立憲民主党は「地獄逝こう」=自国維公に対抗してどうやって活路を見出し、政権交代を実現するか。財界の走狗に過ぎない自公政権に対して「大きな政府論」という対立軸を持って、真剣に政権交代だけを目指すべきだ。

上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。
昨日アップした
玉木雄一郎国民民主党代表が30歳未満の若者減税法案を衆院に提出してまた世代間の分断を激化させ、外国人の保険料未納や診察料の踏み倒しが多額だとデマを流して差別を助長。今一番危険な政治家が玉木雄一郎だ。
と言う記事に対して、「立憲支持者」さんという方から
「国民民主への批判とともに、何故立憲の支持が伸びないのか分析もして欲しい。
前回の衆議院選で50議席も伸ばして一番政権に近いのに全然風が吹いてこない。
何故?」
というコメントをいただいたので、立憲民主党がどう支持を伸ばすべきだと私が考えているか述べてみたいと思います。
これは政策論ではうちと同じく社会民主主義的な「大きな政府論」を採用しているkojitakenの日記さんが、政局論としては、今は内閣不信任案を出す時期ではないと強調され、私とは意見の相違がある点にも関わっているのでちょうど良い機会だと思います。
とりあえず夏の衆参同日選挙を回避できれば、最悪の事態だけは免れる
上に出てきた「大きな政府論」とは、政府が経済や社会に積極的に介入し、高い水準の公共サービスや社会保障を提供することで、市民生活の安定や所得格差の是正を目指す思想や政策を指します。
大きな政府論の3つの内容の第一は北欧諸国のような高福祉・高負担の社会であり、医療、教育、年金、失業対策などの社会保障が充実している一方、これを支えるために税金や社会保険料など国民の負担も大きくなります。
さらに経済に対して積極的に政府が介入することが特徴で、公共事業やインフラ投資、企業活動への規制強化、巨大事業の国有化など、政府が市場に積極的に関与します。
そして、所得格差の是正が社会経済政策の目標となり、累進課税や社会保障制度を通じて、富裕層から低所得層への所得再分配を図ります。
これは憲法学では現代立憲主義憲法に対応するもので、生存権や教育を受ける権利などの国家に対する請求権である社会権を重視します。
このように大きな政府論はそれこそ1人の社会的・経済的弱者を取りこぼさないというリベラル・左派の思想に合っているはずの理念です。
ところが、日本の市民の多くがなぜこの大きな政府論を必ずしも支持せず、税金は少なければ少ないほどいい、特に消費税はその最たるものだと考えているのは、自民党を中心とする日本の政府がろくなことに税金を使わないので、誰もが税金を払うのは損だと考えているからです。
現に、日本は市民から税金を徴収して、その後これらの税金を分配した後の所得格差(再分配所得ジニ係数)は、2000年代以降ほぼ横ばいで推移していて0・37前後なのですが、これは米国(0.390)よりは低いものの英国(0.366)並みで、北欧諸国(0.25~0.28)よりかなり高く、北欧と日本では政府の政策による再分配機能の差が顕著です。
その原因は、北欧諸国と比べ、累進課税の弱さと社会保障給付の偏りが指摘されており、相対的貧困率15.7%(2018年)はOECD平均(12.4%)を大幅に上回っています。
日本政府への信頼感のなさや自公政治に対する政治不信が、第3自民党である国民民主党の「手取りを増やす」=税金を減らす政策を支持される原動力となっているのはいかにも皮肉な話だと思います。
国民民主党の玉木雄一郎代表の傲慢な態度が酷すぎる。石破茂首相との初会談では原発の建て替えと新増設を要求。野党の企業・団体献金の禁止の協議には「結局通らないからパフォーマンスなので」と罵倒して欠席(呆)
立憲民主党が支持を伸ばすに必要なことは2点あると私は考えています。
それは第一に市民のために真に必要な政策論を貫き通すこと、第二に自公政権との対決姿勢を鮮明にしてブレないことです。
2025年4月12日に、立民創立者の枝野幸男氏は党内の消費税減税論者たちを減税ポピュリズムだと激しく非難して
「野田さんは同じ思いでいてくれるので、うちの党は大丈夫だと思うが、私はポピュリズムには走らない」
と訴え、その理由としてアメリカの大統領選挙に言及し、
「アメリカ人がみんなトランプ氏を応援したわけではない。日本はポピュリズムに走らない有権者がもっと多いと思う」
との見方を示しました。
そして、ビジネスや経営学の世界で、競争の激しい既存市場を「レッドオーシャン(赤い海)」に対し、競争のない未開拓市場を「ブルーオーシャン(青い海)」と呼ぶ概念があることを踏まえて
