理科系人間のマクロビオティックメモ

マクロビオティック・健康に関する考察と情報をつれづれなるままに。

「いまの食生活では早死にする」

2005-06-12 | 本の感想
・アメリカ上院栄養問題特別委員会レポート いまの食生活では早死にする―自分の健康を守るための指針 (今村光一 抄訳・編) リュウブックス

ジョージ・マクガバン議員を委員長とするアメリカ上院栄養問題特別委員会が1977年にまとめた食生活の現状に関する報告書、通称「マクガバン・レポート」を元に、欧米だけでなく日本の食生活についても考察し警告を発する本の改訂最新版です。マクガバン・レポートについてはマクロビ本でよく引き合いに出されるので、どんな内容なのか知りたいと思っていました。

この本が紹介されていたけろさんのブログでのコメントのやりとりで「男性向きの本だ」という話がありましたが、まさにその通りだと思います。あくまで調査結果と現代医学・栄養学の研究成果を元にしていますが、主張していることは「未精製穀物を中心に」「砂糖を減らす」「動物性食品を減らす」など、マクロビオティックとかなり共通しています。引き合いに出される理由がよくわかりました。

この本で挙げられている現代食生活の問題の中では、カロリー源の問題(動物性・砂糖の過剰)にも増してビタミン・ミネラルの不足が克服困難に感じられました。多種類のビタミンやミネラルのうちいずれが不足しても健康に悪影響があるという性質がある(この本では「生命の鎖」という言葉で表現)上に、化学肥料や農薬によって食品中の含有量が減ってきているからです。

マクガバン・レポートに出てこない(と思われる)ものも含めた様々な研究結果についても紹介されています。その中で興味深かったものをいくつか拾ってみます。

・アメリカに移住した人たちは、世代を経ると各ガン(大腸ガン、胃ガン、乳ガンなど)の発生比率がアメリカ人に似てくる
・脂肪を多く摂ると、腸内細菌のうちデオキシコール酸という発ガン性物質を生成する細菌が増える(→ 欧米人のように大腸ガンが増えると考えられる)
・脂肪は肥満の原因となるだけでなくインスリンの働きを直接阻害する性質があり、摂り過ぎると糖尿病の原因となる。逆にでんぷん質にはインスリンの効率を高める性質がある
・20世紀初頭のアメリカ人は今よりもカロリー摂取量が多かったが、肥満などという問題はなかった。今は食事のバランスが悪く、エネルギー代謝効率が低下している(同時に、カロリーだけを指標にしてもダメということを表していると思います)
・マクガバン・レポートによると、アメリカ人の摂取カロリーの24%は砂糖。また北欧三国ではカロリーの60%を脂肪と砂糖で摂っている。20世紀初頭には30%以下だった

食生活について、情緒的・思想的でないものを読みたい人にはオススメの本です。