賛同者/団体募集 性的人権を最大限守りきる法改正を
Call for Signatories:Amend the Law to Fully Respect Sexual Rights
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2014年からこれまで、強姦罪改正に関しての署名の呼びかけ等をみなさんにさせていただいてきました。
まだやってるの?と思われる方もいるかと思うので、これまでの経緯等について、一度まとめさせてもらいます。
とても、長いです。
でも、もっと長い議事録をなんとか、(RC-NETの要望を軸に)まとめてみました。
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レイプクライシス・ネットワーク
2度に渡る署名集めと要望書提出に至る経緯
はじめに・・・
この度、109年ぶりに強姦罪など性犯罪の罰則規定の見直しが行われています。
109年前といえば、明治40年。その頃は、女性を「家の財産」という考え方も強く、家の財産の損失を防ぎ、保護するという意味合いで、妊娠の可能性がある行為だけを罰している状態でした。
しかし、2016年の今、上記の考え方であっては、ごく限られた被害しか該当せず、多くの被害者がこの109年の間に「それは、強姦ではない。」と言われ続けてきた歴史があります。
私たちレイプクライシス・ネットワークは、2009年より、あらゆる年令、性別、セクシュアリティの方の被害相談を受けて参りました。
その中で、今回、法務省でのヒアリングの機会を得て、様々なセクシュアリティの人や、様々な被害について法務省でお話しさせていただいてきました。
お話ししたその時間の中でもトランスジェンダーの被害や、ヘイトクライムからの被害、男性の被害などは、審議委員や法務省事務局の方にはイメージできない事も多かった様で、如何に、この改正が大事か、そして、どんな改正が必要とされているのかをお伝えするために、2015年7月〜2016年1月にかけて、4291名の方のネット署名とメッセージを法務省にお届けしました。メッセージの中には、ご自身の被害経験について書かれていた方もおり、ネット上ではありますが、多くの方の賛同と願いがこもった署名をお届けしてまいりました。
しかしながら、現段階においても、今ひとつ性的侵害についてや、性のありよう、また性器の出来方云々で話しが進んでいることを大変、危惧しております。
この改正の要項についての答申が出るのは9月もしくは10月と言われています。
それに間に合うよう、再びみなさんのお力が必要になった次第です。
どうにかして、8月中に性器のありようの個別判断が必要という見解を見直ししていただき、さらに、手指及び器具の挿入を強姦罪に含まれるよう国に働きかけたい気持ちです。
この改正が109年ぶりであったように、2016年の改正後、次の改正までどのくらいの時間がかかるかわかりません。現に、現行法では訴えられない被害者が多いことを鑑み、どうぞ、みなさまのご署名をよろしくお願いいたします。
今回は、如何に社会の関心が高いかを国に伝えたく思い、個人様での署名の他に、団体様からの署名もお待ちしております。
また、海外にもこの情報は発信しておりますので、お知り合いが海外におり、この問題に関心のある団体をご存知でしたら、共有いただければ幸いです。
法改正は国にとっても大仕事。放っておけば、すんなり通りそうな部分だけ改正されて終わり。ということになる可能性もあります。「典型的な被害」ではないもの、マイノリティの被害については、数字もないし実態もイメージできない。だから、やらない。という結果にならぬよう、どうぞよろしくお願いいたします。
------以下、これまでの経緯--------------------------
2014年11月28日 法務省にて
性犯罪に対する罰則に関する検討会
以下委員
【座長】
山 口 厚 早稲田大学教授
【委員】
井 田 良 慶應義塾大学教授
小木曽 綾中央大学教授
北 川 佳世子 早稲田大学教授
木 村 光 江 首都大学東京教授
工 藤 陽 代 警察庁刑事局刑事企画課付
齋藤 梓 臨床心理士・目白大学専任講師 被害者支援都民センター相談員
佐 伯 仁 志 東京大学教授
田 中 素 子 松江地方検察庁検事正
田邊 三保子 東京地方裁判所部総括判事
角 田 由紀子 弁護士(第二東京弁護士会)
宮 田 桂 子 弁護士(第一東京弁護士会)