「その人たち(ポピュリズムに走らない人たち)の受け皿が1つぐらいなければ困るのではないか。
逆にその受け皿になったら、ものすごいブルーオーシャンではないか。
私は1人でもこのブルーオーシャンを取り込みたい」
と述べたんです。
立憲民主党の枝野幸男代表が辞任。今は止められないだろうし止めるべきではない。しかし、枝野幸男は必ずまた立つ。そして、リベラル派は立憲民主党が動揺して右傾化しないように厳しく見守ろう。
私は枝野幸男という政治家を基本的には信頼しているのだが。
日本維新の会と連携をはかる野田佳彦元首相や泉健太代表との立憲民主党代表選に再び勝って、枝野幸男氏は立民・共産・れいわ・社民のまともな野党4党の共闘を再構築し、自公政権を打倒して政権交代を果たすべきだ
実は枝野氏がブルーオーシャンを取りに行くのだという発想は立憲民主党創立時からあったもので、統一地方選挙に向けた2019年2月11日の立憲民主党の全国幹事長・選挙責任者会議の中で、
「われわれはブルーオーシャンを目指す政党だ」
と表明し、現実に有権者の約4割が投票する政党がないといって選挙を棄権しているとして、
「こうした方々に既存の政治とは違う、今までの永田町の内側を向いた政治とは違うというメッセージと行動をしっかり示す、政治の側が近づくことに寄って投票所に足を運んでもらう。
そのことが、これから始まる戦いに向けた大きな戦略的な立ち位置ではないか。
ベースとなる足腰の活動をしっかりやっていただくことは大前提だが、同時に新しいマーケット、いま政治に不信を持っている皆さんにしっかりと働きかけることをそれぞれの地域で進めれば一定の成果を挙げられる政治状況にあると思う。
われわれの立ち位置、政治姿勢のベースを各地の皆さんに共有をしていただき、ブルーオーシャンに新しいさまざまな展開は大きく広がっているという自信を持って前に進んでいきたい」
と訴えています。
私も立憲民主党がブルーオーシャンを取りに行くという発想には共感します。
しかし、今の政局で、何がブルーオーシャンなのか。
それは石破自公政権と徹底的に戦い、市民の真の利益をめざす政党であることです。
日本維新の会は2022年秋の臨時国会から2023年春の統一地方選挙まで支持率を伸ばしましたが、これは立憲民主党に抱きついて岸田政権と対決するというポーズを取ったことによります。
その結果、日本維新の会は同選挙で大勝したのですが、その後、大阪万博や斎藤元彦兵庫県知事の不祥事が次々と明らかになり、その中で馬場執行部が自分たちは第2自民党でいいんだと述べるなど自公政権に抱き着く本音をさらけ出してしまい、失速しました。
逆に、同時期に立憲民主党は日本維新の会に支持率で抜かされる羽目になったのですが、これは当時の泉健太代表が政策提案型野党、つまり政府と対決しない政党路線を打ち出して政権交代を事実上諦め、誰が見てもゆ党でしかない維新とも癒着してしまって、野党としての全く魅力がなくなったのが原因でした。
立憲民主党の泉健太代表がやっと次期衆院選での単独過半数(233)を目標に掲げ始めたが、候補者数はたった180(-_-;)。もともと政権交代の意欲もなく、いまだに維新に色目を使う泉代表は代表選に出るな。
2024年秋の衆院総選挙で大勝して以来、維新と同じゆ党でしかない第3自民党である国民民主党が大人気ですが、これは第一に政策が「手取りを増やす」という有権者の財布に直接訴えるわかりやすい内容だったことと、所得税の課税最低額を「103万円の壁」を突破して178万円にしろという旗を降ろさず、石破政権と対決しているかのようなポーズがポーズに過ぎないとまだバレていないことにあります。
実際には、国民民主党は自公政権入りを虎視眈々と狙ってその延命に手を貸しており、自民党にとって致命的となる企業・団体献金禁止に賛成せず、自分たちが選挙の公約にしてきた選択的夫婦別姓法案にまで反対するなど、自公政権の補完勢力に過ぎない本質をさらけ出しています。
しかし情報の発信が既成政党では一番うまいので、まだ有権者の多くが国民民主党が第3自民党だとははっきり認識出てきていない状態です。
これが、2022年秋から2023年春までで終わった日本維新の会人気に比べて、国民民主党人気が長く持続している秘訣だと思います。
選択的夫婦別姓制度について衆院選の公約にして法案まで出してきた国民民主党の玉木雄一郎代表が、あの産経新聞に「政局的なものにせず丁寧な論議が必要だ」と急に言い出す。政局的なものにしてるのはお前だろ!
