――――― 第 8 場 ―――――
カーテン前。
生徒達、談笑しながら出る。
ハンナ「ねぇ、ねぇ知ってる?」
トミー「何だい?」
ハンナ「ピーター先生とキャシー先生の噂!」
トミー「噂・・・?」
フィービー「結婚のことでしょ?」
トミー「結婚・・・?」
ハンナ「そうそう!でも本当のことかしら・・・」
トミー「何の話ししてるのさ!!」
ハンナ「トミーったら、何もしらないのね!ピーター先生とキャシ
ー先生が結婚して、キャシー先生が学校を辞めるって言
う話し!」
トミー「えーっ!!冗談だろ!?」
ジョニー「それが冗談なんかじゃないんだよな。」
ジュディ「嘘・・・だってキャシー先生はアレックス先生と・・・」
フィービー「そうよねぇ・・・」
ジョニー「俺もそう思ってたんだけど、さっき校長室の前で・・・」
フィービー「立ち聞き?」
ジョニー「人聞きの悪いこと言うなよ!偶然通り掛かったら中か
ら声が・・・」
フィービー「立ち聞きしたんでしょ?(笑う。)」
ジョニー「・・・うん・・・」
トミー「それで?」
ジョニー「冬休みの間に式を挙げて、キャシー先生は学校を辞
るって・・・。」
ジュディ「嘘よ・・・そんな話し・・・それにキャシー先生が私達の
ことを置いて、学校を辞めちゃうなんて・・・」
ジョニー「でもちゃんとこの耳で聞いたんだぜ・・・」
その時、アレックス登場。
ジュディ、逸早くアレックスに気付き、
駆け寄る。(他の生徒達、続く。)
ジュディ「アレックス先生!!キャシー先生が、ピーター先生と
結婚して学校を辞めるって本当ですか!?」
アレックス「え・・・」
ジョニー「さっき、校長先生とピーター先生が話しているのを聞
いたんだ。冬休みに結婚式を挙げるんだ・・・って・・・。」
アレックス「・・・嘘だろ・・・」
ジュディ「冗談でしょう!?キャシー先生はアレックス先生と結
婚するのよね・・・!?私達が卒業するまで、学校を辞
めたりしないわよね!?」
その時、始業ベルが鳴る。
アレックス、呆然と立ち尽くす。
生徒達、アレックスを気にしながら
出て行く。
生徒達と入れ代わるように、キャシー
登場。
アレックス、キャシー、お互いを認める。
アレックス「キャシー・・・」
キャシー、黙って通り過ぎようとする。
アレックス「キャシー!!待ってくれ!!」
キャシー、その声に立ち止まり振り返る。
アレックス「ピーターと・・・結婚するって・・・結婚して学校を辞め
るって本当なのか・・・?」
キャシー「・・・」
アレックス「キャシー!!答えてくれ!!」
キャシー「・・・ええ・・・本当よ・・・」
アレックス「どうして・・・?ピーターのことを愛しているのか・・・
?」
キャシー「・・・あなたには関係のないことだわ・・・」
アレックス「愛しているのか・・・?」
その時、ピーター登場、キャシーの側へ。
ピーター「勿論、愛があるから結婚するんだ!」
アレックス「ピーター・・・」
ピーター「僕は彼女を愛している!!例えどんな状況でも!!
僕は君のように、彼女に悲しい顔をさせやしない!!決
して・・・!!さぁ、行こう・・・キャシー・・・」
ピーター、キャシーの肩を抱いて出て行く。
アレックス「・・・どんな状況・・・でも・・・キャシー・・・」
音楽流れ、アレックス、スポットに
浮かび上がる。歌う。
“君が指からすり抜けた今・・・
いくら悔やんだとしても
君は元へと帰りはしない・・・
何故手放してしまったのか
いくら責めたとしても
もうこの場所に君はいない・・・
ああキャシー・・・
愛しているんだ・・・
もう・・・届かない想い・・・
もう・・・君はいない・・・”
アレックス去る。
――――― 第 9 場 ―――――
カーテン開く。(絵紗前。)キャシーの家。
中央、置かれているソファーに、カーター、
シルヴィア、キャシー、ピーター座っている。
カーター「そうか、では君は今の学校はもう長いのかね?」
ピーター「(明るく。)いえ、キャシーより2年先輩になります。そ
れで彼女が赴任した時に、僕は彼女に一目惚れしたと
言う訳です。」
キャシー「・・・ピーター・・・(少し困惑した面持ちになる。)」
カーター「キャシーは学校ではどんな様子だね?」
シルヴィア「あなた・・・」
カーター「まぁ、いいじゃないか。人の目から見たキャシーの先
生具合を聞いてみたって・・・。」
ピーター「それはもう、キャシーは生徒達・・・特に女生徒達にと
って、姉のような存在ですからね。皆、キャシーのこと
が大好きですよ。何も問題はありません。(キャシーを
チラッと見る。)」
キャシー「・・・私・・・お茶を入れて来ます・・・。(立ち上がる。)」
キャシー、出て行く。
ピーター「(キャシーが出て行くのを見計らって。)お父さん、お母
さん!キャシーと結婚を前提にお付き合いさせて下さ
い!」
カーター「それは・・・キャシーも承知していることかね・・・?」
ピーター「勿論です!」
シルヴィア「でも確か・・・キャシーはアレックスとお付き合いして
いたのでは・・・」
ピーター「ご存知ないのですか?あの2人は別れたのです。」
シルヴィア「別れた・・・?」
ピーター「はい。」
シルヴィア「何があったのでしょう・・・?」
ピーター「さぁ・・・あまり詳しいことは分かりませんが、アレックス
がキャシーに何か酷いことを言ったようです。」
シルヴィア「・・・酷いこと・・・」
ピーター「彼女の落ち込んだ顔を見るのは、とても辛かったので
すが、何回か僕とデートを重ねるうち、彼女の気持ちも
解れていったようです。」
カーター「そうか・・・。我々もキャシーの幸せが一番なのだから、
キャシーが笑顔でいられるのであれば、君達2人のこ
とに、口出しすることは何もないのだよ。」
ピーター「では宜しいのですね、僕がキャシーとお付き合いをし
ても。」
シルヴィア「あなた・・・私、お茶の支度を手伝ってきますわ・・・」
シルヴィア、立ち上がり扉から出て行くのに
合わせて、舞台回転。 ※
(キッチン。)
キャシー、椅子に腰を下ろしてぼんやりして
いる。
シルヴィア「(コンロの上のヤカンを下ろして。)キャシー・・・?」
キャシー「(シルヴィアを認める。)あ・・・ママ・・・今、お湯を沸か
していたの・・・」
シルヴィア「もう沸いてたわよ。どうしたの?」
キャシー「あ・・・ごめんなさい。直ぐ入れるわ・・・(お茶の用意を
する。)」
シルヴィア「キャシー・・・あなた本当にいいの?」
キャシー「何が・・・?」
シルヴィア「本当にピーターと結婚するつもりなの?」
キャシー「・・・ええ・・・(無理に微笑む。)どうして?」
シルヴィア「アレックスのことはどうするの?」
キャシー「(一瞬、顔色が変わる。)・・・彼とは・・・もう終わったの
よ・・・」
シルヴィア「何かあったの・・・?アレックスと・・・」
