りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“パピ―不思議の森シリーズより―” ―全6場― エンディング

2011年10月04日 17時23分49秒 | 未発表脚本


         その時、野太い声が、響き渡る。

  声「馬鹿者!!また悪戯をしておるのか!!」

  クルト「長老!!」
  パピ「・・・長老・・・?」

         上手より、杖を付いた長老、登場。

  バーム「・・・げっ・・・長老!!(思わず下手方へ逃げようとする。)」
  長老「待つんじゃ!!ちょっと、わしが目を離している隙に、おまえ
      はまた、とんでもないことを仕出かしておるようじゃな!!」
  バーム「いや・・・そんな・・・別に・・・」
  長老「じゃあ、そのビンの中には一体何が入っていると言うんじゃ
      !!」
  バーム「あっ・・・それは・・・」
  長老「馬鹿者!!そのビンの中に捕らえている者達を、今直ぐに
      放してやるんじゃ!!でないと今度こそ、二度と元の姿に戻
      れないかも知れんぞ!!」
  バーム「わ・・・分かったよ・・・!!畜生・・・(ブツブツと。)」

         バーム、棚の上のビンを全部、手に取り、一斉に
         火に掛けてあった釜の中に放り込む。と、“ボン”
         と言う爆発音と煙が上がる。一時置いて、釜の中
         から、鳥や蜘蛛が飛び出す。

  鳥「ありがとう、長老!!」
  蝶「ありがとう!!」

         最後に蜘蛛、這い出す。   ※
  
  蜘蛛「あああ、やっと元の姿に戻れたわ!!ほんま、あんな狭い
      ビンの中に押し込めよって、肩凝ったっちゅうねん!!」

         蜘蛛、上手へ去る。

  バーム「ほら、これで全部だよ!!気が済んだかい、全く!!(扉
       方へ行きかける。)」
  長老「まだ残っておるじゃろ!!(ドルトの方を見て。)ドルトを元
      の姿に戻してやるんじゃ!!」
  ドルト「長老・・・」
  バーム「ちえっ!!煩いな!!分かったよ!!魔法を解きゃあい
       いんだろ!!解きゃあ!!」

         バーム、ドルトに手を翳し、何か呪文のような
         言葉を唱える。と、ドルト、小さい叫び声を上げ、
         忽ちのうちに今までの黒い姿から、紫色の美しい
         姿に変わる。

  バーム「これでいいだろ!!(上手方へ。)」
  長老「バーム!!分かっておるな!!今度こんなことをしたら、
      どうなるか・・・。」
  バーム「・・・分かってるさ!!」

         バーム、上手へ去る。
         ドルト、嬉しそうに自分の羽を広げ、見回す。

  パピ「君・・・ドルト・・・魔法が解けたの・・・?」
  ドルト「(嬉しそうに頷く。)」
  パピ「君の羽・・・とっても綺麗な紫色だ・・・」
  ドルト「バームの魔法で、黒い色に変えられていたの・・・。これが
      本当の私の姿よ。元の姿に戻りたいなら、自分の側で働く
      んだ・・・と言われて、仕方なくバームの言う通り、色々な
      生き物達をバームのコレクションにする為に、ここまで騙し
      て連れて来ていたの・・・。ごめんなさい・・・。」
  パピ「ううん!!よかったね!!」
  ドルト「ありがとう。」
  長老「それじゃあわしらも、そろそろ引き揚げるとするかの、クルト。
      (上手方へ行き掛ける。)」
  クルト「うん!さよなら、パピ!」
  パピ「え?待って!!」

