医療破壊・診療報酬制度・介護保険問題を考える

リハビリ診療報酬改定を考える会を中心とするメンバーのブログ。リハ打ち切り問題や医療破壊等に関する話題が中心。

多田富雄作新作能「一石仙人」:京都東寺10月18日

2007-09-17 16:57:55 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
『リハビリ診療報酬改定を考える会』代表の多田富雄先生の新作能「一石仙人」が、10月18日京都東寺で開催されます。

詳細は以下をご覧下さい。(チケットの申し込みもできます。能を観るチャンスはなかなかないと思います。まだ余裕があるようですので、ふるってお申し込み下さい。)

http://www.insla.jp/toji-program.html

なお、この公演は多田富雄先生が代表の<"自然科学"と"リベラル・アーツ"を 統合する会>が主催です。以下、その設立趣意書を引用します。深い意味で、本ブログのテーマとの関連が見えてくると思います。
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ますます細分化した科学は、自分の位置さえわからぬまま急速に進んでいる。そこには紛れもない夢と実益が含まれているが、潜在的危険も孕んでいることは今さらいうまでもないだろう。
二十世紀に発した核技術はいまだに制御できないばかりか、ますます脅威を深めながら私たちの前に立ちはだかっている。人間の欲望と結びついた科学技術は地球環境を破壊し、二十一世紀に 最大の人類の問題となって持ち越された。遺伝子操作、生殖工学は、新しい医療技術を提供する可 能性をもたらしたが、一方、一歩間違えれば人類の尊厳を破壊する恐ろしさを持っている。同じく 資本と結びついた科学研究は人間性と乖離し、科学研究費の不公正な配分は科学者の人格を破壊している。
しかし、私たちは科学に大きな希望を託している。科学の進歩はとどめることが出来ない。
科学や技術の進歩に必然的に含まれる光と影は、当事者である科学者だけでは解決できない。「科学の知」は、振り返ることがない故に、大きな進歩を可能にしてきたのである。科学の問題点を解決 出来るのは、「科学の知」と「人文の知」の統合だけである。広い意味での教養、「リベラルアーツの知」 がなければならない。一方、文化や社会の問題を客観的に眺めるためには、「科学の知」を取り込ん だ分析が必須である。したがっていずれの場合でも自然科学とリベラルアーツをアマルガメートした知が必要となろう。現代の問題点は、「より深い」、「より広い」、「より遠い」視野を持った複眼的思考を基にして考えることが必要である。
このような観点から、理系の研究に携わっている者と、文系の仕事に従事している人が、フリーに交流できる場を作り、科学の問題を文学、演劇、音楽等の芸術媒体で表現、理解する試みや、文化、社会の問題を科学の目で解明する試みを支援するために、「自然科学とリベラルアーツを統合する会(Integration of Natural Sciences and Liberal Arts, INSLA)」を発会する。(2007年春 INS代表 多田富雄)

(投稿者 臨床医D)
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SICKOを見ました

2007-09-17 01:30:43 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
ムーア監督のSICKOを見ました。休日の22時スタートのレイトショーにも関わらず、かなりの数の観客がいました。米国医療の悲惨さを米国人の目でしっかりととらえています。映画館の観客は、眼前で繰り広げられる米国の悲惨な医療の姿を、まさか日本政府が目指していることに気づいていたのでしょうか?

日本は国民皆保険であり、理屈の上では青天井の医師の裁量があってもなお、医療費は米国よりも安く済んでいます。医師は市場原理では動いていないからです。米国では、市場原理により、医療を提供することよりも医療を制限することが優先されます。なぜなら、保険会社のこの『商売』の唯一の目的は、医療を提供することではなく、利益を上げることだからです。

しかし、保険会社は莫大な収益が転がり込むような悪辣な手段を使っている(映画参照)ので、結局それに比例するように医療費は高額になります。医師が市場原理の中に組み込まれていることも影響しているのでしょう。と同時に、医療を受けられずに、あるいは打ち切られて(本当に)捨てられる患者は増加します。医療難民が出ても、保険会社は痛くも痒くもないからです。(映画で描かれた、行き先を知らせずにタクシー券を渡して『入院患者を遺棄』する姿には、明日の日本を見るような気がして鳥肌が立ちました。)

国民に平等に医療を提供するなんていう理念は、保険会社にはかけらもありません。保険会社は慈善事業ではありませんから、被保険者を数多く集め、保険料を取り、なおかつ、病気になったときには難癖をつけて保険料を支払わない、というベクトルが働きます。被保険者に対してさえ、保険金支払いを値切る体質がありますから、被保険者以外は、悪化しようが死のうが関知せず、というのが、保険会社の『市場原理』です。

保険会社が許可しない治療を行ってはいけない、というmanaged careは、日本の医療では違和感がありますが、リハビリ日数制限は、米国並みの制限医療へ突入するパンドラの箱を開けた歴史的転換点だと思います。

今のうちにSICKOを是非ご覧下さい。このブログをお読み頂いているメディアや政治家の皆様にとっても必見の映画です。

シッコ公式サイトhttp://sicko.gyao.jp/
私はここで観ました。http://109cinemas.net/

臨床医D
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