キャシー「(微笑んで。)心配しないで、ママ。私はピーターと幸
せになるから・・・」
カーテン、閉まる。
――――― 第 10 場 ―――――
カーテン前。
マリアとジョー、ゆっくり出る。
マリア「・・・ママはアレックスと別れたことを、とても後悔してい
るのよ。10何年経った今でも、まだアレックスのことを愛
しているの。」
ジョー「うん・・・。それは僕が見ても分かるよ・・・。口では色んな
ことを言っても、アレックスと会ってる時の君のママは、キ
ラキラと輝いているもの。」
マリア「まぁ、あなたにそんなこと、分かるの?(可笑しそうに。)」
ジョー「そりゃ・・・僕だって・・・(恥ずかしそうに。)」
マリア「(笑って。)冗談よ!私が見てもそう感じるもの・・・。それ
にパパもね・・・ママと結婚しない方が幸せになれるんだ
と思うわ・・・。ここ何日か見てきて・・・パパも若い頃は、そ
んなに悪い人ではなかったみたい・・・。それに本当にマ
マのこと、愛していたんだと思うわ・・・。でも結婚しても、
アレックスのことをいつまでも愛しているママに、屹度耐
えられなかったのね・・・。決して自分の方を向いてくれな
いママを心から愛していたとしても、いつまでも優しく包ん
であげることができなかった・・・。それはパパの心の大き
さの問題なんだけれど・・・。」
ジョー「よく分かるんだな、大人のことが。」
マリア「パパとママのことでは苦労してきたもの。(笑う。)それ
よりどうやってアレックスとキャシーを結婚させるかよ!」
ジョー「そうだな・・・でもアレックスはどうして教師を辞めて、化
学者なんかになったの?変な物ばかり造って、僕たちの
世界では、僕たち以外誰も寄り付かないじゃないか・・・」
マリア「でもアレックスが機械博士になったお陰で、私達、彼の
作ったタイムマシンに乗って、こうしてこの世界にこれた
のよ!」
ジョー「そうだね・・・でも僕にはそれが絶対に正しいことだ!!
って言う自信がないんだ・・・。もしアレックスとキャシーが
上手くいけば・・・ピーターとキャシーの子どもである君が
・・・この世の中からいなくなってしまうんだもの・・・」
マリア「(微笑んで。)もう言わないで!」
ジョー「・・・うん・・・」
マリア「(再び暫く考えて。)・・・アレックスはママの為に機械博
士になったのよ・・・片腕になったママの為に・・・」
ジョー「どうして君のママは腕を怪我したの・・・?」
マリア「・・・そうよ・・・それだわ!!ジョー!!いい考えを想い
ついたわ!!」
ジョー「いい考えって?」
マリア「行きましょう!!(ジョーの手を取って、駆けて行く。)」
――――― 第 11 場 ―――――
カーテン開く。絵紗前。(教室。)
生徒達、楽しそうに談笑している。
フィービー「ジュディ!もうドレス、仕上がった?」
ジュディ「勿論よ!」
ロット「俺の為に着飾って来てくれよ!(笑う。)」
ジュディ「ロットったら!(笑う。)」
その時、カール入って来る。
ジュディ、カールを認める。
ジュディ「カール・・・」
生徒達、カールを認める。
カール「調子に乗ってんじゃねぇ・・・」
ジョニー「何だと・・・!?(立ち上がる。)」
ロット「ジョニー、やめろ!(ジョニーの肩を掴んで止める。)相手
にするな・・・」
ジョニー、渋々椅子に腰を下ろす。
カール、皆に近寄る。
カール「(笑って。)よぉ・・・女ったらし・・・(ロットの肩に手を掛け
る。)俺にも女の口説き方、教えてくれよ・・・」
ロット「(カールの手を払い除ける。)やめろ・・・!」
カール「俺とじゃ、話しも出来ないってのかよ!調子乗ってんじ
ゃねぇ!!(ロットに殴りかかる。)」
ロット「やったな!!(カールに掴みかかる。)」
カール、ロット、殴り合いの喧嘩を始める。
女生徒、悲鳴を上げる。
男子生徒、はやす。
その時、キャシー入って来る。驚いて駆け寄る。
キャシー「何してるの!!止めなさい!!カール!!ロット!!
(叫ぶ。)」
キャシー、2人の間に入って止めようとする。
2人、思わずキャシーを払い除ける。
キャシー「(倒れる。)キャアッ!!」
2人、驚いて手を止める。
生徒達呆然と。
ロット、カール「先生!!(キャシーに駆け寄る。)」
キャシー「お願い・・・喧嘩はやめて・・・(涙声で。)」
ロット「ごめんなさい、先生・・・」
カール「(頬を押さえる。)ごめんなさい・・・」
キャシー「どうしてあなた達は喧嘩ばかりするの・・・?カールも
ロットも、私の前ではとてもいい生徒だわ・・・。なのに
・・・何故、2人揃うと喧嘩ばかりするの・・・?」
2人、項垂れている。
キャシー「喧嘩してどうなるの・・・?喧嘩が何かの役に立つの
・・・?喧嘩したって、後に残るのは・・・(言葉に詰まる
。)」
ジュディ「・・・先生・・・?」
キャシー「(悲しそうな面持ちで首を振る。)兎に角・・・喧嘩は・・・
誰もが傷付くだけの・・・愚かな行為だわ・・・」
カール「・・・俺は・・・」
ロット「(カールを見る。)」
カール「・・・ロットが・・・羨ましかった・・・」
ロット「・・・え・・・?」
カール「・・・友達は大勢いる・・・信望が厚い・・・家庭は平和だ
・・・おまけに彼女までいる・・・俺にはないものばかりをロ
ットは持っている・・・今まで・・・転校ばかりで・・・友達なん
ていたことがない・・・どの学校でも・・・いつもクラスの食
み出し者だ・・・俺も一度くらい・・・クラスの真ん中に立って
みたかったんだ・・・」
ロット「(照れたように鼻の下を擦りながら、わざと打切棒な言い
方で。)・・・なんだ・・・そんなことか・・・馬鹿野郎・・・」
カール「何!?」
ロット「おまえの短所は、気が短いことだな・・・。(笑う。)」
カール「煩い・・・!!(怒ったように顔を背ける。)」
ロット「・・・友達が欲しいなら、最初からそう言えばいいのに・・・
な・・・皆・・・!」
ジョニー「・・・そうだよ・・・」
ジュディ「ホントよ!」
フィービー「うん!」
生徒達、口々に同意する。
カール「・・・(回りの皆をも回して。)おまえら・・・」
ロット「今からでも遅くないぜ・・・!」
カール「ロット・・・」
ロット「友達になろうぜ・・・」
カール「・・・俺を・・・仲間に入れてくれるのか・・・?」
ロット「そう言ったろ!」
カール「・・・ありがとう・・・」
――――― “アレックス”4へつづく ―――――
※ “舞台回転”とは・・・一体どんな舞台での公演を
想像しながら書いたのでしょうね~・・・(^^;
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下手より、よろめくようにアグネス出る。
上手より村人たち、談笑しながら出る。
アグネス「あの男は必ず災いを起こす・・・あの男の背後に死神が
見える・・・」
