Renaissancejapan

哲学と宗教、財閥、国際政治、金融、科学技術、心霊現象など幅広いジャンルについて投稿しています

「どちらが不人気か」問う大統領選 米民主主義の力そぐ

2024-06-29 08:57:21 | 米大統領選2024


米大統領選に向けたテレビ討論会。4年ぶりとなった直接対決は激しい中傷合戦となった=ロイター

 

どちらにも投票したくない――。今年の米大統領選の特徴は、こう考える有権者の割合が歴史的な高水準にある点だ。

27日に開かれた初のテレビ討論会も、こうした事情を映す展開となった。不人気ぶりを競い合う異例の選挙戦は米国の民主主義の求心力をそぎかねない。

 

 

テレビ討論会は非難の応酬に

討論会は相手の好感度を下げる言葉が飛び交った。「この男には米国の民主主義の感覚が欠けている」。

バイデン大統領がこう罵倒すれば、トランプ前大統領も「米国は途上国に成り下がった。恥ずべきことだ」とバイデン氏の政権運営をあげつらった。

米紙ニューヨーク・タイムズの試算では、バイデン氏は話した時間のうち35%、トランプ氏は44%をそれぞれ相手への攻撃に費やしたという。

2020年に開かれた2回の討論会と比べてその割合は高まった。

 


バイデン大統領は防戦を余儀なくされ、精彩を欠いた=ロイター

 

現職が再選をめざす大統領選は、その候補の実績を問う信任投票の色彩を帯びる。

このため、挑戦する相手候補は成果が出ていない課題などを攻撃し、支持層を引きはがそうとするのが通例だ。今回はともに大統領経験者であり、双方にとっての信任投票の側面がある。

 

選挙戦はおのずと「中傷合戦が過熱し、ネガティブになってしまう」(米選挙ストラテジストのマーク・メルマン氏)。今回の討論会はそれを象徴する。

 

 

「どちらの候補も嫌」が25%

どちらの候補も嫌だという「ダブルヘイター」の存在がこうした傾向に拍車をかける。

米ピュー・リサーチ・センターによると有権者に占める割合は25%にのぼり、1988年以降で過去最高だ。候補としての好感度(「好ましい」から「好ましくない」を差し引いた数値)も80年以降で2番目の低さである。

 

 

<picture class="picture_p166dhyf"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5022255027062024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=520&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=9679c6a330ee54ece7c0d5abf8418feb 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5022255027062024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=1040&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=6080851567d984b46b177ef9affa6ca9 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5022255027062024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=520&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=9679c6a330ee54ece7c0d5abf8418feb 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5022255027062024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=1040&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=6080851567d984b46b177ef9affa6ca9 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5022255027062024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=489&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=170e98ffb21a6346167bd51fd8501577 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5022255027062024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=978&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=946cd30623330a93cf8f3bcbfb83a10c 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5022255027062024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=489&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=170e98ffb21a6346167bd51fd8501577 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5022255027062024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=978&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=946cd30623330a93cf8f3bcbfb83a10c 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5022255027062024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=489&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=170e98ffb21a6346167bd51fd8501577 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5022255027062024000000-2.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=978&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=946cd30623330a93cf8f3bcbfb83a10c 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>

前回と同じ顔ぶれという刷新感のなさに、高齢への批判などが重なる。この結果、両陣営の選挙戦略は支持層へのアピールを優先するあまり、幅広い米国人に訴えかけて支持を広げる努力はおろそかになりがちになる。

 

 

バイデン氏、長年の民主支持層が離反

バイデン陣営を悩ませているのは、若者やヒスパニック、黒人といった民主党の金城湯池のはずの支持層の離反だ。若者が政権の対応を批判するパレスチナ自治区ガザの衝突は収束の兆しがみえない。

 


トランプ前大統領は不法移民やインフレについて激しく攻撃した=AP

 

