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RC-NET(レイプクライシス・ネットワーク) BLOG.

RC-NET STAFFによる、日常の些細な出来事から、お知らせまでいろいろなぶろぐ。

賛同者募集 「性的人権を最大限尊重する法改正をしてください」

2016-07-24 11:18:44 | 事務局より

English ver, is here.

次期法制審議会総会にて答申が出る予定の強姦罪改正に伴い、以下の要望について、賛同者/賛同団体を募集しています。

賛同いただける団体/個人の方は、

団体での賛同の場合: 団体名、所在地、連絡先

個人での賛同の場合:氏名、所属団体、職業、居住地、連絡先

以上の項目をメール本文記載の上、rc-net@goo.jpに、8月10日迄にご連絡ください。

 

これまでに審議されている議事の中では、強姦の定義から性別の規定はなくなり、膣だけではなく、肛門及び口への挿入する/させられる行為も強姦に含まれる方向となっていますが、挿入の主体はあくまでも「性器」となっており、その性器の定義もあいまいです。

例えば、挿入可能なエピテーゼ(取り外し可能)、ペニスバンド、バイブレーター、ディルドなども強姦罪として定義されていませんし、また性器の定義についても、形成された性器について「個別的判断」などと言う曖昧な定義をしており、議論が尽くされたとは言えません。

今、適切な改正をしなければ、次がいつか分かりません。今回の改正までに、この法律は100年以上放置されてきていたのです。今こそ、日本の性犯罪、強姦の基準を国際基準としたいと思っています。ご協力お願いいたします。

要望書は、法制審議会及び法務大臣に提出予定です。

 

 

要望書

1、    性器の定義について

本来的に性器の形状等は各個人により差異があり画一性が必要なものではありません。内外性器腫瘍等治療の為の除去及び形成手術による場合、性別違和を元にした性別適合手術による場合、DSD(性分化疾患)等により内外性器の明確な判別が難しい場合、それぞれ、各個人の性器であることに間違いはありません。性別適合手術等における性器形成について、基本としては性器として扱い個別判断とする旨の議論が審議会においてありましたが、そもそも個々の性器を法的に定義することは現実的に可能でしょうか。様々な理由によりそれらを国が定義づけることは大きな人権侵害の可能性を内包します。

男性器を模したエピテーゼについても挿入が可能で尚かつ見た目には分からないものが販売されております。ペニスバンドと呼ばれる器具についても、色や形状について一目で分からないようなものが売られています。そもそも、例えば“いわゆる”「性器」と、「エピテーゼ」、「性器成形による性器」どれを挿入されたということが、被害者にとってどれだけ重要なこと、延いては精神的/身体的な負担が変化するのでしょうか。この性器という定義については、本来、より重大な事柄として議論をしなければいけないものだと考えております。

 

2、    手指及び器具の挿入

1を踏まえた上で、挿入の主体を「性器」とすることは整合性がなく、手指及び器具の挿入を強姦に定義するべきだと考えます。議事の中では「口への手指・器具の挿入」に関して他のものと同一の性質だとは言えないと話されていましたが、そうであれば口への挿入についての手指・器具の挿入について議論するべきであり、膣・肛門についても考えないことにするのはそれこそ整合性がありません。強姦罪の中での性別規定が撤廃され、生殖に係る項目のみを強姦罪とする時代は終わりを迎えます。手指及び器具の挿入を強姦に加えることこそが、強姦罪が「性的自由ないし性的自己決定権を個人的法益として守りきる」ために最低限必要なことだと考えております。


「強姦罪改正」ってどういうものなのか①

2016-06-17 16:16:59 | スタッフ日記

強姦罪が改正される!ということを2014年辺りからずっと言ってきたのですが、

実際どの辺りが改正されるのか?今出て来ている案を,少し分かりやすくまとめていこうと思います。

 

まず一つ目の大きな改正について。

強姦罪、また強制わいせつ罪の中から、性別による規定が撤廃される予定です。

男女もしくは女子という記載があったものについては、「者」と変更になる予定。

これまで男性から女性へのペニスから膣への、というものがなければ「強姦」とはならなかったものが、

身体への侵襲性というところから、膣、肛門、口への挿入行為は強姦と判断され、下限量刑5年の強姦罪になります。

強姦罪は基本として執行猶予はつきません。

また、親告罪要件は撤廃され、非親告罪として告訴をせずとも公訴することが出来るようになる、という改正案になります。

 

そして、性交同意に関してですが、これまで13才未満の女性という括りで、同意があったとしても強姦になる、というものが現在の法律にはあります。

しかし、ここでも「女」という性別は撤廃され、「者」となります。

そして、18才未満の者に対する監護者からの性行為は同意があっても強姦罪が適用される予定です。

監護者、とは、民法上の「現に監護するもの」という意味での保護者という概念もありますが、例えば祖父母等親戚に預けられている場合や施設での生活についてなど、個別判断をしていくものもあるようです。

 

