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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

IAEA(国際原子力機関)は原発推進組織 福島原発事故の問題点の調査報告書で脱原発を決して言わない

2011年06月02日 | 原発ゼロ社会を目指して

 

 IAEA(国際原子力機関)は1957年に発足し、2005年にはノーベル平和賞を受賞しましたが、そのとき、ノーベル平和賞団体の国際平和ビューローの推薦を受けた最有力候補と言われた日本被爆者団体協議会(日本被団協)を押しのけて受賞したことは余り知られていないでしょう。

2005年度のノーベル平和賞

 

 日本被団協はアメリカの原爆投下や核保有国の核実験を決して容認しないので、アメリカにとっては煙たい存在です。日本被団協がノーベル平和賞という極めて政治的で特殊な賞を受賞できなかった理由はそれにつきます。

 

日本被団協、5度、ノーベル平和賞候補となる

 

 では、IAEAとはどんな組織か。これは、アイゼンハワー大統領の「平和のための原子力」提案にもとづいて、原発の普及と核物質が軍事目的に転用されるのを未然に阻止しようという2つの目的のために設けられた機関なのです。ですから、よく核の「平和」利用、核拡散防止が目的といわれますが、平和=核軍縮・核廃絶とは全く無縁の存在です。だって、核兵器の拡散阻止は核保有国の核軍縮ではなく、核兵器の独占の維持でしかありませんから。IAEAの主目的は要は原発推進にあるのです。

 IAEAの任務は詳しく言うと、(1)原子力の研究、開発、実用化の促進のための情報交換と協力、とくに途上国への物資・役務の提供 (2)核物質の軍事転用阻止 (3)健康の保護、人命に対する危険の最小化のための安全基準の設定と採用ということにあります。有り体に言えば、原発推進、放射線利用の促進、核拡散阻止のために査察の3分野ということです。  

1970年にNPT(核不拡散防止条約)が発効して、世界中の「非核兵器保有国」はすべての核物質を申告してIAEAの査察を受けることになりました。しかし、そもそも1967年の時点で核兵器を先行して保有していたと言うだけで(それはむしろ暴力と不正義の象徴で恥ずべきことです)、米ソ中英仏の核五大国が核兵器を独占し続けられるという、極めて不公平な条約・体制に、なんら合理性はありません。当然、南ア、イラク(フセイン政権)、北朝鮮など、NPTに加盟しながら核開発に走る国が続出しました。そこで、核の独占を正当化するための隠れ蓑として、対抗上、核保有国は核軍縮義務を約束し、抜き打ち査察などを盛り込んだ「追加議定書」が1997年に発効しましたが、北朝鮮は未署名、イランは署名したものの批准していません。


 

1970年代行われたムルロア環礁でのフランスの大気圏内核実験

我々はみなすでにヒバクシャであった

 

 

 ちなみに、普段余り意識しませんが、日本には50基以上の原発が存在し、査察対象施設が250カ所前後もあり、ウランとプルトニウムという核燃料を大量に保持する世界最大の「核兵器のない核物質保有国」です。核武装論者も政財界に多いこともあって、日本はすでに核兵器を開発保有しているという噂も国際的にはかなり信じられているくらいです。このため、日本には常に20名前後のIAEA査察官が駐在しています。とくに青森県の六ヶ所村の再処理工場には常時数名の査察官が張りついているのです。全施設をくまなく査察していたらIAEAの全予算を投入しても足りなくなるので、「日本は軍事転用の意思のない国」と認定して、全面的に信頼して、手抜き査察にされています。それだけ信用してもらって、「唯一の」被爆国として核兵器「廃絶」に努力すると日頃から口だけでも言っている、そんな国が核武装するなどと言いだしたら、どれだけ国際的信用を落とすか、国際社会でしか生きていけない日本経済にどれだけ致命的な悪影響があるか、安倍晋三元首相や上にネのつくウの方々はわかっておられるのでしょうか(考えたこともないでしょう)。

 

