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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

自公の協議で、安倍政権からの防衛装備移転三原則はそもそも殺傷能力のある兵器の輸出さえ禁止していないと言い出した。武力不保持を規定する憲法9条を持つ日本が武器を輸出することは憲法違反に決まっている。

2023年06月18日 | ダメよダメダメ岸ダメ政権

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 武器輸出禁止3原則はかつては非核三原則と並ぶ日本の「国是」でした。

 戦争放棄と武力の不保持を規定する日本国憲法9条と憲法前文の平和主義を受けて、1967年に佐藤栄作首相は武器輸出三原則を示しました。

 これは

①共産圏

②国連決議で禁止されている国

③国際紛争当事国

には武器の輸出を認めないというものでした。

 さらに、1976年に三木武夫首相が、それ以外の国にも輸出は「慎む」との政府統一見解を示し、事実上輸出は禁じられたのです。

イスラエルへの武器輸出が可能に 武器輸出禁止三原則を放棄し防衛装備移転三原則を閣議決定

NPT条約再検討会議が決裂 最終合意文書を葬った核保有国イスラエルに武器を輸出する安倍政権。

【防衛予算5兆円突破】安倍政権下で軍需産業からの自民党への政治献金が急増。民主党政権時代より60%増、31社で4億円に。

 

 

 ところが、2014年、第二次安倍政権下で現在の「防衛装備移転三原則」が制定され、それまでの「武器輸出禁止三原則」で事実上禁じられてきた武器輸出を可能にしました。

 それでも、憲法9条の縛りがあるためこれに真っ向から反することはできず、防衛装備品について、

「移転を禁止する場合の明確化」「移転を認め得る場合の限定」「目的外使用及び第三国移転にかかる適正管理」

が図られており、移転を禁止する場合として国際条約違反になる場合、国連決議で輸出が禁止された国、紛争当事国が含まれています。

 また逆に輸出を認めるのは、平和貢献や国際協力、日本の安全保障につながることを条件としていますし、それに加えて日本の同意がない目的外の使用や、相手国以外の第三国に再び輸出されないようにするという原則も守る必要があります。

防衛装備移転三原則とは 条件付きで輸出認める - 日本経済新聞

 

 

 そして、どんな装備品を輸出できるかというと詳しくは防衛装備移転三原則の「運用指針」で定めていますが、「安全保障面での協力関係がある国」に対し、「救難」「輸送」「警戒」「監視」「掃海」の5類型の装備品に限って認めていて、外国との共同開発などを除くと、殺傷能力のある装備品の輸出は認めていません。

 ところが、2023年6月17日付け産経新聞の

『現行制度で武器輸出可能か 装備移転巡る与党協議で浮上 自衛隊法と誤解?』という記事で、自公両党がこの防衛装備移転3原則の運用指針の見直しにあたって、そもそもこの運用指針について

『殺傷能力のある「武器」の輸出を現行制度は禁じていない』

過去に武器禁輸を明言した国会答弁や政府の発信はない。一方で自衛隊の不用品を途上国へ移転する自衛隊法116条の3で弾薬を含む武器を除くと明示している。そのため、ある防衛省幹部は「自衛隊法の規定と混同された可能性はある」と話す。

武器の輸出は実務者協議の大きな焦点だっただけに自民の防衛族議員は「今の制度でも武器が輸出できると分かったことの意義は大きい」と話す。武器輸出に慎重な公明側も認識としては共有しているようだ。』

というのですが、先ほど見てきたように、もともと佐藤内閣・三木内閣で武器輸出は禁止されてきたわけで、「武器は禁輸だと曲解」どころかもともと禁輸だったんですよ。

 それを輸出できるようになったというためには、明文でこれこれの武器はこういう時に輸出できると規定しなければ、武器は輸出禁止のままなのです。

 何を無理やりコペルニクス的な大転回をして、そもそも武器輸出は禁止されていなかったとか、マルチバース(多元的宇宙)みたいなことを言い出しているんでしょうか。

 スパイダーマンか!