討論会でバイデン氏は「イスラエルには必要な武器をすべて提供している」「人口密集地帯で武器を使うのは注意を要する」などと話した。

選挙資金を頼るイスラエル、票離れを食い止めたい若者の双方に配慮する苦しい釈明に追われた。

 

明らかに精彩を欠いた討論会のパフォーマンスは、若者に多かった高齢のバイデン氏の勇退論を改めて勢いづかせつつある。

不法移民対策としてバイデン氏が再開を決めたメキシコとの国境の壁建設は、ヒスパニックの不興を買っている。討論会ではトランプ氏から「(不法移民の増加が)黒人やヒスパニックの職を奪っている」などと激しい攻撃を受けた。

 

討論会でバイデン氏は「イスラエルには必要な武器をすべて提供している」「人口密集地帯で武器を使うのは注意を要する」などと話した。選挙資金を頼るイスラエル、票離れを食い止めたい若者の双方に配慮する苦しい釈明に追われた。

明らかに精彩を欠いた討論会のパフォーマンスは、若者に多かった高齢のバイデン氏の勇退論を改めて勢いづかせつつある。

不法移民対策としてバイデン氏が再開を決めたメキシコとの国境の壁建設は、ヒスパニックの不興を買っている。討論会ではトランプ氏から「(不法移民の増加が)黒人やヒスパニックの職を奪っている」などと激しい攻撃を受けた。

 


バイデン政権の中東政策への抗議デモは討論会の会場外でも開かれた=ロイター


 

いずれも解決は一筋縄ではいかないテーマが絡む。これらの支持層は激戦州の勝敗を左右するだけに、どうつなぎ留めるかの防戦を余儀なくされている現状がある。

 

 

トランプ氏は岩盤支持層を意識

トランプ氏も事情は似通っている。連邦議会占拠事件で訴追された自らの支持者を「平和的愛国者」と擁護した。

「MAGA(Make America Great Again)」と称される岩盤支持層を意識したものにほかならない。

 

こうした民主主義の健全性を損なう言動は穏健な共和党の支持者を遠のかせかねないが、トランプ氏は気にかけない。

就任当初、バイデン氏は「分断させるよりも結束をめざす大統領になる」と訴えかけていた。

 

最近はほとんど口にしない。英誌エコノミスト系のシンクタンクが算出する米国の民主主義指数は16年以降「欠陥がある」と分類され、バイデン政権下で最低の数値を更新したあとも改善しないままだ。

 

<picture class="picture_p166dhyf"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5025702027062024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=425&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=efd91e6019fa39504728921128c4bddd 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5025702027062024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=850&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=c7de2e7d8b7a5241b55a21259c4e2ab0 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5025702027062024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=425&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=efd91e6019fa39504728921128c4bddd 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5025702027062024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=850&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=c7de2e7d8b7a5241b55a21259c4e2ab0 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5025702027062024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=399&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=7151d0400f502c7eefafb0d4c32f5c45 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5025702027062024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=799&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=22e1e6845574c0d1ba53b63d9a7f5720 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5025702027062024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=399&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=7151d0400f502c7eefafb0d4c32f5c45 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5025702027062024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=799&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=22e1e6845574c0d1ba53b63d9a7f5720 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5025702027062024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=399&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=7151d0400f502c7eefafb0d4c32f5c45 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5025702027062024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=799&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=22e1e6845574c0d1ba53b63d9a7f5720 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>
トランプ前大統領は有罪評決の影響が気にかかる=ロイター

ウィーン大シニアリサーチフェローのマーティン・ヘーゼルマイヤー氏によると、選挙戦のネガティブキャンペーンは政治の二極化を進めたり、同じ政党の中でも意見対立を深めたりするリスクがある。

米CNNによると、討論会でトランプ氏が勝ったと答えたのは67%、バイデン氏は33%だった。自信を深めるトランプ氏は9月にある2回目の討論会も今回と同じようなスタイルで臨むだろう

 

しかし、次も同じような光景が繰り返されれば、分断はさらに深まり米国の民主主義をむしばむに違いない。

 

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。