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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

国際原子力機関(IAEA)のトップが岸田首相と面会して福島第一原発「処理」水の海洋投棄が「安全」とする報告書を手渡しする予定。しかし、IAEAは世界の原発を推進するための組織で、この儀式は出来レース。

2023年06月14日 | 福島原発事故

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 実は映画と娯楽と家族のブログだった当ブログが社会派ブログに大きく舵を切ったのは、2011年3月11日の福島第一原発事故以来のことです。

 大学時代から被爆者の方々にお会いして導いていただいたので、弁護士になってからのライフワークが被爆者援護と核兵器廃絶。

 1990年代には国際司法裁判所(ICC)で「核兵器による威嚇とその使用は国際法違反である」という勧告的意見を勝ち取る世界法廷運動に没頭し、2000年代には近畿原爆症訴訟の弁護団事務局長も数年させていただきました。

 そんな私が2011年3月に「福島原発事故で黙っていていいのか」と兵庫県青年9条の会をやっていた神戸の若者たちに突き上げられて、うちは社会派ブログになったので、うちのブログには

被爆者援護と核兵器廃絶(43)

東日本大震災の真の復興(34)

内部被曝の恐怖(48)

原発ゼロ社会を目指して(123)

福島原発事故(144)

と言うカテゴリーがあるんです。

原発処理水、IAEAが月内最終報告 政府は今夏放出めざす - 日本経済新聞

福島第一原発の敷地に林立する放射能「処理」水=汚染水を貯蔵するタンク群。

 

IAEAによる福島第一原子力発電視察の様子(2022年2月)

経産省・資源エネルギー庁のHPより『「復興と廃炉」に向けて進む、処理水の安全・安心な処分④~IAEAがALPS処理水の安全性を確認』から

 

 

 さて、そんな福島原発事故カテゴリーを更新した2023年6月12日付け記事の

福島第1原発港湾内で5月に捕獲したクロソイから基準値の180倍の1万8千ベクレルのセシウムを検出。岸田政権はこの夏にも放射能「処理」水を海洋投棄し始める予定だが、その安全性は誰も保証できない。

では、昔取った杵柄で

『日本政府の放射能汚染水海洋投棄計画については、国際原子力機関(IAEA)の調査団が6月内にも包括的な報告書をまとめる予定ですが、IAEAは核兵器の拡散を抑制することと同時に核の「平和利用」を進める団体ですからね。

 つまり原発マフィアの中核なのですから、福島原発事故が原発推進に致命的なことにならないように、海洋投棄にも安全というお墨付きを与えることが今から予想できるのです。』

 と書いたのですが、なんと国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長が7月上旬に来日し、岸田文雄首相に安全性についての包括的な報告書を手渡す方向で調整しているそうなんです。

 グロッシ氏は岸田首相との面会のほか、福島訪問も検討しているのだそうで、この「安全性」宣言儀式を経て、岸田首相は報告書を踏まえて放出時期を最終判断するということです。

 ああ、馬鹿らしい。

首相官邸で安倍晋三首相と握手をするIAEAのラファエル・グロッシ事務局長(2020年2月25日撮影)。(c)Kimimasa MAYAMA / POOL / AFP

 

2022年5月20日、岸田総理は総理大臣官邸で国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長による表敬訪問を受けた。

 

 

 福島原発事故から10カ月経過した2012年1月31日に書いた原発ゼロ社会を目指してカテゴリーの

IAEAがストレステストに「妥当」「問題ない」 原発推進組織によるやらせ調査は無意味だ

 という記事の中から、ウクライナ戦争ではロシアの原発攻撃から原発を守る守護神然としているIAEAの実態を暴いた部分をご紹介します。

『原発再稼働の前提とされるストレステスト(耐性評価)で、経済産業省原子力安全・保安院が行う審査の妥当性を調べる国際原子力機関(IAEA)の調査団は2012年1月31日、たった1週間の調査日程を終え、保安院に調査結果を提出しました。

 内容は当然、「IAEAの安全基準にも、国際的な安全基準にも準拠していると確認した」というものです。

 調査団はIAEAや米英の原子力規制機関の専門家ら10人で構成されており、1月23日以降、評価結果を提出済みの関西電力大飯原発(福井県おおい町)の視察や、保安院からの聞き取りを行ってきました。

 保安院は、ストレステストの審査を進めるに当たり、適切な方法で実施されているかの調査をIAEAに依頼し、評価結果や助言を審査に反映させるとしていたわけです。』

 

 

 