法務省サイトには現在(平成26年10月31日〜平成27年8月6日まで)の全12回の検討会の議事録が公開されている。
レイプクライシス・ネットワーク代表岡田は、平成26年11月28日に法務省に呼ばれ、セクシュアルマイノリティの性被害について15分の発言をした。
以下、平成26年11月28日 第2回会議議事録から抜粋
《性犯罪の罰則の在り方についての論点》
・性暴力は、あらゆる年令、性別、性指向、職業、生活環境、容姿を問わず起きるが、現在の法律では極限られた被害しかあてはまらないこと。
・法律自体が性別を規定して,固定化することで,被害届を出しにくいものにしている。
・社会的に見た性暴力被害のスティグマや,偏見,二次被害というものを増長させてきた現実もあるのではないか
・法律が変わること,性別規定を刑法から撤廃することは, 今まで潜在化してきた被害を多少なりとも見えやすくすることにつながると思っている。
・ 論点の中に《男性を加える》という書き方がされているが、その時点で性別を限定していると考える。戸籍性別が女性のトランスジェンダーが被害に遭い、その後、被害届を出す過程で性別変更をした場合に、女性として法廷に立てるのか?(法的にも、本人の意思としても。※現行法では女性しか強姦被害者にはなり得ないため)
・男性/女性という区切りをつけてしまうと強姦罪に対し(具体的な性別の規範に対して)戸惑うセクシュアルマイノリティがいる。よって、男性被害者を加えるのではなく《性別規定の撤廃》をしなければ、潜在化した被害は現れない。
・100年前の強姦罪の要件は、母体保護の意味が強い。女性を家の財産化して考えているため膣性交、妊娠に高い量刑を科していたが、現実的には生殖機能がなければ強姦ではないのか?コンドームをつけていたとしても、強姦であることに変わりはない。肛門性交が強姦でない理由をもう1度考えなくてはいけない。
例:強姦罪に問われないために、わざわざ膣を避けて、肛門性交をするという例はいくらでもある。
また、膣形成していないトランス女性が女性として被害に遭っても、肛門性交であれば強姦にはならない。
・強姦というものは身体的侵襲行為とするべきだということ。性器であろうが,異物であろうが,指であろうが,人の体に物を入れるということ自体を強姦とするべきなのではないか。そうすれば性別を「人」とすることができるだろうと思っている。
《質疑》
加藤刑事法制管理官
私は検察官だが,今お話があったような,トランス・ジェンダーの方が被害に遭われるというような具体的な事件に遭遇したことがない。そういった事件,あるいは被害というのがどの程度起きているのか,あるいはどういった形で起きているのかといった具体的なイメージというのがなかなか持てないでいる。それらの点について参考になる御知見があれば 教えていただけますか。
岡田
そもそもトランス・ジェンダーの人であるとか,広くセクシャル・マイノリティの 人が司法の場に出て行くということは困難なことだと思います。出て行く過程でどれだけの差別があるのかということ。同性であれば友達なのだから仲直りしたらいいじゃないかと警察からすぐに帰されるようなことも幾らでもあるし,トランス・ジェンダーの人も変態扱いで,いわゆるおかまを職業としてやっているんだろう,であれば仕方ないということで帰されてしまうとか,ほとんどが司法の場に行けない。
ただ,例えばですが,トランス・ジェンダーの人の中で,世界的に見れば,やっぱりセックスワークをされる方,水商売の方はすごく多いと思う。世界的には,HIV/エイズ研究の中でも,トランス・ジェンダーの性暴力被害についてはいろいろな研究結果がある。いろいろな場面で差別をされるということは,被害に遭うリスクが高まるということでもあり,いろいろな場所で被害があるというのは相談を受ける場面でもあるが、性別を移行する段階においてということで,他者からの興味の的にされる。容姿は女性だけれども,体はもしかして男性なのかなとか,男性の見た目だけれども,性器としては女性なのだろうなということで,ものすごく差別的な目線で性暴力被害に遭うということ。本当は女なのだろうとか,男を知らないからこんなことをやっているのだろうと言って被害に遭うというようなことはものすごく多く起きている。ほかの異性愛者の方と同じように性暴力被害にはずっとさらされているということ。それよりもうちょっとリスクが高いということなので,どういう事例があるかということはすごく難しくて,どこにでもある被害と同じように被害は起きている。何も規定されていないから,言いにくいだけ。
以上が15分の発言と質疑の一部。
