RC-NET(レイプクライシス・ネットワーク) BLOG.

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可決されました

2017-06-16 18:25:43 | 映画/小説/ドラマ
RC-NET代表の岡田です。

改正性犯罪、強姦罪が参議院本会議において、強制性交等罪として可決されました。

2014年に唐突に法務省職員から、性暴力被害に関して、性的マイノリティに関する話をヒアリングしたいと連絡がきました。
この件についてばかりは、この4年間本当に、ずっと、青森にいることがもどかしい思いを抱えてきました。
ヒアリングに行った、署名も届けにいき、会見も開いた、セクマイコミュニティの人たちに話を聞くため伝えるためにあちこち行った、議員さんに会いにも行ったし電話もメールも続けて。
でも、霞が関に通えない。電話で議員といくら話しても、「いつ会いにこれますか?」という話になる。
青森にいるのだ、と言っても、あぁそうですか、でしかなく。
東京行き過ぎてお金が底を尽きたりもしました。
お金無いからバスばっかりで腰を悪くしたり(片道12時間弱。笑)


こんなに相談を聞いてきた。伝えてくれた人がいた。
苦しんでいる声を、私は聞いてきたのに届けることができない。
今も思いは変わらない。


やりきれなかった。
強制性交なんていうくだらない名前になってしまった。
陰茎による被害しか認められなかった。

だけど、まぁ、附帯決議ではあるけれども、
性的マイノリティについて、偏見に基づく不当な取り扱いをしないということが明示されました。

海外のLGBTI団体の人たちにはとても助けてもらった。
ただ、もちろん、個別に沢山の人に応援もいただいたけれど、国内のコミュニティを盛り上げることは出来ませんでした。
だけど、覚えておいてほしい。
改正後は、膣だけではなく、口でも、肛門でも強制性交等罪は成立する。最低量刑は5年。

暴力被害に関する文脈で実質上の差別禁止項目が附帯であれ入ったこと、
これこそが、プライド月間の私のハイライトです。

嬉しいし、関わった多くの人たちに感謝したいです。

この法律が、当事者たちの為に、それぞれの尊厳を守るために、より良い形で運用されるよう、これからも諦めないでいたいです。

性暴力被害に関する社会の意識/システムの変換を。

2017-06-14 15:44:58 | スタッフ日記

ここ数年、強姦罪改正についてや、ワンストップセンターの設立という事が性暴力に関する話題の中で大きな問題として扱われてきました。

もちろん、それぞれに大切なことです。ただ、それだけが大切な問題ではありません。

今回、詩織さんというサバイバーが、自らの被害経験から現状の日本の性暴力相談に関する状況や警察・司法の劣悪な状況についての訴えをしました。そのことをきっかけに、沢山のことを考えました。

詩織さんを応援する、と多くの人が書いているのを見ながら(もちろん、応援するとうだけではなく、驚く様な侮辱的発言を見る事もありました)、現実的には私たちはそれらを見聞きし、体験してきて、その中でなんとか踏ん張って声をあげて来て、それでもこの社会はあまり変わらなくて、という状況を考えていました。

応援するっていうことはもちろんだけど、一緒に頑張ろうって言いたい。

立ち上がった多くのサバイバーの声を「聞かないことにする社会」に向き合うために。 

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私たちがワンストップセンターに対して抱いている懸念については昨年以下の記事に書きました。

私がワンストップセンター乱立に反対の理由。

ここで、私たちが主に性暴力被害について、社会的に「すぐ出来る」対応として求めたものがありますが、今日はその各項目について、より詳しく書こうと思います。

・既存の相談機関に於いて性暴力被害に関する相談体制を構築する

まず、警察や司法、被害者支援センター、人権相談等公的資金で運営されている機関の相談事業による二次的な加害が多すぎます。警察による被害届の受理に関する状況や事情聴取の方法、現場検証の方法にも依然として被害感情への理解が欠如した実施の現状があります。単に相談を受けるということについても、必要となる説明すらせずに断定的な物言いをしたり、出来るはずの同行や情報提供を省いたり、被害にあった人のことを一瞬でも考えれば決してするはずが無い様な相談の実態は多くの相談事例から枚挙に暇が有りません。

そうした中で、研修といえば「当事者を呼んで話しを聞いた」「性暴力についての研修を1〜2時間受けた」程度のことでOK、実質的により具体的な学びやスキルが必要である性暴力サバイバーへの対応について明確に研修を受けたという事例についてはほとんど聞いたことがありません。そもそも、各機関に於いて性暴力被害相談の体制に関わるマニュアルがない、という状態は異常です。

明確に対応をすべき場所で、自らのマニュアルも十分に無い状態で相談を受けるということは、怠慢という他ありません。

・医師会を通じて、性暴力被害に関わる証拠保全についての通達を出す

ワンストップセンターに行けばいいように、と国は言うかもしれません。しかし、各地のワンストップセンターは全ての国民にとってアクセスがいい場所にあるのでしょうか。医療機関との連携、と言っても、その連携した病院は、全ての被害者の身近にある病院でしょうか。そして、その病院の在処は、果たして誰が教えてくれるのでしょうか。

どの病院に行ったとしても、最低限の治療を受けることが出来、また性暴力についての想定をしていただける、結果としてその場で治療や証拠保全に関する対応が受けられるようにならなければいけません。これについては、国、医師会の通知、通達により多くの病院が対応をする可能性が出てくるのではないでしょうか?

