からなくてルナを怒らせ
        た・・・。僕はロボットだから・・・ルナの気持ちが分からな
        かった・・・。僕はルナと、ずっと仲良くしていたかっただ
        けなのに・・・。」
  ピエローラ「人間でもロボットでも・・・相手の気持ちを考える・・・
         と言うのは大切なことなんだ。だけど、人其々考えて
         いることは違うんだ・・・。分からなくて当たり前なんだ
         よ。君がロボットだから分からないとか・・・そんなこと
         は、後から付いてくるオマケみたいな事柄なんだ。」

         その時、上手よりルナ、走りながら登場。

  ルナ「ロボティ!!やっと見つけたわ!!(息を切らせて。)本当
      に、どこ行ってたのよ!!ずっと、あなたのことを捜してた
      のよ!!あなたが急にいなくなって、私が心配すると思っ
      てなかったの!?(泣く。)」
  ロボティ「ルナ・・・ルナ、ごめんなさい・・・。また、あなたのことを
        怒らせてしまったんですね。あなたの気持ちが分からな
        くて・・・何度もルナのことを怒らせてしまった。僕はロボ
        ットだから・・・」
  ルナ「ううん・・・、ごめんなさい・・・。私が悪かったのよ・・・。私は
      ロボティと、ずっと仲良くしたかっただけ・・・ただそれだけ
      ・・・。帰って来て、ロボティ・・・!あなたは私の一番のお友
      達なんだもの・・・!!」
  ロボティ「ルナ・・・」

         ロボティとルナ、上手方で話している風に。
         下手方、ピエローラとミカエル。

  ミカエル「あの2人、喧嘩してたの?」
  ピエローラ「さぁ、どうかな・・・」
  ミカエル「でも・・・仲良くなってよかったね。あの女の子が“ごめん
        なさい”と言った・・・」
  ピエローラ「うん・・・。“ごめんなさい”と言えることも、勇気の一つ
         なんだよ。」
  ミカエル「勇気・・・?」
  ピエローラ「自分の気持ちを素直に言うことは、時には勇気のいる
         ことなんだ。誰かさんみたいに、“疲れた”なんて言うの
         は、単なる我が儘だと思うけどね。」
  ミカエル「ちえっ・・・」
  ピエローラ「行こうか・・・」
  ミカエル「うん!!」

         ピエローラ、ミカエル下手へ去る。紗幕閉まる。
         音楽流れる。

  ルナ「ごめんなさい・・・。あなたに酷いことを言ったわ、私・・・。
      あなたは何も悪くない・・・。私の為を思って言ってくれただ
      けだもの。私が我が儘だったの・・・。」

         ルナ歌う。

         “ありがとう・・・
         あなたは大切なお友達だから
         いつまでも側にいて欲しいの
         心から願い求める”

         ロボティ、ルナ歌う。

         “2人で歩いてく”        


  
  
      このロボティ君、お顔があまり可愛くありません(-_-;)
    Cロボも、ロボ太もそうでしたが、ロボット君達のお顔の表情
    って、作るのが難しいです~・・・(>_<)

    ロボティ君とルナちゃんの間には、一体何があったんでしょう
    ね~・・・(^_^;)其々想像してお楽しみ下さい^^;




     (ラストの場面^^;より)   ―下写真参照―

         場面、曲調変わる。
         後方にバスケットゴール。ミカエル元気よく登場し、
         ゴールにボールを決める。歓声が渦巻く。

         場面変わり、ピエローラ、玉乗りをしながら登場し、
         去る。

         其々人形登場し、手を振る。



             ――――― 幕 ―――――

        
         

  


  

  
  


  

    確か、ミカエル君、上のベストを着替えさせています^^;

   ピエローラに玉乗りをさせようと思ったら、背が高くて、幕内だと
   お顔が見えなくなるのです。で、仕方なく、幕外に体を乗り出す
   ような形で、玉乗りをしてる・・・を見せています(>_<)







   それでは、次回からは“勇気の石”の続編・・・“ミカエルと
   ピエローラの勇気”を掲載致します(^^♪








 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



    お気づきでしょうが、このロボティが登場する方の脚本での
    ミカエル君、少し我が儘の弱っちい少年です^^;初めは、
    ミカエル君より、ピエローラの性格に重点を置いて、メイン的
    な位置づけで書いていた為でしょうね(^_^;)ピエローラ・・・
    すごく大人ないい人じゃありませんか?年齢不詳な部分は
    ありますが・・・(-_-;)




                                 どら。





        
         http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

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“パピ―不思議の森シリーズより―” ―全6場― 2

2011年10月03日 12時24分23秒 | 未発表脚本



    ――――― 第 4 場 ―――――

         音楽、静かに流れる。
         パピ、何か思い出したように、遠くを見遣る。
         後方(紗幕後ろ。)に車椅子に乗ったパピと、
         子ども達、浮かび上がる。

