好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

『デイグラシアの羅針盤』への一考察。(ネタバレ)

2024-07-31 | その他ゲーム
『デイグラシアの羅針盤』の全体的な構造について少々。

本作は、モチーフに『Ever17』を用いているのは確かだが、その本質は、「(アンチミステリならぬ)アンチアドベンチャーゲーム」なのではなかろうか。

前の日記にも書いたが、本作には「完全なVR」という物がある以上、何が実、何が虚なのか?という事から曖昧である。
考えようでは、プロローグもエクストラも全部引っくり返せてしまう。
「正解の無い物語」なのは明白である。

と、ここで終わったら身も蓋もないから続ける。
以下、当記事では、第1&第2ルートを「惨劇ルート」、第3ルートを「回避ルート」と呼称する。

「惨劇ルート」と「回避ルート」は、主人公の姓名入力で分岐する。
当初、プレイヤーは自分の思いつく名前を主人公に名乗らせる。
つまり、プレイヤーが作中に干渉すると漏れなく「惨劇ルート」へ移行する
その後、明かされた主人公の本名を入力すると「回避ルート」が発動する。
つまり、プレイヤーが作中へ干渉しない事が「回避ルート」へのトリガーになる
ただし「回避ルート」にも、プレイヤーの干渉は残っている。
主人公は偽名を名乗っているはずであり、「回避ルート」は矛盾する。
本当は、主人公しか知らない、プレイヤーには入力不可能な偽名を名乗っているはず。
つまり、プレイヤーはシステム上、決して真相を知る事は出来ない
プレイヤーに出来るのは、提示されている結果から想像するのみだ。

が、そこにブラックスワン論が来る。
「想定外の結果から、その原因を想像するのはナンセンスである」と突きつけられる。
作中の主人公の現実は、主人公しか知り得ない。
筆者である私の現実は、私しか知り得ない。
各々が納得できる“正解”に到達するしかないし、それでいいのだ。

……とまで考えなくても、「回避ルート」が制作側の提示してる事実上の解答と思いますが。

「回避ルート」→
エクストラの最終エピ
プロローグ→
「惨劇ルート2種類」
などの順で読み直してみたら、色々と再発見できるかもしれない。

それでは。また次回。