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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

IAEAがストレステストに「妥当」「問題ない」 原発推進組織によるやらせ調査は無意味だ

2012年01月31日 | 原発ゼロ社会を目指して


 原発再稼働の前提とされるストレステスト(耐性評価)で、経済産業省原子力安全・保安院が行う審査の妥当性を調べる国際原子力機関(IAEA)の調査団は2012年1月31日、たった1週間の調査日程を終え、保安院に調査結果を提出しました。

 内容は当然、「IAEAの安全基準にも、国際的な安全基準にも準拠していると確認した」というものです。

 調査団はIAEAや米英の原子力規制機関の専門家ら10人で構成されており、1月23日以降、評価結果を提出済みの関西電力大飯原発(福井県おおい町)の視察や、保安院からの聞き取りを行ってきました。

 保安院は、ストレステストの審査を進めるに当たり、適切な方法で実施されているかの調査をIAEAに依頼し、評価結果や助言を審査に反映させるとしていたわけです。

 


 しかし、原子力安全・保安院もIAEAも原発推進機関ですから、この検査や報告はまさに出来レース。原発再稼働の結論先にありきでのものでした。

 そもそも、ストレステストでは定期検査のように機器を点検するものではありません。評価項目を決めてコンピューター解析し、弱みや安全余裕が無くなる限界を調べるだけのものです。

 どの原発の設計も、建設時に安全基準に上積みされた余裕分があります。 ストレステストは余裕分がどれくらいあるかを示すものです。

 つまり、想定を甘くすればそれだけ余裕がある事になるのが大きな矛盾です。

 そして、ストレステストの基盤となっている2006年の基準は、東日本大震災のような巨大な地震や津波を想定したものではないのです。

原発ストレステストには致命的な欠陥 それを1月23日から検査するIAEAは原発推進 再稼働は許されない


 


 また、肝心のIAEA とはどんな組織か。

 これは、アイゼンハワー大統領の「平和のための原子力」提案にもとづいて、原発の普及と核物質が軍事目的に転用されるのを未然に阻止しようという2つの目的のために設けられた機関なのです。

 ですから、よく核の「平和」利用、核拡散防止が目的といわれますが、平和=核軍縮・核廃絶とは全く無縁の存在です。だって、核兵器の拡散阻止は核保有国の核軍縮ではなく、核兵器の独占の維持でしかありませんから。

 IAEAの主目的は要は原発推進にあるのです。

 もう少しIAEAの任務は詳しく言うと、(1)原子力の研究、開発、実用化の促進のための情報交換と協力、とくに途上国への物資・役務の提供 (2)核物質の軍事転用阻止 (3)健康の保護、人命に対する危険の最小化のための安全基準の設定と採用ということにあります。有り体に言えば、原発推進、放射線利用の促進、核拡散阻止のために査察の3分野ということです。 

 結局、IAEAは 世界の原発推進のために存在する組織です。



 そして、IAEAはチェルノブイリ事故で亡くなった方は数十人しかいないとか、甲状腺ガンにかかった子どもが6000人いるけど死んだのは十数人だとか、ICRPと一緒になって(というかメンバーもかぶっている)主張し、放射線の影響力を極力過小評価している組織です。

 そういうことにしておかなければ、核兵器の存在を正当化したり、原発を推進したりできないからです。 

 日本の電力会社なんて可愛く思えるほどの、巨大な原発利権組織、それが IAEAです。原発推進の結論先にありきの組織なのですから、根本的なチェックは全く期待できません。

 今回のような結果が出ると思って下の記事を私が書いたのは、去年2011年6月のことですが、案の定でしたね。

IAEA(国際原子力機関)は原発推進組織 福島原発事故の問題点の調査報告書で脱原発を決して言わない



 ストレステストの評価結果は2011年10月以降、7社10原発15基が提出し、保安院は18日、大飯原発3、4号機について、関西電力の評価を「妥当」とする見解を示しており、審査書の作成を進めています。

 しかし、原子力安全保安院はやらせミーティンをするように指示をしたり(原子力安全・保安院がやらせ質問・動員要請 世論工作 中部電力、四国電力、中国電力 全部やろ! 続報あり)、原発事故の内部告発を握りつぶすような(原子力安全・保安院が伊方原発事故の内部告発を4年半放置し握りつぶしていた)、とんでもない国家機関で、すでに「退場」が決まっています。

 そんな機関にまだ審査をさせているのがおかしいのです。

 保安院とIAEAという日本と世界の原発推進機関がこれからどんどん原発再稼働を進めて良いという審査結果が出してくるわけですが、はじめから結論ありきなのですから、単なるデモンストレーションないし儀式です。

 当のIAEAのジェームズ・ライオンズ調査団長も来日当初の記者会見で、「保安院が用いるストレステストの方法論が、IAEAの安全基準に合致するかをみるのであって、個々の原発がそれを満たしているかをみるわけではない」と指摘した上で「個別の原発の再稼働を許可するかどうかについては一切関知しない。あくまで日本国政府の責任だ」と、クギを刺しています。

