越前五山は越知山・白山・文殊山・吉野ヶ岳・日野山をいうそうで、いずれも泰澄大師の伝承を持つ。中では白山が飛びぬけた規模の山になる。
文殊山は福井市の南、鯖江市の北に位置する標高355メートルの山である。西に向かうと山一つ越えた谷が一乗谷となる。極めて里近い山である。麓の集落のそれぞれから登山ルートがある。
ざっと調べたところ、大村集落からのルートが一番緩やかで初心者向けで誰でも登れる、とあったのでチョイス。
登り口には楞厳寺(りょうごんじ)という寺がある。山の東側から登る、ということである。
楞厳寺脇の観音堂内に、西行の歌があった。
「越に来て、富士とや云わん角原の 文殊ヶ嶽の 雪の曙」角原は文殊山の西側にある集落だ。角原ルートもある。その西を北陸道が南北に走っていたはずで、西行が来て文殊山を望んだとしたら不自然はない。しかし、西行がいつ来たのやら、よくわからない。
楞厳寺脇に駐車場があり、地元の人が誘導してくれる。三々五々、前後の人が見え隠れする程度ににぎわっている。これなら熊は大丈夫だろう。
よく整備された気持ちのいい道、傾斜の緩いルートとはいえ、山は山、30分登ってベンチがあったので一休み、ツチノコ坂休憩所とある。この辺で半分か。
なんとか登って行く。二上からのルートと合流する。さらに登って小文殊。
大杉と阿弥陀堂
そこからしばらくは下り道、それから展望台へ登っている。結構な急坂だ。
展望台から南を見るとすぐ下が南井(なおい)の集落だ。
この集落は斎藤実盛の生誕地ということになっている。実盛が植えたというヒイラギや供養塔もある。
南井からのルートはだいぶきつそうだ。
日野山も見える
北には福井平野が広がる。
文殊山の北側は糞置遺跡がある。縄文・弥生と続いてきた遺跡だが、特に知られているのは奈良時代東大寺の荘園が置かれていたことで、絵図面がある。その絵図と付近の景観が一致することで有名だ。
太田町に案内板が立っている
来た道を戻る。下りで楽と思ったが、結構膝へくるようだ。
だいぶ降りて、楞厳寺裏手の墓地へ出れる分かれ道がある。
右の道を一気に下って楞厳寺裏へ。松平忠直の隠し墓とか。