 

小野寺元防衛大臣が米ネオコンシンクタンクCSISで「反撃能力の保有についてアメリカ側に説明し歓迎された」。敵基地攻撃能力論と軍拡はアメリカの軍産複合体の利益のための貢物だ。

 

 

 このところ、岸田政権による国内の防衛産業=軍需産業を儲けさせる策動が目立ちすぎます。

 結局、日本の軍需産業は今は納入先は自衛隊に限られ、少量の受注も多いから、手間ひまがかかる割にもうからず、企業の撤退が増えている、だから日本から海外への武器の輸出が増えれば、「防衛産業」の強化につながり、日本の安全保障にも資するという理屈です。

 それで、武器の国内製造拠点の維持に向けて、事業継続が困難になった軍需産業の生産ラインを国有化し、別の企業に委託する仕組みまで盛り込んだ防衛産業基盤強化法まで今国会で作ってしまったんです。

 これなんか、本来潰れるべき企業を潰さないのですから明らかに資本主義の原則にも反しますし、軍国主義化の最たるものです。

 おまけにもともと日本は殺傷能力のある武器の輸出を禁止する方針なんてなかったんだと言い出すとは、岸田自公政権の大ぼら吹きと危険さには驚きました。

要は日本の軍需産業も儲けたいということだが、徴兵制まである韓国と戦争放棄・武力不保持の憲法9条を持つ日本では国内法秩序が全く違い、軍事分野でできることも天と地ほど違う。

岸田政権が殺傷能力を持つ武器も輸出解禁をもくろむ!戦車、ミサイル、次期戦闘機も輸出。安倍政権が武器輸出禁止3原則を放棄した結果が今ここに。憲法9条を持つ日本が死の商人になることは許されない!

 

ウクライナに自衛隊車両を100台提供 岸田文雄首相が表明 - 日本経済新聞

日本ならではの形の支援があるとしたら、それは徹底した非軍事・人道的支援。

岸田政権がウクライナ戦争に乗じて日本を「死の商人」にしようとしている。「同志国」に「防衛装備品」=兵器を提供し、ODA対象外の軍支援「政府安全保障能力強化支援(OSA)」に踏み出す方針。

 

 

亡国の武器輸出: 防衛装備移転三原則は何をもたらすか

池内 了青井 未帆 | 2017/9/11
 
 
 

軍事依存経済

しんぶん赤旗経済部 | 2016/9/17
 
 
 
スポンサー広告 - 変貌する日本の安全保障

変貌する日本の安全保障

半田滋 | 2021/4/2
 
 
 

ちなみに、日本はウクライナに防弾チョッキやヘルメットを支援し始めましたが、これはウクライナは「安全保障面での協力関係がある国」に当たらなかったため、ロシアがウクライナに侵略を開始した直後の2022年3月に、岸田政権が運用指針を改定して「国際法違反の侵略を受けているウクライナ」との項目を加え、自衛隊の装備品を譲渡する形で支援しているのです。

岸田政権はこれをさらに殺傷能力のある兵器までウクライナに供与しようともしているわけですが、ウクライナは紛争当事国の最たるものなのですから、これは安倍首相が作った防衛装備3原則にさえ反しますし、そもそももちろん憲法9条にも反します。

岸田首相がゼレンスキー大統領の来日旋風に便乗して、武器輸出への道を開くために戦闘用にも改造できる自衛隊車両100両を提供するのは憲法9条違反。日本がウクライナに貢献できることは非軍事分野にこそある。

ところでこの自公政権の動きについて、ウクライナへのNATO加盟国からの軍事支援に反対している白井邦彦先生がnoteで

ウクライナへ殺傷能力ある武器輸出へと進む日本政府-「NATO諸国の武器供与は容認するが日本が行うのは反対」は成り立たない-

日本、ウクライナ支援として米に砲弾供与協議-「徹底抗戦支持・NATOの武器供与は容認だが日本が行うのは反対」はいよいよ成り立たない!その先は・・・

などと盛んに「日本の軍事支援は否定してNATO諸国のそれは認める理屈は成り立たない」と主張されているのですが、これは全くの誤解で、もちろん成り立つんです。

まず、ウクライナの市民の命を救うために、ロシアによる市民の殺戮を防ぐ必要があるので、NATO諸国はウクライナへの軍事支援を今やめるべきではありません。

しかし、それぞれの国が国内法秩序でできることとできないことは厳然としてあります。NATO加盟国がしていることは日本もできるとかしなければならないとか言うものではありません。

