娘の心、母知らず

夕方、宅急便でお歳暮が届いた。
横須賀の義妹（ハルママ）からだった。
大きなつづらと小さなつづら(笑)。
大→姑様へ。
小→アタシたちへ。

「お母さんとは同居だから、アタシたちにはお歳暮は要らないよ。気を使わないで。」と言ってあるのだが…
彼女、こういうとこだけきっちりしてて、義理堅い。

さて、姑様が帰宅するのを待ち、箱を開けると…
海軍カレー＆チャウダースープ（レトルト）のセットがそれぞれ入っていた。
こじゃれた菓子よりも、こういうのがありがたい！
姑様のほうには、他に、リボンが掛けられたクリスマスプレゼントも入っていた。
「なんだべ？」
ニッコリしながら、クリスマス仕様の包装を開ける姑様。
…と、出てきたのは、ダウンのロングコート。
「あら～！お母さん、良かったね！」
しかし、姑様は不機嫌そうに言った。
「これ…いらねえ。私、着ない…。
ライチさんにあげるから、着ればいい。」
「…へっ？」

気に入らないのかな？
…見れば、確かに今年流行のロングダウンコートだが…色が…。
グレーというか…悪く言えば『ドブネズミ色』。
姑様のワードローブには、絶対有り得ない色、なのであった。
姑様の好みはボルドーの赤、なのである。
この人、ドブネズミ色なんか絶対絶対着ないもんね。

…しかし、プレゼントって難しいんだな。
血を分けた実の娘なのに、母親の好みがわからないなんて。
（特に衣類。）

「お母さん、要らないならアタシが着てもいいんだけど…。
でも～折角もらったんだもの、もったいないよ？
雪かきの時なんかに着たら？」
それでも、かぶりを振って拒否る姑様。
「ううん…要らねえ…。」

あああ…なんて可哀想なハルママ。
自分がプレゼントした服を、母親が頑なに着たがらないなんて、
想像もしてないでしょうなあ…気の毒に。