@telier OWLのブログ(アトリエ アウルのぶろぐ)

くつと修理とその周辺…日々の記録です。

象革マネークリップの修理

2020-02-08 12:11:01 | 過去のブログ2021年10月まで
ようやくブログ記事と現実の時間がリンクしてきました…(^-^)

象革マネークリップ、
長年愛用されてきたと思われます。
角が全体的に傷んでいます。
ところどころ欠損もみられます。
あと、金具もネジが効かなくなって
ゆるゆるでお札も挟めなくなっています。

どんなに大切に使っても
傷むところは傷むのです。

角が擦りきれた場合、
別の革でふちどりして縫うような
パイピングの修理することが多いです。
今回のお客様も他の修理店でお見積もりされ、そのような修理方法を提案されたようですが、それでは雰囲気がだいぶ変わるということでキャンセル。

アトリエ・アウル、ホームページの象革長財布の修理を見て頂いて遠方よりご依頼頂きました。

最初はパイピングではないあて革の修理方法でお話ししていたところ、お客様のほうに使用されていない象革の長財布があるということで。
その象革長財布を解体し、上の革のみマネークリップのほうにはりかえる…という修理になりました。
裏側(カードケース6枚収納の黒い革)パーツはそのまま使います。
それと、マネークリップ金具の交換も。



↓修理前





↓マネークリップ金具が入っている中央折り目…縫い目が切り取り線となり、ちょっと裂けています。






修理する象革マネークリップと解体して利用する象革長財布



マネークリップ、ばらしました。



未使用長財布、ばらして折り目も伸ばしました。


こういった財布の革はとっても薄くて華奢なのです。糸もしっかり目が締まっているし、ほどきにくいです。
ほんの少しの力でも破れやすいので、道具も使いながら慎重に。





新しいマネークリップ金具




ばらした長財布からマネークリップの大きさにとれる革は1枚~無理して2枚分。
けれどブランドロゴも入った表側のいちばん良い部分を使いたいので…つまり一発勝負(深呼吸)。



↓修理後









ホームページ、まったく更新できてないのに見て頂いて修理も依頼して頂いて感謝です。



ARTPHER 紳士本革ショルダーバッグの オールケア

2020-02-04 23:56:55 | 過去のブログ2021年10月まで
オールケア=悪いところ全部修理

リサイクルショップで掘り出し物価格で購入し、長年愛用されてきたカバン。
革の経年変化、色褪せ、へたり具合が丁度良い感じ。

しかし傷み過ぎて折り目や縫い目が切り取り線状態…破れ・擦りきれ・大きな穴&内張り生地も裂け裂けのボロボロ。
カバンとしての機能面に問題が。
カバンの構造によって変わりますが、共通して傷みやすいのはやはり負荷がかかる部分。

今回のカバンでは、
・ショルダーストラップの付け根
・開閉を繰り返すマグネット
・カバンの口まわり
・底面の角4ヶ所
・その他角や折り目・縫い目
・内張りは合成皮革ではないので劣化はないが生地が破れてボロボロ
など、重症でした。

修理内容
①内張り交換
②マグネット交換4ヶ所
③破れ(穴1ヵ所)補修と当て革※左右対称
④底、コーナー傷み4ヶ所補修
⑤革の傷み・破れかけ、全体補修
⑥持ち手補修
⑦ショルダーベルト交換
⑧ショルダーストラップ部分革補修
⑨色補修・保湿

↓修理前
















↓修理後











↓大きな穴があいていた部分は穴埋め補強してからあて革して縫っています。ここはショルダーストラップの根付けがあるためどうしても傷みやすいようです。左右対称・デザイン風に穴のあいてない反対側も同じ仕様にしています。







ひび割れてきていた持ち手元部分は同系色の革で補強(焦げ茶部分)
裏側の革は新しくしています。
今回は、まるまる作り替えるのではなく
なるべく現存のパーツを活かしつつ
見えない部分をしっかり補修しています。












↓取り外した内張り生地やパーツ