@telier OWLのブログ(アトリエ アウルのぶろぐ)

くつと修理とその周辺…日々の記録です。

新規内張り取り付け

2022-01-26 21:02:23 | カバン修理
内張り布がついてない革ショルダーバッグです。床面(革の裏側)がむき出しのため、入れたものに革の粉がつくということで新規に内張りをつけて欲しいというご依頼です。


通常の内張り交換では取り外した元のものから型紙を作成しますが、今回のように元から内張りがないという場合はバッグサイズから新規に型紙を考えないといけません。
何もないところからぴったり合う内張りを作るのは難しいです。

しかし型紙にできる内張りがあったとしても、傷みや伸縮がありそのとおりに作っても微妙に合わない(あるいはまったく合わない)ことは多々ありますので、
ぴったりの内張りを作るための試行錯誤はデフォルトです。

↓修理前



★タグは新規内張りに移植します。



シルバー表革に合う内張り生地、何種類か見本見て頂いて、薄いグレーをご希望されました




↓修理後













お客様から
「最初からこういう内張りがついてたみたいです」と言って頂けました。それは修理人にとって最高の褒め言葉です。

ありがとうございます。


天然クレープソール紳士靴、つま先とカカトの修理

2022-01-22 16:24:00 | くつ修理
スエード革紳士靴
生ゴムソール、
つま先とカカトの修理です。

いつも利用する修理屋さんに問い合わせたら生ゴムは在庫がないとのことで
当店にご依頼ありました。
しょっちゅう使う素材ではありませんが、一応在庫はしています。

生ゴム…天然クレープとも呼ばれます。
修理はやりにくい素材です。
接着しにくいです。きれいに削れません。削ったあとのグラインダーはフワフワのネトネトの生ゴムの削りかすでいっぱいです。雪だるま式にまとめていって、ギュッとしたらまたゴムのかたまりになります。掃除、楽なのか厄介なのか判別つきにくいです。けれども細かくあちこちに散って付着した黒ずんだ生ゴムの削りかすを目にするとなんとも言えない気持ちになります。

履き心地、かなりクセがあります。
軽くもありません。
しかし私は天然クレープ底靴は嫌いではありません。たぶん好きだと思います。修理はしにくいですが。

↓修理後
つま先減りを生ゴムで補充し、カカトも交換しました。





黄色が目立ちますので
馴染むように着色しました。








トリーバーチ バッグの仕切りを取り外す修理

2022-01-15 23:47:20 | カバン修理
今回の依頼内容は
『バッグ内張り中央の仕切りを取り外してほしい』というものでした。
仕切り分重たかったり物が入れにくかったり、仕切りがないほうが使いやすい場合もありますね。
修理というよりカスタムになります。


バッグ修理はほどいたりばらしたり工程は多いです。
バッグの構造によりいろいろと調整や加工が必要にもなります。
今回仕切りを取り外した跡が穴になってしまいますので、できるだけ違和感ないように穴を塞がないとだめでした。取り外した仕切りの布がありましたのでカットして使用させて頂きました。

はがしたパーツを再度はりあわせるのは新しく作るより難しい作業です。
フチの再コーティングも同様です。
まったく元どおりの仕上がりにはならないことは事前にお客様にお伝えしておりますが、なるべく元に近い状態を目指して頑張りました。

↓修理前



↓修理後










婦人ブーツのファスナー引き手とカカト修理

2022-01-14 16:33:13 | くつ修理
婦人ブーツのファスナーの引っ張るところが壊れたのとカカトすり減りの修理依頼です。

①ファスナーの引っ張るところの修理。
ご自分で代用の金具をつけておられました。

■ファスナーについて
本体金具は"スライダー"、引っ張るところは"引き手"といいます。
ブーツのファスナーは"ストッパー付き"のスライダーがつけてあります。引っ張らない状態ではロックがかかり勝手に開いたりしません。ブーツやジャンパーはだいたいストッパー付きです。引き手も抜けないようになっているため引き手が破損しても『引き手』交換はできませんでした。しかしファスナー自体は壊れてなければ何か別の金具で代用すれば使えるのです。

今はネットでファスナーのパーツなども売っていて、ストッパー付きファスナーに簡単に取り付けられるバネ式の引き手も個人で入手できます。
昔はそういものはなくてスライダーごとの交換を提案していました。両足だと値段が結構しますので心苦しかったです。
修理のために縫い目をほどいたり分解したりするとどうしても負担がかかります。愛用品に負担をかけず安価でまた使えるようになるならそれがいちばんです。

合いそうな引き手を取り寄せて取り付けました。


②カカト修理
新しいゴムでカカトを交換しました。

↓修理前
両足とも引き手が壊れています。





↓修理後