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海外ドラマ「ウエストワールド シーズン1」の解説VOL6

2022年06月24日 12時34分00秒 | 映画
オープニング映像について。
OPの音楽は非常に単純な旋律の構成で同じような旋律の繰り返しである。作品のテーマであるループを意識しているのだろう。
 機械によってピアノ線が張られていく。これはピアノをホストに見立てているだろう。色的にピアノは白黒だし、コード通りに音楽が進行していく様はホストのコードと同じである。最初は白いホストがピアノを演奏しているが、途中から自動演奏に変わるのは、ホストの進化を表しているんだろう。もしくは人間にコントロールされている軛からホストが解放されるさまを表しているのかもしれない。
 旋律的には最初暗くゆったりと流れ、途中から盛り上がり、最後は転落するような流れで終わる。この物語の行く末を暗示するかのように。


 1-3には特に重要なシーンはない。鏡の国のアリスのシーンはドロレスの内なる声を、あたかも回想シーンのように見せている。重要なのは「私との会話を誰にも聞かれてないね」というくだりである。これはドロレスが自分の心の声が聞こえていることを、周りに秘密にしているということだ。
 解析モードとかいろいろ専門的なやり取りをしているが、基本的にこの対話は(無意識の)自分との対話である。
 これは人間でも心の声と対話するときは、心の中で擬人化した何者かがでてくることと似ている。ただホストの場合は記憶が正確すぎる機械であるから、自己との対話のあらわれ方が、人間とは少し違っていることを映像的に示しているのだろう。

 朝、ドロレスの家のタンスの引き出しから銃がでるシーンと、銃が消えているシーンが繰り返される。また、リーバスを納屋で撃ち殺したドロレスが、逃げるときに腹に銃弾を受けるシーンと受けてないシーンが繰り替えされる。これは単純に現在と30年前の異なった時間軸の中で、同じような事件が起こったというだけである。
 記憶が鮮明すぎるホストが、回収後に記憶を何度も消去されても、何かの拍子で消された記憶を思い出す。それをホストの主観視点で見るとこのような見えかたになる・・・ということだ。

 シーズン1現在のドロレスは、敵の銃弾をかいくぐり馬で一人で逃げた。ウイリアムとあの焚火では合流せずにである。
 記憶のなかで撃たれたドロレスは、逃げるのを失敗したループの一つのパターンだったんだろう。そのループではドロレスは回収され、記憶を消されてまたパークにもどるのである。
 一方30年前のドロレスは、これも敵の銃弾をなんとかかいくぐり、焚火にいるウイリアムと合流する。
 これらのループの記憶が現在のドロレスの中で蘇っているのである。

つづく。


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