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「代替肉」特許、日本2位 日清食品HDは細胞ステーキ

2024-05-23 13:08:04 | 科学技術・宇宙・量子・物理化学・生命・医学・生物学・脳科学・意識


天野エンザイムは特許価値ランキングで世界6位に入った=同社提供

 

培養肉や植物肉など肉や魚に代わる「代替たんぱく質」の開発で日本企業の存在感が高まっている

。関連特許の価値は日本が米国に次いで世界2位だとわかった。

 

企業・団体別で世界の上位に入る中小企業もあった。世界の人口増加や経済成長で代替肉の市場規模は2050年に138兆円に達する見込みだ。

日本が世界の産業をけん引する可能性がある。

 

 

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代替たんぱく質は家畜由来の食品に代わるたんぱく源だ。大豆など植物から作る、家畜の細胞を培養する、藻類や酵母など微生物由来、昆虫食などに分けられる。

 

特許調査会社のパテント・リザルト(東京・文京)と協力し、4月末時点で企業や研究機関が出願した代替たんぱく質製品の開発に役立つ特許を調べた。

特許の価値をスコアで算出した。国別の首位は米国(4340点)で、日本は2位(2570点)だった。スイス(1740点)と中国(1651点)が続いた。

 

 

組織別では日本から不二製油と天野エンザイム(名古屋市)、日清食品ホールディングス(HD)の3社が上位20位に入った。

医薬品酵素剤を手掛ける天野エンザイムは特許スコアが組織別で6位だった。

 

植物のたんぱく質をコーヒー飲料などに使うための特許を出願済みだ。

たんぱく質を酵素で処理して水に混ざりやすくし、牛乳の代わりに使う。宗教上の理由で動物性たんぱく質を食べない人や菜食主義者の需要を見込む。この技術を活用した食品が海外で販売されている。

 

同社は微生物由来の酵素の開発に強みを持つ。

19年以降の出願特許のうち、代替たんぱく質関連は4割に上る。山口庄太郎常務取締役は「欧米の植物性たんぱく質の市場は日本より大きく、海外を中心に戦略的に出願している」と話す。

この他にも植物のたんぱく質を酵素で部分的に分解してうまみ成分を増やし、肉のようなジューシーな味を出す特許も出願している。

 

 

植物肉、東南アジアに輸出

2位に入った不二製油は、植物からバターやチーズに味や食感が似た食品を作る特許を持つ。

1969年に大豆から作った植物肉製品を発売するなど、代替たんぱく質の市場をけん引してきた。2022年には食感やうまみを肉に近づけた大豆由来の代替肉を発売した。焼き肉や唐揚げなどに幅広く使える。

 

不二製油グループ本社の芦田茂・PBF事業部門副部門長は「環境保護や健康志向の流れで大豆から作る植物肉などの人気が高まった」と話す。

植物肉や植物たんぱく質製品の販売先で、タイなど東南アジアへの輸出が増えた。大豆から作るバターやクリームの原料も菓子やパンのメーカーに供給している。

 

日本で初めて食べられる培養肉を作った日清食品HDは、16位に入った。大豆や小麦から肉に似た食品を作ったり、植物のたんぱく質を加工して食味を肉に近づけたりする特許を公開済みだ。

培養肉は東京大学と作った。細胞の培養に独自開発の食用可能な血清を使う。

 

牛の筋肉の細胞を育てたステーキ肉を25年までに作る目標を掲げる。23年には大豆のたんぱく質や植物の油脂を使ったうなぎのかば焼きを数量限定で発売した。


 

世界の人口増加と新興国の経済成長を背景に、代替たんぱく質の市場は急成長する。

三菱総合研究所の予測によると、植物肉や細胞を培養して作る培養肉の市場規模は50年に138兆円と25年比で12倍に増え、食肉市場の57%を占める。

 

肉の生産に必要な家畜の飼料や農業用水が世界で今後不足しそうだ。

人口増加に対して畜産物の供給が追いつかず、十分な食料を手に入れられない人が世界で増える可能性が高い。不足するたんぱく質を補うため、代替たんぱく質の普及が待たれている。

 

代替たんぱく質は温暖化ガスの抑制も見込まれる。畜産だと動物のげっぷから発生するメタンなどが、代替たんぱく質だと減るとされる。

世界の食品大手も代替たんぱく質の開発に意欲的だ。1位のスイスのネスレは、植物のたんぱく質などを加工し、食感や見た目が肉と近い食品を作る特許を持つ。培養肉や動物たんぱくを含まないミルクをつくる技術の研究も進める。

 

 

安全性担保の規格づくり必要

中国勢では8位の江南大学が最高位だった。大豆から脂肪分が少ないアイスクリームを作り、植物由来のたんぱく質に硫黄を含むアミノ酸を加えて肉の風味に近づける特許を持つ。10年の81位から順位を徐々に上げた。

開発が活発になってきた代替たんぱく質だが、普及には課題も残る。三菱総研の山本奈々絵シニアコンサルタントは「植物肉の味や食感を肉に近づける添加物の使用や表示に関するルールが要る。

 

培養肉は製造過程や製品の安全性を担保する規格が必要だ」と指摘する。

シンガポールと米国、イスラエルは培養肉の販売を許可した。日本も市場形成に向けた制度の整備が必要となる。

(草塩拓郎、尾崎達也、下野谷涼子)

 

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

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福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士

分析・考察

以前も書きましたが、牛肉1kgの生産にはトウモロコシ11kgと大量の水を要する、というデータは有名です。

そんな負担に耐える資源も土地も、そして温暖化の余力も地球のどこにもありません。

減・肉食はもはや選択の問題ではなく、事実ですね。

ですから代替たんぱく技術、良いでしょう。

ただひとつ。 大豆に肉の真似をさせるのは、無理気味というか、どうも肉食を減らすための過渡的な技術では、と思えます。

少なくとも私たちには親から続く、豆腐・煮豆・味噌・納豆・湯葉・豆乳料理・・・と、豊かで美味しい大豆の食べ方はありますね。

大豆の楽しみ方をもっと世界に伝えるのも、結構代替たんぱく源の主役にならないか、と思えました。

 (更新)
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吉高まり
三菱UFJリサーチ&コンサルティング フェロー(サステナビリティ)

分析・考察

代替肉に「」がついているが、日清食品のカップヌードルは食料、栄養不足で生まれた商品で、そこでの「肉」は消費者にとっては味や見た目であったのではないか?

これだけ特許が多い中、プラントミートとネーミングを変えても国内市場は拡大していない。

味もよいし若い世代にヴィーガンが増えてきてもだ。

人口が減少し、食料や肥料を輸入に依存する我が国にとって、世界の様々な課題(気候変動、人口増加、サプライチェーンリスク等)がもたらす多大な影響が、安価で高品質の食に慣れている消費者に伝わりづらいのかもしれない。

アグリテック分野の技術がわが国にあっても、海外でまず市場が先行し、日本でという、いつものパターンになりかねない

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日経記事2024.05.23より引用

 

 


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