 まあ、とにかく、IAEAは世界の原発推進のために存在する組織で、チェルノブイリ事故で亡くなった方は数十人しかいないとか、甲状腺ガンにかかった子どもが6000人いるけど死んだのは十数人だとか、ICRPと一緒になって(というかメンバーもかぶっている)言いたい放題、放射線の影響力を極力過小評価している組織です。そういうことにしておかなければ、核兵器の存在を正当化したり、原発を推進したりできないからです。

東日本大震災 福島原発事故 チェルノブイリ事故から25年 原子力発電の不都合な真実と向き合え

 



低下した免疫性を高めるため、「子どもリハビリ健康増進センタ ー」で治療に取り組む放射能汚染地帯に住むベラルーシの小学生。 甲状腺がんの増加などチェルノブイリ原発事故は、今も子どもたち の未来に暗い影を投げかける(ゴメリ州シジェンニキ村)


 日本の放射線影響研究所がアメリカ占領軍の作ったABCCを組織改編したもので、今でもアメリカの核兵器政策を担っているエネルギー省が半分出資しており、核兵器の保持と原発推進を正当化するため、この放影研の「研究」が意図的に放射線の内部被曝を無視して放射線の影響を矮小化してしまい、その研究から生まれた基礎データが、ICRPの基礎データになり、ひいては厚生労働省や国立がん研究センターの放射線被害を過小評価することにつながって、いまだに酒やタバコの方が放射線より危険だという政治家やマスコミや評論家がいる、という、このあまりにも良く出来た構造。

国立がん研究センター 「外出を控えたり(汚染)野菜を食べない方が発がんリスクが上がる」見解のお粗末

子どもの日 内部被曝の恐怖25 近畿原爆症集団認定訴訟 大阪高裁判決文よりICRP基準の問題点

内部被曝の恐怖24 ICRPの放射線被曝限度年間1~20ミリシーベルトの安全基準はまだ甘い


その一連の構造の、同じ穴のムジナで、日本の電力会社なんて可愛く思えるほどの、巨大な利権組織、それがIAEAです。津波の力を東電と日本政府が甘く見ていたなどという問題点を指摘する報告書を作っても、天災を甘く見なければ原子力発電所自体は大丈夫です、これからも日本でも原発基本で頑張って、という原発推進の結論先にありきの組織なのですから、全く期待しないでください。 

たとえば、冷却装置の電源全喪失の原因は津波が原因ですと必ず報告するはずです。地震が原因とは言いません。だって、地震は世界中の原発のある地域で起こるけれども、津波被害の可能性のあるところは少ないですからね。 

彼らの目的はただ一つ。原子力発電の推進なのです。 

 

 

甲状腺ガンの手術を受ける子ども

 

 

 

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IAEAが原発事故の報告書概要提出、「津波を過小評価」

2011年 06月 1日 15:43 JST[東京 1日 ロイター] 
 6月1日、福島第1原発事故を調査するため来日しているIAEAの調査団は、津波被害が過小評価されていたなどと指摘する報告書の概要を政府に提出。写真はウェイトマン調査団長。代表撮影(2011年 ロイター)
東京電力福島第1原子力発電所の事故を調査するため来日している国際原子力機関(IAEA)の調査団は1日、津波被害が過小評価されていたなどと指摘する報告書の概要を政府に提出した。

 3ページにまとめられた概要でIAEAは、原発事故の要因を、5.7メートルの防護壁を超える津波を想定しておらず、非常用電源を失ったことだと指摘。今後は事故の対処にあたっている作業員や住民の健康状態を注意深く見守っていく必要があると強調した。

 また、福島第1原発事故では世界の原発業界全体が教訓を得たとし、事業者が定期的に自然災害リスクを見直し、防御策として「強化された」緊急対策センターを確立するべきだとしている。

 調査団は、調査結果を今月20―24日にウィーンで開かれるIAEA閣僚級会合に提出する。

 

 

