国内最大級のインターネット技術の展示会「Interop Tokyo 2024」が2024年6月12日、千葉・幕張メッセで開幕した。
国内外の企業が出展し、開催初日の同日には3万8459人が来場した。
インターネット技術の展⽰会「Interop Tokyo 2024」の会場の様子(写真:日経クロステック)
Interopの大きな見どころの1つは、会場に例年構築されるデモネットワーク「ShowNet」である。
出展者や来場者が実際に利用するネットワークであると同時に、最新の技術や機器を惜しげなく投入した最先端のデモンストレーションになっている。
ShowNetのネットワーク機器が収められた10台以上のラックは会場に展示され、来場者は機器が稼働する様子を確認できる。
今回のShowNetは、総勢600人以上が同年5月末からおよそ1週間半かけて構築した。提供を受けた機器やサービスの数は約2300。有線LANケーブルの総延長は約24.5km、光ファイバーの総延長は約8.0kmに及ぶ。
惑星間通信を想定した遅延耐性ネットワーク
今回のShowNetでまず注目を集めたのは、遅延耐性ネットワーク(DTN)のデモである。
DTNは、中断や切断が多発したり大きな伝送遅延が生じたりする劣悪な通信環境でも信頼性のあるデータ転送を実現する通信方式。ShowNetでは「惑星間インターネット」を想定して実装した。
遅延耐性ネットワーク(DTN)のデモの様子(写真:日経クロステック)
デモの背景にあるのが、米航空宇宙局(NASA)が中心になって進めている「アルテミス計画」だ。
同計画では現在、2026年9月までに月に人間を送り込むことを目標としている。月での人間の活動が始まれば、月と地球との間で通信が必要になる。
ところが月と地球の間の距離は約38万km、地球約10周分であり、通信の遅延が極めて大きい。そこで月と地球の間、さらには惑星間の通信を念頭に、手始めとしてShowNetにDTNを取り入れたという。
インターネット経由の番組制作を実演
3つ目の注目点は、インターネットを経由した「リモートプロダクション」の実演である。
リモートプロダクションでは、実際に映像を撮る中継先と制作作業をするスタジオを回線でつないで番組を製作する。この回線としてインターネットを利用した場合の挙動や品質を検証する目的で、複数のテレビ局とInterop会場をインターネットでつないで番組制作を実演した。
リモートプロダクションのデモの構成(写真:日経クロステック)
実演が見られるのはShowNetの展示ブースに設けられた「Media Operation Center(MOC)」。
参加した放送局はNHK、日本テレビ、テレビ北海道、テレビ朝日の4社。Interopの会場で撮った映像をインターネットを通じてNHKと日本テレビ、テレビ北海道の各放送局に送り、加工した上で返送された映像をMOCの前に設置したモニターで流していた。テレビ朝日は機材の準備に協力した。
![リモートプロダクションのデモの映像](https://cdn-xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/09414/tv.jpg?__scale=w:500,h:325&_sh=04204f07c0)
日経記事2024.06.14より引用
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