改正のポイントは沢山あるのですが、RC-NETとして要望を出したものからまとめていきたいと思っています。

まだ、要綱案がまとまった、という段階ですから、「こうなります」というわけではありません。ベースとして、法制審議会の議事録にあるものから見て書いていっています。


法制審、刑事法(性犯罪関係)部会審議、本日終了。RC-NETからの意見

2016-06-16 15:22:33 | 事務局より

本日午前、刑事法(性犯罪関係)部会としての審議は終了したそうです。

今後,部会としての結論を法制審議会総会に報告し,総会においての審議が行われた上で,総会において答申がなされるという手続きになるとのこと。

本日の審議に合わせて、RC-NETでは以下の書面を審議会に提出し、委員・幹事の皆様に配布いただきました。

(これまでの議論についての議事録は法務省HPで確認いただけます)

 


第七回法制審議会本日開催

2016-06-16 05:16:45 | スタッフ日記

今日、法務省の性犯罪に関する第7回法制審議会が開催予定。
そしてその、今回の審議会で、答申が出される可能性があるということを聞きました(出ないかもしれないけど。分からないけど)。

今月入ってからというもの、スマホには議事録のPDFをダウンロードして、じっくりしっかり、寝ても覚めても読んでいた(長いし、言葉が難しくて…)。

審議会の中では、岡山大学からの提供資料として、性別適合手術に於ける造膣及び男性器の形成に関しての審議などもあったり、
小西聖子氏から、性の多様性についての言及もあり、
今回の改正は、明確に性的マイノリティと言われる人たちのことも念頭においた上でのものになるわけです。

オーラルセックスや手指器物挿入を強姦に含めるかという議論の中で印象的だったのは「膣性交につきましては,妊娠の危険性がある等の生殖行為としてのシンボリックな意味が認められますが、それのみによって,これを別個に扱うことには合理性がないように思います。」という橋爪幹事の発言と、
「もちろん身体的な物理的な危険というこ ともあるのですけれども,それとともに,その人のセクシャリティーとか性的自己決定権とか性的自尊感に対する侵害というのが保護法益に含まれているわけですので」という角田委員の発言に関しては、
実に心強い気持ちになりました。

答申が出次第、これまでの議事の中のものを含めて、RC-NETなりに改正のポイントについてをまとめて行ければと思うのですが、
なんせ、出てる資料少なすぎるなぁ(いや、多いけど、少ない)。
とりあえず、議事録はほんと、もっとはやくアップしてもらえたらな…。

なんとか、最後の審議会向けにRC-NETとしての法制審議会への「最後のお願い」を法務省に送ったので、
今からやっと寝ようと思っていますが、緊張して寝れない気がする。

(岡田)


「木を見て森を見ない」けど木も大事だし森も大事だし(調査とか統計とかについて)

2016-05-30 19:16:57 | スタッフ日記
ツイッターで被害者の全体像を相談事業のみをもって語るのをやめるべきだ、というようなことを書いたのが地味にRTされつづけていたので、少し丁寧に書いてみます。

性被害についての統計等を見ていくと、日本での統計というのはとても少ない、という現状はあまりこの10年ちょっと見てきた中でもそう変わりません。
現状ある調査等を大枠で分別すると、
1、警察白書等を基にした公的な調査報告(親告罪ならではの暗数の高さが特徴)
2、大学等に所属する研究者による学校単位、施設単位等の調査報告(個別性が高く、年代や所属が限定されることが特徴)
3、相談支援団体等の相談事業を基とした調査報告(“相談をしてきた人”という属性のみに限定されることが特徴)
という3種類に分けられるかなと思います。
 
広く一般に対しての聞き取りという意味では、2の研究としての調査が一番「全体像」を見るには適しているだろうと思います。しかし、特徴として書いたように、少ないながらも実施されているこれらの調査の多くが、学校でのアンケート形式のものが多く、年代としてはかなり限られてしまうのが残念だな、と思っています。
 
3の相談機関での統計等については、必ずしもサバイバーが相談機関に相談するのではない、ということを考えると、どうしても「電話相談」という特殊な状況下での相談というものにコミット出来る状態の人を対象とするという、「全体像」の把握には不向きな状態があるなと思います。
 
RC-NETとしてもこれまで、電話やメール、スカイプ、面談での相談をしてきた中で、この相談を利用する人たちの傾向というのが少なからずあるな、ということを思ってきました。それが何である、ということを今明言できる訳でもないのですが、それぞれの特異性があります。また、こうした相談事業としてではなく、2014年からCommunity cafe & bar Osora ni Niji wo Kake Mashitaを運営してきた中で、
「相談」という括りではないけれども、環境が整いさえすればサバイバーとしての自分を開示する、というタイプの方にも多く出会ってきました。レイプサバイバー=相談者、というわけではなく、自分自身にも被害経験はあるけれども、それを相談したいというよりも、「あったこと」として、経験をふとした瞬間にシェアしてくれる、というようなことです。思うに、この層の人たちが、性暴力サバイバーの多くを占めているのだろうな、と、私自身は思っています。
絶対否定したいのは、「その人たちはそう大変な思いをしていない」なんていうことを言いたいのではありません。沢山の傷つきを抱え、生き辛さを抱えたこともあったかもしれない、それら経験した上で、ただそういう人たちは私たちの社会に沢山いる、という話です。
 