IAEA報告案 組織の「限界」が露呈した

新潟日報2011年6月2日
 東京電力福島第1原発事故の原因解明に向け来日している国際原子力機関(IAEA)の調査団が1日、日本政府に報告書の素案を提出した。
 調査団は20~24日にウィーンで開かれる閣僚級会合で調査結果を詳細に報告する。
 素案では、日本が津波の危険性を過小評価していたと強調、原子力安全の規制当局が独立性を保つことなどが必要だとしている。
 目新しさはなく、従来指摘されてきたことの繰り返しとなったが、ここまでは妥当である。
 政府も東電も真摯(しんし)に受け止め、今後の対策に生かしていかねばならない。とりわけ原子力安全・保安院の経済産業省からの分離独立と原子力安全委員会の見直しは急務である。
 しかし、看過できないのは、日本政府の対応に関するくだりである。「避難地域の対応を含めて、組織化されている」と賛辞を贈っているのだ。
 日本政府は、どこに指揮官がいるか分からないような後手後手の事故対応を行い、避難指示や情報提供をめぐって迷走した。
 日本の情報提供不足に不満を示し、情報の質と量の改善を求めていたのはIAEAだったはずである。
 こうした日本政府の対応ぶりを、高く評価するとはどういうことか。
 菅直人首相は国会で、情報混乱の不手際を認め、「痛切に反省し、おわびしたい」と謝罪している。にもかかわらずIAEAからの「お墨付き」だ。首相は赤面するほかなかろう。
 同時に、IAEA自体の信頼性にも大きな疑問符が付きかねない。
 IAEAは、核の軍事利用が拡散しないよう監視する「核の番人」が本来の役目である。国際的な査察活動で知られている。
 ところが、原発事故を独自に調査監督したり、指示命令したりする法的権限は持っていない。
 天野之弥事務局長は、福島原発事故後に開かれた緊急理事会で「原発の安全に対する責任は各国が負う。われわれは『原子力安全の番人』ではない」と語っているのだ。
 これは天野氏の個人的見解ではない。IAEAの一貫した姿勢である。
 今回の来日調査も、日本政府や東電からの聞き取りが主だった。故に日本政府への大甘な評価が出てきても驚くに値しない。IAEAという組織の限界を露呈したにすぎない。
 忘れてならないのは、IAEAのもう一つの大きな役割が「原子力の平和利用の推進」であるという点だ。
 言ってみれば、IAEAも世界における「原子力ムラ」の住人である。評価をうのみにはできまい。

 

 

子どもの甲状腺癌は、4年後に爆発的に増加します。広河隆一ドキュメンタリ(文字おこし):ざまあみやがれい!

 

国際原子力機関IAEAの調査団が汚染地を訪れました。

39 AM)

25 AM)

代表の重松委員長は、住民の健康障害は全くないと発表しました。

50 AM)

この子は5歳。甲状腺がんです。

10 AM)

自分の身に何が起きているのか、全く知らないまま、手術室に連れて行かれます。

53 AM)

10 AM)

医学の常識では甲状腺癌は大人の病気です。子供がかかる率は50万人に一人と言われています。

46 AM)

しかしチェルノブイリ周辺では、事故後、4年を過ぎてから、子どもの甲状腺癌は爆発的に増え始めました。

39 AM)

24 AM)

37 AM)

02 AM)

喉にレーザーメスが入れられ白い煙があがります。

36 AM)

47 AM)

15 AM)

原発の北のホイニキ地区では、352人中27人の子どもが要注意と診断されました。

27 AM)

このうち甲状腺癌は2割に登ると言われ、平均発病率の7800倍です。

38 AM)

文字「放射線医療研究所 ドロズド医師」

46 AM)

字幕「子どもの健康状態は放射線に影響されています。」

03 AM)

「放射性ヨウ素の分布図を見れば一目瞭然です。」

22 AM)

「IAEAの調査責任者・重松委員長は、」

34 AM)

「私たちの調査の全てをしっているわけではありません」

47 AM)

16 AM)

49 AM)

37 AM)

甲状腺に続いて乳がん、骨のがん、そして白血病の爆発的増加の時期が来るという医師の予言は、現実のものとなりはじめています。

 


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画像を使わせていただきました (太陽風の家project)
2014-03-22 07:08:51
画像を使わせていただきました
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