ウーゴ「(笑いながら。)婆さん、まだそんなことを言ってるのかい
?」
アグネス「わしには見えるんじゃ。あの男がこの島の人間を、死に
追いやるのが・・・」
ヴィンタ「ただの兵隊さんだぜ!そりゃ仕事柄、多少の血腥さは
漂ってるかも知れないけど・・・。」
アンジェラ「ちゃんと治療代だって置いていってくれたものね。」
ボルソ「ありゃ大金だぜ!」
アンジェラ「あんた中、見たの?」
ボルソ「見なくても袋の大きさ見りゃ分かるさ!!」
アグネス「必ずよくないことが起こるんじゃ・・・」
村人たち口々にアグネスを馬鹿にしながら
笑って出て行く。
ジュリオ一人、村人について行きかけるが
通り過ぎたアグネスを気にして振り返る。
ジュリオ「よぉ、婆さん・・・」
アグネス「(振り返って。)なんじゃ・・・」
ジュリオ「あんた・・・惚けてないよな?」
アグネス「馬鹿言うな!わしは惚けてなんぞおらんわ!!」
ジュリオ「・・・この島の人間を死に追いやるって・・・一体誰のこと
なんだ・・・?」
アグネス「そこまでは、わしには分からん・・・。ただ、あの男の背
中には、黒い羽根が見えるんじゃ・・・。あいつは死神の
使いに違いねぇ・・・。きっと誰かを連れて行ってしまうん
じゃ・・・。気をつけた方がええ・・・」
ジュリオ「死神・・・」
アグネス「(独り言のように。)恐ろしいことになりゃせんといいがな
・・・。皆わしの忠告を聞かん、愚か者じゃて・・・」
アグネス出て行く。ジュリオ、呆然と
その方を見詰める。
下手よりヴィットリオ出る。
ヴィットリオ「おい、ジュリオじゃないか。」
ジュリオ「(振り返って。)ああ、ヴィットリオ・・・」
ヴィットリオ「さっき、アリアナが岩山の方へ行くのを見かけたぜ。
今日は一緒に行ってやらなかったのか?」
ジュリオ「なんだって!?」
ヴィットリオ「あんな危ないところ、女一人じゃ大変だぜ。」
ジュリオ「馬鹿野郎、あいつ・・・。それでいつ行った!?」
ヴィットリオ「ああ、ほんの少し前さ。籠持ってたから、薬草摘みに
違いないぜ。」
ジュリオ「ありがとう!!」
ジュリオ、手を上げて走って行く。
暗転。
――――― 第 8 場 ―――――
カーテン開く。と、絵紗前。アリアナの家。
フランドル、ベッドの上で体を起こして、
本を読んでいる。その時、ノックしてアリアナ
が入って来る。
アリアナ「具合どうですか?」
フランドル「(読んでいた本を膝の上に置いて、嬉しそうにマジマジ
とアリアナを眺める。)どうしたんだい、その服。泥遊び
でもしてきたか?」
アリアナ「(恥ずかしそうに、慌てて服を払う。)ごめんなさい!こん
なみっともない格好で・・・」
フランドル「どこか行って来たのかい?」
アリアナ「ええ・・・ちょっと山まで・・・」
フランドル「山か・・・歩けるようになったら案内してくれるかい?」
アリアナ「(困ったように。)駄目よ・・・切り立った岩ばかりで、とて
も危ないもの・・・。怪我が完全に治っても、慣れた人で
ないと無理です。」
フランドル「(不思議そうに。)そんな危ない岩山に、何をしに行っ
て来たんだい?」
アリアナ「それは・・・」
その時ビアンカ、盆にお椀を乗せ、持って
入って来る。
ビアンカ「アリアナ、薬草湯ができたよ。」
アリアナ「ありがとう、母さん・・・。」
ビアンカ、それをアリアナに渡して
出て行く。
フランドル「全く・・・体は言うことを利かないが、頭は元気なもので
余計なことを色々考えてしまう・・・。(脇のテーブルの上
の花を見て。)この花はおまえが・・・?」
アリアナ「はい・・・庭に咲いていたから・・・」
フランドル「いい香りだ・・・。俺は今まで花を愛でる余裕なんか、こ
れっぽっちもなかったし、そうしようとも思わなかった・・・。
だが、こんな状態になって、初めて本当の花を見た気が
する・・・。ありがとう・・・。」
アリアナ「いいえ・・・少しでも、兵隊さんの気持ちが落ち着けばいい
と思って・・・」
フランドル「(声を上げて笑う。)そうだな。俺は確かに苛々ばかりし
て、怒鳴りまくっていたからな・・・。それから、フランドル
でいい。ここにいる間は、兵隊なんかじゃない。ただの
怪我人だから・・・。おまえの名前は・・・?」
アリアナ「アリアナ・・・」
フランドル「アリアナか・・・アドリア海に因んで付けられたのか?」
アリアナ「(頷く。)昔・・・父は地中海を渡り歩く商人だったんです・・・
その時にいつも見ていたアドリア海の美しさに魅せられて、
私もそんな風に美しくなればいいと・・・。可笑しいでしょう。」
フランドル「いや・・・父上の願い通りに、おまえは育ったと言う訳だ
。」
アリアナ「え・・・?」
フランドル「それで父上は・・・?」
アリアナ「・・・アドリア海を航海中に、海賊船に襲われて・・・」
フランドル「・・・そうか・・・」
アリアナ「でも、あんなに好きだったアドリア海で眠ることが出来て、
父は喜んでると思います・・・。さぁ、お薬を飲んで下さい。」
アリアナ、フランドルに椀を差し出す。
フランドル「いやな臭いだ・・・」
アリアナ「飲まないと駄目!前に占いのお婆さんに教えてもらった、
とても怪我によく効く薬草なんです!岩山にしかない・・・
あ・・・(しまったと言う風に。)」
フランドル「この為に・・・行ったのか・・・」
アリアナ「(首を振って。)ついでだったから・・・」
フランドル、アリアナの手を掴んで、
暫く手を見詰める。
アリアナ、驚いて手を引っ込める。
フランドル「おまえが傷だらけになって、取って来てくれた薬草だ。
有り難く頂くとしよう・・・」
フランドル、薬を飲む。
アリアナ「じゃあ大人しく寝てて下さいね・・・(出て行こうとする。)」
フランドル「(思わず。)アリアナ!」
アリアナ「(振り返って。)はい・・・?」
フランドル「もう少しここにいてくれないか・・・」
アリアナ「え・・・?」
フランドル「あ・・・もう少し・・・おまえと話しがしていたい・・・」
アリアナ「でも・・・お体を休めないと・・・」
フランドル「大丈夫・・・さぁ、こっちへ来てくれ・・・」
アリアナ、フランドルの傍らへ来て、
椅子に腰を下ろす。
フランドル「君はずっと、この島にいるのか・・・?」
アリアナ「はい・・・この島で生まれてから一度も出たことはありま
せん・・・」
フランドル「では医学は誰から?」
アリアナ「母に・・・母は外で何年も勉強してきた人ですから。そこ
で患者だった父と知り合って結婚したんです。後、お薬の
ことは、さっきの薬草湯も教えてもらった村の占いのお婆
さんに習いました・・・」
フランドル「そうか・・・外に出たいと思ったことは?」
アリアナ「(首を振る。)母さんが外の世界は、諍いの絶えない殺伐
としたところだって・・・」
フランドル「それは偏見と言うものだ。」
アリアナ「でも・・・じゃあどうしてフランドルはこんな大怪我を・・・?