この立民と維新と国民民主の栄枯盛衰でわかるように、今の日本社会においてブルーオーシャンは何かと問われれば、それは
「自公政権と徹底的に戦い、真剣に政権交代を狙う『確かな野党』」
であることは明らかです。
実は日本共産党と社民党がブレずにその場所にいるのですが、高齢化が一番急速に進んで足腰が弱っているなどの別の問題から党勢を伸ばせずにいます。
逆にれいわ新選組が徐々に支持率をあげているのは、政府と対決する姿勢だけは揺らいでいないからだと言えるでしょう。
枝野氏は日本政治におけるブルーオーシャンを「減税ポピュリズムに屈しない」という矮小化した分野に特定してしまいましたが、かなりの割合の日本の民衆が待ち望んでいるのは自公政権とガチンコでぶつかり合う野党なんですよ。
尊大でいまだに立憲民主党のオーナー気取りで(広く)不人気の枝野幸男氏にも、日本保守党共同代表の極右政治家河村たかし氏と応援しあう(一部に)人気の泉房穂氏にも、政治改革も政権交代も期待できない。
そのような観点から見たときに、終始一貫して維新と協力すると言い続けており、通常国会の中で早々と石破政権に「武装解除」しただの「内閣不信任決議案提出や退陣を求める声があるが、私は簡単に求めない」だの、石破政権を倒す本気度が全く見て取れない野田佳彦氏は、立憲民主党の代表としては最悪だと思います。
まさに、立憲民主党における獅子身中の虫、日本維新の会からのトロイの木馬、自民党からの刺客というべき「がん細胞」のような存在が野田氏です。
自公政権を倒すこのチャンスに、立憲民主党の野田佳彦代表がまた日本維新の会について「路線は全く同じになった」「一本化しようという気持ちがある有力野党が出てきた」と評価。やはり野田氏は維新に逝け。
存在感ゼロの野田佳彦代表と立憲民主党。石破自公政権に対して「武装解除」を宣言してから「戦闘モード」と言っても説得力ゼロ。その象徴がホテルでたった40分間行われた安倍派会計責任者への非公開事情聴取だ。
明らかに違法な石破茂首相の商品券配布問題について、立憲民主党の野田佳彦代表が「内閣不信任決議案提出や退陣を求める声があるが、私は簡単に求めない」。政権交代をする気がない野田代表は自民か維新に早く逝け。
また、前述した講演の中で
「少なくともアメリカの通商交渉について言えば、石破内閣は求心力を持って臨んでいる。
野党第1党も支持している」
と言った枝野氏は、あのトランプ大統領に対する石破首相やそのあとの赤沢亮正経済再生担当相による「土下座外交」を評価してしまっているわけで、政治的センスが全くないとしか言いようがありません。
現に石破首相がトランプ氏を「大統領閣下」と持ち上げてどれだけ媚び媚びしても、報復関税を宣言していたEU(20%)よりも高い相互関税(24%)を通告されたではないですか。
しかも枝野氏は政府の関税対応に協力する姿勢を強調したうえで
「不信任案を出すべきだって言っている人は無責任極まりないか、外交を知らないかのどっちかだ」
と言い切って、野田氏の武装解除や不信任案を簡単に出さない発言と全く同じことを言ったわけで、こんな弱腰の姿勢で立民が「ブルーオーシャン」を取りに行けるわけがありません。
この点、政策はもとより政局にも強いkojitakenの日記さんの古寺多見さんは、この与党が少数派である通常国会で立民が内閣不信任案を提出したりしたら本当にそれが可決されてしまい解散総選挙になるかもしれない、そしたらいま日本で一番危険な玉木雄一郎代表率いる国民民主党が党勢を伸ばすのは確実で、立民や共産が負けるのは確実。