  少年1「ねぇ、パピ!!一緒に帰ろう!!僕達が車椅子を押して
       あげるよ!!」
  少年2「見てごらんよ、パピ!!あの土手に綺麗な石コロが転が
       ってるよ。僕達が取って来てあげるね!」
  少年1「ほら、パピ!!僕達が・・・」
  パピ「煩い!!僕は一人で帰れるし、石コロになんて興味ないん
     だ!!余計なお世話なんだよ!!放っといてくれ!!」
  少年2「パピ・・・」

         舞台、明るくなる。(後方フェード・アウト。)

  ドルト「どうしたの?行くわよ!」
  パピ「違うよ・・・違うんだ・・・」
  ドルト「何?何が違うのよ!」

         音楽大きくなり、パピ歌う。

         “僕は我が儘だった
         皆の親切が疎ましくて
         優しくされるのが苦痛だった
         同情されるのが嫌で
         何時も皆の側から離れて一人でいた
         でも違うんだ
         それは僕が心を閉ざしていたから
         ちょっぴり心を開けば
         皆の声が素直に聞ける” 

  ドルト「ふん、何甘えたこと言ってるのよ!!人のこと信用すれば
      、後で泣くのは自分なのよ!!」

         ドルト歌う。

         “誰が悪い奴かなんて
         神様じゃないんだ 分かるもんか
         本当のことを話してるかなんて
         誰も見抜けない
         親切かお節介か
         優しさかでしゃばりか
         簡単に分かれば苦労はしないさ!!”

  パピ「そんなことないよ!!」
  ドルト「あんただって、私にこのまま黙って付いて来て・・・本当に
      いいの?後で泣くことになるかも知れないんだよ。」
  パピ「クルトはそんなことしないよ!クルトは幸せへ導く小鳥なん
     だもん!さぁ、案内して!僕をその魔法使いの所へ!!」

         2人、上手へ去る。
         暗転。

    ――――― 第 5 場 ―――――

         音楽流れ、下手スポットに手に虫を握り締めた
         バーム、愉快そうな表情で浮かび上がる。歌う。

         “見てごらん この素敵な私の宝物
         美しいコレクションの数々
         この森の生き物は全て私のもの
         好きなように 気の向くまま
         生かそうが殺そうが 
         私の気分次第さ”

         舞台明るくなる。と、バームの小屋。
         後方、棚に並んだビンを指差し、手に握り
         締めている虫に向かって。

  バーム「ご覧、このビンの中を。この中には私が苦心して集めた、
       生きたままの虫達や動物が、一杯詰まっているんだよ。
       ビンの中の動物園。私の自慢のコレクションなんだ。
       おまえさんも今日から、私のコレクションに仲間入りさせ
       てあげるからね。」
  虫「離して・・・」

         バーム、テーブルの上にあったカップの中身を、
         虫に無理矢理飲ませる。

  虫「く・・・苦し・・・」
 
         と、虫小さくなる。バーム、虫を指で摘んで、
         棚のビンを取り、入れる。

  虫「出して!!出して!!」
  バーム「お黙り!!(ビンの蓋を閉める。)おまえさんはもう、私
       のものなんだ。言うことを聞かないのなら、このまま川へ
       流してしまうよ!!(ビンを棚に並べ、マジマジと嬉しそう
       に見る。)私の宝物も随分溜まったが・・・まだ今一、何か
       これと言った飛び切りの一つが足りないねぇ・・・。こんな
       蝶だの蜘蛛だの・・・森へ行きゃあ、いくらでも捕まえられ
       るんだ・・・。」

         バーム、テーブルの上に置いてあった、大きな
         魔法の水晶玉を覗き込む。

  バーム「おや・・・?ドルトの奴、次のコレクションを連れて来たね。
       ふうん・・・今度は足の悪い人間の子どもじゃないか。
       いいねぇ・・・人間の子どもなんて初めてだ。今度こそ、私
       のコレクションの中で、飛びっ切りの一つになりそうだよ!
       !」

         バーム歌う。

         “見てごらん
         この素敵な私の宝物
         美しいコレクションの数々
         この森の生物は全て私のもの
         好きなように気の向くまま
         生かそうが殺そうが
         私の気分次第さ!!”

