ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

ある一言

2018-08-03 | アメリカ事情

Photo Credit: Sara Forrest for Reader's Digest

Desmond Powell デズモンド・パゥエル


 

2015年11月の暗く肌寒い夜9時のこと。デズモンド・パゥエル(17歳)は、ニューハンプシャー州マンチェスターの空いている7車線の道に沿って、バスケットボールの試合から帰宅途中だった。母親と夕食を食べるのを楽しみにしていた。彼はグラナイト通りの橋に近づくにつれ、おかしいなと思える何かに気付いた。橋のセメントの欄干に座り、約100フィート下のメリマック河にむかって足をぶらぶらとさせている人がいた。


 

「最初は、彼はただそこでたむろしているのだろうと思ったんです。けれど、僕が近づくにつれて、彼が何かつぶやいたのを聞いたのです。そして、明らかに『飛び降りるか』と彼が言ったのを聞いたんです。」とパゥエルは言う。


その見知らぬ人は、おそらく20代のすらりとした男だ、とパゥエルは思った。黒い服装で、赤い髪の上には、野球の帽子を被っていた。 「あのう、何しているんですか?」パゥエルは尋ねた。彼は、この見知らぬ人を驚かせたくなかったので、約6フィート離れたところでとどまった。


その男は言った。「飛び降りるんだよ。」


「彼の声には心の痛みを感じたんですが、僕は彼が本当にそうしたくないのだということが感じ取れました。彼は、ただその痛みにどう対処していいのか他の方法がわからないのではないかと、僕は感じたんです」とパゥエルは言う。 (自殺思考はしばしば鬱病に由来し、うつ病の隠れた徴候である。)


パゥエルはこの若い男性のこうした事態をなんとか改善したいと思った。 「あなたには、お子様はいらっしゃいますか?」


 パゥエルを振り返ることなく、その男は携帯電話の娘の写真を引き出した。その娘は2歳くらいのようだった。パゥエルは言った。「幼い頃に父親を失うことが彼女にどのような影響を与えるか考えてみてください。」


次の10分間、その男は、泣いたり、眼下の黒い水面を虚ろ気に見たり、を繰り返しながら、パゥエルと話した。

 

「僕は内心ドキドキしていたけれど、冷静に落ち着きを保ったんです」とパゥエルは語る。そうすることによって、彼はこの男性の悩みの原因をあぶりだしていった。


 男性は、「とても辛いんだ。金を稼げなくて、空腹で、それにヘロイン中毒なんだよ。」


この時点でこの男性により近づいていたパゥエルは、自分が彼のことをとても心にかけているし、もし彼が河に飛び込もうとすれば、他の人々も同様に気に掛けると、諭した。パゥエルの静かな、ひたむきな懇願は、この男性を仕舞には、振り返りさせ、パゥエルを見るようにさせた。その彼から今や2フィートほどだけ離れていたパゥエルは、手を差し伸べた。 「飛び降りる瞬間に、彼をつかめる、とは思ったんですが、それよりも、彼のために僕はそこにいることを知って欲しかったんです」そんな彼の手を、男性は驚くことに、素直に取り、欄干から歩道に降りたのだった。


パゥエルは、「何か食べるものを僕に買わせて」と言った。 「僕はデズモンドです。」 二人はダンキン・ドーナッツの店へ数分歩いた。二人が座席で食べようと、着席した時、男性が悲しい話をパゥエルに話しているのをそばで聞いた人が、警察を呼んだほうがいいと、判断して連絡した。男性は自分が逮捕されるかもしれない、と恐れ、レストランから逃げ出した。「戻ってきてください!」とパゥエルは叫んだ。しかしパゥエルが彼を止める前にすでに彼を見失った。


パゥエルは男性を探すために、その地域をかたっぱしから捜索した。駐車場を見回っているうちに、彼は「ヘイ、デズモンド、」という声を聞いた。あの男性だった。 「すまなかったね、悪かった。パニックに陥ったんだよ。」そして、しばし黙った後「君は警察に電話をして、僕に助けを得ることができるかい?」と言った。


2人は警察が到着するまでその通りで一緒に待った。その間、男性はパゥエルについて話を向けた。「彼は僕の人生と目標について尋ねたんです。」とパゥエルは言う。


15分後、パゥエルは警察が男性を連れ去るのを見た。彼は決してその男性の名前を聞きさえしなかったし、自分が彼にどれだけのことをしたのか、あるいはその後彼がどうなったかも知らなかった。マンチェスター市からその思いやりのある行為に対しての、市民名誉賞を授けられたパゥエルは、あの見知らぬ男性が最後に言ったことをいつまでも忘れないだろう。パトロールカーに乗った時、パゥエルに向かい、男性は、 「ありがとう、」と言った。「君は自分にとって本当の英雄だ。」


下記は、過去に書いたブログ、助けはすぐそこに、からのコピーを再記したものである。下記のようなホットラインが何千人もの自殺を防げることをお忘れなきよう。あなたの人生の誰かが鬱病に苦しんでいる場合は、これらのホットラインに連絡することである。そしてあなたが、苦しんでいる方を一人ぼっちで、またひとりで苦しみを悩むことはないことをお示しになられることである。


**************

 

私はカウンセラーではないし、自殺予防センターで奉仕した経験もない。おそらくほとんどの方はそうだろうと思うが、それでも私達にできることはある。日本の厚生労働省のウエッブペイジには、「あなたにも出来る自殺予防のための行動」というのがある。そこには、簡潔にできることがリストされている。

 

1)気づき: 家族や仲間の変化に気づいて、声をかける

 

  • 発言や行動の変化や体調の変化など、家族や仲間の変化に敏感になり、心の悩みや様々な問題を抱えている人が発する周りへのサインになるべく早く気づきましょう。
  • 変化に気づいたら、「眠れていますか?」など、自分に出来る声かけをしていきましょう。

 

2)傾聴: 本人の気持ちを尊重し、耳を傾ける 

 

  • 悩みを話してくれたら、時間をかけて、できる限り傾聴しましょう。
  • 話題をそらしたり、訴えや気持ちを否定したり、表面的な励ましをしたりすることは逆効果です。本人の気持ちを尊重し、共感した上で、相手を大切に思う自分の気持ちを伝えましょう。

 

3)つなぎ: 早めに専門家に相談するよう促す 

 

  • 心の病気や社会・経済的な問題等を抱えているようであれば、公的相談機関、医療機関等の専門家への相談につなげましょう。
  • 相談を受けた側も、一人では抱え込まず、プライバシーに配慮した上で、本人の置かれている状況や気持ちを理解してくれる家族、友人、上司といったキーパーソンの協力を求め、連携をとりましょう。

 

4)見守り: 温かく寄り添いながら、じっくりと見守る

 

  • 身体や心の健康状態について自然な雰囲気で声をかけて、あせらずに優しく寄り添いながら見守りましょう。
  • 必要に応じ、キーパーソンと連携をとり、専門家に情報を提供しましょう。
 
ライフライン:国際ビフレンダーズ 東京自殺防止センター(NPO法人)この他各県各市に同様のサーヴィスがある。
電話相談を「夜8時から朝6時まで」無料で受け付けている。必要に応じて面談も行う。
電話:03-5286-9090
http://www.befrienders-jpn.org/

 

 

 

アメリカ合衆国での場合: https://suicidepreventionlifeline.org/talk-to-someone-now/ 

 

National Suicide Prevention Lifeline at 1-800-273-TALK(8255)---Toll Free(無料)

 


https://wchsperspectives.com



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