I'm living with Rape Survive.
なわけです。
どこにでもいるし、みんな一緒に生きている。
 
トラウマ症状の出方、というのは様々な環境要因、個人的要因が絡み合って起こるものだろうと思います。なので、その出方は人それぞれ、症状があるから酷い被害だった、無いから軽い、という話でもなく、それぞれの人にそれぞれのサバイブ方法があるのだと思います。
 
RC-NETでも、一応、概要としてはどのような相談があったか、ということを記録に残しています(メール相談等記録に残るものについては、2年に一度、ご本人から体験談として残す旨無い場合は消却しています)。しかし、その統計等はあくまでも「RC-NETにはこういう相談があります」ということでしかなく、
性被害とは、というものを語ることに利用出来るものではない、と思っています。
 
ただし、全体を知ることのために個を知ることは大切なことです。
相談機関が相談統計を出すことの必要性の一つは、その個別の事柄について対応が出来ていない社会を変えるためです。
例えば、DVを例にとっても、たったか10~20年前には、この暴力の多くが可視化されず、家族という単位による秘密、仕方の無いこと、とされていました。様々な団体によって個別の事柄が可視化されていき、「あるもの」とされました。これは暴力だ、と。
 
これらの中で、もちろん「個」のストーリーは大切である、という前提を私は持っています。
 
そして、個の後には全体について、です。
 
DV被害について取り組む人たちの講座を受講した際に、興味深い言葉を聞いたことがあります。
「個人を立たせない」ということについてです。
メディア等で被害についてを話す時に、絶対に言われるのが「当事者の人から取材させてもらえますか」と言われます。
RC-NETではジェンダー・セクシュアリティを問わず相談を受けるということをずっと明言してきました。なので、相応の数の相談数があります。そのデータだけではダメで、あくまでも社会に伝える際には「当事者」が求められます。
私はずっと思ってきました。
「なんの支援もないのに、何かあったら助けられるわけでもないのに、何故、顔を出せと言われるんだろうか。」
言われてみれば、DVサバイバーというのは、レイプサバイバーよりも、個人として活動をする人が少ないな、と思います。
 
性暴力被害についての活動は、日本では多くが個人の頑張りによって支えられてきたな、と思います。
この10年を思い返すだけで、顔を出し、名前を出し、「私はレイプサバイバーである」ということを言った人たちが何人もいます。その人たちの勇気に触発され、当事者たちは自助活動を始めたり、自己開示をしたりもしました。
 
ただ、どれだけ個別のストーリーを伝えても、性暴力は身近なものにならない…という気がしています。
「DVかも?」と思えても、「レイプかも?」とならない。
役所や警察などの講座とかに言っても、半分はその個人の方の経験談を聞く感じになってしまって、それに共感したり大変なことだと思った、などの感想はあっても、「被害とは何か」という全体像を理解していく人が少ないとも、少し感じるところがあります。
 
社会的な認識の薄さ、人が感じるタブー感、
それは、どこまで行っても、「性」への認識の薄さ、タブー感と直結している気がします。
 
木を見て森を見ない状態がずっと続いている。
 
諸外国でよく使われてる「女性の4人に一人、男性の6人に一人がなんらかの性被害にあっている」というデータがありますが、
日本での調査はあまり、それらに該当するものが多くはありません。
暗数があるから、と暗数計算をして全体像を算出したりすることはあるのですが、
改めて、「性暴力サバイバー」というものの実態を、知りたいと思う事があります。
 
みんな、どこで生きてる?
みんな、どうやって生きてる?
 
警察などでは、よく「最近性犯罪が増えている」ということが言われたりします。
それは、少しずつ、社会的な啓発が進み、被害を親告する人が増えた、ということであり、必ずしも増加とは言えないでしょう。
 
性暴力被害にあうということはどういうことなのか。
 
その答えは、もちろん被害にあった本人にしか分からないことです。
しかし、それは一人一人のサバイバーたちの真実であって、全体ではありません。全体の一部。
 
その全体の一部を私たちはずっと拾い集めながらいるんですが、
そろそろ、より全体像を探るための調査というのをしないといけない、と思うわけです。
 
 
そんなことをわざわざ長々と書いた理由の一つとしては、
最近、自分のところに来た相談のみを資料としてそれを全体像かのように伝えていく、という語りがすごく多いんじゃないか、と感じていて、
個への対応のために、というよりすぐに法律を変えようとか新設しようという話になっちゃったりして、
いや、もっと、その前に、具体的な調査をしませんか、と、思ったりしているということです。
 
国内調査…、どうやったらいいんだろう。
まずはネット調査とかでもいいなと思うのですが、(まぁ、ずっと言ってるだけになっちゃってるんですがorz)、
サバイバーの声を、もっと集められたらなぁと思っています。