         その時、扉をノックする音。

  バーム「誰だい?(ニヤリと笑う。)」

         上手方、扉を開けてパピ登場。
         一寸遅れてドルト登場。(部屋の隅で
         2人の様子を見ている。)

  パピ「こんにちは・・・。」
  バーム「おや・・・いらっしゃい・・・」
  パピ「・・・あなたがバーム?」
  バーム「そうさ。この私が魔法使いのバーム様さ。」
  パピ「あのね、僕・・・」
  バーム「(パピの言葉を遮るように。)しっ!!分かってるよ・・・。
       おまえさんが何故、こんな辺鄙な森の外れの私の所へ
       態々やって来たのか・・・。黙ってても、このバーム様には
       一目瞭然・・・。何たって私は、この森で一番偉いんだか
       らね。(声を上げて笑う。パピをマジマジと見て、回りを
       ゆっくり回りながら。)おまえさんは、歩けるようになりたい
       んだろ・・・?」
  パピ「え?」
  バーム「大地を踏み締め、走り回れるようになりたいんだろ?」
  パピ「そうなんだ!!僕、もう車椅子の生活は嫌なんだ!!
     バーム、お願い!!僕の頼みを聞いてくれるかい?」
  バーム「そりゃあ・・・私にかかりゃあ・・・おまえさんの足なんざ、
       あっと言う間に歩けるようになるさ。」
  パピ「本当!?」
  バーム「ああ・・・。私の魔法の力は何だって遣って退けるんだ
       からね。」
  パピ「じゃあ、僕の足を治してくれるんだね?」
  バーム「・・・おまえさんの足を、歩けるようにして遣ってもいいよ
       ・・・。但し、タダ・・・って訳にはいかない・・・。それでも
       いいかい?」
  パピ「・・・え?」
  バーム「だってそうだろ?私は態々、魔法を使っておまえさんの
       足を治してやるんだ。おまえさんも私の為に、何かして
       くれないと・・・。」
  パピ「僕・・・何をすればいいの?」
  バーム「そうだね・・・、ほんの少しの間、私と一緒にこの家に居て
       くれるかい?」

         その時、棚に並んだビンの方から、声がする。

  声「駄目だよ!!」
  声「言うことを聞いちゃ駄目よ!!」

         バーム、その方を睨む。

  バーム「(ビンに向かって、小声で。)煩いよ!!」
  パピ「少しの間って・・・?」
  バーム「ほんの少しの間だよ。なぁに、一緒に居て、私の代わり
       に掃除でもしてくれりゃあいいのさ。その歩けるようになっ
       た足でね・・・。」
  パピ「歩けるように・・・分かったよ!!」
  バーム「いい子だね・・・。」

  声「止めとけ!!止めとけ!!」
  声「早く逃げなさい!!」

  バーム「(ビンの方を睨む。)本当に、さっきから煩いよ!!ビン
       を割られたいかい!?」
  パピ「え・・・?」
  バーム「あ・・・いや、何でもないよ・・・。独り言さ・・・。(誤魔化す
       ように笑う。)」

         バーム、テーブルの上のボウルの中身を
         スプーンでゆっくり掻き混ぜ、パピの方へ
         差し出す。

  バーム「さぁ・・・お飲み・・・」
  パピ「(恐る恐るボウルを受け取り。)・・・これは・・・?」
  バーム「それを飲めば、おまえさんの願いが叶うんだよ。」

         バーム歌う。

         “さぁ 一気に飲むんだ
         思い切りよく
         それさえ飲めば
         後は思いのまま
         おまえの願いは叶うのさ!!”

  パピ「・・・うん・・・」

         パピ、ボウルを口元へ。
         その時、声が響き渡る。

  声「パピ!!飲んじゃ駄目だ!!」

  パピ「え・・・?(回りを見回す。)」

         と、何時の間にか後方窓際に、青い羽の小鳥
         (クルト)が立っている。
         皆、一斉にその方を見る。

  バーム「余計なことを言って、私の邪魔をするのは誰だい!?」
  パピ「・・・クルト・・・」
  バーム「クルト?」
  クルト「パピ、君の足はそんな薬に頼らなくても、ちゃんと歩ける
      筈だよ。」
  パピ「え・・・?」
  クルト「それに、そんなの飲んじゃ、その小さなビンに詰め込まれ
      て、この棚に並べられるんだ。」
  
  声「そうだよ!!」
  声「そうだよ!!」

  バーム「な・・・何言ってんだ!!そんなの嘘に決まってるだろ!
       !この薬は、何でも願いの叶う、魔法の薬なんだから。」
  クルト「じゃあ、あなたが先に飲んでみればいいじゃないか。」
  バーム「ばっ・・・馬鹿なこと・・・私は別に願いごとなんて・・・!!
       それより、これ以上余計なことを喋るんなら、おまえから
       先に魔法でコレクションに加えてしまうよ!!」
  パピ「コレクション・・・?」
  クルト「ほうら、白状した。」
  バーム「しまった・・・。ええい、こうなりゃ面倒だ!!2人まとめて
       私の宝物に仲間入りさせてやる!!」








   ――――― “パピ―不思議の森シリーズより―
                     エンディングへつづく ―――――











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