被団協のノーベル平和賞受賞が決まり、取材に応じる被爆者の川野浩一さん
(11日午後、長崎市)=共同
【ロンドン=湯前宗太郎】
ノルウェーのノーベル賞委員会は11日、2024年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(被団協)に授与すると発表した。
被団協は広島と長崎の被爆者の全国組織で、原爆投下の11年後の1956年に結成された。核兵器の非人道性を広めるための草の根運動が評価された。
日本のノーベル平和賞受賞は1974年の佐藤栄作元首相以来、50年ぶりだ。佐藤元首相は非核三原則を表明し、核拡散防止条約(NPT)に署名するなど、核縮小に尽力した。
ノーベル賞委員会のフリードネス委員長は被団協の授賞理由として「核兵器のない世界の実現に向けた努力」を挙げ、「核兵器の使用がもたらす人道的惨事に対する認識を高めるために尽力してきた」と語った。
被団協は約70年にわたって、核兵器の廃絶などを世界に訴えてきた。世界各地で原爆の写真展を開催するなど地道な活動を継続。
核兵器の開発や保有などを法的に禁止する、核兵器禁止条約の交渉会議では被団協が中心となり、約300万人分の署名を集めて採択を後押しした。
核兵器禁止条約は2021年1月に発効した。地道な活動が世界の核兵器の抑制につながってきたことが受賞の背景にある。
フリードネス委員長は、「被団協をはじめとする被爆者代表の並々ならぬ努力は、核兵器の使用禁止という概念の確立に大きく貢献した」と述べた。
授賞式は12月10日にオスロで開く。賞金は1100万スウェーデンクローナ(約1億5700万円)。24年の平和賞候補には197人と89団体の推薦があった。
2024年ノーベル平和賞は日本被団協の受賞が決まった=ノーベル平和賞の公式X(旧ツイッター)の投稿から
村上芽日本総合研究所創発戦略センター チーフスペシャリスト
ひとこと解説
平和賞の候補には、公的な機関や政治家、民間では教育機関なども含め、かなり多様な団体や個人があがります。
その中で、1956年の設立から現在に続く被団協の活動に、今年という年にスポットライトが当たったこと、ノーベル賞委員会もやるなあ、とまず感じました。
一方、被団協の活動をよく知っている人がどれだけいるか、自分も含め、これを機会に増えるであろう報道を通じて学び直す義務があると感じました。
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2024年のノーベル賞発表は10月7日(月)の生理学・医学賞からスタート。物理学賞は8日(火)、化学賞は9日(水)、文学賞は10日(木)、平和賞は11日(金)、経済学賞は14日(月)と続きます。
日経記事2024.10.11より引用