あ・・・ごめんなさい・・・こんなこと聞くつもりじゃなかったの
に・・・」
フランドル「構わないさ。確かに争いが絶えないのは事実だ。現に
俺も敵の銃弾に倒れたんだから・・・。だがそれは、素晴
らしい世の中を作り上げていく為に仕方のないことなん
だ。」
アリアナ「・・・自分たちにとっての・・・でしょう・・・?相手のことは考
えたりしたことのない人が、沢山いるのね・・・。」
フランドル「アリアナ・・・」
アリアナ「だって平和な毎日は、みんな誰もが願うことではないの?
きっと・・・あなたにも、あなたがこんな大怪我をして、心配
している人が沢山いると思うわ・・・」
フランドル「残念だが、今のところ俺は結婚もしていないし、天涯孤
独の身だ。俺のことを心配している奴がいるとすれば・・・
俺に自分の夢を全て賭けてヨーロッパ制覇を狙っている
、俺の仕えている皇帝くらいのもんさ・・・」
アリアナ「フランドル・・・ごめんなさい・・・」
フランドル「(アリアナの素直な態度に、驚きの入り混じった微笑み
を返す。)おまえの夢はなんだ・・・?」
アリアナ「私・・・夢なんてないです・・・」
フランドル「そんなことはないだろ?たとえば立派な医者になりた
いとか・・・」
アリアナ「いいえ・・・あ・・・私、皆が幸せになることが夢です。(微
笑む。)あなたも含めて・・・世の中の人が全て平和で穏や
かに毎日を過ごすことができるような世界にすること・・・
それが夢・・・女の私には無理ね・・・(嬉しそうに。)でも、
あなたにはできるわ!」
フランドル「(驚いたように。)アリアナ・・・俺は今まで一度もそんな
風に考えたことがなかった・・・。なんだかおまえに、一番
大切なことを教えられたような気がするよ・・・。ありがと
う・・・」
アリアナ「そんな・・・」
――――― “フランドル”4へつづく ―――――
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――――― 第 5 場 ―――――
カーテン開く。と、孤島の島。
畑仕事の途中の村人たち。
その時、ヴィンタ、駆け込んで来る。
ヴィンタ「大変だー!!(慌てて。)でっかい船が港に入ったぞー!
!」
ジュリア「海賊船!?」
ヴィンタ「分からない!!」
村人たち集まって来て、口々に大騒ぎして
いる。(手には鍬や鎌など。)
村長、ジェロラモ出て来る。
ジェロラモ「船が寄港したと?」
ヴィンタ「あ、村長!!そうなんです、港にでっかいのが!!」
ジェロラモ「皆の者、落ち着くのじゃ。」
ウーゴ「一体誰が乗っているのかね、その船に。」
ボルソ「どうせ俺らには関係のない族さ!」
アンジェラ「じゃあなんでこの島に?」
ボルソ「知らないさ、そんなこと。」
その時、ジョバンニ、マルコが担ぐ担架に、
フランドル横たわり登場。
側にはグリエルモ、ロドリーゴ、数人の兵たち
が続く。
村人たち、その光景に驚きの声を上げる。
グリエルモ「(慌てた様子で。)医者はいるか!?頼む!!怪我人
がいるんだ!!手当てを!!」
ロドリーゴ、横で頷いている。
村人たち口々に“怪我人だって”など、
騒いでいる。
兵たち、一様に不安気な面持ちで。
グリエルモ「島長は!?」
ジェロラモ「(前へ進み出て。)わしじゃ。」
グリエルモ「頼む!!かなりの深手を負っているんだ!!次の島
までは持たない!!」
ロドリーゴ「お願いです!!」
ジェロラモ「この島には、重病人を診るような偉い先生はおらんの
じゃが、それでもよければ・・・」
ジェロラモの言葉を遮るようにして、どこからか
占い師の老婆(アグネス)が、出て来る。
アグネス「駄目じゃ!!駄目じゃ!!その男を村の中に入れては
いかん!!災いが起こるぞ!!その男が死神を連れて
来るのじゃ!!」
ジェロラモ「アグネス・・・」
アグネス「駄目じゃ!!余所者を入れてはいかん!!」
ジェロラモ「ヴィットリオ!アグネスをどこかへ連れて行け。」
ヴットリオ「(アグネスに近寄って、腕を掴む。)ほら!余計なことを
口走ってると、島追い出されるぞ。」
アグネス「その男は疫病神じゃ!!入れてはいかん!!誰かが
死ぬぞ!!」
ヴィットリオ、アグネスを引き摺るように
連れて行く。
ジェロラモ「すまんな、あの老婆はいつもああなんじゃ。余所者が
立ち寄ると大騒ぎをする。」
グリエルモ「それより傷の手当を!!」
ジェロラモ「(思い出したように。)おお、そうじゃ。ビアンカ!おまえ
の家で手当てを!」
ビアンカ「はい。アリアナ!」
どこからか素足のアリアナ、微風の如く
駆け込んで来る。
グリエルモたち、一瞬驚いてアリアナを
見詰める。
グリエルモ「この人たちは・・・?」
ジェロラモ「この村で、唯一医者と呼べる親子じゃ。」
グリエルモ「では・・・お願いします!!」
アリアナ「こちらへ・・・」
グリエルモたち、アリアナ、ビアンカ
について、出て行く。
ジェロラモ「(出て行くのを見計らって。)さぁ、みんな仕事に戻るの
じゃ。」
アントニオ「(呆然とアリアナたちが出て行った方を眺めている、
ジュリオに近寄り、肩を叩く。)よお、どうしたジュリオ。」
ジュリオ「(振り向いて。)アントニオ・・・」
アントニオ「アリアナのことが心配か?(嬉しそうに。)」
ジュリオ「(慌てて。)馬鹿言え!!」
アントニオ「素直じゃないね。いい男があんな大勢来たんだ。日焼
けした逞しい体躯の・・・。村の女たちの目つき見たか?