日本には憲法9条があって本来は自国も戦争放棄と共に武力の不保持を規定している国ですから、まして武器を他国へ輸出する、それも特に殺傷能力のある兵器を輸出したらすぐに戦争で使ってしまうウクライナのような紛争当事国に輸出するなんて、日本の国内法の最高法規である憲法に違反するので全くできません。

それは他国が国際貢献としてPKOやPKFが自由にできても、日本にとってはある一定以上の自衛隊の派遣は憲法9条違反の海外派兵になるのでしてはならないのとまったく同じです。

これについては、イラク派兵差し止め訴訟で違憲判決が確定しています。

なので、それぞれの国で国内法秩序が違うのですから、欧米諸国ができることでも日本にはできないことがあるのはむしろ当たり前で、これは法の常識です(これが全くわかっていない橋下徹氏のようなトンデモ法律家もいるから困るんですが(-_-;)

ウクライナのゼレンスキー大統領が電撃来日しG7広島サミットにも参加。せっかく憲法9条を持ち戦争放棄と武力不保持を誓った日本は、ウクライナに殺傷能力のある兵器を供与することだけはしてはならない。

白井先生は経済学者なので、上の二つのnoteの記事に日本国憲法のことが全く出てこないのですが、法律家からしたら、日本は国内法規で武器輸出をできないから他の非軍事・人道分野でウクライナに貢献するが、他の国は自国の法規に従ってやってくださいというのは当然のことなのです。

まして、ロシアは国連加盟国が共通して皆守らなければならない国連憲章という国際法秩序に反して侵略しているのですから。

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現行制度で武器輸出可能か 装備移転巡る与党協議で浮上 自衛隊法と誤解?

防衛装備移転三原則運用見直しに向けた与党ワーキングチームであいさつする自民党の小野寺五典安保調査会長(中央右)=14日午後、国会内(矢島康弘撮影)

「殺傷能力が付いたものは一切、装備移転できないと思っていた」。自民党の小野寺五典元防衛相は5月24日に行われた協議の冒頭、こう強調した。

平成26年に策定された防衛装備移転三原則の運用指針では、国際共同開発の場合を除き、安全保障面での協力関係にある国に対する救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に限って輸出が容認される。

小野寺氏ら与党の防衛族議員は武器を含む装備品は5類型で容認されないと認識していた。こうした認識のもとでは、装備移転に大きな制約が課される。例えば、5類型に該当する掃海艦は海上で機関砲により機雷を爆破する機能を持つが、輸出に際して武器に当たる機関砲を取り外せば、掃海艦としての機能を失うことになる。

だが、制度策定に関わった高見沢将林(のぶしげ)元官房副長官補は5月16日の協議で、シーレーン(海上交通路)の安全確保を念頭に「5類型の中には自衛隊法上の武器も(輸出対象に)入る前提で議論していた」と証言した。

なぜ武器は禁輸だと曲解されてきたのか。

過去に武器禁輸を明言した国会答弁や政府の発信はない。一方で自衛隊の不用品を途上国へ移転する自衛隊法116条の3で弾薬を含む武器を除くと明示している。そのため、ある防衛省幹部は「自衛隊法の規定と混同された可能性はある」と話す。

武器の輸出は実務者協議の大きな焦点だっただけに自民の防衛族議員は「今の制度でも武器が輸出できると分かったことの意義は大きい」と話す。武器輸出に慎重な公明側も認識としては共有しているようだ。

ただ、実際に武器輸出を行うには、5類型を始めとする制約を緩和する必要がある。現行制度でも可能との認識を踏まえ、協議でどこまで踏み込めるかがポイントとなる。(市岡豊大)

 

 

