~経済ニュースの森の奥~ ・・マクロな視点から。

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No63 07年の海外経済と投資環境を予測・・

2007年01月27日 | 景気
前ファイルで07年日本経済についての勝手予測をしたのに続き、海外経済の今年の見通しを当ブログなりに立ててみたいと思います。

◎米国・・・
住宅市場下落のクライマックスはどうやら昨年11月頃であった可能性が高く、堅調な雇用/所得に加え運良いタイミングで原油下落そして株価上昇という好材料がバブル崩壊のハードランディング危機を下支えしたものと思われる。FRBの政策もさることながら、このようにラッキー面も大きい。穿った見方として、ウォール街が米国景気後退を避けるため原油先物を売り支え米株価を買い支えたのではないかと推測できる。ただし長期的には移民を中心とした人口増が住宅需要および住宅投資を支えていることも事実。

しかし昨年後半に大きく伸びた平均株価はすでにPER(株価収益率)21倍強と、今現在日本と並んで先進国では最も高い水準にあり、また海外投資家からの米国株への流入は元より活発でないことも考えると、今年(特に前半)は株資産の大きな上昇は見込めないのではないか。

また昨年の住宅市場急低下によって不動産価値が12年ぶりの低水準に落ち込み、また住宅ローン債務の家計における返済比率が増加の一途をたどっており、マイナスの続く貯蓄率と共に“アメリカ人の過剰消費”がどこまで続くのかが(世界にとって)大きな不安材料。なんといっても消費は米GDPの7割を占めている。

ドル価値の低下などで今年は経常赤字減少が期待されているが、もしそうならなかった時は不均衡問題が再度噴出する恐れがある。ウォール街のメガパワーをもってしてもアメリカのラッキーはどこまで続くか?
少なくとも景気減速“ソフトランディング”成功だけで手放しに喜べる状態にはないことは確か。


◎ユーロ圏+英国・・・
独の景気回復はどうやら本物。急激なユーロ高、付加価値税の増税にもかかわらず、失業率の大幅低下など家計/消費にとても明るいムードがただよいはじめ、米国景気減速ソフトランディングが追い風。仏も4月の大統領選挙が落ち着けば大きな死角はないはず。

英国は唯一インフレが懸念だが個人消費・住宅投資が絶好調。今年の首相選挙で本命のブラウン財務相が支えてきた長い景気拡大なので、順当に当選することが肝要と思われる。

本格的な景気回復状況にもかかわらず、株価は英独仏ともまだPER13~15倍程度。大きなリターンは見込めないが07年先進国の中では最もリスクの少ない順調なマーケットになると予想。


◎中国・・・
昨年まで4年連続10%台の成長を続けたが、今年はより波乱含みになりそう。
株価が昨年120%!の上昇を見たことで、PERは30倍を越えている。にもかかわらず、それまで興味のなかった一般大衆までも現在株買いに走っているとのこと。また北京の住宅価格は12月に昨年対比10%も上昇した。

政府が本腰で投資抑制に乗り出しているとはいえ、毎年巨額になる貿易黒字によるカネ余りのおかげで銀行融資は止まらない。中国企業の資本調達は9割が人民銀に対する借入れに依存しているらしい。

そのような状況を見ると、どうみても過熱=バブルの様相を呈している気がしてならず、中国指導部のカジ取りひとつで歪みが露呈してもおかしくないと予想。ただしリセッションが今年なのか来年以降なのかどうかは予測不能。


◎インド・・・
06年度は9%の高成長達成の可能性が高まったが、サービス業、製造業が高成長で経済全体を牽引する一方、GDP比重の高い農林水産業は低い伸びにとどまるなど、天候に左右されるのが相変らずの弱点。

また最近は物価上昇が激しく、今年はインフレ圧力と戦っての成長度となるため読みにくい。
株価も最高値の更新が続いたためPER的にもやや過熱気味の兆候が。今年はこれまでの2年間のように40%超の上昇まではいかないと予想。ただしリスクの高さは中国ほどではないと考える。


◎東南アジア・・・
シンガポール・ベトナム・インドネシアなどを中心に、今年ブレイクの予感が。輸出主導なのでアメリカ景気に左右されやすいエリアと言われてきたが、今年は内需(個人消費)が好調な見込みとの情報。 ただしタイだけはカヤの外。 インドネシアの株価は昨年大きく上がり若干割高。


・・・・・

その他、ロシア含む東欧や南米、豪州など気になるエリアもありつつ、今年の投資環境を推測するとしたら・・

◎英国      <順調>
◎ユーロ圏     ↑
○東南アジア     
△米国
×インド       ↓
××中国     <波乱>

・・と個人的には順番をつけたいと思います (これはリターン率の大小予想ではありません、念のため)。

おしなべた世界株価インデックスは昨年同様レベルの上昇基調と予想、相対的に債券市場は今年もイマイチということになります。

商品市場は穀物が大きく変動しそうです。代替エネルギーのエタノール需要でのトウモロコシや作付面積が足りない大豆をはじめ、新興国の生活向上に伴う実需増、加えて世界的な異常気象がひどくなれば価格に大きく影響するでしょう。環境汚染の激しい中国の水不足もより話題になりそうです。このあたりは既に言われているところです。
 
果たしてどうなったか、一年後に自己評価してみます。