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『ゴジラ -1.0』

2023-11-07 19:25:06 | 映画[か]
『ゴジラ -1.0』

監督:山崎貴
出演:神木隆之介/浜辺美波/山田裕貴/青木崇高/吉岡秀隆/安藤サクラ/佐々木蔵之介

 戦後の日本にゴジラが上陸、敗戦で身も心もズタズタにされた日本国民にとどめを刺すかのように容赦なく襲い掛かる巨大怪獣、もうどうしようもないありさま。敗戦で夢も希望も無くなった日本を0.0とした場合、それにゴジラが追い打ちをかけてマイナス1.0というタイトル。ゴジラ70周年記念作品で、30作目となるゴジラ映画。

 主演が神木隆之介と浜辺美波という豪華らんまんコンビ。神木と一緒に小船に乗る仲間が佐々木蔵之介、吉岡秀隆、山田裕貴、人気俳優が集合。ゴジラの迫力だけでなく、戦後の癒えぬ傷を引き摺って苦悩する人々まで描いているので、時々、単なる終戦を描いた歴史群像劇を見ている気になってしまう。

『ALWAYS 三丁目の夕日』で、今は無き古き東京の風景を見せてくれた山崎貴監督。この映画もほぼVFXなのだろうけれど、どこが造り物で、などと気にすることもなく、戦後の街並みやゴジラ対戦がスクリーンに生々しく違和感なく表現されている。

 シン・ゴジラで見せた最新テクノロジー満載の対ゴジラ作戦とは違って、そういう兵器は戦争ですべて使い切ってしまって何も残ってない貧困ジャパン。それでも生き残るためには、なんとしてでもゴジラと戦わなければならない。そんな生き様を描いた戦争映画と言いたくなるようなストーリー設定で、怪獣映画にしては結構感動的な作品になっていると思う。

 私が初めて見たゴジラシリーズは『キングコング対ゴジラ』で、この時はキングコングが僕らの仲間側だった。ゴジラは基本的に最悪の敵なのだが、その後も宇宙怪獣みたいな凶悪な敵が現れるたびに僕らの仲間側を演じてきた。鑑賞する子供にとってはそのほうが楽しかったのだろう。「がんばれゴジラぁ~!」って叫べるから。僕らの仲間側のゴジラは強敵を倒すとそのまま海底に帰って行く。戦う敵がいなくなったからといってこの時とばかりにこれでもかとビルをなぎ倒し人々を踏み殺して放射線を浴びせたりはしない。これが僕らの仲間側のゴジラの作法だ。しかしこのマイナスワンではゴジラが僕らの仲間なんかじゃないことを徹底的に見せつけられる。そこにリアルさを感じる。
















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