2023年6月17日 21時42分 (共同通信) 東京新聞
 防衛産業支援基本方針案の主な内容

 防衛産業支援基本方針案の主な内容

 国内防衛産業を支援する生産基盤強化法の成立を受け、政府が法に基づく施策を実行するために定める基本方針案が判明した。事業継続が困難な場合の工場買い上げ制度に関し、必要なら国が新たに工場を建設する対応を容認。輸出先国の要望で装備品の仕様を変える経費を助成した後、輸出に失敗しても返還は求めないと明記した。企業側には「国防を担う重要な存在だとの認識」を強く持つよう求めた。関係者が17日、明らかにした。
 有事の戦闘継続能力を保つため、防衛産業の維持に努める姿勢を明確にした形。だが日本の防衛産業は国際競争力が弱く、成果を出すのは容易でない上、官民の癒着を生む恐れもありそうだ。
 方針案では、強化法に基づきサプライチェーンやサイバー攻撃対策の強化、製造工程の効率化などの経費を国が負担する企業の認定方法について「装備品の安定的な製造に不可欠か確認した上で防衛相が認定」と記すにとどめた。
 こうした支援でも事業継続が難しい工場の買い上げに関しては、装備品を製造する請負業者が存在することが前提と規定した。
 
 
 
 

サイバー防御など12分野、装備化検討へ…「防衛技術指針」の概要判明

 防衛装備庁が防衛力強化に必要な技術分野などをまとめる「防衛技術指針2023」(仮称)の概要が判明した。従来、各省庁に所管がまたがっていた最先端の研究開発を安全保障政策に生かすための初の包括的な指針となる。指針では無人化やサイバー防御など12の技術分野を挙げ、可能なものは10年以内の装備化を検討する方針を明記した。同庁が近く公表する。

 政府は、昨年12月に改定した国家安全保障戦略で、これまで防衛費に含まれなかった研究開発費やインフラ整備費などの4経費を安保関連費として計上する方針を示していた。指針は、どういった研究開発費を安保関連費に算入するかの目安としても活用される見通しで、政府は来年度予算編成に向けた夏の概算要求に生かす考えだ

 指針では、重点的に研究開発を進める技術分野を明示することで、民間の投資を促すとともに、防衛省や研究分野を所管する他省庁、民間企業の「共通認識を醸成し、技術的な連携の基盤構築を目指す」とした。

 「我が国を守り抜く上で重要な技術分野」として、無人化やサイバー防御に加え、新たなエネルギーやネットワーク、架空情報を現実かのように見せる能力など12分野を掲載。それぞれの分野の具体的な技術には、〈1〉ロボットを使って遠隔操作する分身コントロール技術〈2〉サイバー攻撃の検知技術〈3〉ドローン攻撃への対処に役立つ高出力レーザー技術〈4〉メタバース技術――などを盛り込んだ。

 こうした技術の一部については、5年以内または10年以内に装備化を実現する考えを示した。長距離巡航ミサイルやミサイル防衛技術、無人機などへの活用を想定しているとみられる。さらに、10年以上先を見据え、「防衛に変革をもたらす防衛イノベーションを実現し、将来にわたって技術的優越を確保する」と強調した。

 最先端研究と安保政策の連携を巡っては、海外で防衛・民生双方で活用できる「デュアルユース(両用)」技術への投資が進む中、日本での取り組みの遅れが指摘されていた。国の科学技術関連予算は2023年度で計4兆円を超えるが、省庁別では文部科学省が48%、経済産業省が15%と続き、防衛省は5%にすぎない。

 

 

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6 コメント

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Unknown (ロハスな人)
2023-06-18 07:17:49
記事内でアメリカ軍産系に媚びる発言をしていた小野寺氏が台湾有事に関しては『アメリカの武器供与が米中衝突リスクを増やす』旨の『極めて適切な発言』をされていたことがわかりました。(しかも、アメリカに迎合する発言したほぼ同時期)

この方も“利権が絡まない”なら『まともな発言ができる』ということなのですね。

※日本の武器輸出は当然『輸出先の戦争リスクが高まる』という結論にしかなりませんよね。

https://toyokeizai.net/articles/-/593139?display=b
☆自民・小野寺氏「台湾への武器供与が米中衝突に」 「バイデン大統領は確信犯的に意思を示している」
2022/05/30 11:55

◎アメリカのバイデン大統領が台湾有事の際に軍事的に関与する考えを示したことに関し、自民党の小野寺五典安全保障調査会長は29日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)で、台湾有事の際、アメリカが直接戦闘に参加しなくても、台湾への武器供与により米中が衝突する蓋然性が高い、との見方を示した。
返信する
「論理的には整合性」? (秋風亭遊穂)
2023-06-18 13:39:48
 ゼレンシキーも日本の「立法上、憲法上の難しさが存在する」ことを理解しており、日本には復興に対する支援等を求めていた。

