医療破壊・診療報酬制度・介護保険問題を考える

リハビリ診療報酬改定を考える会を中心とするメンバーのブログ。リハ打ち切り問題や医療破壊等に関する話題が中心。

リハビリ再改定に関するアンケート

2007-07-26 22:12:40 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
初投稿いたします。京都府保険医協会では、リハビリ再改定に関するアンケートを実施いたしました。あまり場所をとりすぎるといけませんので、簡単な内容を書かせていただきます。

 本アンケートは、2007年5月9日付で、京都府内の疾患別リハビリテーション全届出施設に送付、回収率は41.3%でした。

・昨年度1年間で算定限度日数を迎えた患者さんのうち、中止又は終了となったのは8割にのぼる。
・再改定によりリハビリが再開となった患者さんは、京都府全体で9人と、1%に過ぎなかった。
・新たに設けられた「医学管理」の点数はほとんど使われていない。
・患者さんのリハビリ再開は、9割の医療機関で対応可能と考えられる。
・医療保険・介護保険給付調整通知の改定により、新たに医療保険でのリハビリを打ち切りになると思われる患者さんは、京都府内で101人にのぼる。
・医療機関の8割が、医療保険から介護保険へのリハビリ移行がスムースでないと考えている。
・リハビリ点数逓減制導入により、14%の医療機関で20万円以上の減収となっている。
・リハ担当者の制度に対する不満は多く、不満なしと答えた医療機関は皆無であった。
という結果でした。

 結果として、再改定により、再開できた患者さんは非常に少なく、その数よりも医療保険と介護保険の給付調整通知改定により、医療保険のリハビリを終了せざるを得ない患者さんの方が多いこと、医療機関が行う事務作業が増した上、減収になっていること等が分かりました。
 結論としては、異例の再改定にこぎつけたということは評価できるものの、その内容は、患者さん救済にはつながっておらず、むしろ医療保険リハビリを受ける制限を加えおり、医療機関にとってもマイナス改定であったと言えます。
 厚労省が財政中立の立場を崩さず、新たな財源を設けること無しに改定を行ったことによる歪みがこの結果を招いたと考えています。
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OECD ヘルスデータ 2007

2007-07-26 01:05:11 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
日本の医師不足、医療費の少なさ

(パリ 24日)
経済協力開発機構(OECD、30カ国、本部パリ)は24日までに、加盟各国の医療を比較する「ヘルスデータ 2007」を発表しました。日本については、医師の不足や、一人当たりの医療費の少なさが浮き彫りになっています。
人口1000人当たりの医師数を見ると、日本は30カ国中27位の2.0人(2004年)で、OECD平均の3.0人を大きく下回っています。一方、1年間に医師の診察を受ける回数は国民1人当たり日本は13.8回(2004年)で、データがある28カ国中で最多。少ない医師が多くの診察をこなさざるを得ないことが分かる。

日本の1人当たりの医療費は$2358=約28万円相当(2004年、購買力平価換算)で、30カ国中19位である。厚生労働省は医療費抑制を目指すが、日本の現状はOECD平均を下回り、先進7カ国(G7)では最低である。
(以上 ヘルスデータ 2007)

昨日の日経朝刊で、経済財政諮問会議委員の八代 尚弘 国際基督教大学教養学部教授が、医療費改定に関して実にナイーブな意見を述べていた。いわく、1)包括医療費制度 2)混合診療 3)医療機関の株式会社化 により、医療費は削減され、医療技術のレベルは向上し、患者へのサービスも良くなると。経済財政諮問会議委員で米国の医療制度の現状を知らない人はいないはずなので、これだけ子供のような純粋な理論を説く人がいることを知り正直びっくりしました。ここまで信じて疑わない方は、他の委員にはいないはずです。八代先生が米国の医療制度の現状を全く知らないことを知りました。

ポリオの会:TS
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No doctor, No error

2007-07-25 08:49:12 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
No doctor, No error

医療破壊の記事を読んでいて見つけた言葉です。
本当に恐ろしいことです。
医療費抑制で疲弊しきった現場を叩けば叩くほど、この言葉は真実味を帯びてくるでしょう。

さらに極論すれば、
 医療なければ医療費なし

最近の医療政策の流れは、こんなことを真顔で考えているのではないかと思うほど酷いと思います。

国民の安心、幸せ、健康、そんな視点を官僚の皆様にももって頂きたいものです。

臨床医D
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リハビリ日数制限に対する各党の政策

2007-07-17 19:04:54 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
2007年5月27日付けで、日本障害者協議会(JD)が各政党に「障害者政策に関する質問書」を送り回答を求めました。その回答内容が6月20日に公開され、詳細は下記で見ることができます。 
http://www.jdnet.gr.jp/kaitousyu.htm
この「障害者政策に関する質問書」のなかでリハビリに関する質問とその回答をまとめますと次のようになります。他の方々のBlog、コメントにも引用されていますが再度引用いたします。

リハビリテーション医療期間制限の問題 
今年(昨年)4月の診療報酬改定では、必要に応じて受けるべきリハビリテーション医療が、原則として、発症から、最大180日に制限されてしまいました。障害には個人差があり、長期的な視点に立ったアプローチが必要とされる場合もあります。貴党のリハビリテーション医療期間制限問題についてのご見解をお聞かせください。

1) リハビリテーション医療期間制限に反対 
2) リハビリテーション医療期間制限に賛成  
3) 何ともいえない
それぞれのご回答についての理由をお聞かせください。

自由民主党:
算定日数上限を超えた後であっても、患者の状態に応じたリハビリテーションが可能となるような、きめの細かな対応が図られています。今後も一定の医学的管理の下で、必要に応じたリハビリを実施することが必要と考えます。

