RC-NET(レイプクライシス・ネットワーク) BLOG.

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大阪府警の性犯罪防止用広報ビデオ及び「性犯罪から身を守るために」について

2015-02-23 19:49:26 | スタッフ日記

性犯罪から身を守るために

オバチャーンの防犯アドバイス~防犯ブザー編・ながら歩き編~

上記は大阪府警による性犯罪防止用広報ビデオ等資材で、以前から一部では批判も多くありましたが、現在も使用されています。

性暴力全体でのことを考えず、暗数でいえば13%程度である事件化された「性犯罪」のみを見て、性犯罪の発生傾向や「予防」教育などをし続けることが、日本でも30年以上に渡り「セカンドレイプ」「レイプ神話」という言葉をもって批判されてきました。

もちろん、人通りの少ない場所で見知らぬ人からの被害も多くおきています。しかし割合としては、多くの性暴力被害は室内で、知り合いによって起きています。その中で多くのサバイバーたちは言いづらさを抱え、後の調査等でやっと、暗数として被害数というものが明確化してきています。そして実際のところ、その調査されている「暗数」でさえ、本当の所は暗数があります。なぜなら、性暴力被害にあうのも加害をするのも本来、特定の性別に限られたことではないからです。
どちらにせよ、性暴力被害にあわないために「被害者」もしくは「被害にあうかもしれない女性」のみを対象として「予防」を呼びかけることに、どれだけの意味があるのでしょうか。

振り向くだけで解決するのでしょうか。振り向いて犯人の顔を見たということが、違う犯罪に発展する可能性はないでしょうか。人通りの少ない場所で防犯ブザーを鳴らすことで、誰かが助けに来てくれるのでしょうか。犯人が逆に、その音を消すために近づいてきたらどうしたらいいのでしょうか。
「やめてください」と言いましょうと言われても、その声を出すのにどれだけの努力をしなければいけないのか、出るはずの声が出なかったその無力感を、「言いましょう」という言葉が、どれほどに傷つけるのか。
「予防」という概念が、どれほどの「すでに被害にあった人」を脅かすのか、考えてほしいのです。
「私がちゃんとしていなかったから」「私のせいで」多くのサバイバーが言います。
どうしてこうなったのか、そこに答えはありません。加害者が加害をしたから、という以外には。答えがないからこそ、自分を責めてしまいます。だからこそ、加害者が増えない社会をつくらなければいけない。被害の発生を防ぐのではなく、加害の発生を防がなければいけない。

警察や司法のなすべきことは、こうした暗数に目を向け、性暴力被害をより明確に取り締まるということであり、
決して、「女性が」「注意欠陥により」「被害を招いている」ということを伝えることではありません。

もういい加減、こうしたレイプ神話を語り続ける事柄に対して、NOを突きつけ続けるのにも疲れてしまいますよね。