・レイプキット使用等、証拠保全に関わる資金を全国一律で助成する

性暴力に関する証拠保全に関しては、被害にあったことを訴える当事者が負担すべきものではありませんし、各医院が負担すべきものでもありません。これらを全国各地の医療機関に配置する為の予算についてを国で捻出すべきです。

ハコ物を作りそう知識の無い相談員を量産することにお金を使い続けることよりも、具体的な施作に予算を使って下さい。 

・民間の“多様な”性暴力被害に関する支援事業に助成する

性暴力被害にあうという状況も、その人たちの属性もそれぞれです。都市部に住む人、地方に住む人、日本語を使う人、日本語を使わない人、大人、子ども、女性、男性、トランスジェンダー、精神疾患や知的障害、また身体障害を持っている人、本当に様々ですし、また、そのそれぞれの人たちに対して、提供するべき情報は変わる可能性があります。

こうした事柄について、より特化して専門性を持った相談支援の実践を行えるのは民間の方が大きな可能性を持っています。また、そうしたそれぞれの属性、様々な状況について、今後より広く調査研究を推進していく必要があります。

これらについて、国から助成があるべきです。 

・各都道府県での被害者支援事業を一括で取りまとめせず、国内全域にまたがり各都道府県での支援に関わるマップ作成を行い、サバイバーに対してどのような支援があるのか選択肢を示す

○○県なら○○へ、というような、一括でのワンストップ機能には限界があります。例えば、被害直後ならどこなのか、ある程度時間が経ってからの相談はどこなのか、カウンセリングなら、自助グループはどこにあるのか、サバイバーには多くの選択肢が必要です。サバイバーの人生は点ではなく、連続性のあるものだからです。

医療・法律等で困る事もあるでしょう、また、就労や就学で困ることも、親族・パートナー・友人関係等で悩みを抱えることもあります。電話相談をしたら「うちはそういうことは聞かない」と電話を切られたということもあります。ここは何の相談を聞けて、どういった情報提供が出来て、どういう人が対象なのかを明確にした全国的なリストは絶対的に必要なものです。


 

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性暴力サバイバーの支援活動をご支援下さい。

寄付をする;活動資金のサポートをお願いします

会員になる;団体会員(1万円)維持会員(5千円)賛助会員(3千円)

郵便振替 00980-8-194971 レイプクライシス・ネットワーク

ゆうちょ普通預金 14190-82780161 レイプクライシス・ネットワーク

※会員希望の方、寄付をお考えの方は、会員限定ウェブラジオ等の配信をさせていただきますので必ず入会について rc-net@goo.jp までメールアドレスをお知らせください。

 

<オススメ書籍>

新版 トラウマの心理学 心の傷と向きあう方法
小西 聖子
NHK出版
STAND―立ち上がる選択
大藪 順子
いのちのことば社
生きる勇気と癒す力―性暴力の時代を生きる女性のためのガイドブック
原美奈子,二見れい子
三一書房

<性暴力についての報道や記事を書く際のお願い>支援情報も一緒に掲載してください

2017-06-05 15:28:06 | 映画/小説/ドラマ

<性暴力についての報道や記事を書く際のお願い>

性暴力についての情報をみるのは、性暴力を生き抜くサバイバーたちにとって、多かれ少なかれ、ストレスになるものです。
その情報によっては、自らの被害などを思い出して調子が悪くなったり、フラッシュバックを起こしたりすることもあります。

性暴力について、多くの場所で議論が沸き上がったり、そこから様々な支援や啓発に繋がっていくのはとても嬉しいことです。
その一方で、もう、すでに、性暴力被害にあい、その事で苦しんでいる人たちがいることを忘れないでください。

ぜひ、性暴力について書いたり、発信する時には、被害にあった時、辛い気持ちになっている時に相談出来る場所、助けになりそうな場所の情報も一緒に流して下さい。

性暴力についての情報は、「議論」のためにあるのではありません。
性暴力というあまりにも強烈な出来事を、生き抜いて来た、また生き抜く為に踏ん張ってる多くの人達がいることを忘れないでください。

確かに「とてつもなく酷い出来事」かもしれません。
確かに「こんなもの無くなればいい」としか言えないようなことかもしれません。
だけれども、
私たちはこの街で、もう一緒に生きています。
みなさんと共に暮らす性暴力サバイバーにとって、生きやすい社会を作るために協力をお願いします。

RC-NETでは全国の相談窓口の情報データベースをつくっています。
各都道府県毎に選択して検索することも出来ますし、項目を選択しなければ、一覧で出すことも出来ます。
http://rc-net.info/database.html

ぜひ、ご利用いただければと思います。

 

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性暴力サバイバーの支援活動をご支援下さい。

寄付をする;活動資金のサポートをお願いします

会員になる;団体会員(1万円)維持会員(5千円)賛助会員(3千円)

郵便振替 00980-8-194971 レイプクライシス・ネットワーク

ゆうちょ普通預金 14190-82780161 レイプクライシス・ネットワーク

※会員希望の方、寄付をお考えの方は、会員限定ウェブラジオ等の配信をさせていただきますので必ず入会について rc-net@goo.jp までメールアドレスをお知らせください。

 

<オススメ書籍>

生きる勇気と癒す力―性暴力の時代を生きる女性のためのガイドブック
原美奈子,二見れい子
三一書房
マイ ステップ(CD付き): 性被害を受けた子どもと支援者のための心理教育
野坂 祐子,浅野 恭子
誠信書房
あなたに伝えたいこと:性的虐待・性被害からの回復のために
野坂 祐子,浅野 恭子
誠信書房
子どもへの性暴力: その理解と支援
藤森 和美,野坂 祐子
誠信書房