ゼレンスキー氏、日韓に殺傷兵器の供与希望 制約も「理解」
cnn.co.jp/world/35204127.html
([https://www.]を冒頭に付けてください)

 白井先生の言う、「(徹底抗戦と武器支援の同時支持が)論理的には整合性がとれる主張」はここでも否定されている。と言うか、法定枠組みを尊重するというのが一般的な理解だと思うのだが。
 「論理的には整合性」を極端に展開させれば、「徹底抗戦支持者はウクライナへ行って前線で戦え」という感情的な呆論にもなる。ネット上に散見されているところ。
 「論理的には整合性」は、右翼が日本の武器支援を求めるベースになる。ウクライナを支援したいから武器支援は当然という感情的で法を無視したもの。さらに武器輸出が目的になり、ウクライナ支援をそこに利用することにもつながる。
 法を忘却して「論理的には整合性」という言葉遊びに陥るのは危険なことだ。
返信する
【 左翼リベラルの欺瞞! 】 (三角四角)
2023-06-18 14:38:32
 
 左翼リベラルの主張する憲法9条の平和主義は、争いは、武力ではなく、話し合いで解決しようとするもの。
 国連憲章の平和主義は、先ず、争いは、武力ではなく、話し合いで解決しようとするもの。
しかし、話し合いで決着しなければ、最終的に武力を用いても解決しようとするもの。

 従って、憲法9条があったとしても、最終的武力を容認する国連憲章を持つ国際連合に加盟した日本は国際連合の武力解決を容認すべきである。
 武力解決が憲法9条に反し容認できないのならば、日本は潔く国際連合から脱退するのが筋であろう。

 憲法9条を守れというが、日本国憲法前文は無視しても良いと言うのだろうか?

 【 日本国憲法 前文
 (前略)日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
 (https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION_19470503_000000000000000)

 右翼保守にとって、日本国憲法前文の一部分「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」は非常に評判が悪い。
 中国や北朝鮮のことを信頼出来るのかと怒っている。
 しかし、日本国憲法前文の「平和を愛する諸国民」とは国際連合加盟国の諸国民としたら納得できるのではないか。

 「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」

 今、ロシアの違法な戦争行為によって、ロシアの専制と隷従(ロシアによって占領されたウクライナ領土)、圧迫と偏狭(ロシアによる攻撃を受けているウクライナ領土)に苦しんでいるウクライナの国民を日本国民は解放せよと日本国憲法前文は言っている。

 「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」

 日本国民は自国のこと、憲法9条のみに専念して他国ウクライナを無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 憲法9条の制約もあり、陸海空自衛隊をウクライナに派遣することは出来ないが、弾薬の提供さえ拒否する意見は、正に、日本国憲法が忌み嫌う「自国のことのみに専念して他国を無視」する態度なのである。

 日本国民は、何時から自分達さえ良ければ他の国なんか如何なっても良いという自分勝手な国民に成ってしまったのだろうか?
 日本国憲法前文に公然と反旗を翻す国民が、自らを護憲派と名乗っている。
 これは日本に於ける悲しい現実の一つである。


 本来ならば、ロシアなどはイラクがクエートを侵略した時に、国連安保理が出した安全保障理事会決議678の様に「多国籍軍」から攻撃を受けても仕方のない立場である(注1)。

 しかし、ロシアが国連安保理の常任理事国という偶然の事情で、或いは、常任理事国の立場を悪用して、ロシアに不利な安保理決議を常任理事国に許された拒否権を使って葬り去ろうとしている。

 国連としては、武力を以ってしてもロシアの蛮行を直ぐ止めさせて、ロシアの違法な戦争行為からウクライナを護るべきなのだ。
 また、その国連の行為に日本が助力することによって、将来、国連加盟国の日本が、違法な戦争行為によって、危機に瀕した時に、他の国連加盟国の援助を期待できるのだ。
 今回、ウクライナを助けずして、将来の他の加盟国の援助を期待するのは図々しい考えだろう。
 武士は相身互いなのである。