さらにそれが衆参同時選挙だったりすると、まかり間違うと自公国連立政権ができて玉木首相爆誕などという悪夢のような事態になるかもしれないから、内閣不信任案を出さないという野田執行部や枝野氏の方針は間違っていないのだとおっしゃっています。
しかし、そしたらいつ立民は国政選挙があっても大丈夫なくらい支持率を伸ばすことができるのでしょうか。
2024年秋の総選挙で立民は冒頭でご紹介した「立民支持者」がおっしゃるように50議席も増やしましたが、それは自民と公明が勝手にこけたのであって、立民は比例区でも小選挙区でもたいして票数は増えていません。
つまり、泉健太執行部になってから野田執行部までこの3年間、立民は長い停滞期に入ったままなのです。
その原因は、立民が政府の批判は控えて政策を提案しますと言い出したり、維新とくっつこうとしたり、石破内閣に不信任案は出しませんと言ったりする、煮え切らない糞詰まりみたいな政党になってしまっているからなんです。
政権交代なんかする気がない人ほどやるやるという「やるやる詐欺」。
30年前に法制審が答申を出している選択的夫婦別姓制度も作らない、あれだけ裏金問題が明らかになっても企業・団体献金に固執する、そんな悪政を野放しにしておくわけにはいかないからいつでも内閣不信任案を出すぞという構えもない立民が支持を増やすことなんてできないんですよ。
寄らば斬るぞという真剣ではなく竹光が鞘に納まっているのがミエミエで、政府にとって全く怖さのない野党第一党なんて存在価値そのものがないです。
だから国民民主やれいわは支持率を増やしても、立憲民主党はずう~~~~~~っと横ばいなんです。
内閣不信任案を出したら解散総選挙になるかもしれないから今は出さないという一見現実的な戦術が、いつまで経っても魅力が増さず支持率も増えないという立民の万年野党化を招いてしまっていると私は思います。
「国民民主への批判とともに、何故立憲の支持が伸びないのか分析もして欲しい。
前回の衆議院選で50議席も伸ばして一番政権に近いのに全然風が吹いてこない。
何故?」
という冒頭の立民支持者さんに対する回答はそれです。
やる気を見せないから風が吹かないんです。
それに仮に立民が不信任決議案を出しても、維新や国民民主や自民党の一部がそれに賛成して可決される可能性はそんなに高くないと思うので、それを心配しすぎて立民が不信任決議案という伝家の宝刀を最初から抜かないことに決めて、相手を安心させてしまうデメリットの方が大きいと思う。
参考記事
村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより
高額療養費改悪を含む予算案の採決に応じない立憲民主党にエールをおくります。
「日本だけGDP停滞」は自民党の悪政が原因。自民党による税金利権の身内への優先的供与、労働の非正規化推進による労働者搾取。日本の衰退と疲弊は自民党政治の責任。(メモ) #自民党が滅びなければ日本が滅ぶ
国民民主党が企業・団体献金を禁止したくないのは自民党と同じく政治献金による自党の利権・権力維持のため。 #国民民主党に騙されるな #玉木雄一郎に騙されるな
kojitakenの日記さんより
「減税」の大合唱が2005年の郵政解散・総選挙前後を思わせる激流になりつつある
とりあえず夏の衆参同日選挙を回避できれば、最悪の事態だけは免れる
編集後記
ショック!うちのエブリワンブログがお世話になっているgooブログサービスが2025年11月18日で終了。。。エブリワン存続のため、皆様のお知恵をお貸しください!