その際、提出した資料も法務省サイトで確認できる。
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00095.html
この際には、併せてTrans Gender Women Aids Program 大河りりぃ氏からの意見提出も出された。
このヒアリングを受け、法務省と検討委員の中でもまだ、多様な被害について想像できていないと感じ、性別を男女と記される可能性と膣とペニスでの行為のみが強姦とされる事を危惧し、レイプクライシスネットワークでは、chang.orgで署名を集める事とした。
宛先:法務省刑事局性犯罪の罰則に関する検討会、法務大臣
署名タイトル『強姦罪から性別規定の撤廃、強姦を身体侵襲行為としてください』
署名募集期間 2015年7月10日〜2016年1月25日(197日間)
署名人数 4291名
2016年1月29日(金)法務省へ4291名の署名と要望書を提出
RC-NETメンバー(岡田実穂、宇佐美翔子、東優子)、畑野とまとさん、打越さく良弁護士が同行
提出後、記者クラブにて取材を受ける。
その後もレイプクライシス・ネットワークから陳述書や要望を法務省に送っている。
以下、平成28年1月20日 第4回会議より抜粋
中村幹事
資料30は,第2回の部会におきます御議論を踏まえまして,性同一性障害者の治療及び性別適合手術によって形成される性器について実情を把握するため,性同一性障害者の治療を行 っている岡山大学病院ジェンダーセンター長の難波祐三郎教授と,岡山大学ジェンダークリニックで治療を担当されている松本洋輔岡山大学病院精神科神経科助教に御協力をいただきまして作成していただいた資料である。
岡山大学病院では,「岡山大学ジェンダークリニック」と「岡山大学病院ジェンダーセンター」が一体となって,性同一性障害の診断から性別適合手術までの治療を包括的に行える体制を整えており,岡山大学病院では,これまでに,約2,000名の性同一性障害者の診察を行い,延べ約600件の性別適合手術を行った実績がある。
ページの3のとおり,性同一性障害者の中で,生物的な性別は男性であるけれども,性の自己認知あるいは自己意識が女性である者を「MTF」と呼び,生物的な性別は女性であるけれども,性の自己認知及び自己意識が男性である者を「FTM」と呼んでおり,この資料の2ページ目以降の4のところに,岡山大学病院での性同一性障害者の治療の流れが書かれている。
(以下、FTM/MTF性別適合手術の術式説明)
以上のことを踏まえて,事務当局として,性別適合手術で形成された膣又は陰茎についても,個別具体的な判断によることとはなるものの,要綱(骨子)第一の膣又は陰茎に当たり得るものと考えている。
井田委員
今の中村幹事のお話ですが,お聞きしていてよく理解できました。性別適合手術によって形成された陰茎や膣,これらも,言わば生まれながらの陰茎や膣と同じに扱っていい場合があるということ。もちろん,いろいろな態様,形態があるようですので,そこは個別的判断によるというのは,確かにおっしゃったとおりだと思う。例えば,自分の組織,あるいは他人の組織を使ってそういうものを作った,あるいは何らかの物質を使って作ったというとき,最初からそれは条文の文言に当たらないのだというような判断にはならないであろう。 それは,保護法益の理解から来るもので,私は身体的内密領域ないし親密領域をその侵害か ら保護するのが性犯罪処罰規定による保護であると考えるが,同じ機能ないし作用を持ち得るものであるとすれば,同じように被害者をそれによる侵害から保護すべきだ思う。
ちなみに,傷害罪の場合の人の身体というときに,自分又は他人の組織や臓器を移植した場合や,あるいは一定の物質を埋め込んだというような場合でも,それが身体と切り離せないような形で結合しているのであれば,もはや身体の一部として保護すべきだというのは,恐らく 一般的な見解だろうと思われる。それとパラレルに考えることができるのではないか。
小西委員
少し違う視点からになりますが,性の在り方というのは,身体的なレベル,それから心理的なレベル,それぞれに非常に多様。今,LGBTと言われていますが本当に多様。その中で,性的な侵襲というのがどうやって行われるかと考えた場合に,すごく古典的な,女性と男性で陰茎が膣に挿入されるという,それだけでは考えられない,例えば,同性の間の性的な侵襲は結構たくさんあると思う。それも含めますと,むしろやはり,これは特に議論にはなかったと思いますけれども,男女含めて様々な性の在り方の人に適用できるようにしていくということは,やはり必要なのではないか。