         クルト、パピ、スポットに残して暗転。 

     ――――― 第 6 場 ―――――

  パピ「ねぇ、クルト!!僕は君に願いを叶えて欲しくて、この森に
      君を捜しに来たんだよ!!だから・・・」
  クルト「パピ、ここは君の心の中の世界なんだよ。」
  パピ「・・・心の中の・・・世界・・・?」
  クルト「うん。だから、ここでは君がそうしたいと心に思い描いた
      ことは、全て叶うんだ。」
  パピ「本当!?」
  クルト「本当さ。立ってごらん、パピ・・・。」
  パピ「・・・うん・・・(恐る恐る車椅子から下り、立ち上がる。)・・・
     本当だ・・・本当だ、クルト!!僕、自分の足で立ってるよ!
     !」
  クルト「歩くことだって出来る筈だよ。」
  パピ「(ゆっくり歩いてみる。)歩ける・・・歩けるよ、僕!!クルト!
     !僕の足、治ったんだね!!もう僕、皆と一緒に飛んだり
     跳ねたり出来るんだ!!」
  クルト「パピ!先も言ったけど、ここは君の作り出した空想の世界
      なんだ。」
  パピ「うん!空想だって何だって構わないさ!!僕、歩けるように
     なったんだもん!!」
  クルト「そろそろ、元の世界に帰る時が来たんだよ。」
  パピ「・・・え?」
  クルト「夢から覚めて、現実の世界に戻らなきゃ。」
  パピ「現実の世界・・・?」
  クルト「早く帰らないと、パパやママが心配するよ。」
  パピ「・・・元の世界に帰っても・・・僕の足は歩けるんだよね・・・?
     ・・・また・・・歩けないの・・・?い・・・いやだ!!そんなのいや
     だよ!!クルト!!僕、もう車椅子になんか乗りたくないよ!
     !」
  クルト「パピ、歩けないんじゃないよ。歩き方を忘れてるだけなん
      だ。」
  パピ「・・・歩き方・・・?どう言う・・・こと?」
  クルト「先生だって言ってたじゃないか、君の足は、もうすっかり
      良くなってるって。」
  パピ「でも!!」
  クルト「折角、治ってるのに、歩き方を思い出させてあげなきゃ
      足が可哀相だよ。」
  パピ「・・・だって!!」
  クルト「ねぇ、パピ、願いは人に叶えてもらうものじゃないんだよ。
      自分の力で叶えなきゃ。誰だって、自分の願いを叶える
      為に、一生懸命努力するんだから。」

         クルト歌う。

         “だから頑張ってパピ
         自分の願いを叶える為に
         誰だって叶えたい思いがある
         それは他の人に叶えてもらうものでなく
         自分の力で手に入れるもの
         心に強く願ってパピ
         必ず願いは叶うと!!
         だから頑張ってパピ
         この手に夢を掴むまで!!”

         パピ、呼応するように歌う。

         “頑張ってみるよ僕・・・
         自分の願いを叶える為に!!
         僕にはどうしても叶えたい思いがある
         それは僕自身の手で掴むもの
         誰に任せることなく 僕の手で!!”

         パピ、クルト歌う。

         “夢を掴むその時まで!!”

         音楽、静かに流れたまま暗転。

  パピの声「ママ・・・僕、今日から病院へ行く!!先生の言うことを
         ちゃんと聞いて、リハビリ頑張るよ!!僕、自分の力で
         僕の願いを叶えるんだ!!叶えるんだ・・・(木霊する。
         )」

         音楽大きくなり、舞台明るくなる。と、森の様子。

      ――――― フィナーレ ―――――

         クルト、ドルト、長老、森の仲間達歌う。
         (途中、パピ、バーム登場して、歌に加わる。)

         “誰もが持ってる心の森
         迷いがあったら 不安がらずにおいで
         僕らは何時でもここにいる
         笑顔で君を迎える為に
         だから躊躇わずに何時でもおいで
         君の心の迷いが晴れるまで”



              音楽盛り上がり




         ――――― 幕 ――――― 










    ※ この“蜘蛛”さん、ご存じ“キャシーの森”の、あの蜘蛛
     さんです(^^)v  ⇓ この蜘蛛さん^^;

     
              久しぶりの登場です♥
   


 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ 



     それでは、またまたここで、次回掲載作品のご紹介を
     しておきたいと思います(^^)v
     毎回とっても迷う・・・は、いつも言ってることですが、
     今回も無茶苦茶、迷いに迷って・・・私の作品の中では
     最初で最後・・・ではないかと思うのですが(覚えている
     限りですが・・・)、日本物の作品、表現や持ち物に昭和な
     香りがたまに現れる「晃」をご紹介したいと思います(^.^)
     お楽しみに(^^♪

     今、思い出しました!!
     日本物、ありましたね~^^;優海ちゃんとCロボの“未来
     の海へ”!!次回作品の台本をペラペラと見ていて・・・
     “優美ちゃん”と言う名前が登場するので、思い出しました。

     忘れていました・・・(^_^;)すみません<(_ _)>


                                 どら。








         http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

       http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
          http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227