~経済ニュースの森の奥~ ・・マクロな視点から。

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No.17 米国型グローバル社会の中の、一日本庶民④

2005年11月03日 | グローバル経済
11/1日経新聞 19面「大機小機」・・・小泉改革の総合的構想、それは民間経済の原理が発展する今後の日本の進む道を示す。政府の果たす役割を明確に限定し、その上に持続可能なセーフティネットを構築することだ。日本は今後少子・高齢化の中で本格的なグローバル化を迎える・(中略)・社会保障はじめ政府の国民に対するサービス全般が、給付に厚く負担が軽い。このため財政状況は惨澹たるものだ。今後は給付を抑え負担は重くせざるをえない・・・。

11/2日経新聞 19面「大機小機」・・・「小さな政府」を目指した構造改革はデフレ的側面を持つ。政府支出を減らし、国民の負担を増やすことになるからだ。そもそも構造改革の最重要は財政再建だから当然だろう。増税のデフレ効果の大きさを考慮すると所得増税、消費増税、金融緩和に終止符、これらが連続して実施されれば、それは“デフレ政策”が発動される形になる・・。

・・・・以上文中抜粋・・・・・


ここにきて世の中的には小泉改革の推進「小さな政府」がまるで正義の味方、パラダイス行きの切符であるかのような報道ムードが非常に大きく、景気回復のニュースとともに庶民マインドもうまく乗せられているように見えます。
その一方で、この改革の現実的な痛みを冷静にコメントする上のような記事もあります(ただし扱いはとても小さい)。

別のアンケート記事では消費税増税やむなしの声が48%、という大きな報道も。

増税容認の一番の理由は年金・医療の給付のため。給付減は庶民生活に大きく影響しますのでこの理由は当然です。
まして現在、庶民に景気上昇の実感は大きくないというものの、株価はじめ全体の景況が回復基調と感じている人が多くなった。ゆえに増税に関して以前より寛容な答えが多くなったのかもしれません。同じアンケートでは「財政再建のため増税やむなし」、というオトナな答えも少数派ながら前回調査より増えています。

しかし・・・上の記事のようにいざ、“デフレ政策”が予定通りに実施されたり、前回まで書いたようなアメリカの「ドルマネーバブル(私のオリジナル呼称ですが)」が弾けたりしてその影響が経済に出た時(景気悪化時)に、日本人は今のような増税に寛容な考え方を続けられるでしょうか?

その時は数年以内である可能性が高いのです。

その時は減税してもらえばいいじゃないか、という甘い見通しは成り立ちません。逼迫した日本財政を助けるために今後少なく見積もっても5~10年間は増税しつづけなければ破綻の恐れが消えないからです。国を助ける為に国民が血を流す改革であるがゆえ、増税の国民への見返りは基本的にありません。不景気になろうがアメリカ型グローバリズムの本格導入で貧富の差がさらに広がろうが、大借金を抱え込んだ小さな政府の打つ手は極めて少ないです。・・・古ネタのブラックジョークになってしまいますが“大借金の小さな家”が食料のない沢山の子供の面倒を見ることは至難の業ということです。

アメリカ型グローバリズムはNo16で書いたように、米ドルを使っている元締め国「胴元」に一番メリットがあります。 少なくとも米国はそれを目論んで世界に布教(というより強要)しています。・・ただし米国の一部の大企業と政府にメリットがあるだけ、大半の米国庶民はバブルと共に弾けてしまう恐れがあります。

日本はドルと対峙している貨幣の国にもかかわらず着実にアメリカへ右へならえの方向です。

(つづく)