山口部会長
手術によって形成された膣や陰茎につきましては,最終的には個別事案,個別のケースについての判断ということになるのではないかとは思いますけれども,要綱(骨子)第一の括弧内に書かれております「膣」あるいは「陰茎」に当たり得るという御意見が述べられまして,これに特に反対する御意見はなかった。
この点は,要綱(骨子)を修正する必要が生じるものではないというようには思われますけれども,法文化の際にどのような用語を選択するのかにも関わるところですので,事務当局におきまして条文作成の作業に当たる際には,ただ今の意見を踏まえて,検討していくようにお願いしたいと思う。
次に,「性交等」の範囲と法定刑の引上げについて
1巡目の議論では,性交等の範囲につきましては,多数の方は, ,要綱 (骨子)のとおりでよいとする御意見でございましたけれども,要綱(骨子)に含まれている もののうち,口淫,あるいは,いわゆる挿入させる行為については含めるべきではないという意見もあった。他方で,要綱(骨子)に加えまして,膣等への手指の挿入も含めるべきであるという御意見もあった。
法定刑につきましては,強姦罪の法定刑の下限を引き上げる必要はないという意見もあったが、引き上げるべきであるという意見が多数であった。
これらの点につきまして,1巡目の議論を踏まえて,更に御意見があればお願いしたい。1巡目では,論点ごとに意見をお伺いしたが,本日は,「性交等」の範囲を拡張することと法定刑を引き上げることとの関係なども踏まえて,御意見を伺いたい。
宮田委員
膣や肛門への侵襲行為は,客観的な危険性が大きいと申し述べたが, その危険性ついては,子供の口淫の場合には危険である,あるいは,させる行為について,子供が非常に精神的に傷付くという形での小西委員の御意見も頂戴したと思う。 果たして,これが成人について,膣や肛門と同様の物理的・生物的な危険があると言えるのかどうか疑問に思っている。口淫について,事務当局から18件の例が紹介されているが,紹介された例は, 成人の被害者の例は18件中4件。しかも,その被害者は全て20代の方ということ。少なくとも,させる行為については全て未成年の事例である。このような,実際に事件となった例の実態を見ると,口淫,少なくともさせる行為は,これはむしろ未成年の保護のための規定と考え,およそ成人まで,させる行為を全て処罰の対象とするのは, 現実に沿わないのではないかと感じられる。
法定刑の問題ですが,要は肛門性交,口淫,させる行為,これは従来,強制わいせつとして処罰されてきた。そうすると,強制わいせつから強姦と同等の処罰になるということ自体が重罰化だと思うが,その強姦の法定刑を更に引き上げるということになりますと,二重の重罰化ということが言えるのではないか。
第2回でも指摘しましたけれども,資料14や15を見ますと,肛門性交や口淫,させる行為は,3年以下で処罰されているものが非常に多い。これらを含めて懲役5年とするとなると,これらの行為は,現在よりも重く処罰されるようになることは明らか。少なくとも口淫,させる行為については,従来,強制わいせつとか児童福祉法違反で処罰されてきたもので,これを取り込んで懲役5年とすることには非常に問題が大きいのではないか。強姦と同じにして3年以上にすることに加え,更に5年という二重の重罰化がされるということ自体,問題。そもそもが,基本的に第177条で従来規定されてきた強姦罪の認知件数自体が,少なくとも横ばいの状態であるわけですから,法定刑を引き上げる必要性というのは乏しいのではないかと考える。そして,現に,現在の強姦罪でも,言い渡されている刑の7割は5年以下。 法定刑が引き上げられた場合には,量刑傾向は上がることになる。このような立法をしなくても,法定刑の範囲で十分に対処が可能であるところを,なぜ刑を上げる必要があるのか甚だ疑問に感じる。
(このあと、殺人罪や強盗など他の犯罪との兼ね合いを考えず、性犯罪だけで考えて決めていくこと場当たり的。他の分野とのバランスを欠いたまま、どんどん重罰化につながっていくのではないか。)
木村委員
