医療破壊・診療報酬制度・介護保険問題を考える

リハビリ診療報酬改定を考える会を中心とするメンバーのブログ。リハ打ち切り問題や医療破壊等に関する話題が中心。

SICKOを見ました

2007-09-17 01:30:43 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
ムーア監督のSICKOを見ました。休日の22時スタートのレイトショーにも関わらず、かなりの数の観客がいました。米国医療の悲惨さを米国人の目でしっかりととらえています。映画館の観客は、眼前で繰り広げられる米国の悲惨な医療の姿を、まさか日本政府が目指していることに気づいていたのでしょうか?

日本は国民皆保険であり、理屈の上では青天井の医師の裁量があってもなお、医療費は米国よりも安く済んでいます。医師は市場原理では動いていないからです。米国では、市場原理により、医療を提供することよりも医療を制限することが優先されます。なぜなら、保険会社のこの『商売』の唯一の目的は、医療を提供することではなく、利益を上げることだからです。

しかし、保険会社は莫大な収益が転がり込むような悪辣な手段を使っている(映画参照)ので、結局それに比例するように医療費は高額になります。医師が市場原理の中に組み込まれていることも影響しているのでしょう。と同時に、医療を受けられずに、あるいは打ち切られて(本当に)捨てられる患者は増加します。医療難民が出ても、保険会社は痛くも痒くもないからです。(映画で描かれた、行き先を知らせずにタクシー券を渡して『入院患者を遺棄』する姿には、明日の日本を見るような気がして鳥肌が立ちました。)

国民に平等に医療を提供するなんていう理念は、保険会社にはかけらもありません。保険会社は慈善事業ではありませんから、被保険者を数多く集め、保険料を取り、なおかつ、病気になったときには難癖をつけて保険料を支払わない、というベクトルが働きます。被保険者に対してさえ、保険金支払いを値切る体質がありますから、被保険者以外は、悪化しようが死のうが関知せず、というのが、保険会社の『市場原理』です。

保険会社が許可しない治療を行ってはいけない、というmanaged careは、日本の医療では違和感がありますが、リハビリ日数制限は、米国並みの制限医療へ突入するパンドラの箱を開けた歴史的転換点だと思います。

今のうちにSICKOを是非ご覧下さい。このブログをお読み頂いているメディアや政治家の皆様にとっても必見の映画です。

シッコ公式サイトhttp://sicko.gyao.jp/
私はここで観ました。http://109cinemas.net/

臨床医D
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