話は変わりますが、うちのブログがgooブログのサービス終了に伴い引っ越しを余儀なくされるという問題。
古寺さんは
米山隆一は「給付付き税額控除はその額を財政状況に応じて調整できます」というが、それだと税収の多い好況期には増額、税収の少ない不況期には減額になり、税のビルトインスタビライザー機能を損ねてしまわないか
という記事の中で、
「宮武嶺さんが開設しているgooブログが終わるらしいが、ブログサービスには運営者がサービスを辞めてしまうというリスクがあるのだ。」
という冒頭のリード文からこれまでのご自身や他の長寿ブログに関する様々な情報を教えてくださったうえで、
「何が言いたいかというと、ブログの移行を余儀なくされた時には、移行直後が大切だということだ。昔、他のブログサービスに移った途端に一気に衰退したブログを見て驚いたことがある。累積ビュー数6千万超の宮武嶺さんのブログがまさかそうなるとは全く思わないけれども、ブログのアクセス数の世界は指数対数の世界だからそれだけは留意された方が良いと生意気にも書く次第。」
とアドバイスをしてくださいました。
私が胸を熱くするほど嬉しかったのは、先輩ブロガーである古寺さんが
「私の宮武さんへのおすすめはもちろん「はてなブログ」への移行である。」
と書いてくださったことでした。
借りているアパートが解体工事に入るという時に、「うちに来いよ」と言ってくださっているわけですから、これほど温かい励ましの言葉はありません。
そういう人に対する優しい気持ちがあるからこそ、古寺さんは最大多数の最大幸福をめざす社会民主主義の立場を取っておられるわけですし、まあはっきり言って立民の野田氏や枝野氏が内閣不信任案を出す構えを取るべきか取らないべきかなど、本当に取るに足らない小さな意見の相違だと思っています。
古寺さん、ご厚情に感謝します。本当にありがとうございますm(__)m
上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。

この会合の冒頭、江田氏は、3日前に枝野元代表が党内の消費減税派を批判し、離党を促すかのような発言をしたことについて、「大変残念な発言で、党是である多様性を尊重するという理念にも反しているし、政策論議を封殺しようというのは看過できない」と厳しく批判した。
同じ日には小沢一郎衆院議員も、枝野氏の発言について、「非常に失礼、無礼、傲慢(ごうまん)な印象を与える」と厳しく批判した。
立憲民主党内では、財源なき減税に慎重な姿勢で議論の行方を見守るとする野田代表のもとで、深刻な亀裂が生じつつある。
なぜ消費税をめぐる議論は、ここまでの対立を呼び起こしたのだろうか。
立憲は11日午後、夏の参院選の公約作りに向けて、経済政策に関する党内議論をスタートさせた。焦点となるのが、党内で求める声が勢いを増している消費税の減税だ。
開催された財務金融部門会議・経済財政部門会議・税制調査会の合同会議は、約1時間半に及び、所属議員約40人が発言した。
出席した議員によると、物価高に伴う経済対策としては、消費税の減税をめぐる議論が中心で、減税派が発言した数は慎重派の3~4倍にのぼったという。
経済財政部門を取り仕切る馬淵元国交相は、記者団の取材に対し、「経済対策としての減税は強い要望があった。(一律で)5%の減税と、食料品ゼロ税率の話はかなり強めに出た」と明らかにした。一方で、「消費税の減税を安易に言うべきではない。社会保障の財源だ」といった慎重な意見も出たという。
この会議の数時間前、記者会見に臨んだ野田代表は「議論がキックオフだと聞いている。議論の推移を注視していきたい」としたうえで、「虚心坦懐に党内の議論を受け止めていきたい」との考えを示した。
さらに記者から、旧民主党政権で首相在任時に消費税率10%への道筋をつけた自身としての減税への考え方を問われると、「虚心坦懐に見ているという状況だ」と述べるにとどめた。
一方で、野田氏は「物価高対策が依然として必要だという中では、1つの政策の方向性だ」との認識も示し、「精緻な議論をしてほしい」と求めた。
消費税の減税をめぐっては、日本維新の会や国民民主党が物価高対策として実施を求めているのに対し、立憲は中低所得者の消費税負担の一部を税額控除と給付で軽減する「給付付き税額控除」を掲げている。
この「給付付き税額控除」について、野田氏は「今も到達点だと思っている。一方で、今の経済情勢の中でそのままでよいのかどうかという議論を今している」と述べた。