今,準強姦の話が出たので。いわゆる薬物影響だとか睡眠中だとか,典型的に準強姦に当たるもの以外に,典型的なのは親子関係とか,あと教師・生徒関係とか,そういうのも入っている。親子関係みたいなものが,もし今度の法改正で,特別類型として,重く処罰されるということになると,教師と生徒関係って,これもやはりかなり悪質な例が多くて,それが特別類型から外れることになる。では,どこで拾うか, 準強姦,準強制わいせつという,いわゆる「準」の規定で拾う可能性がかなりあるのではないか。それはやはり,かなり重く処罰する必要があるものもあり,準強姦だけ軽いまま残しておくというのは,バランスがとれないのではないか。強姦罪の法定刑を上げるのであれば,やはり準強姦も上げる必要があると思う。
今井委員
先ほどの宮田委員の意見のうちの要綱(骨子)第一に関連するところだけ,意見を申し上げます。
宮田委員は,口淫や挿入させる行為というものが膣性交や肛門性交と同程度の,これほど重く処罰する危険性あるいは実態があるのか,という疑問を提起されていた。
この点に関連しまして,本日も小林関係官からの資料の御説明があり,また,小西委員,齋藤幹事からも現場の状況の御説明があった。また,第1巡目のところでも,角田委員からも指摘があったと思うが、挿入する行為の場合でも,口淫の危険性が軽視できないという実態があること,また,挿入させる行為というものも,日本では統計の取り方,あるいは,正にそういった類型が犯罪とされていないがためにデータとして上がってこな い可能性が高く,したがって,未成年を対象とした犯罪件数しか認知されていないと思われる。実態としては,ここまでの処罰範囲が,従来の膣性交と同程度の危険性あるいは悪質性,重大性というものを持っているということは,先の現状の御説明からも十分理 解できるところ。また,そうした行為が,今回考えている強姦等という罪の保護法益である性的自己決定権を強制的に侵害するという点では,何ら違いはないので, 私は法定刑の話の前提として,この処罰範囲の切り口としては,これで妥当なものだと思う。
北川委員
前にも申し上げたことと重複するが,今回,要綱(骨子)第一の強姦 罪の改正のように,法定刑5年以上という刑に上げるということを前提に考えると性交等の範囲をここまで拡張していいのかということについては,慎重な議論が必要だと思う。
それとの関係で質問させていただきたいのですけれども,そこのところを教えていただきたい。
香川幹事 先ほど北川委員から,量刑傾向についてお話があったが裁判所の立場からお話しできることだけになるが少し発言させていただきたい。
一般的に言って,量刑自体は,いろいろな要素を個別具体的な事案に基づいて決めているので,一概にこれとこれを比較してどうなのかというのは,なかなか申し上げにくい。いろいろお話に出た,例えば口淫などをとっても,それを比べてどうかということは,なかなか言いにくい。
特に,口淫については、これまで強制わいせつ罪で処罰されていたと思うので,これが強姦になったときに量刑がどうなるかという比較は,将来予測も入るので,難しい。 ただ,資料なども拝見して,実務家の感覚としては,少なくとも 口淫については,強制わいせつ罪の中では重い類型として処罰されてきたのかなとは思う。 繰り返しになりますが,それが強姦に含まれたときにどうなるかというのは,なかなか事案ごとの判断ということで,難しいのかなと思っている。
以上が第4回会議の議事録からの抜粋である。会話文で記載されているため幾分、簡素な書き方に変更して記載したが、概ね議事録の通り。
補足:また、この話し合いの後半で《強姦罪》という呼び方がふさわしくないのではないかと事務局は考えており、どんな罪名にしたらいいだろう?という会話や、被害について解剖学的用語を用いいる方が被害者も負担が少ないのではないか。という会話も記録されている。
然るに、検討会全体を通して、検討委員やヒアリング対象者に《性に関する専門家》の存在が皆無であることが最大の問題であるというのがわかる議事録でもあった。
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【要望1、について】
第2回会議の時点で、
・刑事法制管理官が《トランス・ジェンダーの方が被害に遭われるというような具体的な事件に遭遇したことがない。そういった事件,あるいは被害というのがどの程度起きているのか,あるいはどういった形で起きているのかといった具体的なイメージというのがなかなか持てないでいる。》と発言。それについて岡田の説明はしたが、それでもイメージが難しかった様子。
・ 第2回の検討会をうけて、第4回の岡山大学での性別適合手術の術式のヒアリング。
・ ヒアリング時、岡大から《個別具体的な判断によるものの》という発言があった。
・ それに呼応するように部会長(事務局)も《個別具体的な判断》という発言があった。
