理科系人間のマクロビオティックメモ

マクロビオティック・健康に関する考察と情報をつれづれなるままに。

食べる割合(2) 歯の数

2005-04-11 | マクロビを学ぶ
マクロビオティック関係の本を読んでいると、食べる量の比率について以下のような記述がよく出てきます。

人間の歯は臼歯(奥歯のような歯: 穀物をすりつぶす)20本、門歯(前歯のような歯: 野菜を切る)8本、犬歯(とがった歯: 肉や魚を食いちぎる)4本の計32本。食べる量もこの比率に従って穀物・野菜・肉魚類をおよそ5 : 2 : 1の割合とするべきである

この話、どうも納得がいきません。

草食動物は臼歯が、肉食動物は犬歯が発達しているというのは事実なので、臼歯が発達しているほど草食に近いということは言えますし、人間は穀物を中心に食べるべきだというのはいいのですが、だからといって歯の数と食べるべき量が比例するというのは飛躍していると思います。

今のような料理法のなかった原始人のことを想定しても、肉を食べる時には臼歯も門歯も使っていたでしょう。また犬歯というのは肉を食べる時というよりも獲物をつかまえる時に使うもので、実際ライオンは食べる段になるとほとんど肉を噛まないそうです。このように、同じものを食べるにも異なった種類の歯を組み合わせて使い、かつ歯の種類によって用途(食べる、つかまえる)が違うのに単純に「歯の数の比 = 食べる量の比」としてしまうのは無理があると思うのです。

とはいえ、推奨されるべき食物摂取比率がたまたま歯の数の比率に近いので、歯の数を使って食べる量を説明するのがなんとなくわかりやすく便利であり、したがってそういう説明をよく見かけるというのが実際のところではないでしょうか。だから追及するのはヤボな話なのですが。

ついでに、人間と同じ雑食動物である犬と猫の歯の数を調べてみました。

・犬: 門歯12, 犬歯4, 臼歯26(前臼歯16, 後臼歯10), 計42
・猫: 門歯12, 犬歯4, 臼歯14(前臼歯10, 後臼歯4), 計30
・人間: 門歯8, 犬歯4, 臼歯16(前臼歯8, 後臼歯8), 親知らず4, 計32

犬は歯が多いんですね。門歯と犬歯の数は犬猫で同じですが、臼歯の数が大きく違います。また、よく書かれる「人間の臼歯は20本」というのは親知らずを含めての本数です。

[参考ページ]
動物の歯と食べ物の関係 (東山動物園)