『しかし、原子力安全・保安院もIAEAも原発推進機関ですから、この検査や報告はまさに出来レース。原発再稼働の結論先にありきでのものでした。

 そもそも、ストレステストでは定期検査のように機器を点検するものではありません。評価項目を決めてコンピューター解析し、弱みや安全余裕が無くなる限界を調べるだけのものです。

 どの原発の設計も、建設時に安全基準に上積みされた余裕分があります。 ストレステストは余裕分がどれくらいあるかを示すものです。

 つまり、想定を甘くすればそれだけ余裕がある事になるのが大きな矛盾です。

 そして、ストレステストの基盤となっている2006年の基準は、東日本大震災のような巨大な地震や津波を想定したものではないのです。

原発ストレステストには致命的な欠陥 それを1月23日から検査するIAEAは原発推進 再稼働は許されない

 

 

『また、肝心のIAEA とはどんな組織か。

 これは、アイゼンハワー大統領の「平和のための原子力」提案にもとづいて、原発の普及と核物質が軍事目的に転用されるのを未然に阻止しようという2つの目的のために設けられた機関なのです。

 ですから、よく核の「平和」利用、核拡散防止が目的といわれますが、平和=核軍縮・核廃絶とは全く無縁の存在です。だって、核兵器の拡散阻止は核保有国の核軍縮ではなく、核兵器の独占の維持でしかありませんから。

 IAEAの主目的は要は原発推進にあるのです。

 もう少しIAEAの任務は詳しく言うと、(1)原子力の研究、開発、実用化の促進のための情報交換と協力、とくに途上国への物資・役務の提供 (2)核物質の軍事転用阻止 (3)健康の保護、人命に対する危険の最小化のための安全基準の設定と採用ということにあります。有り体に言えば、原発推進、放射線利用の促進、核拡散阻止のために査察の3分野ということです。 

 結局、IAEAは 世界の原発推進のために存在する組織です。』

 

 

『そして、IAEAはチェルノブイリ事故で亡くなった方は数十人しかいないとか、甲状腺ガンにかかった子どもが6000人いるけど死んだのは十数人だとか、ICRPと一緒になって(というかメンバーもかぶっている)主張し、放射線の影響力を極力過小評価している組織です。

 そういうことにしておかなければ、核兵器の存在を正当化したり、原発を推進したりできないからです。 

 日本の電力会社なんて可愛く思えるほどの、巨大な原発利権組織、それが IAEAです。原発推進の結論先にありきの組織なのですから、根本的なチェックは全く期待できません。

 今回のような結果が出ると思って下の記事を私が書いたのは、去年2011年6月のことですが、案の定でしたね。

IAEA(国際原子力機関)は原発推進組織 福島原発事故の問題点の調査報告書で脱原発を決して言わない

 

 

『保安院とIAEAという日本と世界の原発推進機関がこれからどんどん原発再稼働を進めて良いという審査結果が出してくるわけですが、はじめから結論ありきなのですから、単なるデモンストレーションないし儀式です。

 当のIAEAのジェームズ・ライオンズ調査団長も来日当初の記者会見で、「保安院が用いるストレステストの方法論が、IAEAの安全基準に合致するかをみるのであって、個々の原発がそれを満たしているかをみるわけではない」と指摘した上で「個別の原発の再稼働を許可するかどうかについては一切関知しない。あくまで日本国政府の責任だ」と、クギを刺しています。

 また、原発の地元自治体などにさらに説明をすべきだといった11の改善点を指摘しました。

 いずれにしても、今回の調査結果は、原発再稼働のお墨付きにはなりません。

 原発の寿命は60年もありうるという基準も原発再稼働を前提にしています。国民の生命と健康を危険にさらす原発再稼働には断固反対すべきです。』

IAEAのグロッシ事務局長は2021年4月13日、日本政府が福島第一原発の処理水の海洋放出の方針を決めたことを受け、廃炉に向けて大きな節目になると歓迎(呆)。

 

 

 10年以上前に書いた記事が今もそのまま通用するのも我ながら驚きですが、全世界の原発推進にお墨付きを与えて回っているIAEAの相も変らぬあくどさにも感心します。

 そして、当時の野田民主党政権から安倍・菅・岸田政権と、ずっとその原発マフィアを「国際的な権威のある機関だ」として利用して、利権をむさぼる日本の原子力ムラの住人達にも本当に呆れるしかありません。

 12年前の最後の文章では

原発の寿命は60年もありうるという基準も原発再稼働を前提にしています」

と書いているのですが、岸田政権は運転停止期間を含めて60年どころか70年でもそれ以上でも老朽化した原発を運転できるGX原発運転延長法を作ってしまったんですから、福島原発事故を経験しながら、自公政権は原発推進姿勢を強める一方です。

 ここで原発推進勢力から政権を奪い返さないと何度も何度も同じ悲劇を繰り返すことになります。

 IAEAと岸田首相の「放射能汚染水の海洋投棄は安全だという確認儀式」に惑わされないように、今から周りの方々に注意を喚起してください!