」
ジュリオ「おまえはどうなんだよ!ジュリアのことでも心配してろ!」
アントニオ「なぁに、おまえの妹は俺に夢中だから大丈夫さ!おま
えみたいに片思いじゃないからな。」
ジュリオ「面白くない奴だぜ、全く!」
アントニオ「(声を上げて笑う。)悪かったな。」
ジュリオ「ジュリアも男を見る目がないぜ。」
アントニオ「おいおい、そりゃないだろ。」
ジュリア「(2人に近寄って。)兄さん、アントニオ、何の話し?」
ジュリオ「ジュリア、おまえはまだまだ子どもで、男と付き合うのは
早いって話しさ。」
ジュリオ、ジュリアの肩を抱いて行こうとする。
アントニオ「おい、待ってくれよ!(慌てて2人の後を追い駆ける。)」
暗転。
――――― 第 6 場 ―――――
絵紗前。
ビアンカ、アリアナの家。
手当てを終えたところのように、ビアンカ、
ベッドの上のフランドルにシーツを掛けて
立ち上がる。
心配そうに、回りにはグリエルモたち。
アリアナ、フランドルの傍らへ寄って来て、
腕を持ち、脈を測る。
グリエルモ「どうですか!?」
ビアンカ「かなり傷は深いようですが、ここでできる手当ての最善
は尽くしました。多分、もう大丈夫でしょう・・・。でも、暫く
は絶対、安静にしていなければいけません。」
グリエルモ「では、直ぐに発つと言うことは・・・」
ビアンカ「無理です。彼を殺したいのなら別ですけど・・・」
グリエルモ「殺し・・・!?」
ビアンカ「アリアナ、側についていなさい。」
アリアナ「はい・・・」
ビアンカ、出て行く。
グリエルモ、フランドルに近寄り、傍らの
椅子に腰を下ろす。
グリエルモ「(溜め息を吐いて。)よかった・・・おまえが死んでしま
わなくて・・・」
フランドル、気付く。
グリエルモ「気が付いたか!?」
兵たち口々に「隊長!!」
アリアナ「お話しは少しだけにして下さい。」
フランドル「・・・生きてるのか・・・」
グリエルモ「当たり前だ!!全く、驚かしやがって!!」
フランドル「畜生・・・なんだってこんな時に・・・!!」
アリアナ「興奮させないで下さい。傷口が開いたら大変です。」
グリエルモ「すまない。落ち着けフランドル・・・」
フランドル「(アリアナを認めて。)・・・彼女は・・・?」
グリエルモ「おまえの命の恩人の一人だ・・・。」
フランドル「(興味を示さず。)・・・まさか味方の中にスパイがいた
とは・・・。あの男は処刑したか・・・?」
グリエルモ「ああ、あの場で直ぐに。兎に角、俺たちは一度戻って
皇帝に会って来る。おまえはここで暫く大人しくしてろ。」
フランドル「俺も戻る!!(体を起こそうとして、痛みに倒れる。)」
グリエルモ「無茶だ!!死んでしまってもいいのか!!」
フランドル「構わない!!」
グリエルモ「馬鹿野郎!!おまえが死んだらどうなる!!折角ここ
まで、おまえの夢に賭けて一緒にやってきた俺たちを、
見捨てるのか!!」
ジョバンニ「隊長!!暫くの静養をお願いします!!」
グリエルモ「後のことは俺たちに任せとけ!!」
フランドル「・・・畜生・・・!!分かったよ・・・グリエルモ・・・。頼んだ
ぞ・・・兵たちが混乱しないように・・・。折角まとまってい
るんだ・・・。(兵たちの方を見て。)お前たちも頼んだぞ
・・・。」
グリエルモ「分かっている。勇将の下に弱卒なしと言うだろう。さぁ、
眠った方がいい・・・。」
フランドル「ああ・・・(目を閉じる。)」
グリエルモ「(溜め息を吐いて。一時置いて、立ち上がる。アリアナ
に近寄って。)じゃあ俺たちはこれで行くが、こいつの
ことを頼む。一応、部下を2人置いて行くから、何でも
言いつけてくれ。マルコ!ロドリーゴ!」
マルコ、ロドリーゴ「はっ!」
グリエルモ「頼んだぞ!」
暗転。カーテン閉まる。
――――― “フランドル”3へつづく ―――――
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グーグル版で掲載終了した、自分で“駄作”と表記して
長いこと放って置いた作品です(^^;
ご覧頂いた方もいらっしゃるかも知れませんが、よければ
時間潰しにでもお読み下さい(^_^;)
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〈 主な登場人物 〉
フランドル ・・・ 勇将の男。
アリアナ ・・・ 島の娘。
グリエルモ ・・・ フランドルの親友。
アンドレア ・・・ 君主。
エリザベッタ ・・・ アンドレアの娘。
ビアンカ ・・・ アリアナの母。
ジェロラモ ・・・ 島長。
アグネス ・・・ 島の占い師。
その他
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「中世ヨーロッパのある国の君主は、領土広大の為、
近隣諸国に勢力を伸ばしていた・・・。」
――――― 第 1 場 ―――――
幕が上がる。
舞台は戦場。
騎士達、敵味方入り乱れ闘っている。
(群舞による戦闘場面。)
その中央に立ち、勇敢に指揮を執る
フランドル。
フランドル「(剣を振り翳し。)行けー!!」
その時、一発の銃声が辺りに響き渡る。
暗転。
――――― 第 2 場 ―――――
カーテン前。
君主アンドレア、側近ジョルジョ、ホフレと共に
出る。後ろには家臣たちが従う。
上手より、家臣の一人が手紙を持って、駆け込む。
アンドレアの前に跪く。
家臣「陛下!!今回もフランドル殿が優秀な成果を挙げ、敵国を
手中に治めたと報せが入っております!!(持っていた手紙
をアンドレアに差し出す。)」
アンドレア「(手紙を受け取り目を通す。嬉しそうに。)そうか!いつ
もながらあの男の勇将ぶりには感心させられる。私は
素晴らしい部下を持ったものだ。私自ら指揮をとること
は全くないのだから。(声を上げて笑う。)」
ジョルジョ「おめでとうございます。」
ホフレ「これで王の目指す場所に、また一歩近付いたと言う訳で
すな。」
ジョルジョ「私も一度、フランドル殿について行ったことがあります
が、敵人と相対した時のフランドル殿の勇猛果敢振り
は、それはそれは見事で本当にたいしたものです。」
ホフレ「この勢いに乗って、次々と勢力広大していきたいものです
な。」
アンドレア「まさに負け知らず・・・あの男が敵国の将でなくて、本
当に良かった・・・。(真面目な顔付きになる。)」
ホフレ「考えるのも恐ろしい・・・。陛下の頭脳とフランドル殿の行
動力があれば怖いものなしでしょう。」
アンドレア「いや・・・あの男は、他の者が考え及びもしないことを
考え・・・行動に移し・・・それを見事に成功に導く頭脳を
持った男だ・・・。それに部下たちの信望も厚い・・・。」
ジョルジョ「それでは陛下はいつの日か、フランドル殿が旗を翻す
ようなことがあるかも知れないと・・・?」
アンドレア「考えられないことはない・・・。あれだけ才長けた男だ。
