パシリ襲名（2）

以前にも書いたが…
『ネムノヤ』とは屋号である。
昔々、この名前で事業をしていたそうで、
それ以来、こう呼ばれるようになった。
夫の父（亡き舅）が仕事上でお世話になった関係で、
今でも親戚付き合いしているのだ。

去年、とっちゃんが急逝し、
かっちゃんが広い家に独りきりとなった。（参照記事/『ネムノヤのとっちゃんが死んだ』）
両脚が悪いのであまり歩けず、重いものは持てない。
（でも、クルマは運転できる。医者にはとめられてるけど。）
息子さんは他県に住んでいるので、ちょくちょく訪ねては来られない。
そんなわけで、何かあった場合にと、
姑様は合い鍵も預かっているのだ。

「あのな…明日、燃えるゴミの日だから、捨ててくれね～が？」と、
すまなそうにかっちゃんは言った。
「あ、いいですよ～！」
「わりぃな（悪いね）。かぁさんさ言っておいてけれ～。」
「なんも、アタシが捨ててけるから。（捨ててあげるから。）
朝、玄関先にゴミ袋出して置いてけれナ。」
「んだが。せば、頼むな。（じゃ、頼みますね。）」

…うんうん！
年寄りには、たくさんたくさん親切にしておくもの、です。
もしかしたらすご～く気にいられちゃって、
あとで、なんか貰えるかも知れん(笑)。
…嗚呼、なんて腹黒くて不純なアタクシ。

そんな妄想を夫に話したら…
「フフン。『パシリ２号』襲名おめでとさん。」
「えっっっ？何ですと？」
「母ちゃん（姑様）もな、そうやって長年、うま～く使われてるからな、あのかっちゃんに。」
「…」

※『パシリ襲名』終わり