東京五輪・パラリンピック組織委の理事会後、記者会見で質問に答える橋本聖子会長=21日午後、都庁

延期やコロナ対策で追加の経費が生じた中、組織委は簡素化を徹底。2016年に示した予算計画第1版の1兆5000億円(予備費除く)の枠内には収めた。ただ、招致段階の13年に東京都がIOCに提出した「立候補ファイル」で開催経費は7340億円としており、2倍近い規模となった。

組織委によると292億円の減額は、会場の原状回復工事費用が想定より少なく済んだことなどが理由。負担の内訳は組織委が61億円増の6404億円。東京都が283億円減の5965億円、国が70億円減の1869億円で、公費による割合は全体の55%となった。

7月から清算段階に移行する組織委は、予期せぬ訴訟対応の費用などとして144億円を残した。最終的に使わなかった資金の使途は清算法人が決めるが、理事会として「東京都への帰属が適当」との見解をまとめた。

武藤敏郎・東京五輪・パラリンピック組織委員会事務総長の話「多くのことを考えさせられる大会だった。さまざまな困難を乗り越え、最高の舞台を実施して人々の目に見える形にしたことは、大変価値のある仕事だったと確信している」

橋本聖子・東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の話「安心、安全な大会になるよう強い決意を持って臨んだが、不安の払拭は困難な仕事だった。さまざまなご意見にどう応えていくべきか日々考え抜き、成長できた。全ての関係団体が一体となり、開催を実現できた」

荒木田裕子・東京五輪・パラリンピック組織委員会副会長の話「パラリンピックへの皆さんの意識が変わって『オリパラ』という言葉が定着した。子どもたちが多様性を認め合う社会を勉強したことは未来につながる」

來田享子・東京五輪・パラリンピック組織委員会理事の話「報告書はかなり緻密に事実を残している。ネガティブな出来事も書いてあり、控えめではあるが課題意識を持った書きぶりがあるところは評価できる。残るということがすごく大事」