他の者の下について、一生涯その力を使うなどと、考え
られない。だから今のうちに手を打っておくのだ・・・。縁
戚関係を結ぶことによって・・・」
ジョルジョ「エリザベッタ様とフランドル殿を・・・ですね。」
アンドレア「幸い、エリザベッタの方はあの男に夢中なようであるし、
あの男にとっても悪い話ではあるまい・・・。しかし、婚約
を交わしたまではいいが・・・どうもその先の話には、フラ
ンドルは中々腰を上げてこないのだ・・・。」
ホフレ「凱旋が終われば陛下の方から式の日取りを決めてしまわ
れれば・・・」
アンドレア「それは駄目だ。あの男の方から言ってこなければ、た
とえ私であろうともあの男の意思を尊重せざるを得ない
のは、いささか心外ではあるのだが・・・」
その時、上手より家臣の一人が早足で出る。
アンドレアの前に跪く。
家臣「追って連絡致します!!早馬によってもたらされた知らせに
よりますと、フランドル殿はこの勢いに乗って、次なる征服地
に向けて、進軍を続けているとのことです。」
アンドレア「何・・・また向かっているのか・・・。分かった。」
ジョルジョ「一度、呼び戻さなくてよかったのですか?」
アンドレア「なぁに、暫くはあの男の好きにさせてやることだ・・・。」
3人、上手へ出て行く。家臣続く。
暗転。
――――― 第 3 場 ―――――
カーテン開く。と、フランドルの天幕。
フランドル、テーブルの上に足を投げ出して、
椅子に腰を下ろし、地図に見入っている。
グリエルモの声「入るぞ!」
グリエルモ、入って来る。フランドル、そのまま
地図の横からグリエルモを盗み見る。
グリエルモ、愉快そうな面持ちでフランドルの
正面へ腰を下ろす。
グリエルモ、持っていたグラス2つと、酒の入
った瓶をテーブルの上へ置く。
グリエルモ「いよいよ明日だな!乾杯しようぜ、我々の勝利を祈っ
て!」
フランドル「(地図をテーブルの上に置いて、立ち上がる。)俺たち
に敗北はない!!祈らなくてもな!!」
グリエルモ「(呆れた面持ちで両手を挙げる。)全く、おまえは大し
た自信家だよ。じゃあ勝利の前祝だ!飲もうぜ!」
グリエルモ、立ち上がってグラスに酒を
注ぐ。一つのグラスをフランドルに近寄り
手渡す。
グリエルモ「我々の勝利に乾杯!!(グラスをフランドルの方へ差
し出し、一気に飲み干す。)」
フランドル「(嬉しそうに笑って。)おまえの酒好きには呆れるよ、全
く・・・(酒を飲んで。)理由をつけては昔から、おまえは直
ぐに酒盛りだ。」
グリエルモ「こんなところに来てたんじゃ、女はいないし、これくらい
しか楽しみはないからな!(自分のグラスに酒を注いで
飲む。)一体、おまえはどこまで突き進むんだ。一旦、
遠征に出ると、丸で鉄砲玉だ。」
フランドル「(グラスをテーブルの上に置いて。)グリエルモ・・・俺は
いつまでも雇われ隊長などで満足しているつもりはない
ぞ。自分の国を手に入れる!!それには今の俺には、
まだ自分の思い通りになる騎兵隊の数が少な過ぎる。」
グリエルモ「だが兵たちも黙っておまえについて来ているじゃないか
・・・」
フランドル「それはまだ俺の後ろに皇帝の姿を見てるからだ。もっと
力がいる。その為に皇帝を利用して征服地を増やし、そ
の中で少しずつ自分の力を増大させていくのだ!!」
グリエルモ「まぁ、おまえの野望は俺も知っているし、おまえがその
器に相応しい男であることも分かっている。だから俺も
おまえについて来てるんだが・・・」
フランドル「延いてはこのヨーロッパ全域を・・・地中海世界諸共に
この手に入れるのが俺の夢なんだ!!」
グリエルモ「全く・・・最初はただの傭兵に過ぎなかったおまえが、
ここまで上り詰めたってだけでも凄い事なのに、おまえ
はまだまだ上を見ている。今度の女王との婚約も、お
まえにはただの踏み台に過ぎんのだろうな。(嬉しそう
に。)」
フランドル「それだ。今はまだ皇帝の機嫌を損なう訳にはいかな
いから、約束だけはしたが・・・この国では駄目だ!俺
はフランス王女と結婚したい!!」
グリエルモ「おいおい!!そんな大きな声で堂々と名指しするな
!!誰かに聞かれたらただでは済まんぞ!!」
フランドル「(聞いていないように。)あの国を手中に収めることが
出来たなら、もう怖いものなしだ!!俺は夢の実現の
為にならなんだってする!!」
グリエルモ「フランドル・・・」
暗転。(紗幕閉まる。)
――――― 第 4 場 ―――――
紗幕前。
上手よりアンドレア登場。後ろからエリザベッタ
沈んだ面持ちで登場。
エリザベッタ「お父様・・・フランドル様は、いつお戻りになるのです
か?」
アンドレア「あの青年は、今、征服地のことで頭が一杯のようだ。
進軍進軍で、後ろを振り返ると言うことを知らないようだ
。」
エリザベッタ「私との結婚は、どうなるのでしょう・・・」
アンドレア「心配しなくてもよい・・・。次に凱旋した時には、ちゃんと
話を進めることのにしよう。」
エリザベッタ「私・・・なんだか不安なんです・・・。あのお方がどこか
遠くへ行ってしまいそうな・・・そんな予感がして・・・」
アンドレア「エリザベッタ・・・」
エリザベッタ「あのお方は、もっと大きなものを求めていらっしゃる
・・・私と会っている時も、瞳はどこか遠くを見詰めてい
らっしゃって、話しは丸で上の空なんです・・・」
アンドレア「あまり考えるな。おまえは必ず幸せになれるのだから
・・・。私が必ず・・・。安心しなさい。さぁ、もう今日はお休
み・・・」
エリザベッタ「はい、お父様・・・(スカートをつまんでお辞儀をする
。)」
エリザベッタ、下手へ去る。アンドレア、
その後ろ姿を見詰める。
上手よりジョルジョ登場。
ジョルジョ「陛下・・・」
アンドレア「(振り返って。)ああ、おまえか・・・。丁度よい、フランド
ルを一度呼び戻してはくれぬか。」
ジョルジョ「直ぐにですか?」
アンドレア「あれが・・・いや、エリザベッタが不安がるのだ。フラン
ドルの遠征が長引くと・・・。エリザベッタだけではない。
本当のところ、私も時々思うことがある。あの男は、この
まま征服地を自分のものにしてしまうのではないかと・・・
。この通り、私はもう年だ・・・。跡継ぎもいないが為に、
今は全てをあの男に任せてはいるが・・・あの男が本当
に何を求めているのか・・・何をしようとしているのか・・・
私は知りたいのだ。勿論・・・今の地位で納得してくれて
いることを祈るが・・・」
ジョルジョ「そうですね・・・。フランドル殿の、いつも何かを求め・・・
狙っているようなあのギラギラした瞳を見た者は、誰もが
そう思うことでしょう・・・。分かりました。直ぐに使いを送
らせましょう。」
その時、下手よりホフレ、慌てて駆け込んで来る。
ホフレ「陛下、大変です!!」
アンドレア、ジョルジョ、ホフレを認める。
ジョルジョ「どうしたホフレ、そんなに慌てて・・・」
