柳家権太楼の噺、「ぜんざい公社」(ぜんざいこうしゃ)によると。
ぜんざい公社なんて公社があるんだな。
場所は赤坂ニュージャパン裏の大きなビル、ここだな。
と言う事で、たまには、ぜんざいを食べてみようと受付で声を掛けた。
けんもほろろに4番窓口に行けと言う。
「ぜんざいを食べるのは貴方本人ですか」、
「食べるのは私ですよ」、
「付き添いはいますか」、「居ませんが」、
「万が一の事を考えてですが、書類を作ります」。
「食べるだけで・・・」、
「では、住所は」、
「中野区竹の塚赤坂」、
「郵便番号と電話番号、名前は?」、
「中曽根康弘です」、
「年齢は、職業は、役職は」、
「38歳、会社員です」、
「平ですね。顔を見れば分かります」、
「家族関係は」、
「子供と家内で4人家族です。ぜんざい食べに来たのに警察だな」、
「尊敬する人は」、
「土光敏夫さんです」(場内大歓声)、
「両親は」、
「長野で建材屋をやっています」、
「それでは、ケンザイですな。お風呂は」、
「2回入ります」、
「日に?」、
「年に」。
「これで申込書は終わりですから、8番窓口会計に行って下さい」。
「これ持ってきたのですが・・・」、
「は~い、お待ち下さいね。中曽根康弘さん、38歳会社員平ですね」、
「余計な事言わないで」、
「書いてあるで。100円納めて4番に戻って下さい」。
「ご苦労様でした。中曽根さん、だめですね。健康診断書が必要なんです。8階に診療所がありますから、そこで診てもらって下さい」、
「エレベーターは」、
「健康増進の為有りません。歩いて上がって下さい」。
「ここだな、書いてある『富士見診療所』。ん、1時半まで昼休み。これだ客の事なんて考えていない」、
向こうから来た医師を捕まえ診てもらう。
聴診器を当てたが聞こえない、
「貴方死んでますか?あ詰まっている。・・・これなら聞こえる。ハイ大きく息を吸って、・・・もっと吸って、・・・ドンドン吸って」、
「プはぁ~、死ぬかと思った」、
「一通り診たが異常はない。ぜんざいを食べてジンマシンになったとか死んだと言う事はないね。では、これを持って8番の窓口に行くように」。
8番窓口で100円払い、4番窓口で「書類はこれで全部揃ったのですが、お餅入れますか。
入れるんでしたら、食料統制令によって認可証が必要です。
9階です」、
「エッ、私は今8階に居たんですよ。それならもっと早く言ってくれないんですか」、
「ここはお役所ですから」。
「今忙しいからチョット待ってね。中曽根さ~ん、38歳会社員平ですね。ところで、お餅は焼きますか。では、火気使用許可書が必要です」、
「どこでもらえます?」、
「地下です」。
地下で「書類持ってきました」、
「焼き方はどうします。ABCとあって、Aはこんがり焼いて、Bは芯があって、Cは炭のように焼きます」、
「Aに決まっているでしょ。これだけで許可書がいるんですか」。
4番に戻って「これで全て書類が揃いました。8番に行って2000円を納めて、ぜんざいを食べてください」、
「あすこで200円払いましたが・・・」、
「あれは書類作成料です」、
「手間がかかって、こんなに高いぜんざいは食べません」、
「中曽根さ~ん、これだけ書類を作っておいて食べないと詐欺罪になって小菅刑務所に入りますよ」、
「食べます。たべます」、
「払い込みましたね。ではこの食券を持って別館で食べてください」、
「別館てどこにあるのですか」、
「裏のバス停から13コ目のバス停で降りた国鉄の裏です」。
ここか、ぜんざい公社別館と書いてある。ウエートレスさん、お嬢さんと呼んでも応対してくれず、
「ぜんざい事務官と呼べ」と言う。
「お茶が欲しい」と言えば冷たい対応で「本館で手続きしてください」、
「飲まないや。きたきた。これがぜんざいだ。お餅は認可証で焦げているところが火気使用許可書か」。
かぶりつくように食べていたが
「事務官さん、これ、砂糖が入ってないんじゃないか?甘くないよ」、
「それでイイんですよ。甘い汁は全部公社が吸いました」。
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