 

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IAEAは原発や原発から出る放射性物質の安全性を判断する客観的・公平な審判にはなれないんです。

彼らは原発推進のプレーヤーなんですから。原発は安全、放射能汚染水も安全。結論ありきです。

言うたらですね、我が阪神タイガースと読売ジャイアンツとの優勝を決める大一番の審判が、主審渡辺恒雄読売新聞社社主、一塁塁審長嶋茂雄読売巨人軍永久名誉監督。。。。みたいなそんな試合、タイガースファンはアホらしくて見ませんよ。

彼ら原発マフィアから、原子力ムラの住人である岸田首相が、放射能「処理」水の海洋投棄は安全だとお墨付きを得たとしても、そんな儀式には何の意味もないんです。

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福島第一原発にたまる処理水を、基準を下回る濃度に薄めて海に放出する計画をめぐり、IAEAのグロッシ事務局長が来月上旬に日本を訪れる方向で調整が進められていることが分かりました。岸田総理大臣はグロッシ事務局長との会談を経て、放出を始めるタイミングを最終判断するものとみられます。

政府は、東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水について、基準を下回る濃度に薄めてことし夏ごろまでに海への放出を始める方針です。

これに関連しIAEA=国際原子力機関は、日本政府からの要請を受けて、去年2月から今月にかけて安全性を検証する専門家による調査団を派遣し、近く包括的な評価をまとめた報告書を公表する見通しです。

こうした中、IAEAのグロッシ事務局長が来月上旬に日本を訪れ、岸田総理大臣に報告書を手渡す方向で調整が進められていることが政府関係者への取材で分かりました。

岸田総理大臣はグロッシ事務局長との会談を経て、報告書の内容も踏まえながら、処理水の放出を始めるタイミングを最終判断するものとみられます。

また、グロッシ事務局長は日本滞在中、福島第一原発や、青森県六ヶ所村にある使用済み核燃料の再処理工場の視察を行うことも検討しているということです。
 
 
 

IAEA事務局長、7月来日 福島原発視察、首相と会談

グロッシIAEA事務局長(ゲッティ=共同)

 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出計画を検証している国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長が7月上旬に来日し、岸田文雄首相と会談する調整に入った。福島第1原発の視察も検討している。政府関係者が13日、明らかにした。

 IAEAは放出計画への評価を盛り込んだ包括報告書を6月中にも公表する予定。グロッシ氏はこの内容を首相に直接説明するとみられる。

 IAEAは政府の依頼を受け、放出の安全性や原子力規制委員会の審査の妥当性を確認するため5月に調査団を派遣した。政府と東電は夏ごろの放出開始を目指している。

© 一般社団法人共同通信社

 
 

IAEA「国際的な慣行」 原発処理水の海洋放出を歓迎(2021年4月14日)

ANNnewsCH

福島第一原発の処理水の海洋放出が決まったことを受け、IAEA(国際原子力機関)は歓迎する意向を示しました。

 IAEA・グロッシ事務局長:「日本が選択した方法は技術的に可能であり、国際的な慣行に沿ったものだ」

 IAEAのグロッシ事務局長は13日、日本政府が福島第一原発の処理水の海洋放出の方針を決めたことを受け、廃炉に向けて大きな節目になると歓迎しました。

 大量の水が放出されるため「特別で複雑な例」としつつも、海洋放出自体は厳格な管理のもと世界の原発で日常的に行われていると述べました。

 また、モニタリング調査など技術協力の用意があると表明しました。

 日本にとっては、韓国や中国など周辺国が批判するなかで国際機関と協力して透明性を確保しつつ進められるかが課題となります。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

 

 

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1 コメント

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Unknown (暗黒大将軍)
2023-06-15 23:55:48
このラファエル・グロッシは任期途中の2019年に死亡した日本人事務局長、天野之弥(ゆきや)の後任ですね

イラン核合意を巡ってトランプ政権と対立し、ロシアのプーチンとは昵懇だった天野の死に関してイランのメディアが「アメリカとイスラエルに殺された」と報道したこともありましたね

勿論そんな与太は今は誰も憶えてないことですが、
グロッシも前任者から「日本に甘い」というアティテュードはしっかり受け継いでますね
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