 また原発の地元自治体などにさらに説明をすべきだといった11の改善点を指摘しました。

 いずれにしても、今回の調査結果は、原発再稼働のお墨付きにはなりません。

 原発の寿命は60年もありうるという基準も原発再稼働を前提にしています。国民の生命と健康を危険にさらす原発再稼働には断固反対すべきです。

 

 

他人を犠牲にしてあくまで利権に執着するのは許されないでしょう。

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 国際原子力機関(IAEA)は31日、原発の再稼働の判断に使う日本の安全評価(ストレステスト)の審査手法を妥当とする報告書をまとめ、経済産業省原子力安全・保安院に提出した。今後、関西電力大飯原発3号機と4号機のストレステストを妥当とした保安院の審査結果について内閣府原子力安全委員会が確認した上で、政府が再稼働の可否を判断する道筋がついた格好だが、地元の了解が得られるかは依然不透明だ。【河内敏康、関東晋慈】

 日本のストレステストの審査手法などを評価するため、IAEAの調査団は今月23日に来日した。保安院などから審査手法のあり方などについて説明を聴く一方、保安院の審査結果の妥当性を確認するため、実際に大飯原発を訪問。福島第1原発事故後に設置された非常用発電装置の起動訓練などを視察し、同原発事故を受けて実施された安全対策を確認した。

 IAEA原子力施設安全部長のジェームズ・ライオンズ団長は「日本の手法は国際的な安全基準に準拠している。広く意見を募り透明性も確保している」と評価した。

 再稼働を巡っては、各電力事業者が提出した原発のストレステストについて、IAEAの意見を審査手法などに反映させながら保安院が審査。その結果を原子力安全委が確認した上で、野田佳彦首相と、藤村修官房長官、枝野幸男経産相、細野豪志原発事故担当相の3閣僚が、地元の合意を得ながら再稼働の可否を判断する手順となっている。

 ◇安全評価(ストレステスト)◇

 原発が設計上の想定を超える地震や津波に襲われた場合、原子炉建屋などが損傷し、炉心損傷などの深刻な事故に至るまでにどのくらい余裕があるのかを調べる検査。原発の再稼働の判断に使う1次評価と、稼働の継続の判断に使う2次評価の2段階で実施。現在までに、7電力事業者が、計15基の原発の1次評価結果を原子力安全・保安院に提出している。

 ◇解説…「個別の許可とは別」

 国際原子力機関(IAEA)が、日本の安全評価(ストレステスト)に関する審査の進め方についてお墨付きを与えた。ただし今回は、個別の原発の評価結果を審査したわけではなく、関西電力大飯原発3号機と4号機の再稼働を直ちに認めた結果でもない。

 IAEAのジェームズ・ライオンズ調査団長も来日当初の記者会見で、「保安院が用いるストレステストの方法論が、IAEAの安全基準に合致するかをみるのであって、個々の原発がそれを満たしているかをみるわけではない」と指摘。そのうえで「個別の原発の再稼働を許可するかどうかについては一切関知しない。あくまで日本国政府の責任だ」と、クギを刺している。

 ストレステストを巡っては、評価結果を「原発の再稼働の合否判定に用いるには本質的に無理がある」と主張する原子力の専門家がいる。ストレステストはあくまで、地震や津波など想定以上の事象に原発が襲われた場合、炉心溶融など過酷事故に至るまでにどのくらい余裕があるのかを評価するためのものだからだ。テストそのものに合否の判定基準という「物差し」は備わっていない。

 保安院のストレステストの意見聴取会でも、委員から「再稼働の可否を決める国の判断基準を示すべきだ」との意見が出ている。再稼働を決めるに際しては国民がきちんと納得できるよう、より一層丁寧な説明が求められる。【河内敏康】

毎日新聞 2012年1月31日 12時05分(最終更新 1月31日 12時50分)

 

 

ストレステスト結果の審査、IAEA「妥当」

評価報告書を手にあいさつを交わすIAEAのライオンズ調査団長(右)(31日、経産省で)=中村光一撮影

 国際原子力機関(IAEA)は31日、想定を超える地震や津波に対する原子力発電所の安全性の度合いを各電力会社が調べる「ストレステスト(耐性検査)」について、経済産業省原子力安全・保安院によるテスト結果の審査は妥当とする報告書を保安院に提出した。

 深野弘行・保安院長に報告書を手渡した調査団長のジェームズ・E・ライオンズIAEA原子力施設安全部長は、保安院の審査方法を「IAEAの安全基準に準拠している」と評価した。保安院がホームページで国民の意見を募集している点も「透明性を確保している」とした。

 IAEAの調査は、ストレステストの信頼性を高めるために日本政府が要請した。保安院がテスト結果を妥当と判断した関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)については、調査団が現場を視察。調査団は「緊急安全対策が実施されている」と取り組みの有効性を認めた。

(2012年1月31日11時37分  読売新聞)

 

 


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