中国は米国の相互関税に同じ税率で報復する方針だ
【北京=塩崎健太郎】
中国政府は4日、米国からのすべての輸入品に34%の追加関税を課すと発表した。
トランプ米政権が発表した相互関税への報復措置で、米国と同じ税率を上乗せする。10日午後0時1分(日本時間10日午後1時1分)から発動する。
中国は2月と3月にそれぞれ対米報復措置として10〜15%の追加関税を発動していた。
現時点で追加関税の対象である米国産の石油や液化天然ガス(LNG)、農産品などに上乗せする形となる。中国国務院(政府)関税税則委員会は声明で「米国のやり方は典型的で一方的ないじめ行為だ」と批判した。
中国商務省は米国の相互関税について世界貿易機関(WTO)に提訴したとも明らかにした。
「WTOルールへの重大な違反であり、グローバル貿易と国際経済の秩序を損なう」と反発した。米国に対し関税措置の即時取り消しを求めた。
これまでの報復措置と同様、今回も関税以外の対抗手段を組み合わせた。政府は4日、電気自動車(EV)に使うジスプロシウムなど7種類のレアアース(希土類)を輸出規制の対象に加えた。
中国当局の許可がない限り、輸出業者などは輸出できなくなる。
米ドローンメーカーのスカイディオなど米国企業11社を「信頼できない企業」のリストに追加して制裁対象とした。
中国関連の輸出入活動を禁止し、中国での新規投資も禁じる。米国企業への規制を強めて経済的な打撃を与える狙いだ。
トランプ米大統領は4日、自身のSNSに「中国は間違った対応をした。パニックに陥ったのだ」と投稿した。
トランプ氏は米時間2日、相互関税として中国に34%を課すと発表した。一律にかける10%の基本税率を日本時間5日午後1時1分、上乗せ税率を同9日午後1時1分に発動する。中国には既にかけた計20%の追加関税とあわせて計54%になる。
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