・ さらに委員からは《いろいろな態様,形態があるようですので,そこは個別的判断によるというのは,確かにおっしゃったとおり》との発言
【要望2、について】
第2回会議で岡田が《性器であろうが,異物であろうが,指であろうが,人の体に物を入れるということ自体を強姦とするべきなのではないか。》と話をしたが、
第4回会議でも議論は深まっていないように見受けられる。
・ 口淫や手指の挿入行為についての話し合いが深まっておらず、委員の中には、性交の範囲を広げることに反対する方もいらっしゃった。
・ 強姦罪と殺人罪の下限量刑が同一になるのはバランスが悪い
・ 委員から《正に口淫という事例と,それと手指であるとか,あるいは異物を挿入した場合の事例では現行法上同等か。両者の量刑の相違が実感値として把握できない実務的な感覚として,口淫と手指及び異物を挿入した場合の量刑の質的な違いというものはないか。》という質問がある。
・ 上記質問に対し幹事の答え《例えば口淫などをとっても,それを比べてどうかということは,なかなか言いにくい。 特に,口淫については、これまで強制わいせつ罪で処罰されていたと思うので,これが強姦になったときに量刑がどうなるかという比較は,将来予測も入るので,難しい。》
・ この時点で、幹事も正確には答えられなかった。手指での被害について幹事からの答えは見られなかった。
・ 以上の流れを見るに今後、議論が深まるのかどうか不安に思う。議論の中で委員が多様な被害があるのでそれに即したものにという発言がある。しかしながら実際の議論の中で、手指及び器具の挿入についてはっきりとした結論は見られず、うやむやなまま議論を終えている。
そこで、以下2点についての要望書を作成した。
1、 性器の定義について
本来的に性器の形状等は各個人により差異があり画一性が必要なものではありません。内外性器腫瘍等治療の為の除去及び形成手術による場合、性別違和を元にした性別適合手術による場合、DSD(性分化疾患)等により内外性器の明確な判別が難しい場合、それぞれ、各個人の性器であることに間違いはありません。性別適合手術等における性器形成について、基本としては性器として扱い個別判断とする旨の議論が審議会においてありましたが、そもそも個々の性器を法的に定義することは現実的に可能でしょうか。様々な理由によりそれらを国が定義づけることは大きな人権侵害の可能性を内包します。
男性器を模したエピテーゼについても挿入が可能で尚かつ見た目には分からないものが販売されております。ペニスバンドと呼ばれる器具についても、色や形状について一目で分からないようなものが売られています。そもそも、例えば“いわゆる”「性器」と、「エピテーゼ」、「性器成形による性器」どれを挿入されたということが、被害者にとってどれだけ重要なこと、延いては精神的/身体的な負担が変化するのでしょうか。この性器という定義については、本来、より重大な事柄として議論をしなければいけないものだと考えております。
2、この要望のポイントは、《手指及び器具での行為》を強姦に含めることで、
・ 今まで法律で規定されていない被害であるために声を上げにくかった被害を訴える事が出来るようになること。
・ 被害内容の調査の際に性器のありようの説明は必要なくなる。
・ 個人の性器のありようを法廷で晒さなくてはならない可能性を無くし、個人の性のありようを侵害する事のない法改正を望んでいる。
2、 手指及び器具の挿入
1を踏まえた上で、挿入の主体を「性器」とすることは整合性がなく、手指及び器具の挿入を強姦に定義するべきだと考えます。議事の中では「口への手指・器具の挿入」に関して他のものと同一の性質だとは言えないと話されていましたが、そうであれば口への挿入についての手指・器具の挿入について議論するべきであり、膣・肛門についても考えないことにするのはそれこそ整合性がありません。強姦罪の中での性別規定が撤廃され、生殖に係る項目のみを強姦罪とする時代は終わりを迎えます。手指及び器具の挿入を強姦に加えることこそが、強姦罪が「性的自由ないし性的自己決定権を個人的法益として守りきる」ために最低限必要なことだと考えております。
法務省では、性犯罪の罰則に関する検討会、議事録公開は12回、その間、身体侵襲行為については議論が深まっておらず、このままでは、身体侵襲行為はレイプではないことになってしまう恐れがあり、このたび、再び皆様のお力をお借りする運びとなりました。
賛同者/団体募集 性的人権を最大限守りきる法改正を