民主党: リハビリテーション医療期間制限に反対
保険適用のリハビリ期間に上限が設けられ、リハビリの打ち切りを余儀なくされてしまうのは問題です。医師が一人ひとりの必要に応じて適切なリハビリ期間を設定できるようにすべきです。

公明党: 何ともいえない
リハビリテーションの見直しにあたっては、患者の実態を踏まえた弾力的な対応が重要であると考えます。今回の見直しでは、例えば、算定日数を超えても医療保険によるリハビリを継続できるケースを追加するため、適用除外となる疾患を拡大することや、専門家による短時間リハビリ等に介護サービスが対応するまでの間、維持期の患者に対し、医療保険から一定の医学的管理の下、必要に応じたリハビリの実施を可能とすることなど、患者の状態に応じてリハビリの実施ができるような配慮が図られています。今後とも、きめ細かな対応を求めていきます。

日本共産党: リハビリテーション医療期間制限に反対
世界保健機関(WHO)では、リハビリを「能力が可能なかぎり最高の水準に達するよう訓練すること」と定義しています。日数で機械的に打ち切ることは、リハビリの理念に反します。個人の能力の回復は千差万別であり、一律の基準は適しません。180日制限は科学的根拠も薄弱で、世界でこんなことをやっている国はありません。大きな運動によって一部改善策がとられましたが、引き続きリハビリ本来の姿を実現するためにがんばります。

社会民主党: リハビリテーション医療期間制限に反対
リハビリテーションを180日で日数制限する根拠はない。個々人の状況を充分加味してリハビリは行われるべき。単に医療費削減の視点から制限を設けることは間違っている。

国民新党: リハビリテーション医療期間制限に反対
障害の個人差を踏まえておらず、一律制限は多くの問題を引き起こしている。
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リハビリ再改定「何ら改善されず」

2007-07-10 14:03:50 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
リハビリ再改定「何ら改善されず」
https://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=10491

「リハビリが必要な患者さんにリハビリを提供し続けられるようにはなっていない」
「状態の改善が見込めない維持期リハビリの患者さんは介護保険に移行するなどの前提条件には問題がある。前提を廃止し、医療行為であるリハビリの日数制限を撤廃して、医療は医療保険から給付するよう制度の在り方を整理し直すべき」
「中央社会保障医療協議会(中医協)は、医療と介護の線引きを検討する組織として適当とは言えない。医療保険と介護保険との連携にかかわる新たな組織の設立を検討すべき」
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日数制限で患者7割 リハビリ中止

2007-07-10 13:33:06 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
日数制限で患者7割 リハビリ中止(東奥日報)

公的医療保険で受けられるリハビリテーションに日数制限が設けられた影響で二〇〇六年度、医療機関でのリハビリを終了した県内の患者七百人のうち、約七割が介護保険でのリハビリも継続できず、完全に中止・終了してしまったことが県保険医協会の調べで分かった。また、今春からの日数制限の緩和措置で、リハビリを受けられるようになった人はごくわずかであることも判明。同協会は制度の見直しを求めている。
国は身体の機能維持のため、介護保険によるリハビリ実施を促しているが、現実には介護リハビリを行う受け皿が少なく、スタッフも十分ではないなどの問題点もあるという。

http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2007/20070708143849.asp
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竹中さん 「市場原理・株式会社の参入」で解決しましたか?

2007-07-02 10:00:18 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
竹中さんの著書 「構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌」が売れています。そういう私も購入しました。Amazonの読者レビューではどれも五つ星です。でも私には「自慢話と言い訳」としか読み取れません。すでに破綻した経済理論(サプライサイド経済:レーガノミクスとサッチャリズムの良い部分を除いた政策)を理解不足のまま押し付けただけでしょう。
経済政策の議論は別にやることにして、郵便局の貯金や保険を民営化したことなど小さな当たり前のことで、介護制度に民間の営利会社を導入した事による現在の状況などには一切触れてもいないことこそが問題です。6月26日に実施された「グッドウィル」の派遣労働者と、厚生労働省との「団体交渉」の実態が市場原理・株式会社参入の現実を示しています。ここに署名入りの詳細な交渉経過が掲載されています。
http://www.janjan.jp/living/0706/0706267932/1.php
でも私は「グッドウィル」「コムスン」という社会規範に外れた企業の問題だけではないと思います。「介護従事者が増える。それだけで良い方向ではないか、新しい企業の参入がありそこには"カイゼン"が十分期待できる」、などという経済・経営学的にも間違った考えを持つ方もおられます。市場での競争を考えて見ましょう。介護の市場は総金額ベースでは伸びません(総需要が増加するのにもかかわらず)。厚労省の基本的な考えは、競争を導入することによりコストを下げることです。しかも、一人または一単位のコストだけではなく、総金額ベースでも削減することです。医療や介護を産業として考えた場合、コストを大幅に削減可能なシュンペータ的イノベーション(大きな技術革新)はあり得ないでしょう。人工知能の物凄く優れたロボットが開発されたとしても、この分野はイノベーションから最も遠いところでしょう。多分教育も良く似た分野ではないでしょうか。
 このようになる事は、2000年度から導入する時に分かっていたはずです。厚労省が真似をしたというドイツでは、介護制度を導入する前の議論(8年の議論と2回の選挙)を充分に行い、競争原理の不成立が指摘されています。厚労省は、すでにドイツで議論済の問題点と対応策を、知りながら全部削除したのだと思います。優秀な厚労省の官僚達が(欧州への留学、大使館勤務の経験がある人も多いはずなので)知らないはずはないでしょう。

このような状況では、介護側での質の高いリハビリなど考えることが出来ません。事実、介護側で一応満足のゆくリハビリができている施設は10%にもなりません。

ポリオの会:TS
コメント (2)
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