リナンの全肯定理論。

いわゆるリナンのブログ。

「創造」と水牛

2016-07-06 22:44:31 | 日記
今、一番欲しいのは体力だ。

先日、沖縄へ帰った。父ちゃんの劇団「創造」の55周年記念公演「タンメーたちの春」を観るためである。「タンメー」とは、方言で「おじい」のことをいい、出演者はほぼオジイとオバアしかいないらしい。
「通行人みたいな役でセリフもないよー」と、父ちゃんは言っていたが、いざ帰ってみると、父ちゃんは髪がのびて、ヒゲもぼうぼうで、仙人のような風貌になっており「通行人」にしては役作りはバッチリできていた。
劇はすこぶる面白かった。ウチの父ちゃんは「通行人」ではなく、「座ってる人」だったが。亡くなった戦友を思って、毎日海を眺めている、という老人の役だ。5人の「タンメー」達が、ドタバタコメディを繰り広げている後ろで、ひたすら黙って海を眺めていた。
セリフはない、と聞いていたが、急遽付け加えられたらしく、最後にゆったりと歩いてきて(通行人だ)、なにやら一言、いい声で叫んだ。
いいとこ持ってった感じだ。すごくよかった。グッジョブだった。
55年って、すごいよね。この「沈黙の演技」は、それまでの55年があるから、成り立つものなんだろう。今はいない人たちを思って、ニライカナイに想いを馳せる演技は、演技を超えたところにあるのかもしれないね。

と、ここまではいい感じの滞在だったのだが。

今回、「沖縄、帰ります〜」と言ったら、やっぱりいろんな人に「いいねー!!」なんて言われたので、ちょっと遠慮気味に「いやあ、きっとすごい暑いですよーやだなー」なんて、言っていたのだが。ごめんなさい。ほんっっっっっとに、ヤバイくらい暑かったです。
思い立って、石垣島から竹富島まで足をのばしてみたのだが、暑くて暑くて暑くて、脳みそから「暑い」以外の言葉をひねり出すことができず、久しぶりに来た竹富島を十分に満喫できなかった気がする。アタシ達の牛車を引っ張ってくれた「ピーコちゃん(水牛)」はきっともっと暑かったろうに。ピーコちゃんのためにも楽しまねば、と思い、「安里屋ユンタ」をデカイ声で歌った。
「ねば」で旅するのもどうかと思うが、いや、ホントは楽しいのよ。ただそこに「暑い」のフィルターがブ厚くかかってオモテに出てこないだけなのよ。
アタシの心にはちゃんと残っているのよ。明日へとつながっていくのよ。

いや、体力が欲しい。

とっても充実した滞在だったけど、消化に時間がかかるみたい。

お父様。ピーコちゃん。お疲れさまでした。
ステキな夏をありがとうございました。夏はまだこれからかもしれないが。