ホフレ「たった今、入りました連絡によりますと、フランドル殿が負傷
なされたそうです!!」
アンドレア「(驚いて。)何だと!?それで怪我の様子は!!」
ホフレ「かなりの深手を負われたようで、一先ず近くの島に、手当て
の為寄港すると、連絡が入っております!!」
ジョルジョ「フランドル殿が負傷されるとは・・・!!」
ホフレ「フランドル殿率いる騎兵隊の中に、敵国のスパイが紛れ込
んでいた模様です!!」
アンドレア「スパイだと・・・!?」
ジョルジョ「陛下!一先ずあちらで相談を・・・」
アンドレア「そうだな。」
3人、足早に出て行く。
――――― “フランドル”2へつづく ―――――
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マリア「ジョー・・・心配してくれてありがとう・・・。でも来る前にハ
ッキリ言った筈よ・・・たとえ未来が変わっても、私は構わ
ない・・・。ママが幸せになるなら・・・パパのせいで、未来
のママはいつも泣いてばかりよ・・・。パパと結婚したって
ママは絶対に幸せになれないのよ・・・。」
ジョー「マリア・・・」
マリア「だからその話はもうナシ・・・!」
ジョー「・・・うん・・・」
マリア「ところで・・・まだパパに会ってないわ。折角来たんだか
ら、一目くらい、若かりし頃のパパを見ておきたいわ!」
ジョー「うん、そうだね。この学校で体育教師をしてるんだったね
、ピーター・・・」
マリア「そうよ!行きましょう!」
2人、走り去る・
――――― 第 5 場 ―――――
カーテン開く。と、舞台は校庭。(夕暮れ時。)
中央後方に置かれたネットの前でキャシー、
佇んでいる。
グラウンドでは部活中の生徒たち。
キャシー、呆っとグラウンドを見ていると、
ピーター入って来る。
ピーター「やぁ、キャシー!僕の勇姿でも見に来てくれたのかい
?(笑う。)どうしたんだい?暗い顔して・・・」
キャシー「暗い顔に見える・・・?」
ピーター「そこら辺の連中100人に聞いたら、100人共がそう
言うだろうね。(ベンチに腰を下ろす。)どうしたの?カ
ールのこと?」
キャシー「(首を振り、ピーターの横に腰を下ろす。)」
ピーター「アレックス・・・?」
キャシー「・・・どうして直ぐに喧嘩してしまうのかしら・・・本当は
素直になりたのに・・・なんだか自分自身が分からなく
て・・・」
ピーター「そうか・・・いっそのこと・・・やめてしまえよ・・・。」
キャシー「・・・え・・・・」
ピーター「もう、さよならするんだ。」
キャシー「ピーター・・・」
ピーター「僕なら君に、そんな悲しそうな顔はさせないよ。絶対
だ・・・約束する・・・。」
その時、グラウンドの方から生徒のピーター
を呼ぶ声が聞こえる。
ピーター「(立ち上がってグラウンドの方に手を上げる。)おう!!
今、行く!!(再びキャシーに向き直り。)僕は本気だよ
・・・。君を愛している。結婚して欲しい!!」
キャシー「(思わず立ち上がる。)ピーター先生・・・」
ピーター「返事はいつでもいいよ。じゃあ!(手を上げて、グラウ
ンドの方へ走って行く。)」
キャシー、呆然と立ち尽くす。
そこへジュディ、鞄を提げてゆっくり登場。
ジュディ「キャシー先生・・・少しいいですか?」
キャシー「(振り返ってジュディを認める。)あ・・・ええ、ジュディ
・・・」
2人、ベンチへ腰を下ろす。
キャシー「どうしたの?そんな暗い顔して・・・(一人でクスッと思
い出し笑いする。)」
ジュディ「先生?」
キャシー「ごめんなさい。今、私もピーター先生から同じようなこ
とを言われたから・・・」
ジュディ「先生も何か悩み事?」
キャシー「(首を振る。)私のはたいしたことじゃないの・・・。それ
よりあなたは何か悩み事があるの?」
ジュディ「私・・・自分の気持ちが分からないんです・・・一体、誰
とパーティに行きたいのか・・・」
キャシー「ロットと・・・カール・・・?」
ジュディ「(頷く。)最初はロットと付き合ってるんだから、彼と行く
のが当たり前のように思っていたけれど・・・カールにも
誘われて・・・でもカールは私のことが好きだから、私を
誘っているんじゃなくて、ただロットを負かす為にそうし
たんだってことも分かっているんです・・・。でも悪い気は
しないわ!彼、格好良いもの・・・」
キャシー「(溜め息を吐いて。)ねぇジュディ、ロットのことが好き
?」
ジュディ「(頷く。)」
キャシー「じゃあカールのことは?」
ジュディ「・・・分からない・・・」
キャシー「じゃあ話しは簡単よ。一番好きな人とパーティへ行く
の!でないと後で必ず後悔することになるわ・・・。もし
あなたに断られたロットが、誰か他の女の子を連れて
パーティに来たって、あなたは文句は言えないのよ。」
ジュディ「そんなの嫌・・・」
キャシー「ねぇ、ジュディ・・・(ジュディの手を取る。)」
キャシー、ジュディに語り掛けるように
歌う。
“自分の心に素直に・・・
いつも真に向き合えば
自ずと見える真実の思い・・・
誰に決めてもらうでもなく
自分が一番望む通りに・・・
自分が一番したいように・・・
一歩を踏み出し
決めたことなら
何も迷うことはない・・・”
2人、立ち上がる。
ジュディ「ありがとう、先生!!私、ロットと行くことにするわ!!
」
キャシー「そうね。いい考えだわ。(微笑む。)」
ジュディ「ね、先生?先生が暗い顔をしてたのは、アレックス先
生と喧嘩したから?」
キャシー「・・・どうして・・・?」
ジュディ「だって、今朝からの2人の先生の態度を見てたら、誰
だって分かるわ。先生も自分の気持ちに素直になって
!(笑って走り去る。)」
キャシー「ジュディったら・・・。素直に・・・」
キャシー、静かに歌う。
“自分の心に素直に・・・
いつも真に向き合えば・・・
自ずと見える真実の思い・・・”
その時、ミリー入って来る。
ミリー「キャシー?どうしたの、こんなところで。」
キャシー「(ミリーを認めて。)ミリー・・・」
ミリー「仲直りしたの?アレックスとは。」
キャシー「(首を振る。)」
ミリー「どうして?いつもなら朝、顔を合わせた途端、仲直りして
るじゃない。珍しいこともあるのね。(笑う。)」
キャシー「(困ったように。)ミリー・・・」
ミリー「冗談よ。そんな暗い顔をしないで!(キャシーの後ろを見
て。)ほら、アレックスよ!」
その時、アレックス出て、キャシーを認め
立ち止まる。
アレックス「キャシー・・・」
キャシー「(アレックスを認めるが、知らん顔するように。)ミリー
、私、行くわね・・・(出て行こうとする。)」
ミリー「キャシー?」
アレックス「キャシー!!待ってくれ!!」
キャシー、その声に一度は歩を止めるが
出て行く。
アレックス「キャシー!!」
ミリー「あらら・・・今回はかなり派手に遣り合ってるみたいね?
