医療破壊・診療報酬制度・介護保険問題を考える

リハビリ診療報酬改定を考える会を中心とするメンバーのブログ。リハ打ち切り問題や医療破壊等に関する話題が中心。

マサチューセッツ州における患者団体のアドボカシー活動

2009-03-30 13:22:33 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
政策・医療・地域の連携:アメリカにおける患者団体の事例から

Miwako Hosoda 細田満和子(ハーバード大学公衆衛生大学院)

Brain Injury Association of Massachusetts(BIA-MA)は、積極的にアドヴォカシー活動(正当な権利を獲得するための諸活動)を行っており、頭部障害治療サービス委託基金(HITS)の設立、地域サービス、スタッフの補填等に向けた運動、全州頭部外傷プログラム(SHIP)の設立援助、州政府が障害者に対して地域で生活できる適切な方策を講じていないことが障害のあるアメリカ人法(ADA)に違反しているとした集団訴訟、等の活動を行っている。

BIA-MAのアドヴォカシー活動は、まさに当事者とその家族が声をあげ、政治家や議会を動かして必要な要求を勝ち取ってきた。

翻って、日本でも患者たちは声をあげ始め、2006年のリハビリ日数制限に反対する「リハビリ診療報酬改定を考える会」の活動は記憶に新しい。この運動は、44万人を超える署名を集め、それを厚労省に提出し、いったんは日数制限は解消されたかに思えたが、その後更なる厳しい制限が始まるようになったという転帰をたどった。
このことを指して、患者の声が政策や医療サービスの向上に反映される土壌は、まだ日本には育っていないというのは簡単だ。しかし、このような患者の声を間近に聴くことのできる医療者が、その声に真摯に耳を傾け、連携してゆくことができるならば、多少状況は変わるかもしれない。

(以上、日本リハビリテーション連携科学学会論文集より抜粋)

細田満和子さんは、日本においてリハビリ日数制限に患者自らが異を唱え、異例の再改定など政府を動かしてきた経緯を、米国にも紹介されている方です。
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多田富雄の落葉隻語 目に付く「李下に冠」

2009-03-18 21:14:06 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
多田富雄の落葉隻語 目に付く「李下に冠」

読売新聞 2009年3月18日
http://osaka.yomiuri.co.jp/kokorop/kp90317a.htm

もうひとつの例は、私の関係してきたリハビリ日数制限に関する疑惑である。06年4月から脳卒中患者のリハビリは、発病後180日までと制限された。その結果、180日で回復できなかった患者の機能が、急速に悪化した例が多発した。命綱と頼んだリハビリを打ち切られて、命を落とした人さえあった。慢性期、維持期の患者が犠牲にされた。

 この理不尽な制度を作った厚労省は、「効果のはっきりしないリハビリが漫然と続けられている」と、高齢者リハビリ研究会の指摘があったというが、そんな指摘は議事録にはなかった。むしろ、この制度を擁護し続けたのは、厚労省寄りの「全国回復期リハビリテーション病棟連絡協議会」の会長であった。

 維持期のリハビリ打ち切りは、もっと早期に行われる回復期リハビリを充実させる政策とセットになっていた。回復期のリハビリを充実させることには、誰も異論はないが、その代償として、維持期、慢性期患者のリハビリ治療を犠牲にするのはあまりにも残酷である。それに回復期リハビリ病院の理事長が、自分の利益となる改定の擁護をしているのは、どうしても疑惑を招く。

 その証拠に、制度発足から3年後の今、重度の維持期の患者が、リハビリ難民として苦しんでいるのに対して、回復期の患者を選択的に入院させる回復期リハビリ病院は繁栄を誇っている。難民となった維持期患者の医療費は、そっくり回復期の病院に回っている。利益誘導の疑念を持たれても仕方がない。

 この当事者にも、「李下に冠を正さず」という言葉をささげたい。
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脳卒中患者 リハビリ医療を奪われた「棄民」朝日新聞・私の視点

2009-03-02 06:32:07 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
◆脳卒中患者 リハビリ医療を奪われた「棄民」
   多田富雄

朝日新聞・私の視点(20009年3月2日)


「この日本で、難民ではなく医療を奪われた棄民が発生したのだ。」
「医療は崩壊ではなく、破壊されたのだ。」
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3月1日付朝日新聞『転院先がない 寝たきり 療養先どこに』

2009-03-01 14:04:04 | リハビリ打ち切り/医療破壊問題
安心社会へ 選択のとき
転院先がない 『寝たきり 療養先どこに』
療養型やリハビリ型の患者さんの転院先がない!


朝日新聞 2009年3月1日

脳卒中、数週間で退院の要請
介護の重さと診療報酬にズレ
患者ごとに生活考えケア支援

『地域と連携して病院に戻れる流れを確保しないと、患者は安心して退院できない』(関西リハビリテーション病院 坂本知三郎院長)
『行き先がない患者を出すわけにいかず、地域の基幹病院に退院困難な患者があふれている』(越谷市立病院 角田朗救急科部長)
『今まで培ってきた救急病院や療養病床の役割分担が崩れてしまった』『父のような患者はどこに行けばいいのでしょう』
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