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No38 グローバル・バブルの世界的調整の日は来るのか?(No37続篇)

2006年01月30日 | グローバル経済
1/23ロイター・・・米NY連銀のガイドナー総裁(発言)「巨額で増え続けている米経常赤字は、世界経済に脅威となっており、いずれ起こる調整は必ずしも穏やかでないだろう」との認識を示した。

1/19ロイター・・・米国のキミット財務副長官(講演)「経常赤字の拡大は、注視していく必要があるが差し迫った問題ではない。米国は世界一流動性の高い資本市場を持っており米資産や債券については海外の民間セクターや外国政府の両方から需要が常にあるだろう。外国中央銀行はすでに多額のドル資産を保有しており、米市場に打撃をあたえるような行動は彼らにとって利益にならないだろう」と述べた。


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アジア諸国や中東産油国の中央銀行は外貨準備として米債券を大量に抱えています。
他国通貨建ての資産も保有しリスク分散も行っているが、中国や日本の(米債券)外貨準備は8000億ドルを超えているといわれています。

前ファイルNo37で、日本を含む世界は米国が輸入品消費に裏付けられた経常赤字を増やしつづけてもらわなければ実際は困ることになる、と書きましたが、2人の発言はその実態を興味深く一言で表しています。

まさに世界消費の牽引車の役割を担っている米国は、一般大衆までもが不動産時価の増・株時価の増に支えられた“架空のマネー価値”に乗っかった<借金消費>増をキープしてきて、その増加にいつピリオドが打たれるのか、世界中が固唾を飲んで注目しているわけです。

キミット財務副長官の発言のように、世界はこれからも米国のローン低金利を保つため債券を、資産の時価総額が減らないように米国株などを、それぞれ買い支え続けていくだろう、持ちつづけざるを得ない、という願望に近い楽観論も根強いです。 

実際、諸外国と米国を同列に論じることはできないし、米国がインドや中国などエマージングと呼ばれる新興諸国の高成長や、日本の景気回復を支えている特異な国であることは事実です。

一番の御得意さまですから、お得意が消費を減らして貯蓄率を上げたり経常赤字を減らすことに供給側である外国が協力するはずがない、ということでしょう。それは確かにそうです。

しかし冷静に考えると、この楽観論はまだ好調をキープしているように見える今だからこそ信憑性が高いように感じるのかもしれません。 今は外国が米国を買い支えていても、イザ米国内の資産状況(株や不動産や債券)や消費環境がおかしくなりはじめた時、外国の政府や民間セクターは皆じっとしているのでしょうか?

たぶん日本政府は対米間係上、米債券を引き揚げることができず塩漬けにしてしまうことでしょう。しかし他国政府や民間は疑わしい。少なくとももし私だったらその時は米国投資から引き揚げます。

その時もし債券・株を含めた米国ドル離れが進めば、大幅なドル安(円高)で米国物価上昇、ローン金利上昇で消費減衰、米国企業価値の下落などで景気悪化は避けられません。

そうなれば前回書いたように、世界経済の大きな調整が待っていて、米NY連銀の総裁が発言しているように「いずれおこるその調整は穏やかではない」可能性があります。

先日の世界有識者で開かれたダボス会議でも同じ主旨の警鐘が鳴らされていますが、このいつかわからないけどいずれ来る調整のことを、誰も“グローバルなバブル崩壊”であると明言しないのが個人的には不思議でなりません。
かつてないほどの過剰な世界マネーが行き場を失ってしまうという想定はバブルの崩壊そのものを意味していると思います。

もちろん個人的にもそんな波はやって来てほしくないんですが・・。

若者や主婦までが熱狂する、投資信託や株価のアゲアゲムードである日本の昨今では、こんな話題は「臭いものにフタ」状態とは思いますが、少数意見と知りながらあえて書いておきます ・・・このいずれ起こるグローバルバブル崩壊は対岸の火事では済まされず、日本の足元にも悪影響を及ぼす可能性が高い。ゆえに、特に今後イチ日本庶民が資産運用を考える場合には、(昨年実績のような)想定している投資リターン&リスクよりも慎重なスタンスで望まざるを得ない、と。