 日本国憲法9条を絶対守れという立場は、最終的には武力を以ってしても、国際平和を取り戻すべきという国連憲章を保持する国連加盟国の日本の立場と相容れない。

 日本国憲法9条を絶対守れという立場は、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」という日本国憲法前文に掲げられた理想を踏み躙る考えかたである。

 日本国憲法9条を絶対守れという立場は、「自国のことのみに専念して他国を無視」する行為であって、国際社会に生きる日本にとって、恥ずべきスタンスなのである。


 (注1)【 外務省 平成15年10月
 イラクを巡る情勢の経緯(2003年5月1日まで)
 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/iraq/98/kei.html
Copyright © Ministry of Foreign Affairs of Japan 】
返信する
Unknown (暗黒大将軍)
2023-06-18 15:59:08
アホの産経はインチキ国葬の法的根拠を訊かれて「内閣府設置法」だとホザいた連中ですから、武器は禁輸されてない、と言うためなら重箱に穴をあけてでも隅を突くでしょうよ

で、こいつらが出してる具体例は「掃海艦」のケースだけだから、俺に言わせれば「掃海艦には機関砲がついてるから殺傷兵器輸出は何ら問題ない」じゃなくて、せめて掃海に関しては特措法を作るなりしておくべきでは、、、

そもそも機雷掃海は武力行使として、ホルムズ海峡だけを例外として認めたんだから武器輸出の5例外に入ってることに違和感もあります
が、どうしても「日本の掃海艦で機雷除去するしかないんだー(?)」なーんて国があるのなら最低限そうしてほしい w
返信する
Unknown (ロハスな人)
2023-06-19 14:21:36
 『アメリカから高額ポンコツ兵器を買わされ続ける』日本政府が『国産の防衛産業を大切にしたい』という意図はわかります。

 しかし、“明白な憲法違反”の上に“各地で紛争を拡大させる”武器輸出に活路を見出だそうとするのは、明らかに“他人の犠牲の上に自分たちを守る”『九条の精神にもとる』選択で論外です。

※アメリカは『自国製でない対空兵器』を買ったトルコに嫌がらせをして、代金支払い済みのF35を何年も引き渡さないという“論外の行動”を取って、トルコから『返金要求』を突き付けられたそうです。

 日本政府には『真っ当な手法』で日本の兵器産業維持を講じて欲しいものですね。

☆トルコ外相、「米戦闘機はもう不要」 F35代金返還求める
May 14, 2023 Parstoday

 トルコのチャウシオール外相が、代金を支払ったにもかかわらずアメリカが引き渡していないF35米戦闘機について、「我が国は、アメリカによる売却承認を待たずに代金14億ドルの返還を求める」と述べました。

 トルコはF35戦闘機100機を米国に発注し、14億ドルの支払いも済ませていましたが、2019年夏、当時のトランプ米大統領が、トルコがロシアからミサイルシステムS400を購入したことを理由にこの売却を凍結させました。

 F35の製造段階から協力してきたトルコは、この3年間、米国政府に戦闘機引き渡しを求め続けてきましたが、米側は議会の承認が必要だとして引き延ばしてきました。

 これに対しトルコ側も、米の契約違反と議会の反対をうけてF35購入中止を発表し、支払った代金の返還を求めるようになりました。

 また、トルコがS400の目の前でF35を飛ばせばレーダー反射のステルス性能データが取れ、メンテナンスの際に情報がロシアに流れる危険性がある、というアメリカの主張を否定しました。

 チャウシオール外相はCNNとのインタビューで、トルコ政府が代金返還のための米側との協議を開始したとし、「(同様に引き渡しがされなかった)パトリオットミサイル発注時のように、米議会の承認を待つことはできない」と述べました。
返信する
するってえと (時々拝見)
2023-06-19 18:22:32
自国だけでなく、他国の国民の生命と自由と民主主義を守るためにも、圧政に苦しむ難民を手厚く保護しないのは恥ずべき行為な訳ですな。
自由民主党、英語だとリベラル・デモクラティック・パーティーでしたっけ?自民党って左翼リベラルだったんだあ(呆)、パーティーの好き。人民共和党に改名すると、中国共産党との友好が促進できて良いかも。
返信する

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