靴を踏まれたくらいで、普通あそこまで怒るかしら?」
アレックス「(溜め息を吐いて。)・・・今朝・・・俺は彼女に一番言
ってはならないことを言って、一段と彼女を怒らせて
しまったんだ・・・。軽率だったよ・・・。あれから謝ろう
としても・・・俺と目すら合わせてくれないんだ・・・」
アレックス、暗い面持ちで出て行く。
そこへロバート、入って来る。
ロバート「(アレックスが出て行った方を見ながら。)今のアレッ
クス・・・?」
ミリー「(ロバートを認める。)ロバート・・・ええ。」
ロバート「あいつ、えらく沈んでなかった?」
ミリー「なんだか昨日のこと以外に、喧嘩の火種勃発らしいわよ
。」
ロバート「本当に?」
ミリー「尤も、アレックスは謝ろうとしてるみたいなんだけど、どう
もキャシーが頑なな態度を取ってるみたいよ。アレックス
ったら、一体何を言ってキャシーをあんなに怒らせたのか
しら・・・」
ロバート「あいつも結構、思ったことを何でも口に出す奴だから
な・・・」
ミリー「もう何だかこっちまで憂鬱な気分だわ・・・」
ロバート「俺達が口出しするようなことじゃないんだ。黙って見守
るしか出来ないんだから、おまえも余計な首を突っ込
むのは止めておけよ。」
ミリー「分かってるわよ・・・」
ロバート、ミリー出て行く。
そこへ、見ていたようにマリアとジョー
出て来る。
マリア「なんだか余計に話しがややこしくなってきたみたい・・・
どうしよう・・・私のせいだわ・・・」
ジョー「マリア・・・」
マリア「今朝の喧嘩が原因で、2人の仲が益々拗れたりしたら
私・・・」
ジョー「まだ屹度、2人が仲直りするチャンスはいくらかある筈だ
よ。ゆっくり考えてみよう・・・」
マリア「そうね・・・」
2人、出て行く。カーテン閉まる。
――――― 第 6 場 ―――――
カーテン前。
キャシーの両親(カーター、シルヴィア)
ゆっくり出る。
シルヴィア「あなた・・・今度の休みにキャシーが私達に会わせ
たい人がいるんだって、電話がありましたの・・・」
カーター「それはどう言うことだね?アレックスならもう知ってい
るだろう?」
シルヴィア「さぁ・・・それが何だかアレックス以外の人のようで
すの・・・。」
カーター「本当かね・・・?」
シルヴィア「ええ・・・。でも電話でその話しをした時のキャシー
の声が・・・」
カーター「気になるのかね・・・?」
シルヴィア「ええ・・・。アレックスとはどうなっているんでしょう・・・
。もうお付き合いを初めて、大分経つと言うのに・・・。
」
カーター「うむ・・・我々もキャシーの結婚については、キャシー
の意思を尊重しようと決めて今まできたが・・・。もし何
か自分で決断しかねているとしたら、今、我々が傍観
しているのは、ベストな選択ではないかも知れないな
・・・。もし、そのことによって、意にそぐわない相手と結
婚することにでもなったら、それこそ大変だ・・・。」
シルヴィア「ええ・・・。」
カーター「まぁ、キャシーはキャシーなりにちゃんと考えているだ
ろうが・・・」
シルヴィア「そうならいいんですけれど・・・あの子は昔から、思
い込みの激しいところのある子でしたから、今回も何
だか私・・・ほら、あなた・・・昔こんなこともあったでは
ないですか・・・キャシーが卒業パーティのダンスパ
ートナーのことで、とんでもない思い違いをして・・・結
局、意中の相手とはパーティに行けなくなったこと・・・
。あの時も、単なる噂話を信じ込んだあの子が、誰の
助言も聞き入れることをしなかったから・・・。」
カーター「そのことは私も覚えているよ・・・。」
シルヴィア「また今回も同じようなことにならなければいいので
すけれど・・・」
カーター「深く考えるのはよそう・・・。きっとあの子なら大丈夫だ
から・・・。」
2人、ゆっくり出て行く。
――――― 第 7 場 ―――――
カーテン開く。校長室。
フランキー、机の前に座っている。
少し離れてマックス立つ。
フランキー「教頭先生、あれからキャシー先生のクラスはどうで
すかな?」
マックス「はい、まだ相変わらずのようで・・・一度は例のカール
とロットの2人は、殴り合いの喧嘩をしてアレックス先生
に注意を受けたようです。」
フランキー「そうですか・・・駄目ですねぇ・・・。しかしカールの母
親が、また転校すると言ってきたので、それまでの辛
抱ですかね。」
マックス「はぁ・・・クリスマスパーティの前に転校してくれて、ホッ
と一安心と言ったところです。」
フランキー「まさにタイフーンのような生徒でしたねぇ・・・。ところ
で・・・ピーター先生には、ここへ来るように伝えても
らえましたかね?」
マックス「はい。・・・ピーター先生がどうかされたのですか?」
フランキー「いえ何・・・ちょっとした噂を耳にしたものですから、
本人に直接確認を・・・と思いましてね・・・。」
マックス「噂・・・?」
その時、ノックの音。
フランキー「はい、どうぞ。」
ピーター入る。
フランキー、立ち上がってピーターに近寄る。
ピーター「何かお話しでしょうか?」
フランキー「実は今朝、生徒達が話しているのを聞いたのです
が・・・」
ピーター「はい・・・」
フランキー「あのですねぇ・・・キャシー先生と結婚なさると言うの
は本当ですか?」
マックス「(驚いて。)えっ!?」
ピーター「もう校長のお耳に入りましたか・・・(笑う。)本当です。
」
フランキー「しかし、キャシー先生は確かアレックス先生と・・・」
ピーター「過去の話しです。今は僕が・・・結婚を前提にお付き合
いさせてもらっています。それが何か・・・?」
フランキー「いえ、そうですか・・・。本当の話しであればいいので
す。ありがとうございました。」
ピーター「では僕はこれで・・・」
フランキー「あ、もう一つだけ・・・キャシー先生は学校をどうされ
るおつもりでしょうか・・・?」
ピーター「辞めてもらいます。」
フランキー「そうですか・・・」
マックス「式はいつのご予定ですか?」
ピーター「はい、冬休みに入って直ぐに・・・」
マックス「えらく急なお話しですね・・・」
フランキー「・・・何か急ぐ理由でも・・・?」
ピーター「別に・・・。校長、もうよろしいですか?生徒達を待たせ
ているので・・・。」
フランキー「あ・・・どうぞ。すみませんね、ご足労をおかけました。
」
ピーター「では失礼します。」
ピーター出て行く。
マックス「まさか、こう言うことになっているとは・・・。驚きました
ね。」
フランキー「私も最初、生徒達の冗談かと思っていたのですが
・・・本当の話しでしたか・・・」
カーテン閉まる。
――――― “アレックス”3へつづく ―――――
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