そのうえで、「給付付き税額控除を変えろという話はないと思う。逆進性対策としては軽減税率より正しいと思っている人が多い」との見方も示した。
こうした野田氏の発言について、野田氏に近い幹部は「党内の議論を見たうえで、必要であれば消費減税も柔軟に検討する考えを持っている」との見方を示す。
一方、別の幹部や関係者は「基本的に慎重な姿勢は変わっていないのではないか」と見ている。
これまでに立憲では、江田元代表代行や吉田晴美衆院議員などの勉強会「食料品の消費税ゼロ%を実現する会」のほか、末松衆院議員が会長を務める消費税率5%への引き下げを求める勉強会が発足している。そして、それぞれの勉強会が、参院選の公約への反映を目指し、執行部への提言を取りまとめるなど動きを活発化させている。
野田氏に近い幹部は、「党として減税派にも配慮した方針を取りまとめなければ、党内が持たないのではないか」と苦しい胸の内を漏らす。
しかし、こうした流れに待ったをかけたのが、立憲民主党を立ち上げた枝野元代表だ。
地元・さいたま市で12日に講演した枝野氏は、消費減税派を厳しく批判した。
「税金だから誰だって安い方がよいに決まっているが、借金でやったらインフレになり、次の世代にツケを回すことになる。無責任なことを無責任に言ってはいけないというまっとうな有権者の皆さんの受け皿を、私は立憲民主党という名前で作ったつもりだ」
さらに枝野氏は、党内の減税推進派を念頭に、語気を強めてこう言い切った。
「減税ポピュリズムに走りたいなら別の党を作ってください」
枝野氏の発言の背景には、かつて枝野氏が所属した旧民主党時代の苦い教訓があるのは間違いない。旧民主党はマニフェスト(政権公約)の中で、数多くの魅力的な政策を掲げ、政権交代を果たしたが、その後、財源問題に直面して苦しみ、政権を失った過去があるからだ。
そして、枝野氏の「口撃」はこれにとどまらなかった。
枝野氏は、分かりにくいと指摘されることもある立憲の消費税負担軽減策「給付付き税額控除」について、「分かりにくいことを説明するのが政治家の仕事だ」と意義を強調し、「消費税分をキャッシュバックするのは分かりにくいから説明できないと、分かりやすい政策を取るなら政治家を辞めろ」と主張。
そのうえで、2024年の党代表選挙で「給付付き税額控除」を主張した自身と野田氏が決選投票に残ったことを指摘し、「党として決着はついている」と強調した。
さらに、枝野氏は「野田さんは同じ思いでいてくれるので、うちの党は大丈夫だと思うが、私はポピュリズムには走らない」と訴え、その理由としてアメリカの大統領選挙に言及し、「アメリカ人がみんなトランプ氏を応援したわけではない。日本はポピュリズムに走らない有権者がもっと多いと思う」との見方を示した。
そして、ビジネスの世界で、競争の激しい既存市場「レッドオーシャン(赤い海)」に対し、競争のない未開拓市場を「ブルーオーシャン(青い海)」と呼ぶ概念があることをふまえ、こう訴えた。
「その人たち(ポピュリズムに走らない人たち)の受け皿が1つぐらいなければ困るのではないか。逆にその受け皿になったら、ものすごいブルーオーシャンではないか。私は1人でもこのブルーオーシャンを取り込みたい」
そのうえで、枝野氏は「減税を言っている人は諦めるか、別の党を作るか、どちらかだ」と迫ったのである。
立憲の源流である旧民主党では、今回とは逆に、消費税の増税を引き金に分裂した歴史がある。野田氏が首相だった2012年、消費増税の方針に反発した小沢一郎衆院議員らが集団離党し、政権を失う大きな要因となった。
枝野氏の発言に対し、党内からは「言い過ぎだ。党の分裂を誘発するつもりか」といった反発や、「政策ごとに党が分裂していたら、政権交代なんて夢のまた夢だ」などの厳しい批判が出ている。
一方で、野田氏に近い関係者は「枝野氏と野田氏はお互いに信頼している。減税派が勢いを強める中で、バランスを取るための発言だったのではないか。減税に慎重な野田氏が代表として言えないことを、あえて枝野氏が強めに言ったのではないか」との見方を示す。
上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。
①税金の分配を生活を良くすることに使う
できれば目に見える形で
②自民党と徹底して対決する
納得の分析でした。
次の参院選で立憲が伸び、自民党が大きく減らすよう立憲に選挙資金カンパを考えます。
結局のところ、立憲が政権を取ったらどのように我々の暮らしが良くなるのかが見えてこないのが最大の問題。
減税でも所得の再分配でも良いんだけど今のところ何がやりたいのか分からない。