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三郎さんの昔話・・・みみず

2010-05-06 | 個人の会員でーす
みみず


 病気の元は風邪と腹、と昔の人は言っていた。今でも風邪は寒いときによく引くが、食生活が衛生的になったので腹下げはなくなった。

 昔は寒気の季節には皆一度はよく風邪を引いた。すると越中富山の薬を飲んで、一日か二日寝たら治る。

 少ししぶといがでも、お医者の薬を四、五日も飲んで養生したら良くなっていたが、私の父は風邪を引いてもなかなかお医者には行かず、富山の薬は飲むが、夜更かしはする不養生なので、風邪はいつもこじれて長引くのが癖であった。

「今度の風邪もしぶとい、どうもしん熱があって体はだるい、治らん、三郎みみずを一握りばあ掘って来い。」
「ええ、この寒いのに畑にみみずがおるろうか?」
「寒の畑にゃみみずはおらんが、上の田の水引の涸れた溝ふちの枯草の根張りを掘ってみい、みみずの子がおるけ掘って来い。」

 しかたない、寒いのに鍬をかついで薮田に行き、言うたところを掘り返した。マッチのくきほどの小さいみみずがほんのポツポツおるがなかなかで、半日も掘ってやっと三十匹、それでも一握りにはたりないがくたびれて帰り、みみずを見せると、父は、「ちっと少ないが、まあえいわ」と言うてくれた。

 母に、「みみずをゆすいで袋に入れて、かんぞうをちょっぴり入れて煎じて飲ませ」と。母は白木綿で袋を縫い、みみずをすすぎ袋に詰めてゆっくりと煎じて、父に飲ました。

 朝晩に湯飲みに一杯づつ二日飲むと良くなって、父は、「あのみみずが効いて、やっと良うなった」と言って気分がすごく良くなりました。

 その後も冬が来て風邪を引くと、しまいには必ずみみずを掘らされたが、父はみみずを煎じて飲むと、風邪のこくれが必ず治った。

 昨年の冬、私も家内も風邪を引き、私は三日程で良くなったが、家内は病院の薬を飲み、注射も打って養生したが治らず、ことはないが心熱があって具合が悪いと言いますので、ようし、父式にみみずを飲ましてみようと思い立ち、掘って来て、いやがる家内に無理に二日飲ましたら、風邪はこっとり治って良くなりました。

 私もためしに飲んでみましたら、冷え性で夜寝て足が寒いのに、みみずの煎じ薬を飲んだ夜は足がぽかぽかと暖かい。血の循環が良くなる。

 考えてみるに、みみずは地球生殖物の元の土中に生殖し、一番のエネルギーを食しているので、栄養そのものであろう。
 その証拠にオゴロも鳥も魚もみんなみみずを好んで食す。なかでも鰻はみみずの流れ込む小谷を登りつめる。

  みみずにはどうも不思議なエネルギーがあるらしい。
オゴロ・・・もぐら


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